アナーキーのマリが死んだ。
原因はわからない。薬物か、自殺か、事故か。
俺にとってはかなりショックなニュースだ。
白に近い金髪でヒョウ柄のジャケット。決して上手くないギターをかき鳴らす男。恋人の浮気を許せず刺した彼はロッカーだった。シド・ヴィシャスのような退廃的なロッカー。そんな彼が死んだ。
Yahoo!のトップニュースになっているのが不思議。
アナーキーの逸見泰成と言われても、知ってる人は知ってるがほとんどの人は「誰?」って知らないだろうに。通称マリと呼ばれてたが、それだってただ名字がへんみだから、シャレで辺見マリ(辺見えみりのお母さんね)からつけられたあだ名だ。昔、俺のツレに「おゆき」って呼ばれてたやつがいるが、そいつも名字が三島だったから三島由紀夫をシャレてつけられたあだ名だ。(年賀状だったか卒業アルバムを見て初めて本当の下の名前を知った)
亜無亜危異/アナーキーは俺のロック人生(そんな大げさなもんでは無いが)を変えたバンドだ。
ANARCHY、MODS、STALINの3バンドが俺を変えた。BOOWYとRED WARRIORSはその後だ。今でももちろん聞いている。
でも、今の若い人は知ってる人少ないだろう。
この7月にどっかのライブハウスのイベントで再結成するって話が流れてたので、おっ!って思ってたんだが・・・。確か氣志團も参加するってイベントだったと思うが。
中学卒業の頃、友達に勧められて聞いたDEEP PURPLEのMACHINE HEAD。フォークギターからエレキギターに持ち替えた。通販で買ったTOKAIのムスタング。アンプは金城のにいちゃんからもらった真空管アンプ(メーカー忘れた)。それでKISSやQUEENなどのコピーバンドに色々参加してた。
でもさ、なんか違うのよね。これじゃないんだよなぁ。ファークの貧乏くさい世界感や恋人の歌はもうパスだが、ハイトーンボイスよりももっと野太い声、メロディアスなギターソロよりガツンとくるリフ、そんなのを求めてた。
歌詞が英語だからかなぁ、神とか悪魔とか愛だ恋だじゃないのよ、もっと社会的メッセージ色の強いのが演りたいんだよ。でもボブ・ディランとかじゃないしなぁ。政治的な事だけじゃなく今の生活とかつまんなん学校とか行き場のない怒りとか不安とか・・・。
そんなとき同級生が貸してくれた一枚のレコード。
レンガの壁の前で国鉄の制服を着て立ってる5人組。大きくカタカナで殴り書きのようなアナーキーの文字。
誰なの?これ。
聞くとYAMAHAのイースト・ウエストで優秀賞を取ってデビューしたバンドとのこと。今みたいにネットがある時代じゃないから、情報はそれだけ。EAST WESTといえばサザンオールスターズとかシャネルズだよな。カシオペアも確かそうだったな。ポプコンよりはロックだがなぁ。どうなんだろう。
早速家に帰って針を落とすと「ノット・サティスファイド」のリフから強烈なボーカル。
なんじゃこりゃ。俺が求めてたものがここにあるぞ。
歌詞カードを見ると、俺の心を見透かしたように、不満と憤りが書かれてる。
しかも演奏はシンプルなコード進行のパンクロック。これならタブ譜なんか必要ない、早速ギター片手に音を拾いつつ弾く。
笑ってしまうほど全曲いい!
薄汚い俺たちをこそこそ悪口を言う「団地のおばさん」
ファッションサーファーをバカにした「シティサーファー」
パトカーに追われるやつらの「あぶらむし」
退屈な授業は将来本当に役に立つのか「教室の中で」
今でも歌詞カードや楽譜、レコード見なくても歌詞も全部言えるし、ギターも弾ける自信がある。
洋楽はハードロックばっかりでパンクを聴いてなかったから、アナーキーというバンド名がSEX PIstlesの「Anarchy in the City」から取られてるとかって言われてもピンときてなかった。
途中P音で消されてたりする曲もある。
これも当時はまだ原曲を知らなかったのだが、クラッシュの「ロンドンは燃えている(LONDON is Burning)」をカバーした曲らしい。
この曲は、天皇陛下を批判した歌だから、レコード化する際には右翼と揉めたそうだ。(当時は日教組のバカな教育のせいで、君が代反対!天皇反対!って俺も勘違いしてた)同じくCLASHの白い暴動(WHITE RIOT)もカバーした曲もこのアルバムには入ってる。
もし先にピストルズとかクラッシュに出会ってたら、また違ったんだろうけどね。
ツレが貸してくれたこの一枚のレコード。
こいつのおかげで俺がやりやいバンドが決まった。
早速カセットテープにダビングして、こいつはって奴に「聴いてみてくれ」って渡し、気に入ってくれたら(しぶしぶでも)「こんなバンドやらないか?」ってメンバー勧誘。そうこうしてバンド結成。退屈だった学校生活は、バンド中心の生活になった。
アナーキーのライブにも行った。
バーボンハウス。大阪梅田の今は無きライブハウスだ。(多田かおるの「愛してナイト」って漫画で全国的に有名になったな)
特攻服、革ジャン、金髪、メイク、ヤンキーなのかロック好きなのかわからんくらいガラの悪いやつばかりが、仲野茂のボーカルに合わせ叫ぶ。藤沼のギターに合わせ縦ノリし、小林のドラムに酸欠状態になってる。あちこちで倒れてる。あちこちで喧嘩してる。当時のライブなんてこんなもんさ。そこでマリは黙々とギターを弾いていた。
その後、アナーキーは次々とアルバムを出す。
2枚目「80'維新」
3枚目「亜無亜危異 都市」
4枚目「READY STEADY GO」
でも、5枚目「ANARVHTHM」でちょっと「あれ?」って感じになっていく。
そして、マリが人を刺して捕まったというニュースがテレビやラジオで流れる。
深夜の飲み屋で、恋人が浮気してる現場を見て逆上して刺したとのこと。
当時はネットも何もないし、閉口令みたいなのが引かれたのか新聞はおろか音楽雑誌にも詳しい情報は載ってなかった。
松田優作が拘置所に面会に訪れたってことだけはなぜか流れてきたが。確か松田優作が監督した唯一の作品「ア・ホーマンス」撮影時の頃だったと記憶してる。
その後いろんな本や、知人・友人・バンド仲間・音楽関係者などから聞いた話つなぎ合わせると、この事件で刺されたのはPERSONZのJILL。浮気相手は当時無名だった暴威(後のBOOWY)の布袋寅泰。修羅場となった現場は新宿LOFT。バンドマンの聖地の一つだ。
事件の連絡を受けて駆けつけたのがARBの石橋凌と松田優作。連絡したのは原田芳雄だったそうだ。
この事件があって布袋は山下久美子との結婚を急がされたらしい。PERSONZはその後デビューした。
この経緯は石橋凌や松田優作の本にもちょこっと書かれてる。
この事件後、アナーキーはバンド名をTHE ROCK BANDに変えた。
PANTA、ルースターズ、ARB、ジョニーサンダース、忌野清志郎、ムッシュカマヤツなどの豪華メンバーでのセッションイベント、カバースペシャル以降はグランジみたいな曲をやってる。
ちょっと前にアナーキーのフィルムみたいなのが作られて、ブルーハーツ(あれ?ハイロウズの頃か)の甲本ヒロトが「アナーキー、アナーキー」って歌ってる。
でも、どれにもマリは参加していない。
亜無亜危異の逸見泰成。
彼こそは、バンド名と同じくアナーキーなロックギタリストだった。
平和の裏側でゆっくり休んでくれ。
追記:2018年6月、アナーキーのアルバム名に誤りがあったため訂正しました。
原因はわからない。薬物か、自殺か、事故か。
俺にとってはかなりショックなニュースだ。
白に近い金髪でヒョウ柄のジャケット。決して上手くないギターをかき鳴らす男。恋人の浮気を許せず刺した彼はロッカーだった。シド・ヴィシャスのような退廃的なロッカー。そんな彼が死んだ。
Yahoo!のトップニュースになっているのが不思議。
アナーキーの逸見泰成と言われても、知ってる人は知ってるがほとんどの人は「誰?」って知らないだろうに。通称マリと呼ばれてたが、それだってただ名字がへんみだから、シャレで辺見マリ(辺見えみりのお母さんね)からつけられたあだ名だ。昔、俺のツレに「おゆき」って呼ばれてたやつがいるが、そいつも名字が三島だったから三島由紀夫をシャレてつけられたあだ名だ。(年賀状だったか卒業アルバムを見て初めて本当の下の名前を知った)
亜無亜危異/アナーキーは俺のロック人生(そんな大げさなもんでは無いが)を変えたバンドだ。
ANARCHY、MODS、STALINの3バンドが俺を変えた。BOOWYとRED WARRIORSはその後だ。今でももちろん聞いている。
でも、今の若い人は知ってる人少ないだろう。
この7月にどっかのライブハウスのイベントで再結成するって話が流れてたので、おっ!って思ってたんだが・・・。確か氣志團も参加するってイベントだったと思うが。
中学卒業の頃、友達に勧められて聞いたDEEP PURPLEのMACHINE HEAD。フォークギターからエレキギターに持ち替えた。通販で買ったTOKAIのムスタング。アンプは金城のにいちゃんからもらった真空管アンプ(メーカー忘れた)。それでKISSやQUEENなどのコピーバンドに色々参加してた。
でもさ、なんか違うのよね。これじゃないんだよなぁ。ファークの貧乏くさい世界感や恋人の歌はもうパスだが、ハイトーンボイスよりももっと野太い声、メロディアスなギターソロよりガツンとくるリフ、そんなのを求めてた。
歌詞が英語だからかなぁ、神とか悪魔とか愛だ恋だじゃないのよ、もっと社会的メッセージ色の強いのが演りたいんだよ。でもボブ・ディランとかじゃないしなぁ。政治的な事だけじゃなく今の生活とかつまんなん学校とか行き場のない怒りとか不安とか・・・。
そんなとき同級生が貸してくれた一枚のレコード。
レンガの壁の前で国鉄の制服を着て立ってる5人組。大きくカタカナで殴り書きのようなアナーキーの文字。
誰なの?これ。
聞くとYAMAHAのイースト・ウエストで優秀賞を取ってデビューしたバンドとのこと。今みたいにネットがある時代じゃないから、情報はそれだけ。EAST WESTといえばサザンオールスターズとかシャネルズだよな。カシオペアも確かそうだったな。ポプコンよりはロックだがなぁ。どうなんだろう。
早速家に帰って針を落とすと「ノット・サティスファイド」のリフから強烈なボーカル。
なんじゃこりゃ。俺が求めてたものがここにあるぞ。
歌詞カードを見ると、俺の心を見透かしたように、不満と憤りが書かれてる。
しかも演奏はシンプルなコード進行のパンクロック。これならタブ譜なんか必要ない、早速ギター片手に音を拾いつつ弾く。
笑ってしまうほど全曲いい!
薄汚い俺たちをこそこそ悪口を言う「団地のおばさん」
ファッションサーファーをバカにした「シティサーファー」
パトカーに追われるやつらの「あぶらむし」
退屈な授業は将来本当に役に立つのか「教室の中で」
今でも歌詞カードや楽譜、レコード見なくても歌詞も全部言えるし、ギターも弾ける自信がある。
洋楽はハードロックばっかりでパンクを聴いてなかったから、アナーキーというバンド名がSEX PIstlesの「Anarchy in the City」から取られてるとかって言われてもピンときてなかった。
途中P音で消されてたりする曲もある。
これも当時はまだ原曲を知らなかったのだが、クラッシュの「ロンドンは燃えている(LONDON is Burning)」をカバーした曲らしい。
この曲は、天皇陛下を批判した歌だから、レコード化する際には右翼と揉めたそうだ。(当時は日教組のバカな教育のせいで、君が代反対!天皇反対!って俺も勘違いしてた)同じくCLASHの白い暴動(WHITE RIOT)もカバーした曲もこのアルバムには入ってる。
もし先にピストルズとかクラッシュに出会ってたら、また違ったんだろうけどね。
ツレが貸してくれたこの一枚のレコード。
こいつのおかげで俺がやりやいバンドが決まった。
早速カセットテープにダビングして、こいつはって奴に「聴いてみてくれ」って渡し、気に入ってくれたら(しぶしぶでも)「こんなバンドやらないか?」ってメンバー勧誘。そうこうしてバンド結成。退屈だった学校生活は、バンド中心の生活になった。
アナーキーのライブにも行った。
バーボンハウス。大阪梅田の今は無きライブハウスだ。(多田かおるの「愛してナイト」って漫画で全国的に有名になったな)
特攻服、革ジャン、金髪、メイク、ヤンキーなのかロック好きなのかわからんくらいガラの悪いやつばかりが、仲野茂のボーカルに合わせ叫ぶ。藤沼のギターに合わせ縦ノリし、小林のドラムに酸欠状態になってる。あちこちで倒れてる。あちこちで喧嘩してる。当時のライブなんてこんなもんさ。そこでマリは黙々とギターを弾いていた。
その後、アナーキーは次々とアルバムを出す。
2枚目「80'維新」
3枚目「亜無亜危異 都市」
4枚目「READY STEADY GO」
でも、5枚目「ANARVHTHM」でちょっと「あれ?」って感じになっていく。
そして、マリが人を刺して捕まったというニュースがテレビやラジオで流れる。
深夜の飲み屋で、恋人が浮気してる現場を見て逆上して刺したとのこと。
当時はネットも何もないし、閉口令みたいなのが引かれたのか新聞はおろか音楽雑誌にも詳しい情報は載ってなかった。
松田優作が拘置所に面会に訪れたってことだけはなぜか流れてきたが。確か松田優作が監督した唯一の作品「ア・ホーマンス」撮影時の頃だったと記憶してる。
その後いろんな本や、知人・友人・バンド仲間・音楽関係者などから聞いた話つなぎ合わせると、この事件で刺されたのはPERSONZのJILL。浮気相手は当時無名だった暴威(後のBOOWY)の布袋寅泰。修羅場となった現場は新宿LOFT。バンドマンの聖地の一つだ。
事件の連絡を受けて駆けつけたのがARBの石橋凌と松田優作。連絡したのは原田芳雄だったそうだ。
この事件があって布袋は山下久美子との結婚を急がされたらしい。PERSONZはその後デビューした。
この経緯は石橋凌や松田優作の本にもちょこっと書かれてる。
この事件後、アナーキーはバンド名をTHE ROCK BANDに変えた。
PANTA、ルースターズ、ARB、ジョニーサンダース、忌野清志郎、ムッシュカマヤツなどの豪華メンバーでのセッションイベント、カバースペシャル以降はグランジみたいな曲をやってる。
ちょっと前にアナーキーのフィルムみたいなのが作られて、ブルーハーツ(あれ?ハイロウズの頃か)の甲本ヒロトが「アナーキー、アナーキー」って歌ってる。
でも、どれにもマリは参加していない。
亜無亜危異の逸見泰成。
彼こそは、バンド名と同じくアナーキーなロックギタリストだった。
平和の裏側でゆっくり休んでくれ。
追記:2018年6月、アナーキーのアルバム名に誤りがあったため訂正しました。
4枚目がレディーステディーゴー
そうだ、2nd.が80’維新で3rd.が亜無亜危異都市、そして4枚目がReady Steady Goですね。
すっかり勘違いしてました。
俺の音楽の入り口はアナーキーでした。