あすにゃん日記

500字程度のエッセイを書きます。

團伊玖磨のエッセイを読んだ。

2019-12-06 17:07:57 | 日記
 昭和30年代ぐらいの話と思われるが、彼の友だちに芸大出身の青年がいて、その人が警察署に泊まったことがある、という。
 罪をおかしたわけじゃない。
 すべての原因は、猫にあると語り始める青年。ことの詳細は『パイプのけむり 話』内の昇天に入っているので割愛する。
 わたしが感心したのは、こういう珍しい体験をする友人が團伊玖磨にいる、という事実である。
 体験談というのは、へたすると自慢話になるのだが、合いの手を入れる團伊玖磨のユーモアあふれるかけ声が絶妙だった。
 臨場感にあふれていたし、「こういうことがあったよ」と単純に聞かされるより、ずっと面白い。
 エッセイというのは、身辺雑記帳的なところがあって、どうしても相性のいい人、悪い人が出てくる。團伊玖磨の場合は、もってまわった表現をしたり、わざわざ古い漢字をつかったりして、
「あんたは明治時代の人ですか」
 とっつきにくいこともあるが、なれてみるとそれが独特の味わいになっている。
 作者の個性が文体だ、と言う人がいるが、わたしはそれを出せないでいるようだ。もっと技術を磨きたい。

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