LE PAPA DE SIMON
シモンのパパ(37)
—————————【37】——————————————————
Simon était là lorsqu' on le repêchait; et le
triste bonhomme, qui lui semblait ordinairement
lamentable, malpropre et laid, l' avait alors frappé
par son air tranquille, avec ses joues pâles, sa
longue barbe mouillée et ses yeux ouverts, très
calmes.
.—————————(訳)———————————————————
その男が水から引き上げられたとき、シモンはその場
に居合わせたのです; するとシモンにはその男が普段
はみじめで、汚らしく、醜い男に見えていたのに、その
時は、その青白い頬、濡れた長い髭、開かれた目がとて
も穏やかで、その静かな姿に心打たれたのでした.
—————————⦅語彙⦆——————————————————
repêchait:(3単半過去) < repêcher (他)
(水に落ちたものを)引き上げる
repêcher un noyé / 溺れた者を引き上げる
triste bonhomme:(m) 可哀そうな男
ordinairement:(副) 普通、一般に、概して、
普段は、いつもは
lamentable:[ラマンターブル] (形) なんともひどい、
情けない、みじめな
malpropre:(形) 不潔な、汚い、
laid(e):[レ][レッド](形) 醜い
~ l' avait frappé par ...:~が彼の心を…で打った
son air tranquille:その男の静かな姿
long、longue:(形) [名詞の前] 長い
[名詞のうしろ] 丈の長い、縦長の
barbe:(f) 頬とあごの髭、【口ひげはmoustache】
mouillé(e):(形) 湿った、濡れた;
Il est rentré tout mouillé. /
彼はずぶ濡れになって帰ってきた.
calme:(形) 静かな、穏やかな.
——————————≪文構造≫—————————————
6行に及ぶ長文です.モーパッサンの文はやさしいと
以前書きましたが、何ぶんにも19世紀の作家ですので
たまにこうして長い文が出てきます.
まあ、私たちがピッチャーで、モーパッサンがバッターとすると、
たまに長打(ホームラン)を打たれるようなものです.やむを得ません.
さて、今回、この長文は主語はポワン・ヴィルギュル;
(セミコロンともいう)のあと、;[セミが落ちて転んだ
ようなデザインだからか?] この印のあと
le triste bonhomme
が主語.
動詞はl'avait alors frappé
で直説法大過去
目的補語は動詞の前のle、エリゾンによりl' になっており、
受けているのはシモンです.
以上が骨格です.
Le triste bonhomme l'avait alors frappé.
訳しますと:
(その時その哀れな男がシモンの心を打った)
これを生地としまして、いろいろトッピングしています.
トッピングその1
主語と述語の間に関係代名詞が割り込んでいます.
普通に挿入句として考えましょう.
qui lui semblait ordinairement lamentable, malpropre et laid,
qui は「哀れな男」、lui はシモン.
哀れな男がシモンにはいつもはlamentableみじめな
malpropre et laid汚くて醜いというふうに映っていま
したが
という挿入句になります.lamentable[ラマンターブル]は
「みじめな」という意味.英語につられてラメンタブル
(嘆かわしい)としないように! まして日本語に
つられて「ラーメン食べる」など論外.
さてその男の静けさによってシモンの心は打たれたと
なりますが、par ~ 「~によって」のあとに、avec ~
これも具体的にシモンの心を打った手段、方法が
述べられています.
「青白い頬」、「濡れた長い髭」、「開かれた穏やかな
目」これらが男の姿を静寂なものにして、それにより
シモンの心を打った.
という長文でした.文が長いと頭に湯気が立って
きそうですね.ちょっと休憩なさって下さいな.
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