【2021年11月8日(月)】
東京に戻った途端に仕事に忙殺されて、ロングツーリング最後の投稿が遅くなった。
今は11月10日の午前1時過ぎだが、この12日間、僕のツーリング・ブログにお付き合いしてくださった方々への感謝とともに、最後のラン、車山高原から東京までの記録もアップしておこうと思う。
12日間で、ほぼ日本を半周したロングツーリングも、これで本当におしまい。
8日の早朝。
ホテルの駐車場に停めておいたオートバイのところに行ってみたら、夜露で全身びっしょりと濡れていた。
シートの上には氷の粒も。
標高の高い高原の夜は、都会の真冬並みに気温が下がる。
荷物を積んでエンジンをかけてみる。
周りの空気がまだ冷たいので、マフラーから吐き出される排気ガスも真っ白。エンジンの調子が悪いわけではない。
昨日、走りそびれたビーナスラインの南半分を走って、下道で四谷三丁目の事務所に向かうことにした。うまくいけば昼過ぎには事務所に着けるだろう。
車山高原スカイパークホテルを出て、まずはビーナスラインの県道40号へ。
県道40号に出たら左折して車山肩駐車場を目指す。ビーナスラインの写真スポットとして最も知られた場所だ。
その後、Uターンして白樺湖の手前を右折。国道152号に入り、滝ノ湯川を渡って県道192号。
そのままJR茅野駅まで南下して国道20号へ。
あとは新宿まで一本道だ。
新宿の繁華街を走る甲州街道はこんな所まで延びている。
僕らが東京で見て、歩いて、車で走っている甲州街道は、その全体のほんの一部にしか過ぎない。そういうことも、実際にオートバイで走ってみると、自分自身の動かしがたい実感として理解できる。
ビーナスライン後半は余計な説明は不要だと思う。
ロングツーリングの最後の日。僕と愛車のBOLTYは、秋の真っ只中にいた。
オートバイで走っていると、時々、ふたつの天気や季節の境目にポンっと入り込むことがある。
たとえば、これは国道20号を新宿に向かう途中の上野原あたりの写真。
僕のオートバイの前方はまるで夏の雲。
後ろを振り返ると、僕が走って来た道の上は秋の空だった。
夏と秋の境目に、僕と愛車のオートバイだけがいる。この不思議な幸福感は、言葉では言い表せない。
事務所には14時半過ぎに着いた。
明日からすぐに全力疾走で仕事に取り掛かるために、溜まっていた郵便物やメールの処理だけして、今日はおしまいだ。
まだ旅の延長にある身体と頭は、仕事という現実にうまく対応できないから。
家に帰って旅装を解き、ちょっとした所用で車で出掛けたらいきなり激しい雨になった。
9日からは全国的に天気が崩れて、その後は大陸の冷たい空気が日本列島に流れ込んで来るので、一気に冬が進むのだという。
今回のロングツーリングで雨に降られたのは、初日の、東京を出るときだけだった。その雨も藤沢あたりで早々に止み、その後は12日間、ずっとツーリング日和の晴天が続いた。
車のワイパー越しに雨の街並みを見ながら、
もしかしたら神様は本当にいるのかもしれない、
と思った。