「美由紀ちゃん、冬の土曜日はおでんを作ろうよ」
敏夫が美由紀にこう言った。
「ええ、そうしましょう」
美由紀が相槌を打った。
二人だけのおでんパーティーである。敏夫は冷蔵庫からコンニャク、厚揚げ、玉子、肉をなべの中に入れた。
「最近見るたびに美由紀ちゃんがきれいになるような気がする」
「お世辞をいっても何も出ないよ」
「お世辞じゃないよ、ぼくの本音だ」
「アリガト」
二人の会話は尽きない。
敏夫の言う事はあたっていた。美由紀が綺麗になってゆくのはマンションの住人の間でも評判になっていたのである。