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~紆余曲折の日々の中で...

METI:国連持続可能な開発会議(リオ+20)に出席しました

2012-06-26 | 暮らし
経産省のHPに、リオ+20のレポートが掲載されていました。続報が出てくると思いますが、先ずは、第一報です。
http://www.meti.go.jp/press/2012/06/20120626001/20120626001.pdf

国連持続可能な開発会議(リオ+20)に出席しました

経済産業省は、我が国の優れた技術を世界に普及させ、持続可能な開発の推進と我が国企業の グローバル展開につなげるため、国連持続可能な開発会議(リオ+20)に出席しました

1.成果文書「The Future We Want」が採択
①グリーン経済は持続可能な開発を達成する上で重要なツールであり,それを追求する国による共通の取組として認識すること
②持続可能な開発に関するハイレベル・フォーラムの創設等
③都市,防災を始め26の分野別取組についての合意
④持続可能な開発目標(SDGs)について政府間交渉プロセスの立ち上げ
⑤持続可能な開発ファイナンシング戦略に関する報告書を2014年までに作成すること
などを主な内容とする成果文書「The Future We Want」が22日に首脳級で採択されました。

2.我が国としての成果
(1)会議では、①グリーン経済に向けた取組の推進,②持続可能な開発を推進するための制度的枠組み,③防災や未来型のまちづくりなど日本にとっても関心の高い分野の取組が議論され,今後の国際的取組を進展させる上で重要な成果が得られました。
(2)玄葉外務大臣から、20日の政府代表演説の中で、①環境未来都市の世界への普及、②世界のグリーン経済移行への貢献、③強靭な社会づくり、の3つを柱とする「緑の未来イニシアチブ」を表明し、今回会合の重点に沿った具体的な貢献として、多くの参加国から高い評価を得ました。
(3)6月13~24日に、ジャパン・パビリオンを開催しました。6月20日には「ジャパン・デー」として、東北地方の復興と日本の多面的魅力をアピールするためセミナー等のイベントを開催しました。多くの来場者を得て,我が国の優れた環境・省エネ技術や東北の復興と魅力をアピールしました。

3.当省としての評価
(1)グリーン経済への移行について途上国が理解を深め,国際社会全体としてグリーン経済への取り組みについて前向きなメッセージが出せたことは重要な成果です。ただし,グリーン経済,制度的枠組みについては,参加国間の考え方に依然隔たりもあり,今後,更に議論を深める必要があります。
(2)「緑の未来イニシアチブ」が発表されたところ、その柱である①途上国へのスマートコミュニティの普及・展開、②二国間オフセット・クレジット制度の立ち上げ、③高効率・省水型技術の海外展開につき、当省として引き続き積極的に取り組む所存です。
(3)ジャパン・パビリオンには当省・NEDO・産業界等が出展しました。太陽光発電や高効率石炭火力発電所等の優れた環境技術や取組を紹介し、多くの来場者を集め、高い関心を得ました。官民をあげて準備を進めた成果と考えられます。




グローバル化に向けた大学&企業の変革について

2012-06-26 | ビジネス
本日の日経新聞に、「英語化が問う授業の質」、「中韓流スキル向上に学ぶ、多忙な中でも猛勉強」、という2つの記事が掲載されていました。前者では、元外務審議官の田中均氏が、「留学経験者や帰国子女の日本人は英語の能力は高いが、おとなしい」、海外での講義経験からは、「日本人は質問の数が特に少ない。積極的に発言するのは、アメリカ人や中国人だ」という指摘をしています。この記事の結びは、学生の積極的な参加を促すなど、授業の質を変える必要があるということです。

次に、「中韓流スキル向上に学ぶ、多忙な中でも猛勉強」では、中国や韓国出身のビジネスマンが日本で活躍の場を広げているという現状認識から、その背景などをレポートしているものです。人事処遇制度が日本よりも徹底している中、【仕事の実績もスキル向上もできないビジネスマンは今の職場を守ることができない】という思いから、忙しい中でも、時間を遣り繰りして、自らを磨いているという内容でした。そうした成長志向の強い中韓人材については、欧米企業も積極的な採用が行われているということです。また、成功モデルとなるような人が身近にいることも、仕事とスキル向上の努力を後押ししている。改めて、日本人は、ハードワークとスキル向上の両面で、自らに磨きをかけなければ、実際の事業でも勝ち抜けない状況が近づきつつある、と結んでいます。

個人ごとに事情が異なるので、全てを肯定するわけにはいきませんが、基本的なところではそうかも知れません。概して、日本人はおとなしいという受け止めはあります。英語を使って、色々な国の人たちと議論をする、しかも丁々発止で行うという事は、相当に難しいことです。多少喋れるくらいでは、なかなかです。従って、おとなしくなってしまうのかも知れません。ただ、同程度の他の国の人たちと比べると、言葉数が少ない。相手を立てているのか、目立たないことを好むのか、空気を読んでいるのか...日本の文化的要素が連綿と続いているのかも知れません。

中韓流に学べという後者の記事では、社内の韓国人や中国人を見ていると、日本人よりも目立っているような印象を持ちます。はっきりとしている、目的意識が明確、頑張り屋さんなど。日本の処遇制度が、彼らを適切に評価することができなければ、外資にでも行ってしまうという予測すらしています。

日本人社員の責務もありますが、企業側として、社員にインセンティブを与えるような新しい仕組みや制度を造り上げていくことが肝要かと思います。海外の大学を経験した社員が、企業体質や評価制度を理由に、どっと辞めていったという事例も見聞きしているので、日本再活性化のために、是非、時代を先取りした変革に取り組んでいただきたい。



違法ハーブの規制について

2012-06-26 | 報道/ニュース
一般にハーブというと薬用の薬草やスパイス等として有用な植物のことで、香りや辛味、苦味などの風味を楽しむために少量用いられるキッチンハーブをイメージします。一方で、劇薬として有用なものをも含むため、いわゆる有毒植物もハーブに含まれますが、使用や栽培に当たっては許可が必要なケースもあるということです。

ハーブにも色々あるようで、最近、違法(脱法)ハーブを取り扱ったTV番組が多いように感じます。脱法ハーブとは、合成カンナビノイドを含有するハーブ製品だということですが、その有害性(毒性ほか)のために、吸引していて死亡したとか、交通事故を引き起こしたといった内容のものでした。それが若者を中心に蔓延しつつあると報道していました。ある番組では、こうした有害物質が容易に手に入るような社会状況に問題提起というか危機感を訴えていました。

例えば、【大阪の商店街の通りに自動販売機(パット見、景品箱)のようなもの置かれており、子供たちが不思議そうに販売機を見たり触れたりしている。大人が千円を入れてパッケージを取り出す。番組では、これが脱法ハーブの自動販売機だと説明する。店の前に販売機が置かれていたので、店主らしき男に説明を求めた。逆に、その店主は警察を呼んで、営業妨害だと訴えた、という内容でした。】事の顛末に驚きました。問題は大阪だけではないようです。

大阪市では、こうした若者に蔓延する脱法ハーブ対策を巡り、橋下徹市長が大阪府知事と連携して独自の規制強化に乗り出す考えを明らかにしています。先進的な取り組みを進める東京都知事の全面協力を受け、薬事法とは別に、脱法ハーブの製造・販売を規制できる府条例の制定などを検討する方針だそうです。東京都では、2005年に薬事法上の「指定薬物」とは別に、乱用される恐れがある薬物を「知事指定薬物」とし、製造・販売を制限できると規定していますが、今月5日には、脱法ハーブに含まれる5種類の薬物を、国に先行して知事指定薬物としています。

「指定薬物」を決めて規制をかける方法は正しいのですが、化学構造の末端を変えていくことによって、かなりの数の指定外の薬物が製造できてしまいます。規制が現実に追いついていけないという状況になります。薬物そのものを指定するのではなく、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)で行っているような、基本構造や化合物の【群】として捉える方法で規制をかけるようにすべきではないでしょうか?そうすれば、基本的な構造から派生する誘導体は、その法の網に捕らえられる筈です。医薬品の開発などに支障が出るという懸念はありますが、その場合は適正な手続きを踏むことを義務付けてはどうでしょう?

こうした問題は過去にも色々ありました。溶剤として工業的に使われるトルエンなどですが、多くの若者が駄目になっていったことを記憶しています。この種の薬物は、いずれも中枢神経を破壊するというネガティブな影響を与えるという意味で、絶対に手を出してはいけないものです。若者の理解、早急な規制、取り締まりなどを求めたいところです。

トルエンのMSDS:http://www.jaia-aroma.com/MSDS/msds02.pdf



エネルギー・環境戦略の選択 ‐国民的議論をどう進めるか‐(2)

2012-06-24 | 暮らし
政府関係者から説明された内容の要約です。

1)選択肢作成の議論の視座
安価で安全、自給可能でCO2を出さない完璧なエネルギーが存在しないという現実の中で、7つの視座によって検討していくべきことを明らかにした。
①社会の安心・安全の確保 
②エネルギーの安全保障、エネルギー源の多様化と両立 
③原子力の平和利用国としての責務や世界への貢献
④エネルギーコスト上昇による産業・経済・社会への影響
⑤地球温暖化への対応
⑥エネルギー構造の転換を成長につなげるという視点
⑦必要となる社会的費用を負担する適切な制度の設計

2)エネルギー・環境会議としての【原発依存度低減】の選択肢案
①原発比率をゼロとし、2030年には0%程度
②原発比率を低減し、2030年には15%程度
③原発比率を低減、一定程度維持し、2030年には20~25%程度
この選択肢の基本については、【エネルギーの選択は、国際的なエネルギー情勢や技術革新の動向、原子力安全に対する国民の信頼などに左右されることから、全ての選択肢について2030年を目途に検証を行う】。

その他の選択肢として
①【核燃料サイクル政策】では、再処理/直接処分/併存の中から、原発依存度に関する選択肢と整合性を確保しながら整理する。
②【温暖化対策】では、高位/中位/低位の中から、政策群の強度について、選択肢の数を絞り込み、2020年、2030年の国内の温室効果カガス排出量削減がどのような姿になるのか提示する。
③省エネ、再生可能エネルギーについては加速、資源燃料政策は強化することを基本とする。

3)エネルギー・環境会議が提示する複数のシナリオの基本設計
【原発依存度】【化石燃料依存度・エネルギー自給率】【ゼロエミッション電源比率・化石燃料の内訳・CO2排出量】【社会的費用も含めたエネルギーコスト・経済影響】を評価し、統合した絵姿を複数のシナリオとして提案する。

4)簡単なコメント
実質GDPを現在から外挿(敷衍)した形の未来イメージをベースに、シナリオが成り立っているように思えました。例えば、人口の減少、少子化、高齢化、世帯数の増減、ライフスタイルの変化などを考慮すれば、2010年から成長一辺倒のシナリオは描けないだろうし、従って電力、エネルギーの必要量も相対的に低下するのではないのでしょうか?

その他、気になる論点としては、
①時間軸の問題?
②誰のイメージで未来像を描いているのか?
③パラダイムシフトと云われるが、どういうパラダイムから、どういう方向にシフトする?
④事故の教訓が活かされているのか?
⑤どういう社会にしたいのか?
⑥日本の価値・倫理宗教観、文化、社会という視点からはどうなるのか?
⑦その他

この関連で、昨年の5月30日にドイツの【安全なエネルギー供給のための倫理委員会】が作成してメルケル首相に提出した「ドイツのエネルギー転換 共同プロジェクト 将来のために」という報告書があります。倫理委員会が作成した報告書だけあって、幅広い視点からの議論が展開されており一読の価値はあるかと思います。
http://www.jabes1993.org/kigyo_archive/EthicsCommission_full_translation.pdf



エネルギー・環境戦略の選択 ‐国民的議論をどう進めるか‐ (1)

2012-06-24 | 暮らし
大学で開催されたフォーラムに参加しました。

『我が国は、昨年の3・11を契機として、中長期的に推進すべきエネルギーミックス、原子力政策、温暖化政策に係わる基本政策の見直しに迫られている。同年6月政府に設置されたエネルギー・環境会議は、近くエネルギー・環境に関する“総合戦略の選択肢”を示し、国民的議論を推進し、今夏、戦略決定を行う予定』という現状認識をベースに、この選択肢の作成に関って来られた先生方の話、国民的議論を進めていくための争点や論点などが議論されました。

国民的議論では、政府の選択肢案(後述)に対して、政府が設置した委員会では議論されなかった、あるいは議論されたが除外されてしまった視点、論点なども含め、パブリックコメント、タウンミーティング、その他の媒体を通してぶつけていくことが必要でしょう。それが、この短い期間の中で、どれだけ取り込まれ反映されるのかも明確ではありません。しかし、定期的(3年ごと)に見直しが入るというようですから、必要に応じて、見直しを繰り返し要求・監視していく必要がありそうです。

1)先ずは、エネルギー・環境戦略の決定に至る大きな時間軸ですが、
2012年春、エネルギー・環境戦略の選択肢の作成⇒国民的議論⇒2012年夏、政府決定となっており、約1年に渡って、エネルギー・環境会議、総合資源エネルギー調査会、原子力委員会、中央環境審議会という会議体を通してかなりの議論が行われたということです。委員の皆さんのご尽力に深謝致します。

2)さて、今は2012年初夏の6月です。
これから、出来上がった選択肢を国民に提示し、国民的議論を進め、今年の夏に政府が決定するということのようです。このスケジュールを聞いたときに、先ず思ったのは、大飯原発再稼動のときのプロセスでした。“国民的議論”といっても、形だけの国民参画ではないのかということです。

私たちには、6月の時点で選択肢も提示・公開されていません。それなのに、今から国民議論をして、夏には政府決定を行うというのです。国民的議論を行う前提として、選択肢の公開、将来ビジョンを含めた十分な理解が得られるような説明、Q&Aなど、周到な準備が必要であろうし、それぞれを丁寧に行っていく必要がある筈です。

確かに、昨年の3・11を契機として、エネルギー問題を突きつけられた国民ですが、初めて日本の電力業界の在り方、政府の原子力政策、エネルギー問題について知るようになったと云ってもいいような状況です。第一印象として、“総括原価方式”で代表されるように、一般のビジネスとは異なる価格決定や制度など、不可解な部分も多かったと感じたことでしょう。また、雑多な情報、単純化され過ぎた情報、間違った情報などにより、理解も誤解も色々だと思います。この誤解を解消して適切な理解を得、議論を進めてもらうという手順や作業だけを考えても、こういうことが現実的か、大変疑問を持つところです。

3)選択肢作成の議論の視座(後述)の一番目に、【社会の安心・安全の確保】があげられています。3・11、それ以降の展開によって、電力業界、政府や政治、安心や安全に対する国民の信頼感は回復不可能な程度に吹っ飛んでしまいました。日本の将来や自分の子供・孫の世代について心配する国民の数は半端ではないと思われます。

選択肢(後述)には、2030年を目標年度として、原発依存度、エネルギー自給率、温暖化対策、経済に対する影響、電源構成を評価して選択肢を絞り込んだと書かれています。

2030年という中期的なこともそうですが、国民の不安は長期的なことにも及んでいます。3・11の後始末(除染)のことは勿論、廃炉処理、使用済み核燃料・廃棄物の処理などに係わる長期的な事、そして、日本の社会の在り方、進むべき方向性などを示すグランドデザインの欠如に対しても不安感を持っているようです。

4)フォーラムでは、電源構成や経済影響などの指標には乗らない、女性やこれからの日本を背負っていく若者の思いや願いも紹介されました。少し拾ってみると、①若い年代の人の意見も聴いて欲しい ②世代間倫理 ③生命の大切さという倫理 ④目先の利益よりは長期的視点でエネルギー持続性を ⑤倫理性、透明で嘘のないエネルギー ⑥100年後に現れる問題リスト、影響が知りたいなどいうことです。

これ以外にも、日本の文化や自然観、倫理・価値観などを踏まえた未来像の議論が行われたのかも知りたいところです。未来の絵姿はどのようなものに変わってしまうのでしょうか?