瞳に映るのと
目が合うのとは
微妙に違う気がする
っつうか、結構違うかな
こちらを見ないわけじゃないけど
視界にはいれているけれど
視線は合わさないようにしているような
“うちらはセットみたいなもんだから”と拓友さんが言う
まさにその通り!
そう、ファンじゃなくセット!
でも、セットにも優しい彼は
彼なりのサービスはしてくれるけど
ちゃんと一線は引いている
そんな気がしていた
その日は朝から暑かった
額や首に汗をかく、なんてレベルじゃなかった
汗が顎からポタポタとたれたりしてた
着物を着せられたワタシと拓友さんが配置された場所は
やや広めな場所から細い路地を入ったところ
少し離れたところでは煙りを焚く為か、
缶みたいなもので焚き火までしていた
休憩時間に、愛しき人は広い通りの椅子で
周りの視線を浴びたりしていたようだけど
基本的に移動の許されないセット(ワタシたち)は
路地奥に配置されてしまったら
たま~に移動はしたりしたけど
その様子を見ることはなかなか出来なかった
広い通りに立つ人の様子を路地奥から見て
“遠慮がちにちらちら見てるから、座ってるのかな”
“よーく見てるから、少し離れたとこにいるのかな”と
そんな話をしながら、他のみんなと同じように
決められた場所をなるべく動かないようにして
セットとしての役割を全うしようとしてた
飲み物はスタッフさんが紙コップに入れて
休憩のたびに配りに来てくれていた
と、ちょっと長めの休憩の際に
セットたち(か?)みんなに
“ポカリ飲みたい方はあちらへ”というように
一時的な移動の許可が下りた
ポカリを貰いに行くついでに
愛しき人を遠くから眺められるかな、と
拓友さんと一緒に、広い通りに出た
愛しき人はどこにいるんだろ?
通りの端が少し日陰になっていて
みんなその日陰に並ぶように立っていたので
通りの真ん中あたりに、ワタシたちだけが立つような形になった
少し離れた場所で、ホースを持って水をまいている人がいた
“あ!”“水まいてる”
こっちをむいて水をまいていたのは
愛しの彼だった
弧を描いてキラキラと水が落ちている
キラキラ輝く水の向こうに、キラキラ輝く愛しき人
たまに風に乗って、細かい霧が飛んでくる
“気持ちいいね~”
“もっとかけてくれたらいいのに”と
その僅かな霧を仰いで彼女と話していた
そこに姿を見つけてしまったから
たとえポカリをとりに行く為とはいえ
さらに彼に近寄る形になる行動がとりずらくて
風に乗ってくる霧を待っていた
と、その時に
いつもは感じたことのない視線を感じた
ホースを持つ腕が動くのがわかった
確かに見ている、と感じたその瞬間
“うわっ!”
“きゃ~っ!”
放物線を描く水の先端がワタシたちに命中した
あっという間に手も顔もびしょびしょ
肩にかかった水は着物に染み込み肌を濡らした
“冷たい~!”
“びしょびしょだよ”
思わず2人で愛しき人を見た時に
楽しそうに笑ってるように見えた
ほんの数秒の出来事
“今さぁ、狙ったよね”
“うん、仕掛けてきたよね”
“乾かなきゃいいのにね”と
水をかけられて喜ぶ2人
手のひらの水滴が、腕の水滴が
宝石みたいにキラキラしてた
たまたま、少し先まで水を撒こうとしていたとこに
たまたま、ワタシたちが立っただけ、だろう
たった2人を、わさわざ狙ったんじゃないだろう
見てるような気がした、だけ
笑ってるような気がした、だけ
そう、あまりの暑さにぼーっとして
2人で幻覚を見たのかもしれない
たぶん、思い込み
でも、思い込みだって、いいの
それだって、素敵な思い出だから
幻覚を見た、セットの戯言です(笑)
目が合うのとは
微妙に違う気がする
っつうか、結構違うかな
こちらを見ないわけじゃないけど
視界にはいれているけれど
視線は合わさないようにしているような
“うちらはセットみたいなもんだから”と拓友さんが言う
まさにその通り!
そう、ファンじゃなくセット!
でも、セットにも優しい彼は
彼なりのサービスはしてくれるけど
ちゃんと一線は引いている
そんな気がしていた
その日は朝から暑かった
額や首に汗をかく、なんてレベルじゃなかった
汗が顎からポタポタとたれたりしてた
着物を着せられたワタシと拓友さんが配置された場所は
やや広めな場所から細い路地を入ったところ
少し離れたところでは煙りを焚く為か、
缶みたいなもので焚き火までしていた
休憩時間に、愛しき人は広い通りの椅子で
周りの視線を浴びたりしていたようだけど
基本的に移動の許されないセット(ワタシたち)は
路地奥に配置されてしまったら
たま~に移動はしたりしたけど
その様子を見ることはなかなか出来なかった
広い通りに立つ人の様子を路地奥から見て
“遠慮がちにちらちら見てるから、座ってるのかな”
“よーく見てるから、少し離れたとこにいるのかな”と
そんな話をしながら、他のみんなと同じように
決められた場所をなるべく動かないようにして
セットとしての役割を全うしようとしてた
飲み物はスタッフさんが紙コップに入れて
休憩のたびに配りに来てくれていた
と、ちょっと長めの休憩の際に
セットたち(か?)みんなに
“ポカリ飲みたい方はあちらへ”というように
一時的な移動の許可が下りた
ポカリを貰いに行くついでに
愛しき人を遠くから眺められるかな、と
拓友さんと一緒に、広い通りに出た
愛しき人はどこにいるんだろ?
通りの端が少し日陰になっていて
みんなその日陰に並ぶように立っていたので
通りの真ん中あたりに、ワタシたちだけが立つような形になった
少し離れた場所で、ホースを持って水をまいている人がいた
“あ!”“水まいてる”
こっちをむいて水をまいていたのは
愛しの彼だった
弧を描いてキラキラと水が落ちている
キラキラ輝く水の向こうに、キラキラ輝く愛しき人
たまに風に乗って、細かい霧が飛んでくる
“気持ちいいね~”
“もっとかけてくれたらいいのに”と
その僅かな霧を仰いで彼女と話していた
そこに姿を見つけてしまったから
たとえポカリをとりに行く為とはいえ
さらに彼に近寄る形になる行動がとりずらくて
風に乗ってくる霧を待っていた
と、その時に
いつもは感じたことのない視線を感じた
ホースを持つ腕が動くのがわかった
確かに見ている、と感じたその瞬間
“うわっ!”
“きゃ~っ!”
放物線を描く水の先端がワタシたちに命中した
あっという間に手も顔もびしょびしょ
肩にかかった水は着物に染み込み肌を濡らした
“冷たい~!”
“びしょびしょだよ”
思わず2人で愛しき人を見た時に
楽しそうに笑ってるように見えた
ほんの数秒の出来事
“今さぁ、狙ったよね”
“うん、仕掛けてきたよね”
“乾かなきゃいいのにね”と
水をかけられて喜ぶ2人
手のひらの水滴が、腕の水滴が
宝石みたいにキラキラしてた
たまたま、少し先まで水を撒こうとしていたとこに
たまたま、ワタシたちが立っただけ、だろう
たった2人を、わさわざ狙ったんじゃないだろう
見てるような気がした、だけ
笑ってるような気がした、だけ
そう、あまりの暑さにぼーっとして
2人で幻覚を見たのかもしれない
たぶん、思い込み
でも、思い込みだって、いいの
それだって、素敵な思い出だから
幻覚を見た、セットの戯言です(笑)