二人のピアニストに思う

gooニュース、注目のトピックスで「フジ子ヘミングがNHK斬り」を見て自分でもブログを作り、発言したくなった。

勝ち組事件と報道の自由

2010-09-19 03:33:58 | 歴史
太平洋戦争の終結後に、ブラジル在留の日本人社会に、
「勝ち組・負け組」事件が有って、多数の死傷者が出た
   ことは、当時微かに聞いたけれど、詳しいことは、
   全く知らなかった。
日本でも8/15の終戦を、承知するか、しないかで、
   各所で小規模な衝突はあったから、情報伝達の
   不完全なブラジルの地で、国粋的な人間が、
   “日本の敗北を素直に認めない”、
   くらいのことがあっても不思議でない,
   といった具合に、私は理解していた。

今回、この事件が現地で映画化されることになり、
   その製作が進んでいる話を新聞で見て、
   その解説で、私の考えの甘さを思い知らされた。

          ★ ★ ★ ★ ★

主題に入る前に、私の読んだ記事の
   筆者である新聞記者、について少し書いて置く。
   従来から、何かの機会に、この記者の書く記事
   には、私は不愉快なものを感じることが多くて、
      嫌いな人物。であった。

今回も記事の冒頭に、
  “日本国内では、こんな突拍子もないことがある
   のか、という程度の関心で、語られてきた”、
   とあるのが、不愉快である。

われわれの年代の者ならば、終戦のどさくさの時に、
   日本は未だ負けていない、と主張する戦争継続派
   が前線にも国内にも多く居たので、素直に戦争を
   止めようとする人達と、場合によっては
   生死を掛けた衝突だって、有り得たのは、常識である。

現に先月、30年ぶりに私を訪れてきてくれた昔の親友は、
   8月16日に周囲の制止を振切って特攻機に飛び乗り
   出撃したのだったし、彼が命長らえて帰郷した後も
  、一年間くらいは彼の母親ですら、
   腫れ物に触るような接し方をしていた。

日本の戦勝を信じる「勝ち組」が、敗北を認める「負け組」
        を国賊扱いして、テロに走ったとしても、
   十分に有り得る話であった。
当時を知らぬ若い記者、には理解できないので、
   「日本人同士の殺し合い」、は突拍子もないことに
    思うかもしれない。 しかし、
   その様な衝突の可能性は、常識であり、
      突拍子もないことではなかった。
“突拍子もないことがあった、という程度の関心で、
   語られてきた”、は、完全な彼の創作である。

“語られてきた”、というが、
   あの時代を生きてきた年配の者でも、
   遠いブラジルで「勝ち組・負け組」事件が有った話
   を知っている人間は、半数以下ではないかと思う。

戦後生まれのこの記者は、今回の映画の話題で、
   この事件を、初めて知ったのだろうと想像する。
   しかし、それならば、自分は知らなかった、と
       正直に書けばよい。

   毎回、彼の書く記事に、この種の創作文がある
   のを感じるので、私はこの記者が嫌いなのだ。
   自身の頭脳のレベルで、無いことを有るように
   言うのは止めて貰いたい。

一般市民ならば、何を主張しても構わないが、
   ジャーナリズムに関る人間には、社会的責任
   があるのだから。

          ★ ★ ★ ★ ★

とは、言うものの、私も彼のその解説で、自分の考えの
     甘さ、を思い知らされたのだから、
   感謝しなければならない、のかもしれない。

多数派である「勝ち組」 は、「敗戦を認める 非国民
       の 負け組 」にテロ行為を働き、
    23人を暗殺し、147人の負傷者を出した、
   という程度の事は、以前から知っていた 。

しかし、 私は、「勝ち組」も「負け組」も、日本の国
   のためを思うことは同じだが、現状認識に相違
   があったのだと、理解してきた。

戦争中、ブラジルは日本を敵国とし、日本語の新聞発行、
   教育も禁止され、移民は情報途絶していたから、
   終戦時から、  ”日本降伏の情報は謀略で、
     本当は勝った”、と主張する人々が居たのは、
   あり得る話、だと思っていた。

しかし、当時はその様なことが有ったにしても、
   この事件がブラジルの日本移民社会においては
   その後も、現在でも タブーであり、半世紀の間、
   一世の間で封印されてきた、なんて考えなかった。

          ★ ★ ★ ★ ★

私が、今回初めて知ったことは、 それが
      詐欺師が乗じた活動だった事実、である。
   詐欺師たちは、日本勝利の偽情報文、などを
   有料で奥地の移民らに撒いて、
      金儲けをした、という。
   日本が南洋などに占領しているという架空の
   土地に再入植する話、 などを持ち掛けて
      財産を巻き上げたりした、という。
   ミズーリ号の調印式で、降伏したのは
     マッカーサーの方で、マッカーサーの丸腰が、
         降伏の証拠   と説明したという。
     マッカーサーが、記念の贈り物にするため、
         途中で何度も万年筆を替える様子を、
        「手が震えて、また万年質が折れた」
     と言った、という。

この様な詐欺師の活動を支えたのは、
   当時のブラジルの、情報途絶した社会構造であった。

   それゆえに、民主主義社会の健全な発達の
    根本的に大切な条件として、
   「自由で健全な報道」の存在が求められる。

   ▲ 「司法」と「報道」(1):[B-133]
   ▲「司法」と「報道」(2):[B-134]  
を見ると、我が国の現状が不安になる。


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1 コメント

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新聞記者と竜馬伝作者 (佐久間象川)
2010-09-20 03:22:55
キャズ君が私の竜馬伝の記事を引用し感想を書いてくれたが、其処に述べられている”NHK竜馬伝の作者”と、本記事に述べられている新聞記者は、よく似ていますね。 こういうのが、ナウいのでしょう。
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