よしーの世界

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知の英断  ジミー・カーター他、吉成真由美(インタビュー・編)

2021-03-27 07:37:12 | 
「エルダーズ」なるものを初めて知った。エルダーズは「長老たち」という意味で、リチャード・ブ

ランソン(ヴァージン・グループ総帥)、ピーター・ゲイブリエル(ロックバンド「ジェネシス」の

元ヴォーカルリスト)が、ネルソン・マンデラ(南アフリカ共和国初の黒人大統領)をリーダーとし

て世界的な問題に対する、国境を越えた活動が出来るメンバーを集めたもので、著名な大統領級の重

鎮たちのことだ。彼らは世界中の紛争に対峙し、武力に頼らず解決に導くべく各地に赴き活動をして

いる。


冒頭に登場するジミー・カーターは大手マスコミで偶に出てくるが、概ね弱腰大統領としての評価で

揶揄されることが多い、戦争をしなかった唯一の米大統領で、現在エルダーズのメンバーとしてアラ

ブ・イスラエル問題をはじめ、北朝鮮問題に関わり、戦争の可能性を低くする活動を続けている。ア

メリカの歴代大統領は力による紛争解決を標榜しているが、いい結果に繋がっていない。ジミー・カ

ーターは人権政策を推し進め、情報開示を積極的に行うことで問題をクリアーにしようとしている。

彼ら(エルダーズ)は元大統領という立場にあり、権力に対抗するだけの力を有している。


エルダーズのメンバーは多様だが、ノルウェーとアイルランドの女性初の元大統領が二人登場して女

性のリーダーとしての国を導く困難さを話している。彼女たちは古い価値観と戦ってきたのだ。森元

首相の発言に対する欧米の敏感な反応が納得できた。


エルダーズの提唱者のリチャード・ブランソンのインタビューもあるが「ビジネスの目的は、世の中

に”違い”をもたらすこと」にあるという。富を持つ人々にはたいへんな責任が伴い、獲得した富を社

会に還元していくべきだと語っている。ヴァージン・グループは数百の中小規模の会社の集まりで、

その多様性が全体を強くしていると言う。大企業信仰の強い日本の企業は見習うべきだ。


新たに知ることは喜びに繋がり、非常な興奮を覚える。本書において世界の問題を知り、その問題解

決に動いている人々を知って、勇気を得ることが出来た。


知の英断   ジミー・カーター他、吉成真由美(インタビュー・編)    NHK出版新書

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