よしーの世界

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寄席楽屋帳   六代目 三遊亭圓生

2021-03-17 06:43:52 | 
ここまで沢山の本を出している噺家も珍しい。しかも自らの語り口調で、落語を語り、楽屋、芸人、時

代、風俗を語り、自らの人生を語っている。厳しく、時には面白おかしく芸を語っており精進した圓生

師の姿がくっきり浮かんでくる。それにしてもいつも思うのは圓生師の記憶力の良さで、子供の頃から

の自分を取り巻く人々、芸人たち、街角の風景を見事に描写している。


筆頭にはやはり三遊亭円朝がおり、明治から大正、昭和と名人たちがずらりと並び、師匠が直接影響を

受けた噺家達。そして桂文楽、古今亭志ん生との話。落語協会会長時代、会長を辞任した後の協会の話

など興味が尽きない。特に会長を辞任した後の真打乱造には手厳しく、師匠の芸に対する姿勢がよく分

かる。


昔の楽屋内の事、ラジオ放送草創期、レコード録音と初めて聞く珍しい話は本当に楽しく、うわさに聞

く御前落語の発端から、うかがい知ることのできない中身、後日談まで夢中で読んでしまうものが多い。



非常に面白かったのが、噺家芝居、通称「鹿芝居」でこれは抱腹絶倒!師の目指す笑いの一つがここに

ある。当時の様子を知るすべが少なく、師匠の語りと数枚の写真(貴重!)による想像の世界でしかな

いが、当時の噺家達の必死さが見て取れる。


古い噺家を観る時(聴く時に)その時代をある程度知らなければ、噺に入りこむことが出来ない。すべ

てを知ることは不可能だが、その時代の空気を感じたい。最近の落語もいいが、六代目 三遊亭圓生師

は今見直しても抜群にいい。ユーチューブでも見ることが出来るので是非。


寄席楽屋帳     六代目 三遊亭圓生        青蛙房
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