魔の山(7)
——————————【7】———————————————
Zwei Reisetage entfernen den Menschen
——und gar den jungen, im Leben noch
wenig fest wurzelnden Menschen ——seiner
Alltagswelt, all dem, was er seine Pflichten,
Interessen, Sorgen, Aussichten nannte, vier
mehr, als er sich auf der Droschkenfaht
zum Bahnhof wohl träumen ließ.
—————————— (訳)—————————————————
2日間も旅をすれば、それは人を、ましてやまだ殆
ど堅固な根を下ろしていない人間の人生にある若者
はなおさら、その日常から、義務、利害、心配の種、
もくろみと名づけていたものすべてを遠ざけてしま
う.人が駅に向う馬車に乗って、思いを馳せていた
ときよりも、ずっと遠くなっているのだ.
——————————〘語句〙————————————————
Reisetage:辞書不掲載→Reise + tage =旅行の日々
Zwei Reisetage:2日間の旅→2日間旅をすれば~だ.
entfernen: (他) (4格を)(3格から)取り除く、
遠ざける
この場合の3格は奪格*で、前置詞不用.
gar:ましてや、~に至ってはなおさら
Die Mäuse sind schlimm genug, und gar die Ratten.
普通のネズミでさえじゅうぶんたちが悪いのに、
ドブネズミはなおさらだ.
wurzelnden:(現在分詞 + 形容詞語尾en) →wurzeln
wurzeln: (自/h) 根を下ろしている
fest: (形) 固い、しっかりした
Alltagswelt: 辞書不掲載→ Alltag + welt
der Alltag:(単) 日常、日々の単調な明け暮れ、平日
再掲Alltagswelt:日常の世界
die Pflicht:[_/_en] 義務
das Interesse:[_s/_n] 利益、利害関係
die Sorge:[_/_n] 心配、
【複】心配の種
die Aussicht:[_/_en] ❶眺望、展望、
❷見込み、見通し、期待、もくろみ
Droschkenfaht:辞書不掲載→Droschk + faht
die Drosche:[_/_n] 辻馬車
die Faht:[_/_en] 進行、走行、運行、航行
—————————≪ひとこと≫————————————————
* 古いドイツ語で昔は「奪格」(~から)という格
がありました. 現代ドイツ語では2格と3格に
取って代わりましたが、痕跡はところどころに出
てきます.これは「奪格の3格」と呼ばれます.
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