松阪いさおと中央区を元気にする会

中央区民をはじめ広く大阪市民の皆様の意見をお聞きして大阪市政に提言する政治団体です

里親ってなあに?

2021年05月06日 | 市民の方々との対話
私の住む中央区の広報誌“広報ちゅうおう”には、5月は児童福祉月間として「さとおやってなあに??」という特集を組んでいました。
この記事によりますと、「大阪市にはさまざまな事情により家庭で暮らせない子どもたちが約1200人います」とあります。
さまざま事情とは、育てる親がいない場合、経済的な理由などから家庭で育てられない場合、さらに親の虐待などで保護されている場合などですが、そんな境遇にある子どもたちは、いわゆる「児童養護施設」という児童福祉施設で育てられます。
この記事は、そんな子どもたちを「家庭の一員として迎え入れ、暖かい愛情と正しい理解を持って育てていく」ために里親として養育して欲しいと伝えています。

※広報ちゅうおう https://www.city.osaka.lg.jp/chuo/page/0000015606.html

1里親ってなあに?
自分の子どもではない子どもを自分の家族として育てることを里親と言いますが、里親にもいくつかのタイプがあって、週末などの短期間施設の子どもを家で預かって育てる「週末里親」、数週間から数年間育てる「養育里親」、養子縁組をして法律的にも家族として育てる「養子縁組里親」などがあって里親となる家庭の希望や養育できる能力に応じて選択できるようになっています。

2なぜ里親が必要な?
子どもが育っていく環境というのは家庭がベストだと思います。児童養護施設で育った子どもたちは、社会人として生きていくためのさまざまなスキルが身つかないままいきなり社会人として巣立っていくので、社会の荒波に揉まれ生きづらさを感じる子どもが多いように感じます。家庭で養育された子どもでもそういったスキルを身につけないまま社会人になるケースもあると思いますが、社会人になってからも挫折した時に家庭があれば心のケアもしてもらえます。しかし施設で育った子どもたちには心のケアをしてもらえる家庭がないので厳しい人生を送ることになると思います。里親に育てられている子どもであれば社会人としての基本的なスキルを身につけることができるばかりでなく、社会人となってからもおりにふれて心のケアをしてもらえる環境で頑張れると思うのです。

3里親はボランティアなの?
大阪市の里親募集に関するリーフレットによると、養育里親の場合は里親手当という制度があって、生活費や医療費(無料)などが支給されます。
養子縁組した場合は法律的な家族となり里親に扶養義務が発生しますので、この手当は利用できませんが、養育里親は有償のボランティアとなります。

※里親制度リーフレットhttps://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/cmsfiles/contents/0000043/43968/hutatuori-uti.pdf

4海外の事情はどうなの?
厚生労働省によれば、アメリカでは家庭で養育できない子どものうち77%が里親で育てられており、ドイツでも半数近くの子どもたちが里親で養育されています。香港では約80%、韓国でも43%と高い比率で里親に養育されています。日本では12%にとどまっており、児童福祉の分野においては海外の方が格段に進んでいると思います。
※厚生労働省社会的養護の課題と将来像の実現に向けて(P11)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/dl/yougo_genjou_02.pdf

5里親を増やすにはどうしたら?
養育里親が有償のボランティアであることを知ってもらうことも大事だと思います。あまりそれだけが先行するとお金目当てに里親になる人が出てくるかも知れないので慎重にしなければいけませんが、私は職業としての里親制度というものがもっと充実すれば良いと思っています。
大阪市にも“ファミリホーム”という制度があって、ある一定の広さの家があれば5人から6人までの子どもを養育里親として養育できる制度です。
費用は児童福祉施設に対する国からの措置費と同じ基準で支給されます。
さまざまなかたちの里親制度があることを広く知らせれば日本でも里親になっていただける方が増えるのではないでしょうか?

※大阪市小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)実施要綱https://www.city.osaka.lg.jp/kodomo/page/0000207397.html

6親子ってなんだろう?
不妊治療をあきらめて養子縁組して子どもを迎え入れたある女優さんの体験談を読んだことがあります。「産んでくれたお母さんも育ててくれたお母さんもどちらも本当のお母さん」と書かれていました。縁あって養子縁組したお子さんを本当に愛情を込めて育てておられる様子が綴られていて感動したのですが、子どもを育てるのためには親の愛情が不可欠です。血のつながりがあろうが里親であろうが愛情を持って育てている親のことを本当の「お父さん」「お母さん」と呼ぶのだと思います。
※「ちいさな大きなたからもの」瀬名じゅん、千田真司 方丈社

出生率が下がっている日本です。子どもの数も将来の日本の繁栄を考えていくためには大事である一方、血が繋がっているかどうかに関係なく親がどれだけ子どもに愛情を注ぐことができるかどうかが親子関係の絆を深めていく力になるのだと感じました。