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さそり猫の無流ブログ。

日常のつれづれを不定期で綴っています。

【すべて真夜中の恋人たち】@川上未映子

2014-12-17 12:04:36 | 読書
   恋愛の内容もあれど、友達、というのか不器用な性格の女性たち、


   といった、人とひととの関係も描かれた作品でした。


   主人公の冬子は、どうも他人から見下されてしまいがち。


   まあ、頑固さと軸のブレが混在したような、いわば、こじらせ系


   一歩手前の女性、とも呼べるかな。


   そんな彼女は、会社でも不遇な対応をされてしまい、ついには退職。

 
   しかし、捨てる神あれば拾う神あり、とばかりに、人づてを頼って


   フリーランスの校閲者になれるのだから、ラッキーです。


   そこで知り合った、聖なる、仕事も出来て、恐らくは美人、男性にも


   モテて、しかし、その正直すぎる性格が災いして、時として、


   関わり合いたくない人、とも思われてしまう。当然、女友達はいない。


   そんな彼女には、冬子の不器用な性格がうってつけだったらしく、


   なんだかんだ言っても、便りにしているんですね。


   冬子と三束さんという男性との恋は、プラトニックなのか何なのか


   こちらも微妙なれど、不思議な感じでした。


   

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何者 @朝井リョウ

2014-12-12 08:41:20 | 読書
  就職活動がいかに若者たちの心を狂わせ疲弊させていくのか。


  決して責められず、ましてや笑えず、心が痛くなりました。


  友達がいないことが恥ずかしいのではなくて、友達を


  大切に思えず、陰口をたたき自らの不安解消の対象にしか


  思えない方がよっぽど恥ずかしい。


  拓人は、寸でのところで、理香さんに気付かせてもらえた


  ですけどね。


  なんだか"ママ友”やら、”マウンティング”と通じる


  ところがありましたね。


  いろいろと考えさせられて、有意義な作品でした。


  

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へヴン @川上未映子

2014-12-05 08:35:07 | 読書
  いじめを受けている中学生の、いわば暗い内容ではありましたが、


  だからこそ、一気読みしました。


  どうして、こういった苛めが無くならないのか。


  この作品の中の登場人物のひとりである、イジメグループの


  クールな百瀬の言葉を読めばある意味納得。


  ”相手のこと”なんて考えないのですね。目を向けないというのか


  怖くて敢えて避けているのかもしれない。ほとんど屁理屈ですもの。


  たったひとりの主人公の友達である女子のコジマとのやりとりは


  時に救いであり、同時に絶望でもあって、心痛くなりました。


  彼女の中にある病的なこだわりを解き放ってやることはできないのかと。


  最後に主人公が目の手術をすることで、少しだけ、いや大きく視野が


  拡がってくれることを願うまでです。


  

  
   ”いじめ”の傍観者は、それも加担しているのと同じ、というけれど、


   改めてそう思いました。それまでは、自分がいじめられ経験があれど、

   
   そういう立場を責められないとも感じていました。しかし、同じクラスに


   なることや偶然だからって、無関係という訳ではないとも思います。


   それはひとつの”試練”なのかもしれないし。そのことについて、


   必要以上の暴力や誹謗中傷を見て見ぬふりして、自分は関係ないし、


   言われる方も悪い、なんて自分の正当性を主張してみても、いつかは


   別の困難に自分が立たされるでしょうし。その際、あの時にもっと立ち迎えていたら、


   この難局を超えられたかもしれないのに・・・と深く後悔するだろうな、


   なんて考えを巡らせてしまいました。


   

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デビクロくんの恋と魔法 @中村 航

2014-12-02 08:33:30 | 読書
   映画の原作、というより、この原作を映画化した、といったほうが


   しっくりくるのかもしれません。


   主人公、山本光は書店員として働きながら、一方で”デビクロ通信”なるものを


   作成し、夜な夜な、さまざまな個所に張り付けている。


   その正体を知っているのは、高橋杏奈だけ。


   どちらかというと、杏奈の光への想いが綴られていた作品でしたね。


   小さくて、ものすごい展開が待っている訳ではないのですが、


   ときどき、はっとさせられたり、読み終わってから優しい気持ちに



   させてくれる、そんな小説でした。


   

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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 @村上春樹

2014-11-28 08:30:01 | 読書
  多感な時代に信頼していた仲間から、よそよそしくされ、


  理由もわからないままに、30代半ばになり・・・。


  そりゃあ、辛くて辛くて人間不信に陥るでしょう。


  つくるくんのような性格だから人を恨まずに淡々と生きて


  これたのか、または、そんなことをされたからこそ、


  お付き合いしても心ここにあらず、の状態だったのか・・・。


  灰田くんも不思議な存在だったけれど、彼なりにこれ以上つくるくんと


  親しくしてしまうと依存すると警戒してしまったのでしょうか?


  アカもアオもそしてクロことユリは、一見うまく立ち回っているようでしたが、

 
  孤独や人を傷付けてしまった代償におびえながら生きていかなきゃならないのかな。


  それにしても、シロことユズは気の毒すぎました・・・。


  
  

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海を感じる時@中沢けい

2014-07-31 08:30:09 | 読書
  時代が、30年以上さかのぼりますので、やや気恥ずかしい言い回しは


  あれど、登場人物の性格、感情などが繊細につづられていて、


  読み応えありました。


  主人公の恵美子のピュアなのだろうけれど、どこか独りよがりな


  想い(恋愛、特に片思いはそうだけれど)は、気の毒さと愛おしさと


  半分半分な感じがしました。


  お母さんの、ヒステリックは、娘の為じゃなくて、自分の寂しさ、つまり、


  夫を失ってずっと一人でいることに、実はとても耐えられくなっているのに、


  自分が失ったその部分を、娘は得ようとしているわけで。母と娘の確執が生々しかった


  ですね。まあ、意地悪な姑に、遺産が手に入らない様にされてしまったのだから、

 
  その悔しさも手伝っているのでしょう。おかあさん、友達いないのかな?


  原作ならでは、の登場人物の一人、川名くんは、好青年でしたね。素直で。


  恵美子のことを中学からずっと好きで。でも、振り向いてもらえないのわかって、

  だから、なんとか理屈をつけて、気持ちを収めたりして。その後、ちゃんとかわいい


  彼女が出来て、ほんと、良かったです。こういう青年は、貴重だ。


  恵美子を翻弄する、洋ですが、まあ、恐らく、70年代特有の言い回し連発なのな~。


  自分でその気にさせておきながら、本命の子が振り向かないからって、あんまりだ。


  いまどき、こういうタイプの人は、ただの勘違いな痛い人、ですが、あの当時


  だからこそ、存在に色がついていると言おうか、何と言おうか。うんざりするほど


  冷たいですものね。


  映画化になるけれど、予告だと、どうも艶っぽさばかりが強調され気味で、

  
  もはや別物(当たり前だけど)になってしまって、恐らく、川名君の出番など


  さらさらない様子で。ここのところ、この作品だけでなく、とにかく指定なもの


  多くて、その方が、作品の評価が上がるのでしょうかね?最近の疑問です。


  ・・・ってこれは、小説の感想とは別ですけど(>_<)。


  
    

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怒り @吉田修一

2014-07-17 08:40:52 | 読書
  ある殺人事件の容疑者を巡り、振りまわされてしまう人々の姿。


  やっと、素敵な人と出会えた、と思った洋平と愛子父娘の前に現れた


  田代、なのか。


  その場限りのいい加減な母親のために転々として過ごしてきた、けなげな


  女子高生、泉が島で出会った、田中なのか。



  偶然出会った、正体の知れぬ男に、病床の母を見舞ったり、兄嫁に紹介したり、


  打ち解けてみるものの、彼も怪しい・・・。、



  結局、完全に信じることがどんなに難しいことか。


  個人的には、女子高生、泉ちゃんのボーイフレンド的存在の、辰哉くんが気の毒で


  ならなかったです。彼こそ、一番の被害者では?と感じてしまったくらい。


  いい加減なお母さんも嫌ですが、中途半端に優しい泉ちゃんも意外と罪だな、


  と思ったりして。もちろん、彼女も、とても酷い目に遭ったり傷付いてはいるのですが。


  そして、読み終わって、まさに題名通り、『怒り』を感じたのでした。


 
     

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偉大なるしゅららぼん @万城目学

2014-02-27 08:45:22 | 読書
  壮大なる、ファンタジーとでもいいましょうか。


  登場人物が現代人とは思えぬ若者でした。


  何より、思いもよらない力を得ているので、付いて行くのに


  必死の内容でした。


  オチは、なんとなく、筒井康隆ワールドを思わせましたね。


  

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シーラブズ・ユー @小路幸也

2014-02-27 08:40:52 | 読書
 「東京バンドワゴン」の続編。


  のほほん、とした日々の中、マイペースな登場人物たちの


  近辺で起こる出来事を綴っています。


  藤島社長の過去、お姉さんのエピソードは、ドラマでも描かれ


  ましたが、原作にも記されていたのですね。ほのぼのなお話し


  と思っていましたから、ドラマ用、オリジナルのエピソードか


  と観ている時は思っていました。


  ほかにも、藍子さんとマードックさんの結婚や亜美さんと


  すずみさんのダブルおめでたなど、時間の経過を伺わせます。


  ・・・そして、我南人さんは、ひょっとして、池沢さんと


  ?という含みを持たせての結びでした。


   

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平成猿蟹合戦図 @吉田修一

2014-02-27 08:35:11 | 読書
  様々なタイプの登場人物たちが、実はひょんな繋がりをもって


  話が展開しているので、驚きました。


  まさか、歌舞伎町でちゃらちゃらと働く、どこか抜け目ない性格の


  青年が、国会議員になってしまうとは。


  そして、片田舎から上京してきた、若い母親が一時的とはいえ、


  タレント扱いを受け、加えて、その旦那は、マネージメント業に

  手腕を発揮してしまう。


  しかし、一方では、厳しい環境下で子ども時代を過ごし、大人になってからも


  その呪縛から逃れられず、とんでもない事件を起こしてしまう、兄弟の悲しい

  
  姿も描かれていました。


  それでも、読み終わってみると、爽快感が残りました。


  

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