気紛れ書評

かなり偏りがありますが、それでもよろしければ・・・

春、バーニーズで

2007-04-08 11:24:48 | 小説(国内)
著者:吉田修一
出版社: 文藝春秋 (2004/11/20)

何の変哲もない黒い装丁なんですが
話と話の間の写真とか、いいかんじです。

人から見ても理想的な夫婦で
自分たちも特に問題を感じる訳ではなく仲良くやっている。
いくつかの相手に話せないことやひっかかりはあるけれど
日常では忘れてしまうほどだ。
でもやっぱり、ふとしたことがきっかけで考えてしまったりしたときの話。
穏やかに動いていた歯車が狂ってしまいそうな、そうでないような。
その危うさが、リアルで良い。

実際、全てが狂ってしまうほどの事態になることなんて、そんなにない。
普通なら狂わないようになんとか調整してしまうもの。
自分の気持ちにも折り合いをつけて。
ただ、その工程が苦しいんだけど。

そういうところの描き方が、彼の作品の好きなところです。やっぱり。


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