evidence?RCT
という、お医者さんの書いているブログの記事、を読んだ。
記事の本旨を離れて、私のような医学の門外漢にとっては、大層教育的で、興味深い記事である。
現代医学の取り入れている新しい手法、RCTの解説が、医学には無知でも技術屋である私には理解できて面白い。
引用すると:
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RCTとは,
何故Aという治療よりBという治療がよく効くのか,医学だけでは説明できない状況で、
あらゆる要素を取っ払って とにかくやってみて,
医学的にはよく分からないんだけども,こっちが良いと,統計学的に結論を導く手法である.
医者の役割は, 目の前の病人が良くなった,あるいは良くならないのならば,
そこにどんな病理,原因があるのかを、追及することである.
それを現在、医学だけではできないから,統計学は優れた手法なのである.
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この記事の筆者は、この解説をした後で、
学会でのボスのピントはずれな発言に怒っている。:
いまだ人類の誰も気づかないファクターをも込み込みで,そういう結果なのだから
人類はそれが何故そうなったのかを考えなさいよ..
という神様がくれたヒントの一端、なのに・・・
統計に『今は人類が』頼っているだけ、なのに.・・
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百人中の何人が生きて何人が死ぬかという統計学的有意差が無いからあなたの治療は議論の価値がありませんとは..
こいつらには、直近の5年生存率は計れても,数百年後の人類の未来は計れまい.
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この手の出来事は、日本では、医学だけでなく、
広く科学技術の世界で一般的に見る話である。
私も現役時代に随分と悔しい思いをしてきたが、自分一人が特別に不運だったとも思わない。
人間にはそれぞれに能力の差があるので、この記事のボスが無能力であって、新しい手法を理解できなくても仕方ない、と思う。
但し、このような思いをして、それに耐えて成果が実ったときには、成果を上げた人物にそれなりの栄誉を与えるべきだし、
また、途中でピントはずれを言って仕事の妨害をした人物については、その様なことがあったことを記録に留めて、本人の無見識を歴史に残すべきだと思う。
現在はいざ知らず、私の現役時代には、それが逆で、
ピントはずれを言って妨害した人物に栄誉が行ってしまった例を非常に多く見てきた。
私はそれを日本固有の現象と受け止め、
日本人は理系文化には適さない民族だと思ってきた。
今回のこの医学記事を見ていて、昔のことをいろいろと思いだした。