今回は1980年代に活躍した男性R&Bシンガー、アレクサンダー・オニールの「Never Knew Love Like This」を紹介します。
力強いヴォーカルとパワフルなルックスで人気を博したアレクサンダー・オニール。
レーベルメイトの女性R&Bシンガー、シェレールとの共演による「Never Knew Love Like This」は、彼の2ndアルバム『Hearsay』からの3rdシングルとしてカットされ全米R&Bチャート2位(1988年)をマーク。
ジミー・ジャム&テリー・ルイスならではのクールなサウンドからスタートし、時には金属的にも響くアレクサンダー・オニールのシャープなヴォーカルと優しさを込めたシェレールのハイトーンは、デュエットによるアップナンバーの金字塔的作品と言えるのではないでしょうか。
1990年ごろだったか、有明近辺のイベント会場(←今はナイ)で来日公演がありました。「Tabu Night」(Tabuはアレクサンダー・オニールとシェレールが所属するレーベル名)というツアーで、どうやってチケットを手に入れたかさえ覚えてませんが、シェレールとの共演だけは今でも心に残ってます。アレクサンダー・オニールのソロパートはもちろん、会場のほとんどがシェレールとの共演を待っていたんじゃないでしょうかね。
アレクサンダー・オニールとシェレールのデュエットはこれまでにアルバム上で何回かありますが、何と言っても以下の3曲が代表格。
「Saturday Love」(1986年全米R&Bチャート2位)
シェレールの2ndアルバム『High Priority』(1986年)からの1stシングル
「Never Knew Love Like This」(1988年全米R&Bチャート2位)
アレクサンダー・オニールの2ndアルバム『Hearsay』からの3rdシングル
「Everything I Miss At Home」(1988年全米R&Bチャート1位)
シェレールの3rdアルバム『Affair』(1988年)からの1stシングル
The S.O.S. Bandにも通じるクールなミディアムサウンドの「Saturday Love」、パワフルな「Never Knew Love Like This」、ロマンティックなスローバラード「Everything I Miss At Home」と、どれもプロデュースはジミー・ジャム&テリー・ルイスが担当。
3曲とも有明の夜を熱く染めてくれたのでした…。
アレクサンダー・オニールの個人的お気に入りナンバー。
1.「Never Knew Love Like This」
2.「Fake」
3.「A Broken Heart Can Mend」
4.「If You Were Here Tonight」
5.「Criticize」
おそらくジミー・ジャム&テリー・ルイスがプロデュースを手がけていなければ、アレクサンダー・オニールがここまでのヒットを生み出せたかどうかは疑問ですが、フライト・タイムの友情に敬意を表して「Never Knew Love Like This」は☆☆☆☆☆(五つ星)の最高評価です。
■アレクサンダー・オニール■
1953年11月15日ミシシッピー州生まれ。いくつかの地元バンドに参加した後、ミネアポリスのフライト・タイムにリードヴォーカルとして迎え入れられる。フライト・タイムのメンバーには、今やスーパープロデューサーとして名高い(当時は無名の)ジミー・ジャム&テリー・ルイスが在籍。グループは同じミネアポリスのプリンスと出会い、プリンスと親交のあったモーリス・デイも加えてザ・タイムを結成。しかしアレクサンダー・オニールだけはプリンスとの意見が合わず、ザ・タイムのプロジェクトから外されたのである。最終的にジミー・ジャム&テリー・ルイスも外部アーティストのプロデュース業が盛んになり、ザ・タイムの公演に遅刻したことをきっかけにプリンスから解雇される。フリーになったジミー・ジャム&テリー・ルイスは、インディシーンで歌っていたアレクサンダー・オニールに声をかけ、デビューアルバム『Alexander O'Neal』(1985年)をプロデュース。次いで発表された2ndアルバム『Hearsay』からは、ジミー・ジャム&テリー・ルイスのプロデュースによる「Fake」が初の全米R&Bチャートナンバーワン(1987年7月25日付~2週連続)を獲得し、「Criticize」(1987年全米R&Bチャート4位)、「Never Knew Love Like This」、「The Lovers」(1988年全米R&Bチャート41位)、「(What Can I Say) To Make You Love Me」(1989年全米R&Bチャート68位)と5曲ものヒットを生み出している。3rdアルバム『All True Man』(1991年)、4thアルバム『Love Makes No Sence』(1993年)以降は目立ったヒットに恵まれず、活動の拠点をイギリスに移して5thアルバム『Lovers Again』(1997年)、6thアルバム『Saga Of A Married Man』(2002年)を発表。