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つれづれなるままに弁護士(ネクスト法律事務所)

それは、普段なかなか聞けない、弁護士の本音の独り言

怒りの所在④~としまえん問題~

2020-09-12 13:52:18 | としまえん問題

としまえん問題、続く。

 

最近の当ブログを読んでくれた、「としまえん」とはあまり関係のない古い知人から、

「平岩さんって、共産党系の人だったんですね。」

と言われました(爆笑)。

 

え? 共産党系? なんで?

単に大好きだった「としまえん」が閉園して、ハリポタ施設が来ることになって。

寂しくて仕方ないから色々、自分なりに調べたり詳しい方に質問したりしてるうちに、どうもこれまでまったく説明されてこなかった経緯にきな臭い匂いがプンプンしてることに気づいて(この辺の話は9月8日投稿の「としまえん問題とは」を参照されたい)。

それよりなにより「としまえんを広域防災拠点にする」という誰も異を唱えようのない目的が、いつの間にかクニャクニャに骨抜きにされたとしか思えず。

しかも我が家は「としまえん」から徒歩5分。万一、大震災とか起こったら、嫁と子どもたちを引き連れて「としまえん」に避難する以外にない立場だったりする。

そういう立場の私が、

「おーい、東京都さんと練馬区さんと西武さん。

なんだかちょっと、おかしくね?」

と声を上げることのどこが「共産党系」なんだか。

 

なんで、この国はとにかく公権力に文句言おうとすると途端に「政治的で鬱陶しい奴。共産党だ」というレッテル貼りたがるんだろ。

太平洋戦争中の共産党狩りっすか?

何時代に生きてんだか。今21世紀だよ。あと、令和。

ちなみに、共産党に限らず私は自民党も公明党も立憲民主党も都民ファーストも「政党として」支持したことは一度もないし、これからもたぶんそうだ。

てか、このブログ読んでれば分からないか?それくらい。

安倍ちゃんのマスク問題とか、めちゃめちゃ弁護してるじゃん、俺。

 

まぁ、レッテル貼りたい人は貼ってください。

他人が貼ってくださるレッテルとか、どうでもいいし。

 

閑話休題。

 

私の「としまえん問題」に対する立ち位置は上に書いた通りだ。

「としまえん閉園、断固阻止」でもなく、

「としまえんの樹木を守ろう」でもなく、

「プールの存続を」でもない。

そのどれも実現できれば心から「よかったね!」と思うし、そういう目的で頑張っている方々の活動については、それが違法行為だったり私の譲れない信条に抵触しない限り、全力で応援する(現にしてる)。

私自身は、樹木を切り倒され、プールを潰され、巨大なハリポタ施設が建てられたとしても、ちゃんとした手順、ちゃんとした説明、「広域防災拠点」という譲れない目的をちゃんと実現してくれるんなら、「としまえん」を思い出として受け入れることになんの抵抗もない。

樹木を残したり、プールを残したり、スタジオツアーの建物の構造を変えることで現状の計画より広域防災拠点の機能強化につながるんなら、誰がどう考えたってそうすべきだろう。

そういう疑問点が何一つ解決しておらず、事業者さんからも東京都さんや練馬区さんからもしっかりとした説明がなされていない現状では、少なくともハリポタ施設建設工事は止めるべきだと思う。

私の言ってること、おかしいか?

「もう、契約で決まったことですから」とかくだらない反論は却下ね。

あと、

「我々を信じてくれませんか」とか、もはや宗教か!って突っ込みたくなる説得も却下。

だって、目先2年3年の話じゃなくて、この先30年(ハリポタ施設は30年間限定営業なので)の話だよ。

30年後っていったら、高い確率で私はこの世にいない。

子どもたちや孫たちの時代だ。

だから、ちゃんとした「広域防災拠点としての機能を備えた練馬城址公園」を作って次世代に受け継がせることは私たちの世代の義務だ。

「ハリポタ施設造ったら、インバウンドでお金たくさん儲かりますよ」(by おそらく国交省を含む政治家さんたち)

とか、

どーでもいいから。

 

そういう僕らや子どもたちの人生数十年の問題を棚に上げて、たかだか目先30年のインバウンド収入に飛びついた近視眼的な一部の議員とか区長とか知事とかが、

「西武さんと伊藤忠さんとワーナーさんという民間事業者同士の契約でございますから」

とお題目唱えつつ、

「ハリポタ誘致の責任は自分たちにはないけど、ハリポタ誘致の手柄は自分たちのおかげなんだぜぃ(だから貧乏遊園地を世界的なスタジオツアーにしてもらった練馬区民はありがたく思え)」

とドヤ顔して、私の大切な思い出や生活に踏み込んで来るのがたまらないのだ。

あぁ、腹立つ。

 

たまたま今回は、その「権力者たち」が自民党とか都民ファーストという政党に所属している議員や区長、知事だったというだけの話で、別に、彼らの所属政党が共産党だったとしても私の怒りや行動は同じだ。

「時の権力者に歯向かう奴は全部、共産党系。政治的な活動してる奴って胡散臭せー。」とか。

どういう洗脳教育受けてきたんだ?

って思う。

 

練馬区と東京都に対する陳情が一段落したので、次の行動プランを説明しようと思ったけど、長くなったのでそれは次の記事で。


怒りの所在③~としまえん問題~

2020-09-11 19:09:58 | としまえん問題

怒りの所在の3回目は東京都さんと練馬区さんという二つの行政に対する怒りの原因について書こうと思ったけど、私の東京都さんと練馬区さんに対する怒りのレベルは西武さんに対する比じゃない。

絶対、許さん。一生!

以上

で終わりそうなくらい怒りで言葉にならんわ。

なので、東京都さんと練馬区さんに対する怒りの分析は次回に送るとして、今回は、「としまえん問題」を考えたり行動したりするにあたって、少なくとも私が「こうあるべきじゃないかなぁ」といういくつかのルールを自戒の念を込めて公開しておこうと思う。

今後、もし、私がこのルールから外れるようなことがあったら、どなたか優しく、「平岩さん、ちょっと踏み外しかけてますよ」と止めてください。

 

【(私のすこぶる個人的な)としまえん行動規範】

 

1.自分以外の考えの人を否定しない

としまえん問題を考えて行動に移している人たちにはいろんな方がいる。

としまえんの閉園それ自体を撤回させようとしている人。

ハリポタ施設の建設を止めようとしている人。

としまえんプールだけでも存続させようとしている人。

カルーセル・エルドラドを練馬城址公園内に復活させようとしている人。

石神井川沿いの桜を守ろうとしている人。

あじさい園や昆虫館の周囲の樹木を保存しようとしている人。

目指すところは色々だ。

でも、みんな、「としまえんが大好きだった」という一点では同じ仲間だ。

目指すゴールが違うだけの仲間の考えや活動を否定したりしないようにしよう。

「としまえん」がどんなお客も笑って迎えてくれたように。

 

2.誰かのことを悪く言わない

としまえんには、

「絶対に他人を悪く言わない。自虐ネタに走る場面はあっても、広告を見た人が不快になるようなデザインは、決して採り入れない。」

という鉄の掟があった↓

https://withnews.jp/article/f0200902002qq000000000000000W08u10201qq000021732A

だから、「としまえん」閉園に異議を唱えることはあっても他人を悪く言うのはやめよう。

私が「としまえん」閉園に関わる関係者のことを「さん」付けで呼び続けているのもそれが理由だ。

たとえ「としまえん」のことを思ってのことでも、「西武の野郎」とか「東京都のクソ」などと相手のことを呼んだら、やっぱり「としまえん」は悲しむんじゃないかと思う。

94年間、一度も他人の悪口を言わなかった「としまえん」の教えを守り抜こう。

 

3.温かく迎え、笑って「またね」と言おう

いろんな活動をしていればいろんな仲間が新しく参加してきてくれるだろう。

そしていいろんな仲間がいろんな事情で活動から離れて行くだろう。

そういうときでも新しい仲間を温かく迎えよう。

そして、離れて行く仲間には笑顔で「またね」といおう。

「としまえん」はどんなときでも私と子どもを「いらっしゃい!」「こんにちわ!」と迎えてくれた。

そして帰るときは「さよなら」ではなく「またきてね」と言ってくれた。



「としまえん」にして貰って嬉しかったことを、みんなにお返ししよう。

 

4.余力を残すことなく最後まで頑張ろう

「としまえん」は閉園が決まった後も、一度として僕らに悲しい姿を見せなかった。

最後の最後。8月31日に正門を閉めるその瞬間まで笑顔だった。

そして僕らを笑顔にしようと最後の瞬間まで頑張っていた。

「としまえん」最後の広告は燃え尽きて真っ白な灰になった「あしたのジョー」だった。



 

それでも「としまえん」の最後の言葉は、「疲れた」でも「悔しい」でもなく「Thanks.」(ありがと)だった。

勝負が見えていても、望んだ結果が出なくても。最後の最後まで余力を残すことなく頑張り抜く。

今朝のTwitterに投稿したように、人間には2種類しかいない。

「どうせダメだからと何もしない人」と「結果は関係ない。今できることを精一杯やる人」

「としまえん」は閉園という結果が分かってからも、最後まで手を抜かず精一杯、僕らを迎えてくれた。

「どうせダメだから何もしない」のは、「どうせ死ぬから生きるのやめた」というのと同じだ。

「としまえん」が教えてくれたことを受け継いでいこう。

 


怒りの所在②~としまえん問題~

2020-09-10 17:58:05 | としまえん問題

今回は西武鉄道㈱さん(以下「西武さん」)に対して、なんでこんなに腹が立つのかを考えてみる。

 

「としまえん」の閉園は経営不振が原因ではないと一昨日のブログに書いた。

ただしかし。

あまりに「としまえん遊園地」から得られる利益が少なすぎた、という事情はあるだろう↓

https://maonline.jp/articles/toshimaen_close_20200207

 

この記事によれば、「としまえん」は2019年の入場者数は増加に転じたものの、業績は52万7000円の黒字に過ぎなかった。

その前年は22万1000円の赤字。前々年は2万4000円の黒字。

豊島園駅前にあったマクドナルドのバイト高校生だってもっと稼いでたろう。

 

ギリギリの綱渡り経営。

削れる出費はすべて削って、血の滲むような経営努力をしてなお、黒字は52万7000円。

しかも、たくさんの子どもたちに夢を与え続けなければならない遊園地。

事故だけは絶対に起こせない。

アトラクションの保守点検。

次々に老朽化してくるアトラクションの入れ替え。

削れる部分はほとんどない。

そんな状態で10年20年と「としまえん」を見捨てずに遊園地であり続けさせてくれた西武さんに、僕らはずっと感謝していた。

ちなみに「としまえん」の敷地価格は上の記事によれば828億円。

銀行に預けとけば、年利0.01%でも828万円の利息だ。

それが現実の収益は52万7000円。実に0.00063%。

 

株式会社の目的は第一に営利追及だ。

収益を上げられない会社は株主に見捨てられ、ライバル会社に淘汰される。

828億円の資産で52万7000円しか生み出さない遊園地。

誰が西武さんの社長でも閉園を決めるだろう。

だから、そこまではいい。

ましてや「としまえん」は東京都によって広域防災拠点として活用することも決まっていた。

万一の時には周辺住民のみならず、東京都民の命を守る最後の砦だ。

閉園は仕方ない。

実際、私に手紙を送って来てくれる方々やTwitter上でのコメントでも、「としまえん」の閉園それ自体を真っ向から否定し、反対している人はおそらく少数派だ。

そこまで理解できるのに何故、僕らは西武さんにこうも腹が立つのか。

 

それは西武さんが「営利追及」という会社の目的だけを見て、もう一つの会社の存在意義、「社会の公器」としての役割を「としまえん」の最後に放棄したからだ。

「としまえん」の閉園、ワーナーさんへの30年間の土地賃貸、ハリポタ施設の建設。

こうした巨大プロジェクトがまさか今年6月に急転直下で決まったとは言わさない。

事前交渉があり、契約内容の修正があり、プランの変更があり、おそらく2~3年前から「ハリポタ施設建設」の交渉は始まっていたはずだ。

「としまえん閉園」を前提として。

 

一昨日のブログにも書いたが、こうしたプロジェクトの交渉では秘密厳守は至上命題。

ほんの少しの情報が漏れただけで頓挫した交渉なんて腐るほどある。

だから西武さんが、「ハリポタ施設」とか「ワーナーさんへの土地賃貸」とかを口が裂けても言わなかったのは仕方ない。

 

でもさ。

「としまえんを閉園すること」だけはもっと早く公表できたでしょ?

そうすることで僕らは「としまえん」に名残を惜しむ時間を手にできた。

「としまえん」をなんとか残せないかと願う人たちも最後の一瞬まで努力する時間を手にできた。

みんなが、ゆっくりゆっくりお別れの準備をすることができた。

たとえば「としまえんをみんなで送る委員会」を立ち上げて。

「としまえん」を愛してきた人たちの中から抽選で委員を募って。

みんなが最後の日に笑顔とくしゃくしゃの涙とありがとうで「としまえん」を見送る企画を考えてもらうことだってできた。

撤去するアトラクションの行く先をみんなで悩んで考えて探すこともできた。

アトラクションの解体に立ち会って、ひとつずつひとつずつお別れをいうこともできた。

 

別れることが辛いんじゃない。

別れを思い出に変える機会を与えられなかったことが辛いんだ

 

西武さんや豊島園さんは、「地域住民と一緒に歩んで」という。

「地域に根付いた、地域に愛される遊園地に」という。

でも、地域住民と一緒に歩いて、地域に愛されていたのは西武さんでも豊島園さんでもなく、「としまえん」が閉園してなお、炎天下、近所のゴミ拾いを続けてくれているスタッフさんたちだ。



 

今回、西武さんが「としまえん閉園」にあたってしたことは、顕微鏡で見ても「地域住民と一緒に歩んで」なんかいなかったし「地域に根付いて」もいなかった。

地域住民だけじゃなく。

「としまえん」が大好きだった子どもたち。

休日に遠方から家族を車に乗せてやって来ていたお父さんたち。

朝早起きして家族のためにお弁当を作っていたお母さんたち。

進学で、就職で、結婚で、「としまえん」を遠く離れ、それでも故郷の「としまえん」の思い出を大切にして生きている人たち。

西武さんは、そういうすべての人たちの心を顧(かえり)みなかった。

 

ワーナーさんの名前も、ハリポタ施設の名前も出す必要はなかった。

ただ、

「ごめんね。としまえん、もう続けられない。

でも、最後はみんなで知恵を絞って、94年分の思い出を詰めて、

一生忘れられない最後の1年にしよう。

そして、最後はみんな笑顔で手を振ってお別れしよう。」

ということはできた。

 

今年の2月。

ハリポタ施設の話が一斉にマスコミで報じられた時、情報源は誰だ?という騒ぎになった。

ハリポタ施設の話をマスコミにリークしたのは、西武さんとワーナーさんの交渉が進まないのに業を煮やした東京都の関係者ではないか、とも言われたけど。

もしかしたら、地域の住民も、これまで「としまえん」を愛し続けてくれた人たちも、すべてを切り捨てて、ワーナーさんとの契約だけを見続けていた上層部を許せなかった、最後の瞬間までお客様に寄り添いたいと願った西武さん内部の人間だったのかもしれない。

 

ワーナーさんに貸し出す土地の地代がいくらか知らない。そんなことに興味もない。

遊休資産を有効活用した社長や役員は、きっとたくさんの株主や経済評論家から拍手を送られるだろう。

ハリポタ施設誘致を仕掛けた人は、この先マスコミにもてはやされて華やかな舞台に立ち続けるだろう。

けれど僕らは「地域住民と一緒」「地域に根付いた」「地域に愛される」という言葉がいかに空虚だったかを見てしまった。「としまえん」閉園という最悪のタイミングで。

そういう会社から土地を借りてハリポタ施設を作るワーナーさんが、どんなに目映(まばゆ)い青写真を見せてくれても、どれほど「地域の皆様のことを考えます」と繰り返しても、その言葉を信じることはもう、できない。

 

「としまえん」が大好きだった人たちを切り捨ててお金を取った西武さん。

何度も言うけど、お金に走ったことを否定はしない。会社なら当然の決断だ。

でも。

僕らのとしまえん愛を見くびったこと。

まるで老いた社員をリストラするように僕らを切り捨てたこと。

 

いつか必ず、後悔するぞ。

 


怒りの所在①~としまえん問題~

2020-09-09 18:25:00 | としまえん問題

前回、私なりの視点から「としまえん問題」について書いた。

あくまでも現状、私が入手可能だった情報にのみ依拠して書いた記事なので、事実誤認があれば是非、ご指摘いただきたい。

 

さて。このブログは私の落書き日記帳みたいなもので、別に読んでワクワクするような記事はないし、抱腹絶倒のネタで溢れているわけでもない。

気ままにつらつら書き綴っているだけの頗(すこぶ)る個人的なブログなので、根強い固定ファンはいらっしゃるものの、1日あたりの閲覧者(UU)は平均して150人程度、アクセス数(PV)200PVといったところだ。

ところが前回の「としまえん問題とは」をアップした9月8日。

閲覧数は4927人、アクセス数は7647PVに跳ね上がった↓





普段の30倍以上の人がこのブログを訪れ、「としまえん問題とは」を読んでくれた計算になる。

しかも、記事をアップしたのは14時25分だからわずか半日足らずで、だ。

 

あんまり気にしてないので記録を取っていないが、たぶん、ブログ開設以来の記録だろうと思う。

地方在住の方や、東京在住でも練馬やその近辺にお住まいでない方にはあまり直接的な関係もない、「としまえん」という古い遊園地の閉園の話題を読むために、半日で5000人近い人が私のブログに辿り着いてくれた。

つまりは、それだけ「としまえん問題」は世間の耳目を集めているにも関わらず、情報が閉ざされているということなんだろう。

頂いたコメントやメールの感想のほとんどは私の怒りに共感し、応援してくれているものばかりだ。

ただ、数が多すぎて一つ一つにお返事をお送りできていないのが申し訳ない。

 

さて。

私は天邪鬼なので、自分の怒りにみんなが共感してくれればくれるほど、

「そもそも俺を含めてみんな『としまえん閉園』の何にこんなに怒ってんだ?」

と、ちょっとだけクールダウンしてきたというか、興味の矛先が変わってきた。

そう。

俺たち、なんでこんなに腹が立つんだ?

以下、私の勝手な自己分析なので異論のある方も多いと思うが、まぁ、聞いて欲しい。

 

現在、としまえんは日に日にアトラクションの解体が進んでいる。

とうとう今日は「としまえん」の看板アトラクションであり、象徴でもあったフライングパイレーツの解体が始まったらしい。

胸が破れそうなほど苦しい。

でも「としまえん」のアトラクションや建物は株式会社豊島園さん(正確に言えばその大株主の西武鉄道株式会社さん)の所有物だ。

僕らのものは石ころひとつ、葉っぱ一枚ない。

法律論でいえば、㈱豊島園さん(=西武鉄道㈱さん)が自分の敷地の中にある自分の所有物を解体しようが捨てようが自由なはずで、僕らには口を挟む権利はない。

 

でもさ。

10年20年。人によっては、もしかしたら半世紀近く。

ずーっと「としまえん」と一緒に歩んで、成長して、見守ってきたんだ。

いつかのブログにも書いたけど、

としまえんは少なくとも私にとっては家族のような存在だ。

 

たとえ話をしよう。

子連れの女性と結婚した。女性も魅力的だが、子どもはその100倍可愛い。

しかし、事情があってその子どもと私は養子縁組をしなかったので、法律上、私と子どもの間に親子関係はない。赤の他人だ。

でも、一緒の家で暮らして、泣いたり、笑ったり、怒ったり。

喧嘩したり仲直りしたり。

何度も抱きしめたり、励ましたり、励まされたり。

同じ風景を見て、同じ風の匂いを嗅いで、20年間一緒に生きてきた。

ある日、その子どもが交通事故に遭って脳死状態になった。

医者が言う。

「このままほっといてもこの子は死ぬので、まだ心臓が動いて生きてるうちに腎臓とか肝臓とか移植できる臓器を取り出してしまいましょう。」

私が見ている前でどんどん子どもの身体がバラバラにされて、どんどん大切なものが身体の中から運び出されてく。

でも医者は言う。

「あなたはこの子の法律上の父親ではないので、この子の臓器摘出については何の発言権もありません。」

 

そうかもしれないけど。

でも、家族じゃん。

ずーっと一緒に歩いてきた家族じゃん。

「この子どもはもうだめだから。どうせ死ぬから」と一方的に宣告されて、子どもが身体をバラバラにされていくのを見て、自分の身体を切り刻まれるが如く心を痛めるのに

法律上の権利関係とかどーでもいいから。

 

ある日いきなり、「もうだめです」と通告されて。

何とか助けられないかと悩んで、奔走して、足掻(あが)く時間すら与えられずに。

お別れも満足に言えないうちに門を閉ざされて。

「あなたには何の権利もないから解体に口出しはできません。

これは解体ではなく、必要な部品を取り出してるだけです」

 

これが今の「としまえん」と僕らの関係だ。

毎日、アトラクションの解体の様子をTwitterにアップしてくれている人は、そうでもしないと心が張り裂けそうになるからだろう。

この心の痛みは、「としまえん」に脳死宣告をして臓器摘出を始めた西武鉄道㈱さんと東京都さんに対する「やり場のない怒り」として迸(ほとばし)るんだ。

長くなるので、西武鉄道㈱さんと東京都さんに対する怒りの原因については次回、書く。

 

※【東京都と練馬区に対する陳情書への署名は現在も募集中です。】

練馬区宛の署名は9月15日まで、東京都宛ての署名は10月28日まで、私の事務所に到着したものを私が練馬区と東京都に持ち込みます。

署名用紙は全国のセブンイレブンのコピー機でプリントアウトできます。

練馬区用の署名用紙を印刷するためにコピー機に入力する予約番号は34977591

東京都用は72063360

どちらも9月14日午後11時59分まで印刷できます。

送付先は〒160-0017 東京都新宿区左門町6-10 渋谷ビル4階 ネクスト法律事務所 弁護士平岩宛

 

陳情書を東京都や練馬区に送っても、署名をしても、何も変わらないかもしれない。

でも、自分の家族を殺されて、「どうせ何も変わらないでしょ」と何もしないでいるのは、たぶん、心が耐えられない。

変わるとか変わらないとかではなく。

工事を止められるとかどうせダメだとかではなく。

「としまえん」が復活するとか復活しないとかでもなく。

理不尽な世界に対する自分の気持ちを時代に刻み付けておくことは大切なことだと、僕は思う。


としまえん問題とは

2020-09-08 14:25:45 | としまえん問題

「としまえん」は2020年8月31日に94年の歴史に幕を閉じた。

けれど、その幕引きまでの過程に納得のいかない人たちが、今、あちこちで声を上げ続けている。

SNS上では「としまえん」「としまえんロス」といったタグが溢れかえっている。

私もその一人だ。

 

特に練馬区や東京都の野党系議員の方がご自身のブログなどで「としまえん問題」をわかりやすく整理してくださっているので(たとえば、池尻成二議員やとや英津子議員など)、詳しく知りたい方はそちらのブログをお読みいただくとして、ざっくり、私が納得いかない理由を以下にまとめてみた。少し長くなるが、辛抱してお付き合い願いたい。

(1)「としまえん」を中心とした一帯は、1957(昭和32)年、練馬城址公園として都市計画公園指定を受けた。

ただ、お役所仕事の典型で、その後ずーっと、公園化を進める動きはなかった。

(2)事態が急に動き出したのは東日本大震災のあった2011(平成23)年。

大規模震災に対する広域防災拠点の整備の重要性が取りざたされるようになり、同年12月、東京都は「都市計画公園・緑地の整備方針」で2020(令和2)年までに事業認可をめざす優先整備区域にとしまえんを中心とした一帯を指定した。

(3)その後の整備計画の進捗状況は前記とや議員のブログに詳しいが、それによれば、東京都は、2016(平成28)年度に整備計画案検討のための基本計画案の取りまとめを目的として、翌2017(平成29)年度には同年5月の東京都公園審議会答申を踏まえた民間活力の導入や防災機能の強化等の検証と前年の委託調査の修正を目的として、それぞれ委託調査を行った。

(4)ところで。

2016(平成28)年度の委託調査を踏まえて作られた計画では、(とや議員が入手された記録にはスミ塗り部分が多く詳細までは分からなかったようだが)「子どもから大人まで、自然とともに遊び、自然のなかでくつろぐ公園」という基本理念がかかげられ、「直接土に触れ、農業体験ができる『畑のエリア』、都心になかなかないアップダウンやせせらぎのある小道での散策が楽しめる『雑木林のエリア』、地形や樹木を生かした冒険的な遊びも幼児が遊べる広場もある、子どもたちにとって健やかな成長の促進にもつながる『森の冒険エリア』など、子どもから大人まで、都心ではなかなか味わえない豊かな体験ができる多彩で総合的なプラン」が示されていた(とや議員のブログより引用させていただきました)。

しかも、この中には「カルーセル・エルドラド」と思われる「としまえん」のシンボルの存続・設置まで盛り込まれていたという。

(5)ところが。

翌2017(平成29)年度の報告書では、何故か、「これまでの計画は参考にする程度でよい」として前年までの計画はほとんど白紙に戻された。

とや議員が指摘されている部分を借用すると、前年までの計画にあった「畑のエリア」「雑木林のエリア」は完全消失。他方、「にぎわいゾーン」とされるエリアは「広場エリア4ha」「森と遊園地エリア7ha」に拡大された。前年までの計画で同様の性格を持つ「コミュニティゾーン」の広さは0.7ha。

簡単に言うと、「民間事業者が参入しやすいように対象エリアが一気に16倍近くに広げられ、計画が抜本的に書き変えられた」のだ。

ちなみにこの年の選挙で小池都知事が率いる都民ファーストの会は都議会第一党に躍進した。「ハリポタ施設誘致は自分の手柄」と一時、ツィートしていたのは都民ファーストの都議会議員だ。

(6)そして、今年2月。関係者の誰が漏らしたのか、「としまえんは閉園し、跡地にハリーポッターの施設が作られる!」と一斉にマスコミが報じた。

当初は東京都や西武の関係者は報道を肯定も否定もせず曖昧な態度で逃げていたが、実際は水面下で東京都、練馬区、伊藤忠商事、西武鉄道、ワーナープラザーズジャパンの5社協議が進められていた。

そして、今年6月12日。練馬城址公園とハリーポッター・スタジオツアー施設等に関する覚書が締結され、同時に「今年8月31日をもって、としまえんは閉園する」と発表された。

閉園までわずか2ヶ月半。

しかも新型コロナ禍で人が外出を控え、豊島園も臨時休園中の発表だった(としまえんの営業再開は6月15日)。

(7)しかし、この覚書やハリーポッター・スタジオツアー施設等の整備・建設計画は、当初の「練馬城址公園を広域防災拠点に」という目的からはかけ離れた、としまえん跡地の半分近くを30年間、ハリーポッター・スタジオツアー施設等のために貸し出す、というものだ。

要するに、「としまえん跡地を含む練馬城址公園を『完全に』広域防災拠点にする」という計画は更に30年先まで先送りされた。今後30年以内に練馬区に震度6弱以下の地震が来る可能性が53.1%もあるにもかかわらず(https://www.teguchi.info/disaster-control/earthquake-hazard-map/chart/kanoto-koshin/tokyo/#i1)、だ。

 

東京都議会や練馬区議会の議員、中でもハリーポッター・スタジオツアー施設等の誘致に尽力していたと思われる自民党系、都民ファースト系の議員は口をそろえて、「としまえん閉園は10年前から決まっていた」という。

一部の芸能人は、「お前らが遊びにいかないから、経営不振でとしまえんは閉園せざるを得なかったんだ」という。

せんぶ詭弁であり、嘘だ。

百歩譲っても正確ではない。

としまえんの閉園問題が経営不振によるものでないことは、つるの剛士さんの番組でインタビューに答えたとしまえんのスタッフが明言しているし、直近の決算公告を見てもわかる(https://catr.jp/settlements/f923b/116717)。

10年前の2011(平成23)年12月に決められたのは、上記(2)のとおり、大規模震災に対する広域防災拠点整備のために、「2020(令和2)年までに事業認可をめざす優先整備区域にとしまえんを中心とした一帯を指定した」だけだ。

少なくとも、その後の2度にわたる委託調査や計画の相次ぐ修正・変更からすれば、2011年の時点で「としまえんの完全閉園」という現在のような結果だけが確定項として「決められていた」とはおよそ思えない。

区民・都民の共通の財産であるとしまえん遊園地を閉園するのか、一部存続させるのか、練馬城址公園の中にどのように取り込んで、どのような形で存続させ、後世に伝えるかは何も決まっていなかったはずだ。

だからこそ、上記(4)(5)で述べたように、計画自体も簡単に変更されたのだ。

特に上記(5)。

前年の計画を全面変更して「民間事業者が参入しやすいように計画が抜本的に書き変えられた」のは、このころからワーナーブラザーズジャパンとの間でハリーポッター・スタジオツアー施設等の誘致の話が進行し始めていたことを伺(うかが)わせる。

しかし、それらのことは練馬区民にも東京都民にも、いや、「としまえん」を愛している何万人、何十万人もの利用者にも一言も説明されなかった。

どのような建物を、どれだけの期間建てるのかすら、教えられなかった。

 

なるほど、企業誘致は民間企業の経営問題とはいえ、巨額の利権や許認可が絡めば大きな政治問題でもある。

だから軽々に情報は開示できない、という「大人の事情」も分かる。

しかし、だからといって、「広域防災拠点として『としまえん跡地』を練馬城址公園として整備する」という基本目的・理念が骨抜きにされていいはずがない。

ことは「としまえんを愛する者」だけの問題ではなく、としまえん周辺に住んでおり、震災発生時に「練馬城址公園に生きる活路を求めざるを得ない全住民の生存権」の問題だからだ。

何度でも言う。

「としまえん」の完全閉園は10年前から決まっており、既定路線で今年8月31日に閉園しただけだ、という政治家の説明は正しくない。

 

広域防災拠点として「としまえん」を利用する、あるいはやむなく閉園するのは仕方ない。

しかし、「としまえん」を「としまえん」たらしめていたもの。

94年にわたって人々から愛され続けていた「としまえん」のレガシー。

それらを生かす形で練馬城址公園を整備することは可能だった。

「ハリーポッター・スタジオツアー」は全く必要なかった。

いや、むしろ、30年間にわたってとしまえん跡地の半分近くを占有する、という事実からすれば「広域防災拠点の整備」に「ハリーポッター・スタジオツアー」は有害でしかない。

 

もう一度言う。

2017(平成29)年。僕らが知らないところで、僕らの命や誇りや思い出や大切なものを軽んじて踏みにじって、誰かが、何かを決めた。

そうとしか思えない。

 

金を儲けるな、とは言わない。

私だって、「もっとお金が欲しい、儲けたい」といつも思っている俗物だ。

でも、人が大切にしている思い出や誇りに唾を吐きかけてまでお金を儲けようとは思わない。

 

言っとくけどな、俺はしつこいぞ。