気紛れ書評

かなり偏りがありますが、それでもよろしければ・・・

レンタル・チルドレン

2007-04-09 22:37:41 | 小説(国内)
著者:山田 悠介
出版社: 幻冬舎 (2006/01)


たしか『リアル鬼ごっこ』を書かれた作家だよねぇ?
と思って手にしました。
リアル~を読んだとき、文章云々より設定や発想が面白かったので
(ミステリーを読む場合、大抵文章には期待していませんが)
今回も中身の想像はつきながらも
読んでみる事にしました。

思ったより単純ではなかったけれど
すごく捻っている訳でもない。
ちょっと薄味だなぁと・・・
中盤ぐらいまではまあまあでしたが
終盤、なんだか飛ばし読みしたくなってきました。
残念です。

リアル~のときもそう思ったから、だいたい予想はしてたけどね。

それにしても、ラストはあんなもんでいいのかな。
強くもないし、静かでもない
冷やっともしないし、ハッピーでもない
余韻がないとでもいうのか。


でも、サクっと読めるし
適度にスリルはあるし
展開は面白いので、サラッと読むにはいいと思います。

春、バーニーズで

2007-04-08 11:24:48 | 小説(国内)
著者:吉田修一
出版社: 文藝春秋 (2004/11/20)

何の変哲もない黒い装丁なんですが
話と話の間の写真とか、いいかんじです。

人から見ても理想的な夫婦で
自分たちも特に問題を感じる訳ではなく仲良くやっている。
いくつかの相手に話せないことやひっかかりはあるけれど
日常では忘れてしまうほどだ。
でもやっぱり、ふとしたことがきっかけで考えてしまったりしたときの話。
穏やかに動いていた歯車が狂ってしまいそうな、そうでないような。
その危うさが、リアルで良い。

実際、全てが狂ってしまうほどの事態になることなんて、そんなにない。
普通なら狂わないようになんとか調整してしまうもの。
自分の気持ちにも折り合いをつけて。
ただ、その工程が苦しいんだけど。

そういうところの描き方が、彼の作品の好きなところです。やっぱり。

怪談―男と女の物語はいつも怖い

2007-04-08 10:55:22 | 小説(国内)
著者:林真理子
出版社: 文藝春秋 (1994/09)

その名の通り、男と女の間に起こる
うすら寒くなるエピソード。

お化けも超常現象ももちろん怖いけど
ホントに怖いのは日常の中で起こる災難。
自分が知らない他人の想い。
愛情。執念。嫉妬。恨み。。。

男女間に絞っているので
重く(暗く)ならずに読めると思います。
今現在とっても幸せなカップルは読みたくないかもしれないけど。

短編集ですが、このなかの一話に
『つわぶきの花』という話があります。
タイトルを見て、向田邦子氏の作品になかったっけ?と思ってしまいました。
やっぱりありましたね。『思い出トランプ』のなかの『花の名前』。
花の名前は夫の浮気の話で、つわぶきの花は娘の不倫の話で
若干違いはあるものの、なんだか読んでいる最中に
しょっちゅう花の名前の話を思い出してしまって、ダメでした。