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約日刊おもいつ記Z

気の向くまま~んに。つれづれなるまま~んに。お気に召すまま~んに。

厭世フレーバー

2008-09-09 23:15:27 | book
三羽省吾著「厭世フレーバー」、読了。

名も知らない作家の本を
なんとなく手に取って読んでみる。
そうすると、意外と
掘り出し物にブチ当たる時が多い。
今回の本も、まさにそれ。

傑作みつけました。

父親が失踪してしまった、とある家族。
14歳の次男、17歳の長女、24歳の長男、42歳の妻、73歳の祖父。
それぞれが語り手となり、それぞれの鬱積した想いを語っていく。

解説文で角田光代も同様の事を書いているが
この本は「家族小説」のカタチをした
「ある意味、大河小説」だと思う。

戦中戦後~経済成長期~バブル期~不景気という渾沌とした時代。
それぞれの時代を生きてきた5人の歴史は、
いまの日本人が生きてきた歴史そのものだ。

本当の家族を知らない家族の物語。
テーマは重いけど、どこまでもポップ。
現代的だけど、ひそやかに古典的。

この人、すげーぞ。