気紛れ書評

かなり偏りがありますが、それでもよろしければ・・・

あなたと読む恋の歌百首

2006-10-02 23:26:59 | 女性著者
著者:俵万智
出版社: 朝日新聞社 (1997/07)

著者の短歌の大ファンで
歌集は随分読んでいます。

ただ、著者が訳したものや解釈本にはあまり興味が無く
今回の本も、書店をフラフラしていた時
著者の短歌が読みたい気分だったけれど、たまたまその場に
未読の本が無かったから、たまにはこういうのもいいかなぁと思って
手にした本です。

この百首(性格には百一首。著者の一首もウレシイおまけでついています)
やっぱりこの選者ならこういう百首になると思えるものばかり。
難しい技法や難しい言葉ではなく
ストレートに今の私に響く言葉で構成された歌が多いです。
素材も身近に感じるものが多く
他の誰かエライ人にとっておきの恋の歌を100首選んでくださいって言ったら
「安っぽいし、ありきたりな簡単な歌じゃない」とはじかれるような歌も選ばれています。
(実際、全く安っぽくなんか無いんですけどね)
だけどその 「すとん」と心に入ってくる表現が
大人の小難しさに逃げようとしていた私を、逃がさないように捕まえる。
まるで、目を逸らすんじゃありません!と言わんばかりに。

こういう風な感覚は、著者の歌集を読むといつも感じることであるが
こんな風に感じるようになったのもこの頃で
もっと若い頃はこんな風にちょっとした後ろめたさを伴ったりせず
ストレートに自分の感情を投影できていた。
こんな読み方をできるのが嬉しくもあり、悲しくもあり・・・


短歌は好きですが、この本に挙げられている100人を全て知っているわけではなかったので
この人、こんな歌を詠むんだ・・・とか
これから歌集を選ぶにあたっての、見出しのような役割にもなるのでは。
かなり幅が広がった気がします。

一首ごとの著者の解説も、もちろん著者なりの解説ですから
好き嫌いはあるかもしれませんが
著者の様々な恋愛エピソードも盛り込みながらで
思わず自分に投影して、にやけたり切なくなったりしてしまいます。
逆に、恋の様々な段階を、選ばれた歌を通して解説されているような。
さすが恋愛ミーハー(文庫本のあとがきに、野田秀樹氏がこう表現していました)

最後の一首に、著者の歌が出てくるわけですが
その一首もガツンと私や私の隣に居る人に一発食らわせます。
その一首の収められている歌集についてはまた別に場所を設けます。




最新の画像もっと見る