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~紆余曲折の日々の中で...

中国:燃料電池車、開発の現状

2020-03-20 | ビジネス
中国から見た、燃料電池車の現状と今後の取り組みについて、簡単なレポートが出されていました。中国側の見方ということでご覧ください。

2020年3月4日、トヨタは12億2,000万米ドルを投資し、中国第一汽車集団(FAW)と共同で、天津市に新エネルギー車(NEV)工場を建設すると報じられました。毎年20万台のバッテリー式電動自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)を生産する計画のようです。今のところ、トヨタはBEV、PHEV、FCVの生産比率を明らかにしていません。

トヨタが、燃料電池(FC)関連のプロジェクトを中国国内で展開するのはこれが初めてではありません。2017年10月には、自社のFCVである「未来」についての実験的な事業を始めています。2019年9月以降、トヨタは、FCのスタックから電池本体、そしてFCトラックのデモ応用までの事業を展開してきました。

2019年9月、トヨタは、広州汽車集団(GAC)と戦略的協力枠組み強化の協定書に署名しています。双方は、NEV、省エネ車、AI車(intelligent connected)についての技術協力関係を深めることになりますが、GAC車へのFC搭載、JV企業の設立などを含んでいるようです。

2019年12月、上海重塑、江蘇省常熟市のハイテク産業開発ゾーン運営委員会と豊田通商(上海)とが共同で、水素FC大型トラックの実証事業の建設に入っています。

2020年1月、江蘇省常熟市の市バスに対して、20台の水素バス運転を開始しました。このバスは、聯合汽車工業(蘇州)(Higher)の第5世代の水素バスといわれています。FCスタック等にトヨタのコア部品、上海重塑(RE-Fire)のFCシステムなどを搭載しており、-30℃という低温でのスタートアップや-40℃での貯蔵が可能だそうです。

トヨタ以外にも、中国ではホンダや韓国現代社も活発に動いているようです。

2020年2月、韓国現代社は、四川省現代モーターを100%買収しており、このFC関連では、中国における初めてのJV企業、100%外資企業となったわけです。2020年1月、現代モーターは、韓国とスイスでの経験をもとに、四川工場での製造、R&D、そして中国パートナーとの水素事業についての補完的リソースの強化に乗り出しました。2030年には、中国市場で1,000のFCVの生産を想定しているということです。

2020年1月には、江蘇省ISUZUモーターが、ホンダモーターとFCトラックの開発を共同で行うと発表しました。ホンダも自社のFCシステムを初めて外部企業に提供するようです。

中国情報筋によれば、中国のFC技術は2019年にブレークスルーしています。それまでのFCスタック、素材、パワーシステム、コア部品、統合技術などのコア技術は実用化レベルとは遠いものでしたが、コア技術のいくつかは、国際的にも先進的レベルに近づいていると評価しています。

しかしながら、依然として、中国のFC技術は、エンジニアリング、産業化、全体技術レベルでは遅れを取っています。海外からの資本と技術の導入は、中国FC技術の開発を加速させています。

今後、FCについての国家戦略策定、産業促進スキーム作成、R&D継続、応用普及を具体的なものにしていけば、企業にとっても、R&D投資の強化、独自コア技術の開発などにつながり、市場競争力が確保されると思われます。

このレポートは、FC分野においても、中国が、海外の先進レベルに追い越すことができると結んでいます。