その他ニュース
筆者は何年か前、シンガポールのある閣僚と話していた。その時、相手が一瞬本音が出たのか、シンガポール政府が野党政治家らの活動を意図的に難しくしていることを認めた。そして、かすかな笑みを浮かべてこう続けた。「しかし、ここシンガポールで政府が使う手段は、歯科医が使う器具程度のものだ。中国は大づちを振るう」
中国政府が6月30日に香港国家安全維持法を施行した時、筆者はこの会話を思い出した。香港の財界エリートの間には、人々が同法に慣れてくれば、香港は世界屈指のビジネス都市という地位を取り戻せると期待する向きがある。彼らによると、1年以上にわたる中国政府への抗議活動とそれに伴う混乱によって、香港は無政府状態の瀬戸際にまで追い込まれたという。だからこそ中国政府は香港の秩序を回復させ、ビジネス活動を再開できるよう今回の措置を取った、というのだ。(以下 小見出しと文末。ぜひ原文(翻訳)をご覧ください)
■シンガポールが評価される理由
■「法による支配」をはっきり否定する習氏
■中国企業との法的紛争で公平さを期待できるのか
香港に拠点を置く企業にとって切実な問題は、本土と強力なコネを持つ企業や中国国有企業と法的紛争になった場合、公平な対応を期待できるのかという点だ。中国政府と極めて良好な関係を築いていると自信を持っている企業でさえ、思いもしない事態に陥る可能性がある。中国の大企業の経営者でも突然、覚えのない汚職の疑惑をかけられ、一夜にして地位を失うことは珍しくない。
中国は間違いなく、香港が豊かでダイナミックな発展を続ける都市であってほしいと考えているだろう。民主化を求めるデモと混乱が1年以上続いた香港を中国政府が無政府状態から救おうと本気で思っている可能性さえある。だが残念ながら、中国政府が今回取った措置は、ベトナム戦争中にある米軍将校が語ったとされる言葉を思い出させる。「この村を救うためにこの村を破壊しなければならなかったのだ」(2020年7月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/) (* 日経 記事より)イラスト James Ferguson/Financial Times
その他ニュース(07/10_朝) | ||||||||
国際 | ||||||||
IT科学 | ||||||||
国内 | ||||||||
市場 | ||||||||
その他 |