はとるのメモ帳

思いつくままにいろんなメモを保存してます

夢盗人の娘(前編)

2007-04-03 00:49:03 | 映画とかドラマとか音楽とか
今回の話から新三部作と呼ばれています。
旧版では日本語訳されていませんでした。
今回が初の邦訳になります。

で、これがまた長いんですねw
1冊1つの話。今までは1冊に少なくとも2つの話が入ってました。
だからあらすじも今回は3回に分けることにしました。

また、登場人物もガラっと変わってます。
ネタバレになるので、今回はキャラクター相関図はありません。
文体も変わってます。あらすじは原文の雰囲気を出したつもりです。

前回の話ではエルリックを含む全ての登場人物が死んでしまいました。
いったい話はどう展開するのでしょうか?

あらすじ(ネタバレ注意)『

わたしの名はウルリック。ドイツの先祖伝来の土地ベック領を治めているので
フォン・ベック伯ウルリックとも呼ばれる。
家系にまつわる遺伝性の病から虚弱な白子として生を受けたが
戦争や火事などで家族は既になく、この家系の最後の一人である。
わたしは幼いころから家庭教師の老アッシュに剣術を仕込まれた。
彼の一族は鍛冶であり剣士でもあった。
我が祖先伝来の黒い剣レーブンブランドの戦い方は彼から学んだ。
そんな老アッシュも<モーンの島>にある種の金属を探しに行ったまま二度と帰らなかった。
1918年にわたしは徴兵された。戦争が終わったのはそれがいかに残酷で愚かなものかを悟らされたときだった。
書物に耽溺したせいか、いくつものなまなましい大戦の夢をみた。助けを呼ぶ声が頭を離れなかった。
1920年頃のドイツは貧困にあえいでいた。ナチスの台頭もこの頃である。
1933年頃になると皆も薄々ナチスの正体を悟りはじめていた。
わたしはヒトラーの野望に抵抗するため<白薔薇協会>に加入しようとしていた。
ある日「ゲルティー」と名乗る若い女性が電話で、安全が確認されしだい会いたいと言ってきた。
この頃から再び例の悪夢を見るようになった。
明けて1934年、従兄のゲイナーが秘書のクロスターハイムと共にベック城を尋ねてきた。
従兄はナチスの親衛隊SSの制服姿でドイツ風にフォン・ミンクト大尉と名乗っていた。
我が家系に伝わる、聖杯と剣をナチスで保管してやろうと言うのだ。
わたしは聖杯など知らないと答えた。事実何も知らなかった。
彼らが言うには、剣はふたふりあり、もうひとふりはエルサレムにあるらしい。
その晩は回答をせぬまま、二人を屋敷に泊めた。
再び悪夢を見た。ドラゴンの背に乗りレーブンブランドを片手に握っていた。
「アリオッホ!アリオッホ!」わたしの声だ。恐怖にはじかれたように飛びおきた。
そこで早朝からゲイナーたちがベルリンに戻ることを聞いた。
わたしは、剣はミレンブルクに磨きに預けてあると嘘をついて、かれらを外の扉まで送った。
その夕方、ゲルティーから電話があり会うことになった。
待ち合わせ場所には、弓を背負った女性と長身のエルと名乗る男性が現れた。
ナチスに剣を渡しては行けないと道々言われ、3人で屋敷に帰った。
二人が剣を見せて欲しいと言ったので保管してある地下室に案内した。
剣を二人に見せようとしたとき、奇妙にもわたし自身にそっくりな男が壁際に立ってるのが見えた。
幻は消え、二人は剣を確認すると、近いうちにまた連絡すると言い残し帰って行った。
翌朝、わたしは国家の財産の管理に手落ちがあったとの罪状でナチスに逮捕された。
強制収容所では政治犯として比較的待遇のいい部屋を割り当てられた。
夜な夜な悲鳴が聞こえてくる拷問部屋に入れられたくなかったので、
言い掛かりをつけられないよう注意深く過ごして3カ月が過ぎた。
ゲイナーが身元保証人になり、わたしを収容所から出してベック屋敷に連れ帰った。
屋敷はひどい荒らされ様で召使たちも死んだか逃げ出したと聞いた。
ナチスの家捜しでもなぜか剣は見つからなかったらしい。おそらくゲルティーたちが隠したのだろう。
ゲイナーはすっかりナチスの一員となり、翌日にはわたしは再度強制収容所送りとなった。
わたしに口を割らせるために同室の仲間が殺された。そしてわたし自身も拷問を受けた。
すっかり消耗しきって部屋に戻されると、わたし自身にそっくりな白子の男が部屋に立っていた。
やはりそれは幻だった。だが幻の見えた寝台にはなぜかレーブンブランドがあった。
看守から見えないようにレーブンブランドを抱き締めると体に力が沸いてきた。
新たな拷問を加えようと牢獄の扉が開いたとき、レーブンブランドを看守に突き刺した。
剣からさらなる力が流れ込んでくる気がした。
次々に看守を斬殺し牢獄のカギを外の囚人達にむけて投げ渡した。
集団脱獄である。
あらかたの牢獄から囚人を解放すると、収容所にゲルティーが助けに来てくれていた。
ゲルティーの案内で用意してあった車に乗り込んだ。運転手はバスタブルと名乗った。
バスタブルは、ゲイナーとクロスターハイムの二人の勘は別格で
我々の逃走先が分かるだろうと言った。
途中で車を乗り換えたり乗り捨てたりして、目的地の谷には十分迂回して来たにもかかわらずゲイナー達に追いつかれた。
バスタブルは剣で行き止まりの岩を切り裂くように言った。
訳も分からず岩に斬りつけるとまるでガラスのように砕け洞窟が現れた。
ゲイナーらに追われながら暗闇を進むうちわたしは足を踏み外し道の横の斜面を滑り落ちてしまった。
遠くにゲイナーらの声が去って行く。
暗闇で息を潜めているとゲルティーが近くにいることがわかった。
ゲルティーは、名前はウーナですと言った。母親を覚えていますかと訊ねてきた。
クォルツァザードというアラビア風の名前の町で会ったということだが
残念ながら私には思い当たる節はなかった。誰かと勘違いしてるのだろうか?
全身のあちこちを骨折して思うように動けないわたしを、ウーナは間に合わせの橇に乗せ引いてくれた。
地下を進むと遠くに光が見える。わたしは意識を失った。
ウーナは休み休みながら進んだ。光は地下の広大な滝の水が光っているのだった。
どこに向かっているの聞くと、月光の道を通って行くのだと教えてくれた。
滝はナイアガラよりも広大で地下でこんな景色を見られることが信じられなかった。
ある程度痛みが引いたのでわたしは歩きだした。
鍾乳石で出来た自然の橋を渡ると迎えの人影が見えた。
それはキツネが服を着た姿であり、ウーナはさも当然のように挨拶したがわたしはまたしても気を失ってしまった。
気が付くと、わたしはベッドに横たわっていた。フロメンタルと名乗る男が傷の手当をしてくれたらしい。
剣は無事に保管されているということだった。
ここは自然の岩をくりぬいた都市であり大学だと教えてもらった。
わたしは教授のフィー博士に街を案内してもらった。
ここに住む人はオフ・ムー人といい、長身で細身の人達で単性生殖らしい。
キツネの男はルニャール卿といい、ウーナとオフ・ムーの首都ムー・ウーリアに向かったとの事だった。
案内してもらってるとき、町外れにゲイナーらが来た。
わたしとフィー博士がそこに着くと奴は剣を渡せと脅迫していた。
当然わたしがその申し出を断るとナチスらしい実力行使を見せてきた。
クロスターハイムがフィー博士の頭部めがけてピストルを発砲した。



長いですね~。
新キャラの紹介が多くなってしまうため、ご容赦ください。
そもそも、まだ1/3なんですけどね^^;

ところで、あらすじを読むと10人中10人が同じ疑問を抱くと思います。
「エルリックはどこ…?」

その疑問は次回解決される、、かも。
次回、「夢盗人の娘」(中編)
ウルリックが剣をゲイナーに対して振るうとき何かが起こります!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿