洋楽な日々

洋楽を中心とした音楽の紹介。海外サッカー、格闘技等の雑文も。

オールド97's

2004-11-30 | CD
Drag It Up / Old 97's

 テキサスのオルタナカントリーグループの5~6枚目。2年前にヴォーカルのレットミラーがかなり良いギターポップなソロアルバム(緑をバックに二枚目なのか悪人なのか微妙な顔をどアップにした印象的なジャケット)をリリースしている。
 オルタナカントリーというジャンル自体ウィスキータウンとニーコ・ケースくらいしか聴いた事が無いのだが、言葉から受ける印象としては「これぞオルタナカントリ~!」って思わせるような作品。配合的にはロック7対カントリー3って感じ。楽曲の質も高いし、喉に何か詰まったようなレットミラーのヴォーカルも悪くない。なんだけど全体的にヌケが悪くガチャついた感じで、アルバムを通して聴くのがちょっとツライ。個々の楽曲はかなりイイんだけど。


マイケル・カーペンター

2004-11-29 | CD
Rolling Ball / Michael Carpenter

 「全パワーポップそしてギターポップ・ファン必聴と断言できる歴史的名盤の登場です」(Wizzard In Vinyl )
 凄いキャッチコピーなのだが発信元がWizzard In Vinyl なので油断は大敵。玉石混合、あらゆる作品に思いつく限りの賛辞を並び立て、故に信憑性東スポ並の激賞レコメンドを乱発するWizzard In Vinyl なのである。

 オーストラリアのパワーポップSSWの5枚目にして初日本盤。パワーポップと言いつつ、ほとんど70年代アメリカンロック/ポップなこの作品。ユルいヴォーカルなのに曲の合間に「カモ~ン」なんて言ってるところは何だかロック気取りのニューミュージックの人みたいでちょっとヘッポコ。

 キャッチーなメロディに切ないバラード、爽やかハーモニーにギターソロ。鼻声のユルなヴォーカルに個性の無い(普遍的)サウンド。イイ線いってるんだけどユルさとベタさがちょっと過剰気味。美味しいラーメンにコショウを入れ忘れたような感じというか。。。イイと言えばイイし、どんなシチュエーションでも無難に聴けるタイプの音楽なんだけど、人にススめるにはちょいと恥ずかしいような、そんな一枚である。(それを取り上げる僕とは一体・・・・。)

 全然ミニレビューじゃなくなってしまったな。

インテル恐るべし

2004-11-29 | 他いろいろ
今朝方のユヴェントスVSインテル戦(サッカーセリエA)、2点ビハインドのインテルが後半半ばに、な、なんとアドリアーノ、ヴィエリ、レコバ、マルティンスの四人を併用。奇跡の4トップが実現してしまった。これはホントに鳥肌ものである。「おお~!!!」である。いつぞやのグラミー賞でブルース、コステロ、フーファイターズが一緒にロンドンコーリングを演った時ぐらいの「おお~!!!」なのである。スッゲーなぁマンチーニ監督。しかもヴィエリ、アドリアーノの連続ゴールで追いついちゃったからたまらない。朝からアドレナリン全開である。

デヴィッド・ポー

2004-11-26 | CD
Late Album / David Poe

 97年にTボーンバネットのプロデュースでデビューしたシンガーソングライター、デヴィッド・ポーの去年出た3rd。それまではまるで聞いた事がなかったのだが、コレは良い。

 全体的にはアコースティックなバンドサウンド。メロディはポップだが抑えを効かせたビター&ジャズテイスト。そこに甘く、ちょっとウィスパーでこもったようなヴォーカルが絶妙に絡み、まさしく「This is 大人向け」って感じ。

 アコギのイントロからアルバム中一番のポップソングである②への導入も気持ちいいし、中盤の怒涛の渋渋ラッシュはどいつもこいつもいい曲ばっかりだ。それにしてもこういう人の知名度ってどんなもんなんだろう。世間的な人気度に疎いのでよく分からないのだが、多分無名っぽいな。

 今さらなんなんだが、念のため日本盤をチェックしたらボーナストラックは入ってなく、ホッと一息。おまけに新作がリリースされている事も発見。それにしてもドイツの輸入盤が多いようだが、この人ってナニ人なんだろう。ポーなんてヘンな名前だし。

 

ルーファスとボートラ

2004-11-24 | 他いろいろ
 最近ブログランキングで上の方にいるのでちょっとビックリ。まあ、意味の無いランキングっぽいけどそれはそれで嬉しいもんである。クリックしてくれてる人に感謝。とりあえず誰だか分からないので行く先々でクリック返し中。今までは面倒だし人のランキング上げるのもなぁ、などとドラゴン級(藤波辰巳)のスモールさだったけどね。

 ルーファス・ウェンライトの「ウォント・ワン」を聴きながら書いているのだが、「ウォント・ツー」のDVD付きがアチラで月末頃に出るみたいである。一刻も早く聴きたいところだが気になるのは日本盤である。輸入盤を買うたびに後発日本盤のボーナストラックに泣かされている。シャックやクリス・ヴォン・スナイダーンは1年遅れでボートラ4曲。今度出るグレン・ティルブロックはDVD付きらしい。まったくもう、交換してよって感じである。

 ホントに気になるなぁ、ルーファスの日本盤。



孤独な鳥がうたうとき

2004-11-24 | 
 知らない間にハードカバーで出ていたトマス・H・クックの新刊。クックといえば大傑作である記憶4部作の印象が強いのだが今回はちょっと趣が異なる。9人の主要人物それぞれの視点で描かれた短い(1~数ページ)段落の積み重ねで構成されているので非常に読み易く、軽妙な感じさえする。記憶シリーズの独特の重苦しい雰囲気はほどんどない。

 全体が5部構成になっていて、それぞれにジャズのスタンダードナンバーのタイトルが付いているところなど何だかアンドリュー・クラヴァンみたいである。

 元キャバレー歌手の主人公セーラが家を飛び出すところから話は始まる。夫はギャングのボスの息子。ボスの執拗な追跡とそれを取り巻く人々の群像劇である。ストーリー自体は特にどうというものでもないのだが、人物描写がメチャメチャ素晴らしい。

 余命3ヶ月と宣告され、妻に何かを残してやりたいと願う男。生きてゆく理由が見つからない男。悪逆な親父を嫌悪しながら抵抗できない男。惨めな目に合わせられながらもボスに気に入られたい一心の男。皆、ろくでもない人生を抱えこんでいるダメ人間ばかりなのだがホントに血が通った人間として見事に描かれている。

 そして特筆すべきはマシンガンのように繰り出される珠玉の言い回しの数々である。どうしてこんなに素晴らしい表現が思いつくんだろう、それもタンマリと。味わい深いとはまさにこのことである。最後のオチ(敢えてこう言う)とその伏線が見えた時は思わずニンマリしてしまった。クックには珍しく、そんな風に読み終えること出来る作品である。

U2  ②

2004-11-22 | CD
How To Dismantle An Atomic Bomb / U2

 妄想語ってよかですか!?の続き。大人のU2についての。何となくU2ってハードボイルドな感じなのでココは思い切ってハードボイルドチックに・・・・。ゴホ、ゴホ(咳払い)

 25年。彼らが飛び出してからの時間。気が遠くなるほどに長くそして重い歳月である。25年間で彼らはとてつもなく大きなものを得てきた。そして同時に大きな何かを失ってきたはずである。歳月の重みとは得たものの重みであり、また失ったものの重みでもある。

 90年代、巨大になった彼らは、ロック産業そのものをアイロニカルに演じることでますます肥大化していく。そして素に戻った彼らがリリースしたアルバムのタイトルが「捨て去ることが出来ないもの」であった。捨てざるを得ないものの裏返し。恐らく成功の真っ只中である種の喪失感を感じていたのであろう。そして「捨て去ることが出来ないもの」を愛だと説いた。

 そして今回もまた喪失の物語である。もはや自分の中に「少年」が存在する余地がなくなったことを切々と語る。

「いろんなことがわかるほど感じなくなるんだ」
「僕は自分の痛みがときどき恋しくなるよ」

 と歌い、原爆解体作業を写すテレビを株価のチェックと同列に扱う自分に嫌気がさしながらも、そのメンタリティを受け入れざるを得ないこと理解する。大概の出来事をワンオブゼムで処理出来るメンタリティは経験に基づく強さである一方純粋さの喪失でもある。

 U2の源ともいえる少年っぽい青臭さとの決別。大人のU2としてのデビューアルバムと、そう捉えることも出来る。それでも彼らは、祈りを忘れず、言葉を失くさず、叫びを捨てない。ロックそのものであり続けている。

U2 ①

2004-11-22 | CD
How To Dismantle An Atomic Bomb / U2

 ドラゴン級という自身のコメントと Vertigo のイメージでこのアルバムに接したので、第一印象は正直肩透かしって感じがした。期待指数もマックスだったし。即効性の刺激的な曲であるVertigo はアルバムの顔であり、全体的には遅効的な染み入る感じのナンバーが並べられている。なので最初のイメージからすると結構戸惑うのである。

 いいアルバムであると、何度か聴き返してそう思う。家や車の中などでよく聴いたが、一番ビビッときたのがCD屋で流れていた時。なにも構えない状態で何となく耳に入ってきた時である。案外こういった時に等身大のモノが見えるのかもしれない。大体U2の新作なんて言われると勝手な妄想が膨れ上がってしょうがない。

 勝手な妄想で言わせてもらうと、このアルバムって大袈裟なタイトルのわりにかなりパーソナルな感じがする。この辺はCDの解説と同じような意見なんだけど、大人になったU2って部分。アイルランドの田舎町からロンドン行きの列車に飛び乗った「少年」ボノとの決別。そんな切なさにも似た感覚が歌詞から垣間見れる。

 むむむ、ちょっと長くなりそうだな、こりゃ。ちょっと一旦締めさせてもらって、え~、次回に続くってことで。

 

ペイル・ファウンテンズ

2004-11-20 | CD
Pacific Street / Pale Fountains

 今さら語るまでもない名盤中の名盤。この1stと2ndをリリース後あっさり解散してしまったのだが、それが逆にペイル・ファウンテンズって響きを特別なものにしているような気がする。リーダーのマイケル・ヘッドはその後シャックってバンドで好盤を出しているが、これがペイル名義だったら相当に印象が違っていたと思う。シャックもなかなかだけど。

 当時LPで出た時は、Palm Of My Hand と Thank You の2大名曲が入ってなかったんだけど、よくよく考えるととんでもないことである。デビューアルバムにこの2曲を入れないなんて!目玉だろ、普通。それでもこんなに名盤なんだからホント恐るべしである。

 CD化された際にはメデタクこの2曲+αが加えられたのだが、日本盤にはさらに Just A Girl まで入っている。まさに至れり尽くせり。ただでさえ名盤なのにオマケトラックがそれ以上に名曲揃い踏みときたもんだ。

 バカラックの影響を強く受けたと言う哀愁のメロディ、切実で胸に響くヴォーカル、トランペット、そして全体を覆う何とも言えないぎこちなさ。

 当時はネオアコって文脈で語られたりもしていたが、今聴くともの凄く叙情的である。トラヴィスなんかが好きならイチコロかもしれない。昔から聴いているので鮮度についての判断は難しいのだが、コイツは色あせてないように思う(20年前なので微妙だけど)。

 当時はスミス、アラームと並んで聴き狂ってた、マイ80'sの象徴的アルバム。青春の切なさを密封した(恥ずかしい表現だな)奇跡的な作品である。

 

チェンバー・ストリングス

2004-11-18 | CD
Chamber Strings / Month Of Sundays

3年前に出たチェンバー・ストリングスの2nd。もう、ドリーミーポップのお手本みたいな作品である。何処を切ってもドリーミー。甘く軟弱なヴォーカルに、まるで60年代のポップ職人の手作りって感じの甘酸っぱいメロディ。ホントにホントにエヴァーグリィ~~~~~ン!!!!である。

 後日取り上げる予定の(予定は未定だが)ジョン・カニンガムとイメージ的にかなり近く、彼をバンドサウンド(グループサウンズ?)っぽくしたって感じ。ヴォーカル、コーラス、メロディが醸し出す60年代風レトロ感が非常に良いのだが、ジョンカニと比べるとやや風通しが悪いような気がしないでもない。(まあ、ジョンカニが特にスカスカなんだろうけど)

 エヴァーグリーン(以下エヴァグリ)と言いつつレトロ。レトロでエヴァグリ。ちょっと矛盾してそうながら、彼らのイメージはまさにそんな風。ワビ、サビ、オッケー。湿りも十分。万年時代遅れなエヴァグリポップミュージックの傑作である。