気紛れ書評

かなり偏りがありますが、それでもよろしければ・・・

サウスバウンド

2008-01-10 00:40:42 | 小説(国内)
著者:奥田 英朗
出版社: 角川書店 (2005/6/30)


元過激派の父に振り回される小学生の男の子が主人公。
父だけじゃなく母も元過激派だけに、最終的には歯止めが利かなく
南の島へ移住してしまって・・・


過激派なんて自分の知らないずっと昔のことと思っていたけど
年代的には主人公の父のようなひとは存在しているんだなと、改めて思う。

父親の規格外の行動に翻弄されつつ、成長していく主人公の姿や
家族の結びつきとか、爽やかです。
父の起こす問題はすぐに予想がつくけど、解ってて読んでも笑えてしまう。
重くならずに気軽に読める本です。

ショートソング

2008-01-10 00:25:26 | 小説(国内)
著者:枡野 浩一
出版社: 集英社 (2006/11)


対照的な二人の男の子の視点で書かれた青春小説。
吉祥寺を舞台にそれぞれの男の子が作った短歌を織り交ぜながら
テンポ良く話がすすみます。


しばらくこんな話を読んでなかったなぁと感じました。。さわやかで。。
短歌がモチーフなのに現代的で軽いです。
短歌に興味がなかった人でも読みやすいぐらい。違和感もないし。
たまにはこういう軽い青春小説もいいかも。

葉桜の季節に君を想うということ

2008-01-10 00:13:59 | 小説(国内)
著者:歌野 晶午
出版社: 文藝春秋 (2003/03)


何でもやってやろう屋(自称)の主人公が関わることになった詐欺事件。
主人公の現在と過去とを追いながら、事件の結末とともに主人公自身についても
全てが結びつく。

一気に読める、読みやすい本です。
飽きさせない展開になっているし、伏線の部分も適度な感じのひっかかり。
娯楽作品としてはとてもよいと思います。

でも、設定や結末が、前にもこういうのあったよね・・・と思えてしまうので
目新しさはないかも。
読みやすいだけに、印象もうすいというか・・・
話題になったにしては期待したほどの感動が無かった気がします。

リピート

2007-12-22 11:23:19 | 小説(国内)
著者:乾 くるみ
出版社: 文藝春秋 (2004/10/23)


記憶だけをもって10ヶ月前の自分に戻るというリピート体験をする
主人公と他選ばれたメンバーの話。

普通のタイムトラベルの話より、感情も出来事も現実的でよくできている。
ファンタジーを求める人は夢が壊れるかも。。
適度なスリルと、納得できるオチで、ほんとに良いと思うのだが
黒幕の描き方がイマイチ・・・
もうちょっと丁寧に書いて欲しかった。ここでちょっと醒めた。

ストーリーはホントにいいと思うので全体的にはまずまずなところ。

モルヒネ

2007-12-12 00:52:10 | 小説(国内)
著者:安達 千夏
出版社: 祥伝社 (2003/02)

この本が出た頃、本屋さんの店長オススメになってる事が多かったので
気にはなっていたのですがなんとなく読まなかった。
「ヒリヒリするような」話だそうで。
うーん、ありきたりっぽいような気がしてしまった。


最近たまたま人に借りたので読んでみたのですが
あの頃の直感は間違いなかったようです。。。


話自体はまぁいいんだけど
クドいっていうか、「だからわかったって!で?」ってくらい
主人公の心の中が繰り返し描かれていて苦痛でした。
良いストーリーではあると思ったけど
その文章で安っぽさを感じました。


検索からはじめる

2007-12-12 00:47:12 | Weblog

レンタル・チルドレン

2007-04-09 22:37:41 | 小説(国内)
著者:山田 悠介
出版社: 幻冬舎 (2006/01)


たしか『リアル鬼ごっこ』を書かれた作家だよねぇ?
と思って手にしました。
リアル~を読んだとき、文章云々より設定や発想が面白かったので
(ミステリーを読む場合、大抵文章には期待していませんが)
今回も中身の想像はつきながらも
読んでみる事にしました。

思ったより単純ではなかったけれど
すごく捻っている訳でもない。
ちょっと薄味だなぁと・・・
中盤ぐらいまではまあまあでしたが
終盤、なんだか飛ばし読みしたくなってきました。
残念です。

リアル~のときもそう思ったから、だいたい予想はしてたけどね。

それにしても、ラストはあんなもんでいいのかな。
強くもないし、静かでもない
冷やっともしないし、ハッピーでもない
余韻がないとでもいうのか。


でも、サクっと読めるし
適度にスリルはあるし
展開は面白いので、サラッと読むにはいいと思います。

春、バーニーズで

2007-04-08 11:24:48 | 小説(国内)
著者:吉田修一
出版社: 文藝春秋 (2004/11/20)

何の変哲もない黒い装丁なんですが
話と話の間の写真とか、いいかんじです。

人から見ても理想的な夫婦で
自分たちも特に問題を感じる訳ではなく仲良くやっている。
いくつかの相手に話せないことやひっかかりはあるけれど
日常では忘れてしまうほどだ。
でもやっぱり、ふとしたことがきっかけで考えてしまったりしたときの話。
穏やかに動いていた歯車が狂ってしまいそうな、そうでないような。
その危うさが、リアルで良い。

実際、全てが狂ってしまうほどの事態になることなんて、そんなにない。
普通なら狂わないようになんとか調整してしまうもの。
自分の気持ちにも折り合いをつけて。
ただ、その工程が苦しいんだけど。

そういうところの描き方が、彼の作品の好きなところです。やっぱり。

怪談―男と女の物語はいつも怖い

2007-04-08 10:55:22 | 小説(国内)
著者:林真理子
出版社: 文藝春秋 (1994/09)

その名の通り、男と女の間に起こる
うすら寒くなるエピソード。

お化けも超常現象ももちろん怖いけど
ホントに怖いのは日常の中で起こる災難。
自分が知らない他人の想い。
愛情。執念。嫉妬。恨み。。。

男女間に絞っているので
重く(暗く)ならずに読めると思います。
今現在とっても幸せなカップルは読みたくないかもしれないけど。

短編集ですが、このなかの一話に
『つわぶきの花』という話があります。
タイトルを見て、向田邦子氏の作品になかったっけ?と思ってしまいました。
やっぱりありましたね。『思い出トランプ』のなかの『花の名前』。
花の名前は夫の浮気の話で、つわぶきの花は娘の不倫の話で
若干違いはあるものの、なんだか読んでいる最中に
しょっちゅう花の名前の話を思い出してしまって、ダメでした。

顔のない裸体たち

2007-03-25 21:05:06 | 男性著者
著者:平野 啓一郎
出版社: 新潮社 (2006/3/29)


ネット上においての個のあり様がテーマなんでしょうけど・・・

2006年に出されたにしては、今更なテーマな気もする。

「私」とネット上でハンドルネームを持つ「ワタシ」とでは
同じであって同じでない。社会で生きてる「私」では表現できない一面を
表現できるのが「ワタシ」。その「ワタシ」は不特定多数の世界中の人間に
ポチっと一押しで発信され、閲覧される。
というようなことを、うまく自覚できないうえに
人間関係の機微もよく分からないまっま大人になった女が陥った事件をもとに
その怖さを伝えたい
って主旨なんでしょうか。。

女と男の子供の頃からの事実を追って
事件に至るまでの背景を描いていますが
事件が起きてしまった事について肯定的な流れになっているのが気になります。
特に女側に。

小説なら分かるんですが、こういう随筆みたいなルポみたいな本として扱うと
その肯定が陳腐に感じます。
しかも「顔」と「裸体」が一致していない、的な分析がしつこい。
いくら長々と書いても、キレイにはまとまらないからさ・・・
まだ続くの?またですか?と感じてしまいます。全体を通して。

警告的にしたいのなら、もっと別の書き方もあったし
もう少し、ネットでの個人のあり方について
裸体を抜きにした意見を述べて文章を繋いだ方が説得力があったかな。
何の為に書いたのかよく分からない。

この本を読んだ感想は
ネット上では何でもできちゃうから犯罪ギリギリ(てか軽犯罪)のこともへっちゃらで
でも歯止めが利かないし、自分でも境界線が分からないから
勘違いが進んで犯罪まで行っちゃう事もあるけど
仕方ない面もあるよね~ってことが言いたいように感じるけど、いいの?
しかもエロネタで釣ってるように見えますが。あまりにも安すぎない?
です。

かなり期待はずれでした。
やっぱり小説だけ書いてて欲しい。