「公法上の不当利得」は、行政法学でちらりと顔を出す存在。
民法の不当利得とは、「ズレる」ことがある。
「ズレる」とは、行政側が返還を請求できない場合があるということ。
さて、
1人当たり10万円を超える給付は、「法律上の原因」のない利益、すなわち受け取る理由のないものです。なので、原則として返還する義務があります。
物足りない表現(「原則として」という逃げ道を残した書き方、気に入らない)。
数日前の
2018年4月、市の担当者が男性の住民税額を決めるため「株式等譲渡所得割額控除額」を端末に入力する際、正しい額は約166万円だったのに、誤って約1668万円と入力。その結果、同年7月に男性の口座に本来の額より1502万円多く還付した
とセットで、検討できる事柄。
その検討の際には、
「租税過誤納金返還問題における民事責任論 不当利得ないし国家賠償の成否を中心に (村田 輝夫)」
が手元にあると検討しやすいでしょう(税法の論文ですけど、公法上の不当利得全般の検討に使えます)。
「重大・明白な瑕疵」
が要(行政法に慣れている方ならば聞き飽きているフレーズでしょう)。
ちなみに、
地方自治法
(寄附又は補助)
第二百三十二条の二 普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる。
1500万は「重大かつ明白な瑕疵」に基づく「無効な」交付、
だけど、十万円の方は……
地方自治法第二百三十二条の二を盾にしたくはなる。
ちなみに当方の銀行口座には未だ、特別定額給付金は届いていない。
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