New Horizon

~紆余曲折の日々の中で...

環境未来都市構想とは?

2011-06-24 | 暮らし
【【「環境未来都市構想」というものがあるそうです。その趣旨は、特定の都市や地域に於いて、未来に向けた技術・社会経済システム・サービス・ビジネスモデル・まちづくりのために、世界に類のない成功事例を創出し、それを国内外に普及展開して、需要拡大、雇用創出、国際的課題解決力の強化することのようです。

それにより、社会経済システムイノベーション実現により地域が活性化し、構想の目的とも言うべき、「国民一人一人誰もが豊かで快適に、元気に暮らすことができる持続可能な経済社会の実現」となっています。

そのための基本コンセプトとして、①「誰もが暮らしたいまち」、「誰もが活力あるまち」を実現 ②人、もの、金が集まり、自律的に発展できる持続可能な社会経済システムの構築 ③ソーシャルキャピタル(社会関係資本)の充実などにより、社会的連帯感の回復 ④人々の生活の質を向上させることが究極の目的 から構成されています。すなわち、環境価値の創造、社会的価値の創造、経済的価値の創造の三つが重要な要素であるとしています。

環境価値の創造をキーワードで表現してみれば、低炭素・循環・生物多様性・水大気環境となります。社会的価値の創造では、健康・地域医療・介護・安心安全・子育て支援・ソーシャルキャピタル・社会的連帯感・生涯現役・生涯学習・文化などがあり、経済的価値の創造については、安定的な雇用や所得・新産業・更なる都市化・知識社会・高度情報集積・観光などとしています。】】

随分壮大な構想であるので、イメージが付きづらいという印象を持ちました。特に、社会的価値の創造について、どのような定義、指標、評価手法などを取り入れるのか難しい課題があるということです。詳細は、ハイレベルの有識者検討会で大枠が決められ、その下のWGなどで詳細が検討されるのだと思います。

過去を振り返って見ると、記憶の限りですが、25~30年近く前から、経済至上主義(拝金主義)に対する批判や反省から、また、環境配慮の観点などから、物の見方を抜本的に変えて行かなければ世界は成り立たなくなるという動き、パラダイムシフトの訴え、希求が何度か起こって来ました。ただ、哀しいことに、ブレークスルーといえるほどの変化は起きて来なかったというのが実感です。

勿論、色々なところで、変化は起きています。様々なグループが、特徴ある活動をして、世の中に訴えています。それらは、未来の大きな変化の予兆と云えるのかも知れません。変化が起きるには、それに必要なエネルギー(活性化エネルギー)の蓄積が条件となりますから...

今回の構想には、高齢化や少子化、連帯感などの相当難しい課題を取り込んだものになっています。経済や技術、政治などの分野だけではなく、哲学、思想、歴史、文化、宗教などからの参画も必要です。日本のベストプラクティスを海外にも展開するという計画のようですが、宗教・価値観・文化の異なる海外の国々といかにして、こういった差異を平準化していくのか、絵に描いた餅にならないよう、上滑りの提案で終わらないよう、地道で志のある取り組みをして頂きたい、いきたいものです。




豪州で感じた日本の現状

2011-06-18 | 報道/ニュース

初冬の豪州から戻って来て、蒸し暑い梅雨の日本に閉口する日々が続いています。大震災のニュースを向こうで知り、それ以来の訪豪でした。少し話し込むと震災のことに及びます。現状を率直に伝えるわけですが、遅々として進まない原発問題(また、米仏技術が組み合わさった汚染水の浄化装置がうまく動かないとか言っていますが...)、避難所で暮らす多くの人たち、義援金の15%程度しか配られていない現状、地元社会や経済の崩壊、政治の空転、トップのリーダーシップのなさなど、話をしていても嫌な気分になります。救いは、地元の人たちが漁業を再開したなどということでしたが...一様に同情してくれます。こちらも、その気持ちをありがたく受け取るだけでした。

豪州は豊かな国です。面積は日本の20倍、人口は2100万人で日本の6分の1、エネルギー資源も石炭、天然ガスなどに加えて非在来型資源も豊富と、日本人にとっては羨ましい国です。石炭(ブラックコールや褐炭など)で発電をしているので、原発もありません。国土は広いので、自然エネルギー、再生可能エネルギーの開発にも力を入れようとしています。また、藻や藻類から油を抽出するという開発にも、注力しています。日本も、石炭や鉄鉱石などの天然資源を大量に輸入しています。そういう国と、二国間の技術開発を進めて行って、相互に補完する関係ができればという気持ちで、出張などを繰り返しています。

さて、サミット以降、日本では1次エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率を20%に引き上げるという目標について、議論がなされています。1960年以降、原子力によるエネルギーを日本の機軸とする政策によって、全てがその方向で動いてきました。政府と電力会社が一緒になって、マスコミや産業界も巻き込みながら、産業構造の在り方、コミュニティー対策など、メガシフトされたわけです。一般の国民はそうした認識もあまりなく、現在の構造が形成されてきました。

原発事故が起きたからといって、このトレンドを変えられないという政治家や経営者、その他利害関係者も多いことでしょう。ヨーロッパの国などでは、No More Nukeのデモや国民投票などが行われています。安全性の確認、リスクアセスメントなども貧弱なものであったことが、その後の経緯からも読み取れます。原発がコストの廉価な発電方式だという政府や電力会社の計算も、放射性廃棄物の処理コスト、コミュニティー対策費、マスコミなどに流れたお金、今回のような非常時対策コストなどは含まれていないというではありませんか。決してコストの低い発電方式ではないそうです。

当初から、再生可能エネルギーで行くという方針で進めていたなら、それほど難しくはないのでしょうが、全てが原発中心で推移してきたので、再生可能エネルギーを開発するといっても時間が掛かります。現実的なところは、短期的には、原発の安全性を厳格にチェック、基準を設けて厳密に遵守・運用していきながら、再生可能エネルギーを開発していき、将来的には、原発をなくしてしまうという事かと思います。分散型、地産地消型エネルギーが将来の姿でしょう。

さて、6月12日の14時より2時間あまり、首相官邸にて、「自然エネルギーに関する総理・有識者オープン懇談会」が開かれましたね。司会は、シンクタンク・ソフィアバンク副代表の藤沢久美氏、参加者は、環境ジャーナリストである枝廣淳子氏、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏、ap bank代表理事の小林武史氏、ソフトバンク社長の孫正義氏、音楽家の坂本龍一氏はビデオ参加でした。

菅首相も、いつになくリラックスした雰囲気で、特にビッグバーンから植物->動物->人類へという変遷については、かなり饒舌に熱弁を奮っていました。これまでの震災や原発対策を見ている多くの国民にとって、違和感を覚えるような雰囲気だったのではないでしょうか?確かに、生物から学ぶ(Bio-mimicry)ということは重要なことですし、今こそエネルギー施策を見直すべきティピング・ポイントなんでしょう。しかし、当面は被災者対策、原発解決に全霊をつぎ込んで事に当たっていただきたいと思った次第です。


 ■政府インターネットテレビ
  自然エネルギーに関する「総理・有識者オープン懇談会」(全編)
   -平成23年6月12日
  http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg4972.html