ニル・ララ

Nil Lara

　たまたまテレビでYoussou N'dour の特集をやっていたので、久しぶりに「SET」が聴きたくなりＣＤ棚を物色。上級者向けパズルのように整理の悪い最悪の棚をイライラしながら探していたところ、片隅で埃を被って佇んでいたのがこのＣＤ。「おお、そういえば！」って感じで「SET」そっちのけで聴いてみたのだが、やっぱりコレは傑作だぎゃ～ってつくづく再認識してしまった。

　１０年くらい前の作品で、当時は情報に疎かったので話題になっていたかどうかは分からないのだが、ミスチルが絶賛って記事を読んだことがあり、まあ、それなりに盛り上がったのかもしない。

　音的にはジャック・ジョンソンにラテンフレーバーを加え、ヴォーカルを魅力的にし、深みを増し、メロディを良くし、いいバラードを備え、全体的に格好よくした感じか。なんか、逆にジャック・ジョンソンを卑下してるようにも感じるかもしれないが、そんなつもりは全く無く、それどころか結構好きである。

　ニル・ララなんてワケのわからない名前だが、キューバンアメリカンなのだそうだ。このアルバムについては、パーカッションに頼らなくともラテンというものを表現したい、という意図をもって作ったらしいが、それは見事に成功しており、特にM-②などはまさにアコースティックな「SET」ともいうべき傑作である。

　才能がドボドボ溢れるようなこんな傑作をモノにしながら、その後パッタリと消えてしまったニル・ララ。ところが、なんと、去年の夏ごろにひっそりと2ndをリリースしていたことが判明。まるで話題になってなかった上に、ジャケットの写真もなんとなく冴えない風貌。ちょっと怖い気もするが、とりあえず買っとこ。