よしーの世界

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森林で日本は蘇る   白井裕子

2024-05-12 07:46:30 | 

著者が知る2009年より以前から「補助金は現場(林業)では使えない程、降ってくる」と言われて

いた。全国各地では森林組合の不適切な受給の報道があり、長野県大北森林組合で2007年度から20

13年度で総額14億7000万円、これ以外にも各地で面積の改ざん、重複申請、やっていない道の整備、

終わっていない間伐作業等々で補助金を受けとる例が後を絶たないという。しかも国は2019年に森

林環境税なるものを創設し、使い方がハッキリしないまま国民から徴収する。2024年度から住民税

に1000円上乗せするのだ。

 

海外では林業は一産業であり、国によっては国家を支える一つの基幹産業だという。著者は自ら国

内、そして海外の現場を歩き回り、日本の森の多様性、豊かさが世界がうらやむような資源であり

ながら、国はその活かし方を理解していないと指摘する。それが全国一律の補助金でコントロール

する発想となり、伝統木造をないがしろにし、合理性に欠けるバイオマス発電に繋がっている。

 

例えばスウェーデンの森林は、起伏の乏しい平らな台地だ。日本の現場では今でもスパイク付きの

地下足袋でなければ、現地到達さえ難しく、人一人がやっと歩ける細道しかないという所もあるの

とは全然違う。それなのにヨーロッパで使われている大型林業機械を使われもしないのに補助金で

大量(10218台)導入している。

 

残念ながら日本の林業では危険が伴う、著者は日本の現場に合った小型林業機械の開発にも携わる。

その上で、これから、国が国有林に民間の力を入れるとういう方針転換を歓迎する。国有林周辺の

私有林で林業を営む人たちの意見を聞き、協議し、その知恵を借りるべきだと。

 

  森林で日本は蘇る 林業の瓦解を食い止めよ  白井裕子        新潮新書

コメント (4)
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