【ヨコトリ2014参加作家紹介】
写真家トミダ ヒトシ氏
-「ゾウノシッポ(1999年35分/スライドフィルム式映像作品)」鑑賞
≪作家による作品解説(全文掲載)‐1999年版
:1990年に米国に来た当初は、中古荷車付乗用車を買ってあちらこちらへ出かけて行った。NYを出て、気付くとメキシコへ来たこともあった。移動している間だけが自分の居場所のようで救われていた。路上での孤独感と解放感などというのが逃げるための言い訳でしかなく、旅先でのよく知りもしない人や町の眺めを撮ることが身勝手な行為でしかないことを知るのに2年かかった。誰も、何事も、写真に撮られるために存在していはいない。写真を撮ることをやめ、NYで自分の部屋とアルバイト先を往復していた。自分が何をしているのか、何かしたかったのか分からず、窓からおもてを眺め続けた。
1年経ち、ふたたび写真を撮ろうと決めた。何でもないものが何でもなくなること。探しに行くことはせず、繰り返す日常を見続けた。「写真」になる眺めはもう探されてはいない≫
=写真集・現像せず、映写機によるフィルム投影形式発表する、作家トミダ氏。
発表時、常に自ら投影する。
今回、上映されたのは無声映画のように途切れ途切れに字幕を入れつつ、日常をつづっていく。
◎対談―トミダ氏×天野太郎氏(ヨコトリ2014首位学芸員)
ト「スライド形式をどう見てもらえるかーこうしたのは、一瞬のを消えていく日々を写せる。パネル・写真集にすると飛ばしたり見つめたり戻ったりできる、でもスライドにすれば嫌でも目に入り消えていく-人生みたいなものと思える」
天「最初見た時は札幌のビル屋上―街の雑踏が少ない。ボク見た時、≪この見た記憶を持って帰りたい≫と思い対談でもそう言って客にも振ったぐらい―独特で印象深い」
ト「野外上映―都市に空気を借景に、幕を貼って上映。「ゾウノシッポ」制作中、米国でゲリラ上映した」
天「この人はボクが森村氏に推薦―忙しい中、札幌で見てもらった。森村氏もすっかり気に入りリストに加えてくれた」
Q-「ゾウノシッポ」の由来
ト「元々、一本だけで無題―米国ゲリラ上映中アートイベントの人に≪10分の短いのを≫と言われて造っている内に―由来になったのはインドの古事で盲目の人々が触っているけれど誰も象とは分からないという所から。米国では象は記憶の象徴だったから」
Q-撮り方
ト「在米中撮れなくなった―対象を演技されないワザとらしさをないようにしたい。≪ウソをつきたくない≫-旅行中、自分が使いたい風景を撮っているような気がした。思っていたとは真逆な事が多かったので、そう強く感じた。
撮った後、そのイミを気付いたり思ったりすると、まとめていた作品を入れ替えていく」
天「感覚が後から気づく―写真は思ったより色々入る情報量が多い―時間が経つ程意識がかわってくる」
ト「高校生までは写真嫌い―一瞬一瞬が写真で残るのがいやで、20過ぎて米国に行きたまっていたのをはき出したいと思った時、友人からカメラを借りてから撮るようになった―その時、忘れていた記憶から撮っていたと気付いていった」
天「トヨダさんの作品話すればするほど空々しくなるのでやめる―この人のは、体験して初めてわかる」
ト「NYで、写真撮れず悩んでいた時、車のガラス屋―窓からその店を撮っていったのを振り返って」
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