あの信号の向こうまで君の声がする。
ここで震えるお前にはコタツで応えよう。
音楽はまるで魔法のようだったし、魔法はまるで終わりを告げず、途切れることもない・・・・
のら犬カフェは人だかり！
真冬のさなかに花ざかり！
トップバッターは灰。
荒れ放題の草むらのように歌った。
俺には永遠のことのように感じた。
が、瞬く間の出来事だったようだ。
どうやらね。
さてあれ、草むらの中をとっ散らかりながら突進したのさ。スーマーのバンジョーも一緒にだよ。
ギターはつんのめったり、出遅れたりした。けど、かまいやしない。
のら犬のベランダは世界へとダイレクトに繋がっていった。
灰のら歌リスト
ここはどこでもない／震源地まで／やりたいだけ／脳ぶれーき／悪魔とバンジョー(歌:スーマー)／クレージィラヴ
２番バッターは夢野カブ！
トッ散らかった空気が渦を巻き始める。
のら犬ベランダのコタツ布団では八王子の和尚が満面笑顔でソロバンを弾く！
まるでギターのように。
コバヤンはさっきからずっとマラカスを振りっぱなしだ！
『赤信号の向こうから、もうカブちゃんの歌が聞こえてきたわ！』
そう叫びながら女が息を切らせて階段を駆け上がってきた。
もちろんスーマーのバンジョーは抜かりない！
カブちゃんの追悼３連発！無茶苦茶よかった！
それはスポットライトではない(浅川マキ)
あの娘とぼく(ＲＣサクセション)
心のいちばん尖ったところ(華村灰太郎)
３番バッター！
本日のラストバッター！
コバヤン！from京都
いつの間にやら店内は天国！
タンバリンやら、マラカスやら、手拍子やら、のら犬マスターの合いの手シャウトやら。
そしてもちろん、悪魔のバンジョーは鳴り続ける。
気がつくと空気のようにそこにあって、空気を震わせる。
したたかに、しとやかに、一定の間隔をキープする。
空間にリズムが飛び交ったら、コバヤンが伸び伸びと泳ぐようにギターを鳴らし歌ってる。
出鱈目とは無縁です。
いつの間にやら誰もが真剣です。
必要な人が必要なだけの音数でコバヤンを惹き立てる。
極少ない音数で。
そんなこんなが絶妙にカッチリ噛み合って・・・・
えもいわれぬ極上の音楽が鳴り響いていたのです。
それを浴びながら灰はベランダコタツ布団の中。
一杯やる熱燗の旨いこと旨いこと！
「一本～！」「もう一本～～！」
テーブルの上には、空の徳利が並びます。
酒場音楽の醍醐味。堪能！
いやゃ、なんとも素敵なライヴだったなあ。
と、思いきや・・・
まさか！
驚異の４番打者の登場だあ～！？
片山広明！
世界のテナー・サックス奏者。
ＲＣサクセションを支えた男。
忌野清志郎の後ろで、ある時は真横で、３０年間吹きまくった男！
セクシー！
色っぽい！
いきなり現れて、おもむろにブロウしたサックスの音色ったら！
なんと艶やかなことよ。
ビビったね！
ひびいたね！
うっかり、うっとり！
金縛りだね。
至近距離で鼓膜を揺らす！
甘くて掠れて粒々で深い音。
生音！
贅沢すぎるぞ！
「目が合ったぁ！
俺がＦのコードを鳴らした瞬間、あの片山さんと目が合ったんや！」
コバヤンがあんなにハシャぐの初めて見たぞ。
【１月３１日 ＠高円寺 のら犬カフェ】
