気紛れ書評

かなり偏りがありますが、それでもよろしければ・・・

ミシン

2006-10-13 20:57:38 | 小説(国内)
著者:嶽本 野ばら
出版社: 小学館 (2000/10)

薄い本ですが、真っ青の表紙がきれいです。

著者の作品はかなり独特な感じがして、食わず嫌いでした。
ですが、映画「下妻物語」のストーリー(実際観ていませんが)が
案外面白そうで、試しに読んでみようかと思い、手にしました。


確かにちょっと独特。世界観や文章等。
でも毛嫌いするほどではありません。

二つの話が入っていますが、表題作よりも
『世界の終わりという名の雑貨店』のほうが好きです。
どちらの話にも共通しているのは、純粋で高潔な人たちのそれぞれの愛。
リアルな世界観ではないけれど
御伽噺のような美しい話ばかりではなく、人間の負の部分や見たくないところも描かれている。
悲しい結末もある。けれど、本当にそれが悲しいのか疑問も沸く。
むしろその方が幸せなのかも・・・

物語の雰囲気を作る、ファッションにも注目。
もともと私自身が好きな感じだったので、想像して楽しかったです。


『世界の終わり・・・』のなかに出てくるフレーズ
「解ったのです。私には貴方が必要であることが。難しいことを考えずともよかったのです。雪が降っているのを見て、それを貴方に伝えたいと思った。」

私はこの人のことを本当に好きで良いのだろうか・・・
そんなこと難しく考えても仕方ない。
雪が降ってて幸せな気持ちになったの、と伝えたいと思った人なのだから。
真っ先に、顔が浮かんでしまうのだから。
難しいことなんか、かけがえの無い人の前では無意味であることを
改めて感じさせる言葉でした。


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