洋楽な日々

洋楽を中心とした音楽の紹介。海外サッカー、格闘技等の雑文も。

ビューティフルサウス

2004-12-28 | CD
Gold Diggas, Head Nodders, Pholk Songs / The Beautiful South

 大掃除をサボりつつコソコソ書いている、恐らく今年最後となる一品はビューティフルサウスのカバーアルバム。抜群のポップセンスで英国では国民的バンドでありながら日本ではほとんど無視されており、このアルバムも現時点では日本盤も出ていない。輸入盤もなんとなくコソコソ売られていたような佇まいであった(そんなワケないか)。

 中世的な男性ヴォーカル2人に女性ヴォーカルという特殊な構成で、毒のある詩を軽やかなブリティッシュポップで包み込むビューティフルサウス。元々はハウスマーティンズというチャカチャカバンドが分裂し、そのポップネスを受け継いだ本流の方がこのバンドである。ちなみに支流はあのノーマン・クック。

 個人的にはビューティフルサウスって最初の3枚とそれ以降ではちょっと違ったモノであるような気がしている。4枚目からはなんか随分と落ち着いてしまったというか、小慣れた感じというか、いつでも作れる無難な80点がアルバムの落とし所になってるような・・・。ブリティッシュポップベースからブルーアイドソウルテイスト強化への転換によってそんなイメージになったと思うが、まあ、どうあれ魅力が薄れたって思いが強かった。とは言うものの全部買ってるんだけど。。。

 で、このカバーアルバムだが、基本的には今の彼らの音作りのスタイル(当然だが)なのだが非常に素晴らしく、近作の中では最高作である。取り上げてるアーティストは、ELO、ルーファス・ウェンライト、ラモーンズ、ラッシュ、ウィリー・ネルソン、等々。しかもルーファスの曲は一番好きなやつだ。ほとんどの原曲を知らないので気が引けるが、見事に自分たちの色に昇華させているって感じだ。特に1曲目などは最初の10秒でビューティフルサウス意外の何者でもない音が鳴らされる。全体的にも彼ら独自のおっとり感(音的な)がいい具合に作用していて実に聴き心地が良い。ライブでもだらしない格好で実にいい加減そうな佇まいだったポール・ヒートンならではのユルな味わい。遊び心を強く感じさせる傑作である。また各曲毎にイメージした店のイラストが載っており、この辺もまたオモシロイ。

 
 次は正月明けになります(多分)。
 では皆様、よいお年を!!! 

 

パーニス・ブラザース

2004-12-25 | CD
Pernice Brothers / Yours Mine & Ours

昨日がクリスマスイブだったので今日はクリスマスである。ついでに言うと一週間後はもう来年である。早っ。季節感のないほうだが、さすがここまでくるとネンマツネンマツしてくる。昨日はコンビニの前でサンタクロースの衣装を纏ったオネーチャンがチキンを売っていたのがいとおかしであった。ケーキとチキンを買って帰宅。正月過ぎたら減量しよっと。

 そんなわけで今回はパーニス・ブラザース!!!ちょうど去年の今頃知ったのだが、そのスジでは結構知れた存在であるらしい、ボストンのポップ職人。名前の通りパーニス兄弟を中心に結成されたバンドで、今作が3作目となる。前身はスカッド・マウンテン・ボーイズというオルタナカントリーバンド。

 前身がオルタナカントリーとはいえパーニスブラザースは紛れも無く問答無用のギターポップバンド。とにかくメロディメーカーとしての力量が素晴らしい。全編に渡り甘酸っぱくて切なげで、それでいてテンポの良い珠玉のメロディー&ハーモニーが満載。捨て曲ゼロ。そしてヘナチョコじゃないのに力が抜けてるヴォーカルが独特のトロケ感を醸し出している。まさに胸キュン(とっくに死語)って言葉が史上最高に相応しい一枚。

 年末の喧騒の中、時間を止めてこんな世界に浸ってみるのも、いとおかしである。
 

 

マイ・ボディガード

2004-12-24 | 映画
マイ・ボディガード

 映画「マイ・ボディガード」を鑑賞。この映画はAJクィネルの傑作小説「燃える男」の映画化である。この本はかなり好きで、翻訳モノのオモシロさを教えてもらったような一品。それまでは名前が覚えにくいという理由で手を出さなかった翻訳モノだが、これを機に読み始めたワケで、そういった意味でも結構思い入れのある作品なのである。

 映画自体は2時間半という時間を感じさせなかったし、死を示唆する犬の使い方も秀逸。全体を重苦しくさせるような映像手法(何かの映画で全く同じ手法を使っていたが思い出せないし、この手法の名前もわからないが)も効果的で作品に深みをもたせている。

 問題はデンゼル・ワシントン演じるクリーシィーに感情移入できない点であり、さらなる問題はこれが「燃える男」とはまったく別物だということである。

 イタリアを舞台に、マルタのゴッツァ島の美しく牧歌的風景や人々によって単なる復讐劇ではなく自己再生の物語でもあった「燃える男」。それに比べメキシコを舞台とし、閉塞感に覆われた昏い復讐劇に終始する「マイ・ボディガード」。

 はっきり言って、なんでこんな風にしちゃったの?????って感じである。原作から面白い部分を見事に抜き取ってしまっている。思わずひざを叩くようなラストの爽快なドンデン返しも、脇役たちの「お前ら、男だ!」(byノブヒコ)な男気も、な~~~んもない。原作が「燃える男」なら映画はまさに「燃えない男」。そのまま映画化すればオモシロイに決まってるのだが・・・・・一体ナゼ????

 まあ、原作に思い入れがあるので映画としての正当な評価といえるものではなく、単純に映画だけ観れば十分に面白いのかもしれない。うまく作りこんだ作品であるし、エンドロールの途中で席を立つ人も少なかったのでラストの余韻に浸っていたのだろう。

 予断無く観れば違ったものに見えたんだろうけど、ナカナカそれも難しい。それにしてもストーリーもキャラクターも全然違うのに映画化もくそもないように思うのだけど・・・・。
 

一応ベスト10

2004-12-21 | 他いろいろ
 ジャ~~~~ン!!!って感じでもないのだが、今年のベスト10。ちょっと前に「よく聴いたCD」を挙げているので少々気が引けるが、単純にやってみたいので。。。。。

 とりあえず、今年の新譜で今年聴いたもの。なんだけど、まだ未着で未聴のものは除く(当たり前というか聴いてないんだし)。そのかわり、昨年末発売くらいのものは入れる(まあ、アリシア・キーズのこと)。

 そんな風にツラツラ選んだのが以下の10品

1位 High / Blue Nile

2位 The Diary Of Alicia Keys
 
3位 Weightlifting / Trash Can Sinatras

4位 How To Dismantle An Atomic Bomb / U2

5位 Lifeblood / Manic Street Preachers
 
6位 Go To Hell / Grand Tone Music

7位 Keep Going / Stephen Duffy & The Lilac Time

8位 Hopes and Fears / Keane

9位 Eleven Nights / Hilde Louise

10位 Visorna / Nina Ramsby & Martin Hederos

はっきり言って順位はまったく適当、というか決めようがないって感じだ。

1位のブルーナイルは8年振りってのも大きいのだが素晴らしい出来で、特にM④は今年のベストソング。まるで極上のレアステーキが口の中でとろけるような、そんな喜びを味わわせてくれた名曲。3位のトラキャンもまた8年ぶり。聴くたびに嬉しくなるような瑞々しい復帰作だ。6位のグラントーンミュージックは今年一番の発見でやたらと琴線な一枚。9、10はちょっとジャンル違いだが、よく聴いたので。。。
次点はリバティーンズ、REM,カーラ・ブルーニ、あたり。今年はかなり豊作だったように思う、というかちょっと買いすぎ。でも、まあ、いっか。置き場に困るけど。。。。

スティッフ・リトル・フィンガーズ

2004-12-18 | CD
Guitar & Drum / Stiff Little Fingers

 何とはなしに手に取り、元ジャムのブルース・フォクストンが加入していることを知り、なんとなく買ってしまったこのアルバム。えっ、まだやってたの?って感じのスティッフ・リトル・フィンガーズ(以下SLF)の新譜である。英国では昨年リリースされたそうだ。

 映画ハイフィデリティで主人公のレコ屋が店内でSLFを流してると客が「これグリーンデイ?」って訊くシーンがあったが、そんなパンクなプチ大御所SLF。

 彼らの出始めはジャムなんかのちょっと後って気がしてるのだが、彼らは写真がやたらとカッコよかった。まあ、ジャムにしろ、クラッシュにしろ、このてのバンドって大体がカッコよく撮られてるのだが(モノクロ写真とか)、SLFの写真は抜群にカッコよかったって印象が強い。

 そんなSLFだが、実はアルバムで聴いた事が無かったのである。録音したものをチョボチョボ聴いてた程度で。確かスペシャルズのカバーなんかも演ってた記憶があるぞ。まあ、そんなワケでほとんど期待することもない今さらながらのSLFだったのだが。。。。。。

 お~~~~、いいぞコレ。昔ながらの中華そばではないが、昔ながらの英国パンク後期のカッコイイロックではないか。懐かしくも嬉しくもあるロック。こういうのに憧れてたんだなぁって思い起こさせる愚直なロック。なんかガッツポーズでもしたくなるぞ。ジョー・ストラマーに捧ぐ曲なんてのもある。とにかくメロディが単純にカッコイイ良い。

 なんか久々に「スカっとする」って表現出来るアルバムを聴いたような気がするな。。。。良い。。

 

クレスプキュールのクリスマス

2004-12-17 | 他いろいろ
 車のエアコンが故障したので修理に出したところ、代車がショボチンでカセットデッキしか付いてないシロモノであった。そこでダンボールの中から昔のテープを漁ってたらオモシロイテープを発見。クレスプキュールのクリスマスアルバム?である。

 とにかく収録アーティストが豪華絢爛。ペイル・ファウンテンズ、アズテク・カメラ、アンテナ、ポール・ヘイグ、ネームス、タキシード・ムーン、キャバレー・ヴォルテール、アンナ・ドミノ等々。むむむむむ、これは凄すぎだぞ~~~~~~!!!

 それにしてもキャバレー・ヴォルテールのクリスマスソングとは一体?????

 否が応でも期待に胸が膨らみまくりなのだが、保管が悪かったのかテープが変形。デッキに挿入出来ないというトンデモないオチが待っていた。

 とんだクリスマスプレゼントになってしまった。。。。。

サーティーン・センシズ

2004-12-15 | CD
Invitation / Thirteen Senses

 ふ~~っ。打ち合わせが延々と4時間に及び、先ほど終了。ぐったりである。冷たく甘いレモンティーを一気飲みして一息つき、イスに深々と座る。そしてPCのスピーカーから流れるサーティーン・センシズ。う~~む、あんまり緩やかな気分にはならないぞ・・・・・・。

 キーンに続く英国叙情派のホープ、サーティーン・センシズのデビューアルバム。のっけから泣き泣きギターが鳴り響き、叙情派の王道のようなメランコリックなメロディがちょっと弱々しいヴォーカルで歌われる。特に④などはまさに叙情派ど真ん中。

 色合いとしては、自己陶酔と内省性が強めなので落ち込み系が好きであればドップリ浸れること間違いなし。それにしてもどの曲もクオリティが高く、これでもかって言うくらいメランコリック。美しいピアノの旋律、思い出したように鳴り出すパワフルなギターもやっぱり泣きなのである。

 泣き泣き泣き。まさに泣きの万博。へこんでる時の自己憐憫のお供に最適な一枚ではなかろうか。ひたすら落ち込ませてくれそうである。まあ、こんな風に書くと揶揄してるみたいだが全然そんなことはなく、メロディアスで繊細で美しいアルバム。いわゆる叙情派のビッグネームを追随する存在となり得るホープの上々の滑り出しといえる好盤である。

 
 

 

デヴァイン&スタットン

2004-12-14 | CD
Cardiffians / Ian Devine & Alison Statton

 ニューウェーブという文脈において極めて重要な位置づけをされるヤング・マーブル・ジャイアンツ(以下YMG)。その女性ヴォーカリストであるアリソン・スタットンがウィークエンドを経て結成したユニット。相方のイアン・デヴァインが何者かよく分からないのだが、ほとんどの作曲を行っているところをみるとナカナカな人である。

 お粗末なリズムボックス、チープなキーボード、ヘッポコっぽいギターとベース、そして透明感ある声にして無愛想に歌うアリソン・スタットンのヴォーカル。まさに二番煎じの効かないワン&オンリーな奇妙なアルバムを作り絶大なる影響力を誇ったYMG。

 90年リリースの本作はそんなYMGとは違いかなり豊潤なイメージ。アリソンのヴォーカルも元来の透明感ある声質に情感を込めている感じだ。そこにピアノ、サックス、マーク・リボーのギターなどが色を添える。後のアリソン・スタットン&スパイクを含めても彼女の作品の中で最も艶やかなアルバムである。

 春の柔らかな日差しを浴びたヨーロッパの午後。そんなぬくぬくした風景の良く似合う優しさに満ちた小粋な一枚。「Don't It Make My Brown Eyes Blue」のカバーも秀逸(誰の歌だっけ?)。

 















リザード

2004-12-10 | ビターンな一枚
Lizard  (1979)

東京ロッカーズというムーヴメントにおいて、フリクションと並ぶ中心的存在だったリザード。前身の紅蜥蜴に触発された五木寛之は小説の中で彼らをモデルにした紅蝙蝠というバンドを登場させている。

 ストラングラーズのジャン・ジャック・バーネルが彼らを気に入り、自らプロデュースを買って出たというこの1st。当時彼らのレイヴン(立体ジャケットのやつ)を愛聴していた僕が、この情報に飛びつかないわけがなく、当然のごとく即購入。ジャケットも素晴らしく否が応でも期待は膨らみまくった。

 しかし第一印象は「なんじゃこのヴォーカルは!?」であった。甘ったるい上に下手ッピーを誤魔化してるかのような奇妙なビブラトーン。モモヨ(男)の歌い方は受け入れがたいものだった。とは言っても小遣いの大半をはたいて買ったLPをないがしろにも出来ないので、そこそこに聴き込み、そのうちヤミツキになっていったワケである。

 当時としては画期的なパンクと縦横無尽に走るシンセの融合。スキャンダラスなイメージ。そんなリザードだが、このアルバムは恐ろしくポップで深遠である。モモヨ独特の詩世界も素晴らしく、アーサー・C・クラークの名著「幼年期の終わり」にインスパイアされたという「New Kids In The City」で幕を開け、彼らのテーマソングともいえる「王国」の美し過ぎるメロディで幕を下ろす。

 ダサダサでベタベタな詩やメロディ。幻想的で社会性にとんだ詩世界。ダブ。奇妙なヴォーカル。ドラムがなぁ・・・。そんなごった煮なリザードワールドはダークにしてファンタジック。チープにしてディープ。そんな感じである。

「New Kids In The City」
     子供たちが遊んでいる 裏通りの陽だまりで
     きらめく風に吹かれながら 子供たちが駆けていく
     そして未来が呼んでいる お前の未来が呼んでいる
     子供たちは空を見上げて 来るべき時を待っている

「サ・カ・ナ」
     サカナたちは待っている 水銀の海の底
     サカナたちは待っている 漁師たちの釣り針を

良く聴いたCD

2004-12-09 | 他いろいろ
 早いもので今年も残すところ3週間。本屋ではもう「このミス」が並んでいた。2005年度のミステリーベスト10である。まあ、ほとんど読んでないけど。

 う~む、早くもベスト10か・・・・。ってことで、コチラも今年よく聴いたものをちょいと並べてみた。もちろん順不同。

Grand Tone Music
Carla Bruni
U2
Manic Street Preachers
Stephen Duffy & The Lilac Time
Vesorna
REM
The Libertines
Trush Can Sinatras
Ron Sexsmith
Keane
Hilde Luise
Blue Nile
Morissey
Gren Tirbrook
Alicia Keys
Phantom Planet

・・・・・・・。何か忘れているような気がしないでもないし、綴りが不安だ。それにしてもコステロとポール・ウェラーを入れられなかったのはちょっと残念。