吟友草加のお稽古日には、事前の練習は、取らないで、お稽古を始めます。
にもかかわらず、今日は、楽器がよく鳴ってくれました。
そんな時は、何事もスムーズに期待以上の効果が上がるものです。
独吟発表の時、いつもは、先輩に敬意を表して、後から吟詠していただきます。
今日は、ビジターの先輩から吟じていただきました。
先輩の吟詠を聴きながら、胸に落ちていくものがあり、ゆったりと時間が過ぎて
いきました。
後輩さんは、先輩の吟詠をしっかりと聞きました。
いつもは、一番に吟じて、訂正され、心が波立っている時に吟じられる先輩の
吟詠は、あまり耳に入ってなかったようです。
今日は、よく聴くことが出来て、落ち着いて座っていられたとのこと。
また、先輩たちへの、吟詠を指導は、今日は特に耳に吸い込まれていくように
聴くことが出来て、すぐにでも取り入れられていったようです。
特に今日は、お二方が、良寛の「余生」を選ばれました。
あめ はれ くも はれ きも はる もの みな みを すて よを
みごとに二音がならんでいます。
この発声は、投げ出すようであったり、捨て去る様であったり、なかなか漢字
読みが出来ず、ひらがな読みになり更にぶっきらぼうになっていきます。
二つ目の音の処理を突き放さないで、置くように、ていねいに、だからと言って
流されないように、たった二音の表す世界観をどのような音色で表現するか
手を変え品を変え説明をし、共に詠ってみました。
特に、出だしと転句に重点を置いて、明るい声を心がけます。
眉間の皺をなくし、眼を開き、腰のカーブを意識したら、自然と詩吟体操の
終わりの姿勢となり、胸がひらいて共鳴します。
あれだけぶつ切れでぶっきらぼうだった二音の言葉たちが、色を持ち意味を持ち
無駄にはねないようになりました。
わたしの声がよくでたこともあって、お手本で表現した音たちが楽しく
遊んでくれました。
声に伸びの無いときは、これ程飲み込みの早さはなかった。
もちろん、これまでいろんなところでご指導願って来てたどり着いた人は、
その積み重ねがあってやっと体が理解してくれたのだと思います。
そしてもう一方は、こんなに丁寧に教えてもらったのは、今日が初めてとおっしゃる。
それぞれが、「ほー」と言う満足の声を上げる。
もし、忘れたら、またここで一緒に声を出しながら、手を変え品を変えして
練習しましょう。
体は、覚えたら忘れないのだけれど、そこに頭がついてくると、誤作動を
おこしがちです。
これ程満足のいく、理解は、めったにないことで、みんなの目が見開いていく
のがわかり、頭の上に「ぴこん!」がついていました。