教務日記

山の小学校の教務主任です。学校の様子をお知らせします。

5月5日(金) 正三・平洲・一斎のフォーラム参加

2006年05月05日 | 鈴木正三

今日、恵那市岩村公民館で開催された鈴木正三、細井平洲、佐藤一斎の「江戸期の三先人に学ぶ」というフォーラムに参加しました。
作家の童門冬二氏の司会で豊田市、東海市、恵那市の三市長がパネルディスカッションを行うというものです。
本校の地区からは「正三の里を守る会」の方を中心にマイクロバスで集まって参加しました。

童門さんからは、次のような基調報告がありました。

◆歴史上の人物を今生きている私達がどう活用するかが大切。生活にどう生かすかを考えよう。
◆3人(正三、平洲、一斎)の共通点
まず、行動する賢者であったこと。現場に密着して、実践の中で理想を追い求めたこと。次に庶民の側という視点を貫いたこと。権力者の側からでない。三番目に易しい言葉で語りかけていること。聞く側に立って、誰か困っていないか、社会の矛盾はないかを考えた。恕(じょ)は「やさしさ」「忍びざるの心」を示し「そのままにしておけない気持ち」を表す。3人はこの恕を持っていた。
◆鈴木正三について
徳川初期、士農工商の身分制度確立期に、縦の士農工商(身分制度)を横の士農工商(職業区分)とすることにより、商人の生き方にも光を充てた。天命による職業である。「行商人は仏の代行人である。天秤ぼうをかついで仏の意思をかなえている。だから自信を持って仕事に励め。私(仏)がいつもそばにいて助けてやる(=同行二人)。だからひどいものは売るな。」
この教えが商人を勇気付け、商人の職業倫理となっていった。
◆細井平洲
藩政改革者。実学。大名家が財政再建に必要なものは農民と土地しかない。それなのに農民を苦しめている。「忍ばすの心」をもって農民に接せよ。米沢藩の上杉鷹山の師として名高いが、人を育てるのは、苗木と同じ。その苗を見て苗に見合った肥料をやることが大切。
◆佐藤一斎
昌平坂学問所の学頭。今でいう東大筆頭教授。3000人の弟子を育てた。全方位の参加を許した巨大な人。当時は、松平定信の寛政の改革の時代で、「寛政異学の禁」により朱子学以外の学問が禁止されていた。しかし、一斎の門下には朱子学から陽明学まで学ぶ者がいた。きっと、一斎は学問の原理を教え応用は個人に任せていたに違いない。
◆町づくりと三先人
3人から町づくりについて学ぶことは、相手に対する思いやりである。温かい血を通わせること、住民に対するヒューマニズムである。
◆地方分権の時代に
地方分権はこれまでの横並びから地域間競争の状況を生み出した。地域から他地域への発信が重要になってくる。

これは、教育、学校についてもあてはまることだと思いました。「相手」を「子どもたち」に置き換えて聞いていました。 

鼎談では、童門さんが「市長さんの選挙公約に先人の教えはどう生きていますか」と切り出されました。さすがですね。
豊田市長さんは、自立という視点から、「自立した自治体の集合体としての豊田市」というお話をされました。新制豊田市は愛知県の面積の6分の1を占めます。各地区の独自性を生かすという点で共感を持ちました。また、正三さんが「仁王禅」を提唱したことを取り上げて、その時代にあったものを創造していくことの大切さを語られました。
東海市長さん、恵那市長さんともに、魅力的な都市づくりの理念を語られました。特に将来にむけての基盤づくり、人材育成のために教育に力を注いでみえたのが印象的でした。

「先人の生き方、考え方を今に生かす」…今回のフォーラムで一番心に残った言葉です。自分たちの取り組みを一度、正三の言葉から意味づける取り組みをしていきたいと思います。

今回、学区の方と車の中、岩村資料館、岩村の町並みを見学する中で親しくお話することができました。ありがとうございました。

今日の、フォーラム以外のことは、下記を参照ください。
▼18年5月5日岩村へ【カワセン日記】
http://hnk333.blog53.fc2.com/blog-entry-50.html


 


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2 コメント

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世法即仏法 (カワセン)
2006-05-17 01:14:29
oldjack様、コメントありがとうございます。

実践の生きる力、教育の中で大切にしていきたいと思っています。

本校の合言葉は「真心こめて力いっぱい」です。世法即仏法(世法仏法、二法にあらず)という正三の教えは、まさに、学問(教育)と生活の統一を説いていると思います。
ご活躍を! (oldjack)
2006-05-16 07:14:09
この数十年、我国は、過剰詰め込み教育の見直しをする筈が、「ゆとり」というsound sweetな言葉に惑わされて教育を荒廃させてしまいましたね。

しかし初等教育とはまさに正三の説いたような身近な基本動作を徹底的に身につけることに尽きると思います。



先進諸外国に学ぶため派遣された明治の岩倉使節団も、思想は高尚だが概念の詰めこみだけで実行動を伴わない我国の幕末の教育に比し、欧米の実践重視教育に感銘を受け(米欧回覧実記)、その後の日本の教育基盤を作ったという事です



今こそ先生方のようなご活動を大変頼もしく思います。

これからも是非頑張ってくださいね。