あなろぐ

ここは私の巣穴です。自閉症の息子のことや、好きな作品のことなどを書きます。
最近のハマリものはイ・ジュンギ。愛だぜ。

「待つ」苦しさ

2004-11-23 03:13:06 | 障害の軌跡
お産のとき、難産だった人に比べれば大した苦痛ではないにせよ、いきむのを我慢しながら子宮口が開くのを待っているのはつらかった。ゴールのないレースは苦しい。
わが子が普通ではないかもしれないと思いながら、診断を待つのもつらかった。

1歳半健診で課題に何一つ応えられず、ひっかかったときは、複雑な気持ちだった。
「ちょっと遅れてるだけよ。大丈夫」という周囲の言葉にすがりたい気持ちと。
何かあるなら、わかるのは早い方がいい、という気持ちと。

表情の乏しいKouに、義父母からは陰で私が子どもをいじめてるんじゃないかとも思われていたから、Kouの行動の異常さに説明がつくなら、早く知りたかった。
健診、総合健診(発達に問題のある子どもの健診)、専門医受診、とステップを踏んだわけだけど、総合健診は4ヶ月後、専門医受診はさらにその3ヵ月後、といったスローステップだったので(予約待ち)、その期間の自分ときたら真っ暗だった。
「やまない雨はない」と言うけれど、いつやむかわからない苦痛、いつか青空を見られる日がくるのかどうかさえわからない苦痛。来る日も来る日も、ただ目をつぶって丸くなって辛抱しているような……。

今にして思えば、自閉症療育の先進地へ出かけてでも、相談を受ければよかったのだが、そこまで思い切った行動をとれるだけの精神力がなかったというのが正直なところ。
あの苦しかったころの自分に、今の自分ならアドバイスしてあげられるのに。
あのころ、周囲の人たちから言われた、「そのうち言葉も出るようになるよ」「気にしすぎよ」などの無責任な言葉は、「お母さんの愛情が足りない」とかの刺はもたないけれど、甘い毒をもっていた。どれだけ、母親自身が「気にしすぎ」であればいいと思っていたことか。どれだけその言葉にすがりたかったか。
無責任な慰めは、罪だ。

そのころの私を救ってくれたのは、保健婦さんでも専門医でもなく、自閉児の先輩ママだった。
子連れで家に呼んでくれて、自分たちの経験を話してくれた。
市役所や児童相談所で聞いても、そういういちばん知りたいことはわからないのだ。意外なほど!
(その人の息子は、Kouよりずっと「まとも」で、正直ちょっとジェラシーは感じたけど、当時の私ときたら、街中で親子が会話してるのを見ただけで胸が灼けるようだったのである。先輩ママにはほんとに感謝しているし、できれば私も、そんなふうにだれかの役に立ちたい。)

「目が合えば大丈夫」「多動がないから心配ない」「そのうち言葉も出るようになる」
といった、根拠のない慰めは、傷ついた親には毒だ。一見甘いもんだから、つい中毒する。保健婦さん、保育士さん、そのほか医療や教育にたずさわるすべての方々はもちろん、一般の保護者の方々にも、ぜひこの自閉症というわかりにくい障害を知ってほしい。

そんなわけで、敬愛するブログのひとつ、「きらきら ぐるぐる」の「大丈夫」という言葉 にトラックバックさせていただきました。

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3 コメント

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トラバ感謝です! (めめ)
2004-11-23 09:13:09
春花さま、トラックバックありがとうございます。読んでいて私も痛いほど「同じだよぉぉ~」と叫んでおりました。こういった記事を少しでも多くの「その筋の方々」に読んでいただけることを願います。



保健婦さんや保母さんたちの集まるところで「禁句!安易な大丈夫!」といったシュプレヒコールでもしたいほど。



「敬愛するブログ」などと書いていただいて、うれしはずかしでございました。今後ともよろしくお願いいたします。
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ママの気持ち (kuuc)
2004-11-23 10:52:41
いろんな事を思い出して、

少しうるうるしてしまいました。

そういえば、まだ、末っ子が何か

所謂普通の子と違うと思っていた頃

”ママがパソコンしてて、育児に熱心でない”とか

”末っ子だから、手をかけてない”みたいな

ことを言われ、私のせいなの??と

泣いていたことを思い出しました。

今もそのことを思い出せば、胸が痛い。。。
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がんばりましょうv (春花)
2004-11-28 15:43:24
>めめさん

ご来訪、コメント、ありがとうございます!

ちょびくんの様子、いつも楽しみに読ませていただいてるんですよ~。これからもよろしくお願いします。



>kuucさん

ねえ、母のせいじゃないですよね。

おまけに手をかけさえすればいい子が育つわけでもなし、無責任な「プチ評論家」は黙ってろ!と言いたい。でもその場では胸が痛くてとても言い返したりできない私。その憤懣をブログにぶつけるのでした。
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