地味なひと

地味なひと。その名は紫はなな。俗にいう紫大根の花です。
朝のゴミ出しに行った帰りの道端に咲いていました。
なんとけなげ花なんだろう。
桜とくらべるには気の毒ですが、誰に見られるのでもなく
ただただ勝手に咲いているいるという感じ。
風に運ばれてどこかから飛んできた種が着地したところ、
そこに土があったので、まあ、とりあえず咲いてみました
みたいな。
時には子供にちぎられたり、心無い大人に踏みつけられたり
しながらもしっかりと生き残り、次の世代に命をつないで
いこうとしています。
　FMラジヲの古楽の楽しみという番組で私の大好きな音楽の
先生、鈴木優人さんが或る日「桜草」という曲名のいわれを
話をしていたことがあります。
そこで先生は桜草の花言葉は「青春の喜びと悲しみ」と
言っておられました。
それを聞いてたしかにそれは桜草にはふさわしいなと思った
ものです。
桜といい、桜草といい、立派な名があり誰からも愛される
花がある。かと思えば、誰にも気づかれずにひっそりと道端
に咲くともなく咲いている花(というか雑草)もある。
桜草が「青春の喜びと悲しみ」なら
紫大根の花は「老人の寂しさと悲しみ」とでも言えそう。

　　耐えて咲く　紫はなな　吾が友よ



　　灯ともせば　傾く如し　甕の百合　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　佐藤紅緑

桜が咲きました

暖かい春の日差しに誘われるように
桜が咲き始めました。
遠くからでも一目でわかるその姿。
まるで久しく会ってなかった恋人と
再会したかのようにうれしくなって
花の近くへと駆けよりました。
マイ・チェリー・ブロッサムちゃん!!
顔を近寄せると風に揺れてうれしそうに
恥ずかしそうに顔を染めていました。
薄紅色に。


　　花開き　久しぶりねと　吾れ招く

　　美を極め　短き花の　命こそ

草餅のおいしい季節になりました

　越後のよもぎ餅を前に一句

　　　　　　草餅の　濃きに見蕩れて　食べあぐね
　　　　　　草餅を　焼く妻の手に　皺増えて



　松尾芭蕉も詠んだ菫草
　　　　　　
　　　　　　見つけたり　小さき汝は　菫草



　スノードロップらしい

　　　　　　うなだれて　昔のひとの　面影よ　

蟹の生臭さに閉口

蟹は確かにウマいですね。
おいしい魚介類のなかでもトップ・テンに
間違いなく入ると思う。
先日うちの奥さんが通販でズワイ蟹を取り寄せたのですが
鍋にしたり酢の物にしたりして食べましたが、やっぱり
おいしかった。
それはいいのだが、冷蔵庫に入れておいたところ匂いが
残っていて臭くてたまりませんでした。
或る人が(と言ってもブロ友ですからこれを読んでいるかも)
春毛ガニのことをブログに書いていて、春先の蟹のうまさが
うらやましかったのですが、それは多分、新鮮だからという
ことが一つの理由だと思う。
こちらではいくらがんばっても捕れたての蟹を食べる機会など
ないですから。
そんなわけで、通販から蟹が届いたときは内心「やったね」と
思ったものでした。
ところが残った生臭さには困ったもの。別に二人ともお腹を
こわしたわけではないので鮮度には問題なかったはず。
「脱臭剤買いに行こうよ」と妻にいうと「もう入れてある」
という。
「一度冷蔵庫のものを全部出して掃除したら?」と言った
のですが。
汁がこぼれて付着しているかもしれないので。
うまい話には気をつけなければ、ということです。

春の色

　　　　　　　プリムラの　増えてうれしや　子のごとく



　　　　　　　　
　　　　　　　土筆採り　妻に捧ぐも　喜ばず



　　　　　　　ピンクよね　春の色はと　咲きにけり