りたいあまん

リタイア後どうしたら充実した人生を送れるか。日々模索しています。

雨の日は小説でも読もう

2019年03月04日 | リタイア日記

「文芸春秋三月号」に芥川賞の受賞作が二篇掲載されていた。
そのうち上田岳弘の「ニムロッド」を読みはじめています。
ニムロッドとは小説家志望の男の名前です。
「私」はビットコインを採掘することを仕事にしている男です。
無から価値を生み出すことを採掘とか発掘などと称している
わけですが、果たしてそんなことが可能なのか?
毎月約30万円ほどのもうけがあるという。(次第に減って
いきますが)。

 作者の上田氏は1979生まれ。早稲田大学を卒業して就職する
頃にはちょうど就職氷河期と呼ばれる時代とされている。
この世代は「ロスジェネ世代」ともいわれ、多くのひとが
仕事にありつけることの難しさを体験しているわけです。
またバブル景気が崩壊してゆく社会を目の当たりにしています
から将来を悲観的に考える傾向にあるともされている。一つの
例をあげると結婚に対しても消極的なのが特徴とされています。

 「ニムロッド」という小説は選者の高木のぶ子氏もいうように
絶望の物語である。
本人も受賞者インタビューで「ロスジェネ世代は絶望を書いて
いく」と述べているようにそのことは否定していません。
 平成の終わりに生み出されたこの暗い小説ですが今日のような
いつ止むとも知れない鬱空のもとで読むのには向いているかも
しれません。