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青森市ボランティアポイント制度における「雪下ろし」議論にみる雪害対策の問題点

2018-01-22 12:15:15 | 災害
ここ数日、青森市をめぐる話題が続いている。

匿名の人物からの20億円という巨額の寄付、そしてボランティアポイント制度における除雪にかかわる支援についてである。

青森市ボランティアポイント制度における雪対策支援として以下5事業があげられている。

・ひとり暮らし高齢者世帯除雪奉仕活動:ひとり暮らしの高齢者世帯除雪
・屋根の雪下ろし奉仕活動:積雪が1mを越えたときに実施する屋根の雪下ろし
・福祉の雪対策事業:「福祉の雪協力会」の一員として除排雪活動
・冬期歩行者空間確保除雪機貸与事業:市から貸与される除雪機を使用した地域の歩道除雪
・冬期児童通学路確保に関わる除雪機貸与:事業市教育委員会から貸与される除雪機を使用した小学校通学路の除雪


青森市の除雪ボランティアに関する昨年のニュース写真を見て、思わず眉をひそめた。高齢者住宅の除雪作業に当たっている中高生はビブ(ゼッケン)だけ装着し、ヘルメットも帽子も着用していないのだ。作業管理と監督体制は一体どうなっているのだろう。
住宅周囲の除雪でも落下した屋根雪の下敷きになった死亡例が後を絶たない。子どもたちの安全は大人が守ってやらねばならない。
人口減少高齢社会の克雪は背に腹をかえられない深刻な問題である。
高齢者が個別に暮らすための支援には行政も行き詰まっており、苦しいところだろう。


除雪作業の中でも「屋根の雪下ろし」は特に大きな危険を伴う。屋根雪下ろしボランティアのニュース映像ではしばしば命綱を装着していないボランティアを見かける。転落したらどうするのか。
雪国で生活したことのない人が意外と知らないのは、積もった雪の下層は雪ではなくて完全に氷だということ。作業者が屋根から転落した上に、雪崩を打ったように氷の塊が落下してくるのである。

青森市と青森市社会福祉協議会HPを確認すると、残念なことに青森市の方は社協に振っている形で、ボランティア活動保険加入については記載がない。
毎年雪害や除雪作業で死者が出ていて少し慣れっこになっているのか、除雪作業に対する危険意識が希薄なのではないかと考えてしまう。
ボランティアポイント制度がいいアイデアだとか安易だとかという以前に、高齢社会をどのように生きてゆくか、どのように暮らしてゆくのかが切実な問題なのである。
青森市や青森市社協はボランティアの除雪作業における安全確保に配慮した上で、協力者を募るべきであろう。


消防統計は火災と救急搬送が主体で、自然災害や対策に伴う事故(労働災害扱いになるためか)による数が余り見えて来ない。雪害・除雪作業では毎年、多数の死者・負傷者が出ている。
消防庁の調べでは昨シーズンの雪下ろし・除雪作業の死者は判っているだけで23名、その他落雪や倒壊家屋の下敷きになるなどした死者は4名、雪害による負傷者600名(おそらく搬送数)を超えている。
消防統計は救急搬送された数であるから、転倒等による骨折・打撲などで救急搬送されず、報告されていないものは数千名のレベルと考えられる。


雪害や除雪作業の問題点や注意喚起は内閣府や国土交通省のHPにアップされている。
管轄が海上保安庁を含む国交省、法務省・警察庁、総務省・消防庁、防衛省・自衛隊、環境省、厚労省等々に跨っている問題の総括を内閣府・国土交通省に任せるだけでは迅速な対応は不可能と思われる。

自然災害やいわゆるCBRNE(化学、バイオ、放射性物質、核、爆発物)対策とその復旧復興にかかわる危機管理専門部局の設立を急ぐべきではないのか。


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