弘子のおかげで太郎は知り合いも増えて孤独な中学生の生活ではなくなった。それどころか、
「人も羨むような素晴らしい日々を送っていたのである」
だが、やがてその素晴らしい生活も終わりを告げる時が来た。
「弘子との仲が悪くなったのではない」
中学生活が終わる時が来たのである。
「卒業する時が来たのだ」
太郎はしみじみと思った。
「ぼくの十五年の人生は、まず最初に人も羨むような素晴らしい日々が来る。だが、それは必ず悲しい別れによって終わる」
こう自分に言い聞かせるように呟いて、ため息を吐くのだった。
「今まさにまた悲しい別れが来ようとしている」
こう思うと切なかった。
卒業式の後、太郎は弘子に言った。
「これからもずっと一緒にいようね」
弘子は目を潤ませて、
「うん」
と言葉を返した。
太郎は自分の言葉が、
「あてのない言葉」
この事を今まで自分が生きてきた人生の経験でイヤと言うほど分かっていた。だが、そう言わずにはおれなかったのである。
「新しい人生が始まる」
こう思う事にしよう。
太郎は自分を叱咤激励するのだった。
完
「人も羨むような素晴らしい日々を送っていたのである」
だが、やがてその素晴らしい生活も終わりを告げる時が来た。
「弘子との仲が悪くなったのではない」
中学生活が終わる時が来たのである。
「卒業する時が来たのだ」
太郎はしみじみと思った。
「ぼくの十五年の人生は、まず最初に人も羨むような素晴らしい日々が来る。だが、それは必ず悲しい別れによって終わる」
こう自分に言い聞かせるように呟いて、ため息を吐くのだった。
「今まさにまた悲しい別れが来ようとしている」
こう思うと切なかった。
卒業式の後、太郎は弘子に言った。
「これからもずっと一緒にいようね」
弘子は目を潤ませて、
「うん」
と言葉を返した。
太郎は自分の言葉が、
「あてのない言葉」
この事を今まで自分が生きてきた人生の経験でイヤと言うほど分かっていた。だが、そう言わずにはおれなかったのである。
「新しい人生が始まる」
こう思う事にしよう。
太郎は自分を叱咤激励するのだった。
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