弁護士太田宏美の公式ブログ

正しい裁判を得るために

IMF専務理事の保釈の条件

2011年05月21日 | ひろみ塾・法律編

IMF専務理理事ストラスカーン氏の保釈が認められました。

条件はつぎのとおりです。
100万ドルの保釈金は現金で。
プラス500万ドルの保証(同氏の不動産を担保)
妻名義のアパート(マンハッタン所在)に軟禁
24時間の武装監視(毎月20万ドルの費用は本人負担)
電波モニタータグを足につける
部屋に監視ビデオをつける
玄関にアラームをとりつける
旅券、国連の書類の提出

ということです。
これじゃ、刑務所にいるのとほとんど同じですね。

裁判官は、同氏が国外に脱出するのを恐れているのです。
彼の財力や人脈などをみると、その可能性は高いということです。
フランスに帰ってしまうと、フランスは引き渡しに応じないだろうと見ているのです。
本人が裁判所に認めたところによると、アメリカだけで7ケタの預金があるということです
(低い数字というこですから100万とか200万ドルなのでしょうか)。
また、大陪審(起訴するかどうかを決める)は7つの訴因全部で起訴を決めており、
同氏は現段階では否認。
アメリカはこの種の性犯罪には厳しい。
同氏には前科がないこと。
こういったことが考慮されての条件です。

随分厳しいです。日本じゃ考えられないですが、
世界には大変な権力を持った大富豪がいるのだと、次元の違いを感じます。

否認といっても、事実がないという争い方と、合意があったという争い方があります。
最終的には、合意があったという争い方になるのでしょうか。
また、大きな金が動いて取引があるのではないかと思います。

なお、同氏の女癖の悪さは公知の事実のようです。
2007年にIMFの職員との間で問題があったということですが、
合意によるものだということで2008年に問題なしで決着したということです。
今回のことがあって、重大な判断間違いをしたということをIMFも認めたとのことですが、
こういう決着はよくあることです。
いつも、力と地位のある男が守られるというパターンです。

6月6日に罪状認否が行われる予定です。
ウオッチングしたいと思います。