洋楽な日々

洋楽を中心とした音楽の紹介。海外サッカー、格闘技等の雑文も。

血涙

2007-01-09 | 

北方謙三の「血涙」(上下)。
副題「新楊家将」とくれば読まぬわけにはいかないのである。
もちろん、既読の「楊家将」(上下)をあらためて読み返しつつの4冊ブッコ抜き

当然面白い。
「楊家将」がアーいう結末で、「血涙」の設定がコーいうふうなら、そらぁつまらないわけがない。

散々理不尽な目にあいながらも、愚直なまでに国家に忠誠を尽くし続けた楊家軍が、最後は外交のカードのひとつとして扱われ、国家に見捨てられ、なぶり殺しに近い状態で戦わされる
外様軍閥の哀切というか、北方中国歴史モノの根底である「滅びの物語」をたっぷりと堪能でき、「ツワモノどもが夢の跡」的なラストは、あらゆる悲劇を包み込むほどに爽やかな印象を残す。
「楊家将」に劣らない傑作である。

が。
しかし。
ちょっとばかし引っかかりを感じたのも事実である。

まず、「楊家将」は楊家が主役なのだが、「血涙」は敵側に焦点があたっているので、感情移入という点で結構なブレが生じてしまった。
これがわりとイタイ。

もうひとつは石幻果というアイデア。

楊家軍とは、楊業とその息子たちがそれぞれに部隊を指揮している宋の軍閥である。
「楊家将」では隣国・遼との戦いで悲劇的な結末を迎えた楊家軍だったが、この「血涙」では楊家の一人が戦闘中に記憶を失い、遼の将軍に拾われて遼内で重要なポジションに就いていくという設定がなされている。
この記憶喪失時に遼で付けられた名が石幻果である。
そして彼の記憶が戻った時に、妻子を捨てて宋に戻るか、遼にとどまり宋と戦い続けて兄弟で殺し合いをするのかという究極的な選択を迫られることになる。

そりゃ、面白くないわけがないし、事実このアイデアゆえにバツグンに面白い物語になっているのだが、それでも、剛速球ど真ん中の「楊家将」なのに、そのタマを投げるか?との思いが頭をよぎったりするわけである。

ま、面白すぎるがゆえの贅沢な注文といったトコロなのだが。。。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楊家将と減量 (ワニ)
2007-01-13 00:52:01
はじめましてワニと申します。
楊家将と減量、何の関係もありませんがあなたのブログとワニのブログ両方に出てくるので…。
血涙読みましたよ。普段文庫本ばかりなので手首が疲れましたが読まない訳にはいきませんからね。
ワニのブログでは趣味の世界・読書にあります。
去年2月76キロ・ウエスト94ありましたが、今は63キロ・ウエスト80です。こちらはワニのダイエット談義にて。
返信する
Unknown (hera)
2007-01-13 14:07:43
ワニさん、はじめまして。
北方中国歴史モノはたまりませんね。

減量13kgとは凄いですね。
ワタシも10kgくらい、減らしたことがありますが、
リバウンドしてしまいました。
この2ヶ月ほどで4kgほどアップしてしまったので、ちょっと減量をしようかなって思っているところです。
返信する