弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

ヒラリーのemail 事件に絡んで、いかにもヒラリー流

2015年03月07日 | 日記

ヒラリーが国務長官時代に公務に個人のイーメール・アドレスを使っていることが
わかり、大統領候補として影響があるかが盛んに論じられています。この3日間ほど。

要点をまとめてみよう。
1 公用のアドレスは一切使用せず、すべて個人用のアドレスを使っていたこと
2 ニューヨークの自宅を登録住所とする自家製のサーバーであったこと
  彼女が国務大臣になった後の2010年8月に登録されている(在任期間:
  2009.1.21~2013.2.1)。

  自家製のサーバーはEric Hotehamという偽名(スードニム) でレジスターされて
  いるということである。
  これらの情報はAP通信の調べによるものである。
3 上記1の事実は、現在進行中の訴訟(ベンガジ事件を巡り、情報公開を求める)
  の中で、今年2月になって初めて、政府側代理人がほのめかした結果であったこと。
  それまでは、調査したが(クリントンの)見つからないという回答だったのである。
  下院のベンガジの調査委員会さえも、ヒラリーが個人用のアドレスだけを使っていた
  ことを知ったのは最近になってということです。
  (内部の者が知らないわけはない)。誤解させておけばいいというわけでしょう。 
4 ヒラリーが55,000通に及ぶイーメールを国務省側に引き渡したのは、国務省側の
  要求に基づくものであり、国務大臣を退職した後半年以上も経過した12月であったこと。

自家製のサーバーであったことは特に重要だと思います。
なぜかというと、サーバーの提供者として、プライバシー等を主張することができるということです。 
55,000通を引き渡したというが、公用かどうかの判断をしたのは、もっぱらヒラリーだと
いうこともです。
いずれにしてもヒラリー(サイド)だけがすべてをコントロールしていることがポイントだと思う。 

クリントンが政治の世界で長く生き延びているのは、一つはこういう用意周到さではないかと思う。 
テクサビやプライバシー・監視などに敏感な人が自家製サーバーを使うことはよく知られている。
しかし政治家が使うということはないのではないか(絶対ないかどうかどうかは分かりませんが、
そのような例は今のところ挙げられていないと思います)。 
また、全部引き渡したかどうかですが、勿論、ヒラリーとやり取りした受け手のメールをチェックすれば
あるいはわかるかもしれませんが、敢て、問題を起こしそうなメールがあるなど暴露するような関係者
がいるとは考えられない。
特に、クリントン一家の力を考慮すると、その前に潰されてしまう危険があるのではないだろうか。

ヒラリーは「みんなに見てほしい。国務省にもリリースするよう要望している」とツイートしたと
いうことですが、いかにもヒラリーらしいやり方ではないかと思えます。
ヒラリーは万全を尽くしたうえで、大丈夫だと踏んで、何も後ろ暗いことはない、隠すこともない、
だからどうぞ調べてください、と開き直る?ているのだと思います。

私はベンガジ事件の公聴会の有名な場面を思い出します。
「What difference, does it make?」
 何があったのか、事実を調査しているときに、「もう起こってしまった、死んでしまったことに
ついてあれこれ詮索しても何の意味があるのか、どうだっていいではないか」と言っているのだ
と理解しますが、 確かに起こった事実は変えられない、しかし、今後のためにも
何が原因だったのか、回避する方法はあったのか等を検討することは、それこそ正しく
政治のすることだと思う。勿論、口ではそう言っています。
相手は元ファースト・レイディである。元大統領のクリントンは今も影響力絶大である。
あれだけ怒りを露わにして主張されたら、委員さんたちも怯んでしまう。
それ以上追及されないための計算ずくの演出ではないか?

 

ヒラリーの行為が連邦法違反になるのかどうかはわかない。
しかし、少なくとも政治家として、透明性に対する尊重姿勢を疑われることは違いないと思う。

そろそろ女性の大統領をみたいという有権者の気持ちもわかるし、私もそう思う。
しかし、私はヒラリーではない、新しい女性であってほしいという気持ちが強い。
ヒラリーはもちろん優秀だし、力もある。
しかし、私には後進国タイプにちかいのではと思われる。
世界をみると女性のトップは珍しくない。しかし、それは世襲に近いものである。
ヒラリーの場合はもっと複雑です。
私たちはビルなしのヒラリーを経験したことがないからです。
ビル・クリントンはオバマの再選についても大きな影響力を行使しました。
それはヒラリーのためでもあったわけです。 
ビル・クリントンはヒラリーなしでも影響力を持っています。 

私は、サッチャーのようななり方をしてほしいと思う。アメリカだから。
メルケルもそうかも? 

民主党でいうとエリザベス・ウォーレンのような?
どこかにありましたが、ヒラリーは大統領になる人と20代からデートしていたという
表現の仕方をしていた。
ただ、今の民主党の問題は、誰に限らず、手を挙げることは難しいと思う。
手を挙げる前に潰されてしまうはずだからである。
政治というのは怖い。基本的に政治は力だからである。

ヒラリーは本当にコワイというか・・・