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Case Study on Renesas ルネサス

2015-05-18 11:59:35 | Management
ルネサスエレクトロニクス 2015年3月期 初の連結最終黒字
 2015年3月期、車用半導体(今後 安全走行など車ではIT技術の活用が進む インテル、テキサスインスツルメンツなど世界の半導体メーカーが車用半導体に着目)で世界最大手(マイコンで世界シェア4割ともされる)が823億円の最終黒字を達成した。 2010年の発足以来黒字は始めて。2013年10月に産業革新機構が7割を出資して再建進める(トヨタ、日産など民間8社と合わせて1500億円 トップにオムロンの社長会長を勤めた作田久男氏招く)。事業売却で売上高は減少。売上高は7900億円 前年比5%減。公的資金による企業再建については批判があるが、結果を出したことに関係者は率直に喜んでいるのではないか。 ルネサス報道20150518
 改善の兆候は1期前にすでにあった。(2014年3月期は52億円の赤字であったが営業損益は676億円の黒字 3期ぶりの営業損益の黒字転換だった。
 同社は2010年4月に旧ルネサステクノロジと旧NECエレクトロニクスが統合して、ルネサスエレクトロニクスrenesas electronics corp.として発足。このうちルネサステクノロジは、2003年4月に日立と三菱のシステムLSIが統合したもの。3社のLSIの寄せ合わせという歴史から、宿命として非効率な配置、工場や研究施設の分散、過大な人員、旧本社(親会社)を意識した経営から抜けないなどの問題を抱えていた。
 2013年に産業革新機構からの出資を受け入れ、並行して、経営の見直し改善を進めてきた。その結果 2012年3月期に4万2800人いた従業員数は2014年3月末には2万7200人に減少。2014年3月 任天堂が主要顧客のため稼働率上がらず採算悪化していた山形県の基幹工場(鶴岡工場)をソニーに売却(75億円)。 国内工場は20ケ所(12年3月末)から13ケ所(14年3月末)。これにより14年3月期までに年間固定費は2000億円規模減少したとされる。また不採算のデジタル家電向けLSIを縮小。自動車エンジン制御向けマイコン、産業機械向けLSIに集中。⇒ こうした努力の結果 2013年後半あたりから営業利益出るように変化。リストラの副作用は売上高は減少。2014年1月にはさらに国内従業員の25%5400人を15年度(16年3月)末までに削減を労働組合に伝えている。以下にみるように業績改善の背景として大規模なリストラの実施がある。
 2014年6月 液晶半導体子会社RSP(スマホなど中小型液晶の駆動装置に使う半導体で世界シェア3割の最大手)を米電子部品メーカーに売却を発表(買収額485億円)。国内11ケ所の設計開発拠点を4ケ所に集約(2014年10月末発表)。今後は工場を増やさず量産品は台湾のファウンドリー(半導体生産受託会社)などに生産委託の方針とされる。

ルネサス 産業革新機構からの出資受け入れを発表(2012年12月10日)
 2012年12月10日 ルネサスエレクトロニクス(赤尾泰社長 12年3月期まで7期連続赤字)は産業革新機構(能見公一社長)と主要取引先8社に最大2000億円の出資を受け入れると発表。長期間にわたったルネサス再建をめぐる調整が最終的に固まった。
 産業革新機構が議決権ベースで株式の3分の2強を受け入れる筆頭株主になり、役員を派遣して経営再建するとのこと。2013年2月から9月の間に第三者割当増資を実施して1500億円調達。1株120円。革新機構は9月末までに払い込む(マイコンの技術開発 設備投資 企業買収などに充てるとされる ただこの金額は2013年3月期の予想最終赤字額1500億円と見合っている)。つまり一斉にはないようだ。
 参加企業は8社 トヨタ自動車 日産自動車 デンソー ケーヒン パナソニック キャノン ニコン 安川電機。合わせて5.82%。
(事前の報道と比べると ホンダ と独ボッシュが下りたようだ) 背景には安定供給を望む顧客企業の意向があった。供給に支障が出るのは避けたいが、反面、価格政策の見直しをも警戒。米投資ファンドKKRによる1000億円出資提案を受けて(8月末)官民一体の支援体制が実現したとされる。
 革新機構は1383億5000万円 議決権ベースで69.16%を1株120円で取得。
 この結果 NEC 日立 三菱3社(母体メーカー)の持ち分現在の9割以上から22.8%にまでさがる。増資後の発行株数は現在の4倍に膨らむとのこと(現在の株価は12月10日終値308円)。
 産業革新機構が追加支援で500億円という規模もだしているからか、総額2000億円の支援と表現されている。
 ルネサスはシステムLSIというデジタル家電の頭脳を生産する企業(また自動車のエンジンや家電のモーターなどを制御、省エネ性能を左右するマイコンで世界シェア3割の企業)でありながら、2013年3月期まで前身企業を含めると8期連続最終赤字。採算を度外視した特注品受注がルネサスの体質との指摘がある。
 ルネサスの事業はシステムLSIとマイコンに分けてみる必要がある。マイコンでは利益率も高い。赤字がでているのは本来の看板であるシステムLSI事業(もともとルネサスは2010年4月にNEC 日立 三菱のシステムLSI事業を統合して発足 しかし国内家電市場の冷え込みとともにこの事業は赤字化)。そこで赤字のシステムLSI事業を切り離し、富士通やパナソニックと事業統合(設計開発に特化して、製造は外部に委託する方針。先行する企業モデルに米テキサス・インスツルメンツ。またルネサスが技術の自前主義にこだわることにも批判がある)。世界シェア3割、営業利益率2ケタとされるマイコン事業(ルネサスは高性能マイコンを安定して供給できるメーカーとして知られる)に経営資源を投入(マイコンの専業メーカーに変身)。国内工場の半減、5000人の追加削減で経営再建を目指すというのが、再建の青写真だ。 
 2013年3月期 見通し 売上高8200億円 最終赤字1500億円(2012年3月期の最終赤字は626億円)
 従業員 3万4500人(2012年11月時点)
  追加で5000人削減要請
  3年で全国18工場を半減
 東日本大震災では主力工場が被災、車や家電など取引先企業の生産停止が相次ぎ、その重要性を示した。革新機構では国内製造業の基盤といえる同社の再建に向け、出資を判断したという。
 この間、親会社が追加支援を渋るなかで、第三者増資の相手として米投資ファンドKKRが浮上(6-7月)、8月末にはKKRが約1000億円を出資する案を示したが(これに危機感を持った自動車メーカーが経済産業省に働きかけ)、マイコンの安定調達の観点から革新機構がほぼ2倍の支援策を明らかにしてのりだすことになった。
 革新機構ではルネサスに約5000人の追加削減を要請。うち1000人についてNEC 日立 三菱の3社に引き受けを求め11月のうちに合意した(三菱が300人を受け入れ NECと日立は各40億円程度の費用を負担することで決着)。また銀行や大株主に対しては10月にルネサスにリストラ費用として融資した約1000億円の返済期間延長を求めた。

 2012年10月31日 ルネサスでは早期退職に応じた7446人が一斉にルネサスを去った(想定を2500人ほど上回り9月期の最終赤字を拡大 自己資本比率の低下につながったとのこと)。しかし産業革新機構では出資条件として管理部門を中心にさらに5000人の追加削減を求めたとされる。

リストラ計画の公表(2012年7月3日)
一つは生産拠点の集約。全国18の工場のうち10ケ所を売却・閉鎖するというもの。ただし実施は3年以内に実施とゆるかやである。
 もう一つは人員削減。全従業員を対象に9月下旬に早期退職を募るとした。想定する応募者は5千数百人。費用削減効果430億円とのこと。工場の売却・閉鎖。LSI事業の分離統合と合わせて最大1万4000人削減とした。
 工場閉鎖や割増退職金などリストラ費用について、株主3社銀行4行に総額約1000億円の支援を求めた。以下に述べるように3社の事業を統合したルネサスは、統合時点から生産構造の不効率が指摘されていた。発足時に事業構造改革プランを立て約5000人を削減したものの、抜本的改革は先送りされていた。

そもそもルネサスエレクトロニクスはなぜ経営不振に陥ったのか
 半導体大手のルネサスエレクトロニクスはマイコン(自動車や家電の制御に使う半導体)で世界シェア4割で首位。トヨタ ホンダなど有力企業を顧客の「優良企業」。大震災では自動車メーカーがルネサスに依存している状況が浮き彫りになった。にもかかわらず経営不振に陥ったことで注目されている。
 不振の理由の一つは、垂直統合モデル(技術開発 回路設計 生産まで手掛ける ⇔ 開発と受託生産の分離・急成長 開発の例:クアルコム 受託生産の例:台湾のTSMC 米国のグローバル・ファウンドリーズ)にあるとされる。垂直統合のための設備投資負担から(企画開発に特化する場合に比べて)開発力低下。また顧客メーカーの特注品の供給が、開発・生産の効率の低下を招いた。もともと顧客の自動車会社が半導体を安く買い叩いたためにルネサスの経営が悪化した。ルネサスはほかで利益がでればよしとする態度で、顧客の要求に対応してきた。今後について、その顧客が株主となって支援に回ることで、ルネサスの経営は本当に安定するのか疑問の声がある。
 また、今後は、マイコンについても、複数調達(調達先の分散)、現地調達比率の上昇が生ずることは不可避。ルネサスと顧客企業との安定的関係を前提にした再建計画では、疑問との意見もでていた。

親会社から独立させられたルネサス
 ところでもともと2010年のルネサスの設立自体が、ルネサスの親会社にとってはこうした問題の打開策の側面があった。ルネサスは2010年4月にNECエレクトロニクス(2002 NEC本体から分離)とルネサステクノロジ(日立と三菱の統合事業2003-)の2社を経営統合してスタートとしたもの。そして親会社とはNEC 日立 三菱の3社である。このスタート時に3社で2000億円の増資に応じるものの独立後の追加出資はしないとルネサスに通告していたとされる(とくにNEC 日立はルネサスの独立を強く主張)。つまり親会社にとり、ルネサスは切り離して独立を促した対象だった。巨額の出資をした当時は自立できるとの読みがあったというべきだろう。  

システムLSI ビジネスモデルの破たん
ルネサスの不振の理由はシステムLSIの販売不振にあるとも言われる。同社は2010年4月の設立時の経緯から寄り合い所帯。十分なリストラを行わず今日に至った。またシステムLSI不振の理由はそれが特注LSIだということにあり、ゲーム機や携帯電話向け特定メーカー向けに作るということ。これはその特定メーカーが好調であれば問題はなかった。しかし環境は変化してしまったのである。
 鶴岡工場(山形県鶴岡市)はもともと任天堂向けシステムLSIの製造拠点 だったとされる。しかし今その売却交渉が進んでいる(背景には高額装置に見合う生産量が確保できない事情がある)。交渉相手はファウンドリー(受託生産)の大手、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)。
 2012年5月28日 台湾のメーカー(TSMC台湾積体電路製造)への主力のマイコンの生産委託発表(2013年から受託生産へ 他方で鶴岡工場の売却協議進展していないとのこと 従業員1400人の扱いも問題)
 設計開発に特化して、製造は外部に委託する方針。先行する企業モデルに米テキサス・インスツルメンツ
 ファウンドリーは、設計に特化するように変化した世界の半導体メーカーから、生産を受託して業績を伸ばす。背景にある問題は、半導体工場の設備が高額で、その投資に見合う生産量を確保することが困難だということ。その結果、多くの半導体メーカーは設計に特化。他方、ファウウンドリーは寡占化するに至っている。
 ルネサス 富士通 パナソニックは、要するに現在の仕事を、ファブレスとファウンドリーに分離。これも産業革新機構の出資を得て、半導体の設計開発を専門に行う新会社(ファブレス)の設立を目指している。

 影を落とす顧客企業の失速。
鶴岡工場問題の背景にある任天堂の凋落 家庭用ゲーム市場の縮小
 (任天堂は2012年3月期に最終赤字に陥った。要因は、据え置き型ゲーム機の販売不振+2月に発売開始の携帯型ゲーム機3DSの値下げ8月による原価割れで国内販売増は達成したものの:3DSの海外での不振+円高による為替差損 有力なソフト ヒット作が続かない 不足しているなど
ソフト会社はSNS向けゲーム開発にシフト ソーシャルゲーム市場が急拡大するなか家庭ゲーム市場は縮小しているとも。任天堂は2012年末販売予定の新型家庭用ゲーム機WiiUで再生期している。しかしスマホを通じたゲーム利用の伸びとゲーム機は出荷台数減少は構造的な変化だともいえる。2008-2010 20113DSは国内では伸びるが海外では想定下回った。競合他社をみるに、ネットやテレビとの連携を図るマイクロソフトXbox ソニーSCEに比べゲーム専業の任天堂製品は、テレビやネットとの融合に遅れて魅力も低下している。)
NTTドコモ向け携帯電話もかつての勢いがないこと
 (NTTドコモはいつまでもスマホでiPhoneの発売に踏み切らなかった。ドコモの勢いは、iPhoneを発売するソフトバンクとKDDIに見劣りする結果になった。他方でドコモはM&Aによる異業種:新規事業の買収により売上高をかさ上げする戦略をとっている。例えば野菜宅配大手らでぃっしゅぼーやの買収2011/1。この本業との連携効果は読めないところだ。携帯電話事業の競争激化 市場の成熟を見据えた戦略といえなくはないが。他方でスマホ向けコンテンツ事業はまだ理解できるが、ドコモのスマホ向けに限定したとたんに市場の大半を放棄する矛盾は見過ごし難いところだ。)

 特定メーカー向けLSIに特注品を作るルネサスの経営モデルが相手方の失速もあり破たん(特注品のため高額投資をしてもその供給先メーカーの不振に陥ると稼働率低下 高額設備のため稼働率下がれば確実に利益を損なう)。
 この特注問題は実はマイコンでも起きている。顧客メーカーごとに異なる仕様で生産。多品種少量生産のため、ルネサス自身利益を上げにくいとのこと。開発・生産効率の悪化 慢性的赤字体質。コストも下げにくい結果になっている。
 これに対して世界のトップメーカー(米クアルコム 台湾のメデイアテックなど)は共通使用の半導体をファウンドリーに大量発注、コストを引き下げいる。また自身は設計開発に特化して、巨額設備投資を避ける選択をした。汎用品を生産する米国と台湾のメーカーが市場を押さえる。経営モデルそのものの見直しが必要になっている。

 ルネサスの2012年3月末の有利子負債2583億円 売上は8831憶円(前期比22%減)最終損益626億円の赤字(前期は1150億円赤字)
LSI事業の売上は2012億円(同36%減)が大きい。2012年3月末の手元資金1320億円(月商の2ケ月分)に低下。システムLSIの経営不振で7期連続最終赤字(経営統合後2期連続)。全国19か所に工場。このような状況から経営再建への支援を親会社3社にルネサスは求めた。しかし親会社はすでに述べた事情に加え、連結対象であるルネサスの不振に困惑。赤字を増やしかねない出資の増加には慎重。親会社2社の事情:NECは自身が経営不振からの再建を急ぐ最中 日立はインフラに注力中 いずれも追加出資に否定的 その結果、当初出資を検討していた三菱も慎重姿勢へ

NECは自身経営再建の最中(2012年3月期 1103億円の連結最終赤字)で支援の余裕がない
(NECは2009年にも2万人を削減、しかし2012年1月にはグループで5000人の削減、2012年3月には賃金の4%カットを労組に提案など、高コスト体質:売上高に占める人件費比率が富士通10.5%に比べて高い12.5%:2011/03 の改善を図っている 最中。2011年の不振の主因は携帯端末:アップルに完敗。しかし通信インフラは好調。NECはパソコンについて2011年7月からレノボとの合弁事業を開始。ITや通信への注力をはかっている。防衛システム、衛星システムなど企業向け社会インフラに強みがあるが、富士通や米セールスフォースドットコムと激しい競争もあるため高コスト体質が致命的とも。 2012年3月には海外展開での遅れを取り戻すため米コンバージズから課金など通信会社向けシステム事業を360億円で買収、4月にはスペインでITサービス大手インドラとクラウドC:仮想オフィス提供業務で提携、5月には豪IT大手買収を360億円抱えて行うなど。NECは事業をITサービス、通信ネットワークサービス、社会インフラ、エネルギーの4本柱に集中するとしている。とくに海外での現地企業と組んでクラウドサービス提供を急いでいたが、買収によって加速しているように見える。現在17%程度の海外売上高を早期に25%まで引き上げたいとのこと こうした中でリネサスは業績悪化要因 出資35%がそのままNECの業績悪化につながる「お荷物」になっている 東日本大震災ではルネサスを早期再開に向けて支援)

日立の場合も3割出資が「お荷物」である構図は一緒。ただ日立はプラント関連機器(電力制御システム 環境装置含む)、情報通信システム(内外にデータセンター、クラウドシステム、ストレージサービス含む)や昇降機などインフラ(火力、原子力など発電設備含む)が好調。2012年3月期は2期連続最高益更新(2012年3月期 営業利益3122億円 最終利益は3471億円)。2011年3月期の20年ぶり最高益(純利益2383億円)に続くもの。日立も2009年3月期7873億円の最終赤字に陥った。そこでデジタル家電などを非中核事業として(液晶 プラズマ事業からの撤退 2011年度テレビの自社生産撤退全量委託生産に)、経営資源を社会インフラに集中(建機 鉱山機械)。この事業戦略の転換が成功。ハードデイスク駆動装置事業の売却(2012年3月終了 譲渡額48億ドル3900億円 実はこの売却益が今期利益を押し上げた ただし来期の減収要因になる)、プラズマパネルの製造拠点の宮崎県内工場の売却も実施。上場子会社の完全子会社化など。日立は物流や資材調達など幅広い分野でコスト構造改革に取り組む(海外調達比率引き上げと集中購買 1982年以来続けてきたNY上場を廃止へ201204 連結財務諸表を引き続き米国会計基準で作成 国内では福岡と札幌での上場を廃止)

こうした安定収益源は、東芝については電力向け設備、三菱についてはFA機器とのこと。。なおソニーやシャープは本格的リストラが遅れており、とくにソニーはパネルを内製する垂直統合にこだわってリストラが遅れている。

 ところで銀行団は、支援の前提として、主要株主が資本面で支援すべきとした。また主要株主の経営指導を求めた。この状況でNECや日立も一定の支援を約束をせまられた。そしてすでに見たように産業革新機構が登場することになる。

2012年5月28日 NEC 支援せずを明言
   5月28日 一時238円 上場来安値を更新
2012年5月29日 一時198円 上場来安値 時価総額850億円と1000億円の大台割り込む

2012年5月31日に日立製作所 三菱電機 NECの3社に追加出資 融資の債務保証 従業員の引き受け 等をルネサスは要請した。
 主力の鶴岡工場を台湾企業に売却 最大1万4000人を削減する再建策を説明(当初計画の3倍規模)したとされる。
 しかし3社は追加出資に慎重とされる。そこででてきたのが金融支援案。

銀行団融資(三菱UFJ銀行 みずほコーポレート銀行 三井住友信託銀行含む4行)500億円+NECなど3社が金融支援500億円(NEC35.42% 日立30.62% 三菱25.05%)+短期借入金の借り換え というもの。
実はリストラ実施で1000億規模の損失 が予想され ⇒ 過小資本に陥る可能性 がありそれをカバーする必要がある。
株価は低迷するなか(5月29日 一時 上場来安値の前日比46円安の198円まで落ちる 3社の保有株が9割
浮動株が少ないことが 小口投資家の動向でルネサスの株価が左右される理由とされる)
公募増資 あるいは 海外ファンドなどを引き受けてとする 増資 も視野。

今後、ルネサスは約1000億円かけて人員削減へ 9月までに早期退職約5000人(従業員は4万2800人の約3割1万2000人を削減するとのこと)。
全国19け所の工場のうち半分を閉鎖・売却へ(基板つくる前工程10 チップ製品への加工する後工程9)。全国に分散する工場を集約化(老朽工場の廃止)。また赤字のシステムLSI事業の分離して、富士通・パナソニックとシステムLSI事業の統合交渉をまとめる予定という話もある(2012年2月に報道がでたもの)。

6月8日 12年7月から13年3月までの月例賃金の7.5%減額を労働組合に示したとのこと。また今冬の賞与2.24カ月分の支給見送り。このほか従業員4万2800人の約3割にあたる最大1万4000人を削減する方針を固めているとのこと。
6月15日 株価終値381円 前日比65円高

0riginally appeared in June 24, 2012
Corrected and reposted in May 18, 2015

「ルネサスのリストラ 地域雇用と経済を直撃」『エコノミスト』2012年7月3日, p.14
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Case Study on Japan Display

2015-05-01 10:56:33 | Management
2015年3月期決算 最終損益122億円赤字(前期は339億円黒字) 埼玉県工場閉鎖で236億円の特別損失 売上高7693億円 前期比25%増 営業利益51億円 81%減少 2012年4月 ジャパンディスプレイ発足 産業革新機構が2000億円出資 パナソニックから取得した千葉県茂原工場活用 1000億円投資して中小型液晶パネル工場に転換 背景:地デジ移行(2010年peak 国内薄型テレビ出荷台数 急減 2010年2500万台 2011年2000万台 2012年645万台 米国や西欧先進国でも出荷台数減少 その中でサムソン電子24.8⇒27.7% LG電子13.8⇒15.0% シェア伸ばすソニー11.2⇒7.8 パナソニック7.8⇒6% ) 2013年 スマホ液晶パネル 値下がり続く 新興国でスマホ市場拡大 HD品は採算悪化 日本や韓国のメーカーは上位パネル(フルHD WQHD)に移行 中国スマホは急速に高精細化(中国で高速通信インフラ急速に整備) 2014年3月 上場(2013年の中小型液晶パネルの世界シェアは首位16.2% 2005年当時の統合前30%以上から下落 2006年36% 2番手にシャープ 2010年当時はシャープがtop14.8%2番手ガサムソン電子11.9% 奇美電子11.7% その後JD:東芝、日立、ソニー+産業革新機構 ) 上場により1200億円強を調達 上場により産業革新機構の比率36%弱。上場前の半分以下に下がり経営の自立度は上がった。
JDは埼玉深谷工場の2016年4月閉鎖を発表(2014年10月) 茂原工場(スマホ向け高精細で世界最大 2013年6月稼動開始 2015年3月稼働率9割超え)に高精細パネル生産を集約  韓国サムソン・ソニーが中国スマホ(華為科技ファーウェイ 北京小米シャオミなど)に負けて失速 2015年2月 PC用タブレット用値下がり 4kなど大画面化・高精細化進むテレビ用堅調 2015年3月 石川県白山に高精細パネルの新工場建設 投資額1700億円 大半はアップルが負担 アップルそして中国メーカー向け伸びる
またこの間にJD 産業革新機構 ソニー パナソニックでJOLED(ジェイオーレッド)を設立 有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス 薄型で省電力)の国内量産目指す(すでに中小型有機ELは韓国サムソン電子が先行して世界シェア9割 ノートパソコン用中型パネルで2017年にも量産目指す 2016年までに開発費700-800億かける 2013年12月 ソニーとパナソニックは有機ELテレビの共同開発を断念し提携を解消・・・2012年6月に合意して先行する韓国サムソン電子、LG電子を追い協業の検討を進めていたが早期の事業化は困難として4k液晶集中へ。) なお照明の分野でも有機EL照明パネル(面で発光 自然光に近い 軽くて発熱も少ない)はLEDに次ぐ次世代照明の本命とのこと(コニカミノルタが2014年秋にも量産へ パイオニアは2014年3月にも2014年後半に本格化 三菱化学など) displaysearch 液晶パネル市場動向
産業革新機構の巨額出資に至る背景
液晶事業は需要変動・価格変動が激しく数年おきに数100億円の巨額投資必要
→ サムソン 価格破壊でライバルに撤退促す
韓国・台湾勢による価格競争がある
また韓国メーカーは有機ELでは先行している
欧米のテレビ市場の低迷 中国の成長鈍化
中国メーカーによる生産も急増中
このため供給過剰 価格下落の悪循環 大型液晶は不採算事業化
→ 2011年にはサムソン LGすら新工場の着工 稼働を遅らせ始めた
  液晶関連では パネルメーカー テレビメーカーは価格下落で赤字
  他方 部材メーカーで世界シェアの高いメーカー(液晶ガラス インキ 偏光板 ポパーフィルム)は高水準の業績を維持している
2011年まで業界首位のシャープは中小型へシフト ホンハイとの提携強化は挫折
  2009年10月に稼働させた堺工場が誤算のシャープ
  単価下落 円高で大型液晶パネル事業は赤字化(2010年3月期) テレビ用パネルは生産中断
  東芝・シャープともにアップル向けの中小型パネル生産ラインを東芝は石川にシャープは三重亀山に新設計画(2010年12月)
  亀山を携帯端末用に転換(2011年4月 2011年6月にも報道)
  テレビ用パネルではホンハイと提携(ホンハイ傘下の奇美電子との提携報道:生産分担は2011年2月にも ホンハイとの交渉開始報道2011年  6月初旬 合意報道2011年7月中旬)
  シャープがその後 ホンハイと提携に踏み込みながら ホンハイからの出資が実現せず、逆にサムソンから出資を受ける経緯については   Case Study: シャープなお液晶首位のシャープはホンハイとの資本業務提携(2012年3月末)を試みるがその後シャープの株価下落があり交渉は中断、ホンハイからの資本の本格的受け入れは成立していない。
シャープ リストラ策発表(2012年8月)後もホンハイとの提携進展せず
 
他方2011年8月31日 共同記者会見 新会社ジャパンデイスプレイ 2012年春設立(12年4月事業開始)
 東芝・ソニーの液晶事業統合報道(2011年6月上旬) 2011年6月中の合意目指す
 次世代の有機EL量産も視野 産業革新機構が主導 東芝 日立 ソニー 中小型液晶統合プロジェクト
 続いて 日立の合流報道(2011年6月末)
ホンハイ(奇美電子を買収)との交渉はまとまらず(日立は奇美電子とは技術提携。生産委託も行っている。)。ホンハイはシャープとの間で合弁会社設立で合意(2011年7月 大型液晶パネルで提携).その後ホンハイとシャープとの提携は一定以上に進展せず(上記)  

東芝 ソニー 日立3社による正式な会見(2011年8月31日)
 技術優位があるうちに量産体制構築
 2011年8月31日 共同記者会見 新会社ジャパンデイスプレイ(JD) 2012年4月設立へ(2012年3月期単純売上高合計は5700億円)
 現在の工場は国内6ケ所 海外4ケ所 人員は国内7600人 海外を含めると2万5000人
 売り上げを2016年3月期に7500億円まで伸ばして上場を目指す予定であった。
 液晶子会社は親会社の意向を離れた迅速な意思決定できない 過剰プレイヤーで全員が消耗 が現状
 そこで液晶子会社を統合することに.合併すると22%程度のシェア(4位東芝9% 7位日立6% 6位ソニー6%) トップのシャープ(15:14.8%)を抜いて世界首位に(2010年出荷額ベース 2位はサムソン電子11.9% 3位は奇美電子11.7%)
 産業革新機構(政府が920億出資 民間が100億出資 政府保証枠8000億円 投資枠9000億円 民間に比べ甘い投資基準 国民リスク負担で大企業を支援?)が2000億円出資 政府保証で民間から集めたお金
 2011年11月15日 正式合意(3社と産業革新機構) 
 人員については配置転換や早期退職制度でスリム化を進めて2012年4月は6400人体制でスタート。営業や設計開発は本社に集約。既存ラインは製品別に最適化するとした。

ソニーはサムソンとの合弁解消(2012年1月) リストラの渦中にあったソニー
 ソニーはテレビ事業の連続赤字(12年3月期まで8期連続赤字)を受けて、サムソン電子との2004年以来の液晶パネル合弁事業解消に動いた(2011年12月末公表)。合弁会社の持ち株すべてをサムソンに対して2012年1月末をめどに売却するというもの。売却額は1兆800億ウオン(830億円 減損損失660億円)。パネルの安定調達のための合弁であったが、パネルの供給過剰が続いている状況で、合弁生産を続ける利点が失われたと判断したもの。
 国内テレビは2010年のエコポイント(2011年3月終了)と地デジ移行(2011年7月東北3県除き完全移行)の2大特需の反動で一挙に2011年に失速。需要の先食いであるため次の買い替えサイクルは6-7年先とされ、家電メーカーあるいは家電量販店の苦境を深めている。薄型テレビは値崩れで、パネルーメーカー、部材メーカー、量販店とも利益が出ない状態とされる(2012年3月時点)。その後 ロンドン五輪(2012年7月)特需が期待されたが不発に終わったとされる(2012年6月時点)。

新会社はパナソニックの工場を買収して使った パナソニックもリストラの渦中
 パナソニック茂原工場買収へ 毎日2011年10月21日 産業革新機構が取得の方針。2012年7月の報道では 2012年4月に取得 7月から旧設備の撤去作業開始とある。300億円で取得して1000億円を投じて最新鋭の中小型用装置を導入 低温ポリコシンという材料を使った高精細のスマホ用パネルを生産する
 2014年度中の予定を早めて2013年6月にも本格稼働(日経2012年7月21日)。
パナソニック 連続2期赤字見通し発表(2012年10月31日)
 なお2011年6月末に合流した日立(同じ茂原に研究拠点)が千葉のパナソニック工場の買収転用案を持ち込んだとされる。2012年2月にはソニーは愛知県東浦事業所でタッチパネルと液晶パネルを一体にした新型パネルの量産を開始。

2012年4月 日本ジャパンデイスプレー(JD) 中小型液晶パネルで世界首位メーカーの誕生(事業開始2012年4月)
 中小小型液晶パネルの最大手(2013年世界シェア出荷額ベース JD16.2% シャープ15.1% LGデイスプレー14.2% 群創光電:イノラックス11.3% 友達光電:AUO7.4%)。顧客:米アップル、韓国サムソン電子、小米科技(シャオミ)、中国華為技術(ファーウェイ)最大顧客はアップル
 2012年6月 アップルの資金支援受けた能美工場(石川県)稼働 iPhone5向けパネル → iPhone5の不調
       画面サイズ4型の高精細パネル 問題はパネルの歩留まり率 汎用品(1枚20㌦)の1.5培から2倍
パネルの画素内にタッチパネルの機構が組み込まれている 不良品は廃棄 テレビ用の生産ラインの転用で歩留り低下
 2013年3月期売上高4500億円(中小型で世界トップ 韓国LGデスプレーが猛追)
                                        → 1社依存のリスク ファーウェイなどを開拓
 薄型テレビ用液晶パネル化価格低迷(中国のパネルメーカーが高水準の生産 中国国内でテレビ需要伸び悩み)(13年4月)
 スマホ タブレット用中小型は高機能品中心に需要堅調
 日本板硝子の子会社からフィリッピンの液晶パネル組み立て工場を買収(現地従業員4000人を引き継ぐ) 

全国6工場はフル稼働(2013年8月現在)。→全国2ケ所の主要拠点に集約して業務を効率化へ。全社員数6200人。その6分の1を異動。
 2013年6月 千葉県で1500億円を投じたスマホ向け液晶パネルの最大級の工場(茂原工場:パナソニックから300億円で買収した工場 1500億円かけてテレビ用の大型液晶パネル工場を中小型パネル工場に転換。最終的投資額は総額で2000億円とも。その前工程)を稼働させた。低温ポリシリコンを材料に使う高画質パネルを生産。大型ガラス基板を使用。世界最大規模の能力をもつ先端工場。2014年度にも生産能力を倍増し首位を維持へ。スマホ研究部門も集約。カメラ、産業機器用事業部門の主要拠点。また回路の設計は海老名オフィスに。
 車載部門は鳥取工場に集約。石川、茂原、深谷から関連人員を移動。石川、茂原の車載生産ライン(旧式ライン)は閉鎖。鳥取工場に16年3月までに生産ライン新設。
 産業革新機構が7割出資 日立 東芝 ソニーの中小型液晶事業を統合(中小型でのシェアは16.2%で世界首位)
 2013年度中上場(2013年9月発表) 2013年3月期 売上高4500億円。営業利益は30億円。2013年度の上場案件では2013年7月のサントリー食品インターナショナルに次ぐ大型案件。時価総額7000億円規模。2000億円前後を調達予定。
 2014年3月上場(主要顧客のアップル向けは好調 中国スマホ台頭のためサムソン電子やソニー向け出荷が失速 中国スマホ(小米科技:シャオミあるいは華為技術:ファーウェイ)向け想定より伸びず シャープとは競合関係 中国メーカー台頭でパネルの単価下落:背景は中國での供給過剰による投げ売り 中級品の価格が年3割のペースで下落 他方で新製品投入サイクルが早く急激に高精細化が進む)
 中国メーカー向けで単価下落で業績下方修正続く(甘い見通し)。
 業績下降で公募売り出し価格の900円を上回ることなく推移(2014年6月現在 売り出しによる株を入手した個人株主からは不満 上場前 産業革新機構69.5% ソニー 東芝 日立が各9.9% 個人などその他0.7% 上場後産業革新機構35.6% 3社各1.8% 個人などその他59.1%)(2014年10月17日一時313円 機関投資家は売り一色)
 2014年10月 深谷工場(埼玉県)の閉鎖(2016年4月)を発表(国内5工場のなかで最も古い 年70億円の固定費削減)。主力の茂原工場(千葉県)に生産を集約 JDが強い高精細パネル:低温ポリシリコン使用でもシャープやサムソン電子が有機EL外販本格化へ JDについては過剰人員との批判絶えない
 
資料
 産業革新機構 2009年7月27日設立 wiki
 東芝 ソニー 中小型液晶連合 東洋経済オンライン June 22, 2011
 東芝 日立 ソニーが中小型液晶事業を統合 Reuters Aug.31, 2011
 Small LCD makers forming Japan Display with Government support, Sept.2, 2011

新会社:次世代は有機ELで大丈夫?:有力メーカーは多く3社の乗り合い体制:将来への不安は深い
人員については配置転換や早期退職制度でスリム化を進め2012年4月6400人体制でスタート。営業や設計開発は本社に集約。既存ラインは製品別に最適化するとした。新会社発足にあたり強調されたのは有機ELパネルの研究を進めて2013年度をめどに量産を開始する構想。技術開発の基礎力はあるが、この面では韓国勢が商品化ですでに先行している。そこで解像度の高い有機ELの量産の計画が新会社発足にあたり示された(2012年4月2日)。なお新会社に合流しなかったパナソニックはソニーとの大型有機ELパネルの共同開発をその後発表している(2012年6月25日)。しかし有機ELテレビの量産を2012年中と発表していた韓国勢(サムソン電子 LG電子)が薄型テレビ需要の低迷から年内の発売を延期。背景には低コスト化がむつかしく、採算が合わないことがあると見られる(2012年12月現在)。有機ELパネルの量産開始はかなり慎重を要する状況(2012年12月現在)。有機ELの研究開発に毎年100億円規模の研究開発費を投ずる予定
 自発光するため省電力、色再現性で優れている有機ELの課題とされる。先ほどのパナソニックの工場の転用案と区別が難しいが、有機ELパネルについては茂原で研究がすすめられており、2013年にラインを新設して試作。性能を検証の上、2014年から量産に入るとしている(日経2012年10月2日)。中小型有機ELパネルでアップルへの供給を目指している(サムソン電子がすでに有機EL搭載スマホを2010年から発売しているものの、供給余力に乏しい)。
 なお有機ELについては特性を生かして、照明に応用する研究がすすめられている。LEDがすでに省電力という点で普及を始めているが、有機ELには熱くならない、面で照らせるという特性があり、新たな用途開発も期待される。
 2015年1月にタブレットなど有機ELパネル開発会社JOLED(ジェイオーレッド)立ち上げる(革新機構75%とJD15%,ソニー5%、パナソニック5%の3社。なお中小型有機ELパネルでは韓国サムソン電子が9割シェア)。これは3社の技術を持ち寄ってタブレットむけに中型パネルを開発量産しようというもの。有機ELをパネルに塗布する方式で量産方式を確立。サムソン電子に巻き返しを図るという。

JD設立後も実はソニーやパナソニックは独自の有機EL開発を続けている。外から見ていると、ソニーやパナソニックは親会社で使えそうなものは、親の側に残そうとしているように見える。 なおカーナビゲーションなど車載用パネルにも期待高まる。

 産業革新機構の肩入れは、2009年にエルピーダに政策投資銀行が300億円出資した経緯と少し似ている。エルピーダはその後も困難な経営を続けたあと、2012年に入って経営破綻。2012年7月には米マイクロンの子会社になることが決まった。ジャパンディスプレイに対して、同様の結末の危惧があるのも事実だ。産業革新機構の巨額出資は大丈夫だろうか。
エルピーダの米マイクロン子会社化(2012年7月)
半導体事業 エルピーダ そして東芝 ソニー
 
originally appeared in Nov.2, 2011 and Dec.24, 2013
corrected and reposted in May 1, 2015

Case Studies 企業戦略論

   


Case Study on EMS in Taiwan

2015-02-04 00:33:20 | Management

台湾のEMS: electronic manufacturing service:電子機器の受託製造サービス)

台湾では特定分野に特化することで規模を拡大し、生産コストの引き下げを実現。世界市場に一定の存在感のある、電子機器や関連部品の受託製造EMSなどIT関連企業群が形成された。 製品寿命の短期化も背景。EMSのうち半導体の受託製造に特化したものはファウンドリ-サービスfoundry serviceという。もともとは北米で発達。米クアルコム(通信用チップなど)。米エヌビデイア(画像処理チップなど)。など。製造するのは独自機能をもつシステムLSIなど。汎用DRAMに比べ利益率高い特徴。草分けとしてソレクトロン(IBMやHPの委託で1988頃から伸びる 2003年以降業績低迷 2007に同業のソレクトロンにより36億ドルで買収される) 台湾企業のほか シンガポールのフレクストロニクス アメリカのジェイビルサーキット カナダのセレスティカ(米IBMのトロント工場のMBOがきっかけ)など。


 人口2300万の台湾であるが 代表的EMSとして、ホンハイ TSMC、エイサー エイエイースなど。他方、委託で伸びた日本企業としては東芝 ソニー(PlayStation) 任天堂(Wii)などが有名。現在もスマホやタブレット端末向け需要は堅調に推移している。
 台湾のファウンドリー(顧客から受け取った回路の設計データに沿って、半導体チップの生産を代行する専門会社)。ファウンドリー成長の背景にあるのは年間数千億円単位の投資の必要性。また需要サイクルによる繁忙格差。そこで半導体の生産を委託し、自身は半導体の設計開発に手中するファブレス企業が増加した。受ける側は稼働率を引き上げるメリット。
 代表的な企業として、半導体LSIでは、台湾積体電路製造(TSMC1987年設立 ファウンドリー世界最大手 世界シェア5割 2013年46.3%)、聯華電子(UMC、ファウンドリ-で50%、世界2位 2013年の数値では2位は米国のグローバルファウンドリーズ9.9% UMCは9.2%で3位 4位が9.2%でサムソン電子)など。ファウンドリーは1990年代後半に急成長。2008-2009と落ち込むが、その後 スマホ向け省電力型半導体チップの引き合いで成長。米国の注文主の事例として、ファブレス大手のクアルコム、ブロードコムなど。ファウンドリー市場規模は2012年に、2011年(推定市場規模265億ドル)から12%程度伸びる見通し(2012年12月)。

foundry service 一人勝ちとされるTSMC
台湾積体電路製造(TSMC 半導体の受託製造で世界最大手 半導体受注で世界シェア5 1987年設立 ファウンドリーという業態を生み出したとされる スマホ向け半導体が好調 積極投資で好調を維持 サムソンと違いスマホなどに製品部門がないため技術流出の懸念がないため顧客が発注しやすい。アップルはiPhone向けCPUの発注を2014年秋発売の新モデルからTSMCに全面的に切り替えた。技術力を維持するため生産能力の9割超を台湾においている。 サムソン電子と技術開発で競争関係。高額スマホ用から低価格スマホまで幅広く受注。工場の稼働率を高め高収益を実現。2014年7-9月の売上額は2060から2090億台湾ドル 売上高営業利益率は38.5-40.5%の驚異的水準にある。スマホ用半導体で高投資と好調を維持ではあるが中国メーカーとの競合激しい。次期事業はなお模索(2015年1月発光ダイオード事業LEDの売却撤退を発表)。カリスマ経営者張忠謀董事长の後継者も課題。
サプライチェーンの安全の観点からTSMCへの過度の依存を心配する意見もある。

2012 ファウンドリー で1位TSMCは揺るがなかったもののシェア44% 2位はグローバルファウンドリーズ 3位に韓国サムソン電子(工場の稼働率向上のためファウンドリーに積極参入)が浮上
 2013年1月にグループ売上高前年同月比37.1%増474億臺灣ドル(約1490億円)。大口顧客が分散しているため アップルに結果として傾斜。 ホンハイに比べて業績に安定感あり。パソコン等の画像処理に使う大規模集積回路LSIなどが主力。ファウンドリー(半導体受託生産最大手)。張忠謀CEO。
 2008年の景気悪化時は投資抑制
 2009年4月 富士通が40ナノより先のシステムLSIの自社生産をあきらめTSMCに委託を決定
 2009年11月 中国の同業大手 中芯国際集成電気路製造(SMIC)との米国での訴訟(営業機密の流用)で両社が和解 SMICがTSMCに現金2億ドルを支払うほか株式のワラントを譲渡する
 2009年12月 台湾の太陽電池セル最大手 茂迪(モ―テック)に20%出資して筆頭株主になると発表(太陽光発電関連事業に本格参入) 
 2010年2月 台湾政府 大型パネル工場の建設 300ミリウエハ―対応の工場を持つ中国企業への出資認める →TSMC 中国の同業大手 中芯国際集成電気路製造(SMIC)への10%出資を当局に申請
 2010年7月 TSMC 台湾経済部(経済産業省)の出資認可によりSMICの発行済株式の8%を無償で取得(同2%相当のワラントも譲渡)
 2010年7月 台湾北部の新竹、南部の台南の2工場の生産能力を年末までに2割増強と発表 設備投資の当初計画比上方修正を発表
2012年12月期 売上高1.7兆円 純利益5600億円 営業利益率35.8%と高水準 これを武器に社債などで市場から資金を調達 2012年の設備投資83億ドルは過去最高。2013年にも米インテルと互角の100億ドル規模の投資を予定。
 20137-9月期純決算 前年同期比5%増520億台湾ドル1732億円 2期連続で過去最高
       売上高  15%増の1626億台湾ドル 2期連続で過去最高
       営業利益率36.7%過去最高   
 タブレ スマホ向けLSIの受注 受託生産好調に推移 値崩れしにくい最先端LSIの世界シェア84%。2013年 97億ドル(9900億円)の積極投資 2014年7-9月 米アップルのiPhone6の販売が好調⇒iPhone6向け半導体CPUを生産するTSMCの好決算前年同期比47%増763億台湾ドル(2671億円) 中国の低価格スマホ用の需要も伸びる 2015年4-6月にも線幅16ナノの次世代工場が稼働

聯発科技(メデアティック) スマホの頭脳となるLSIで強い(スマホ向けLSIで2013年世界第三位 クアルコム54%、アップル16%、メデイアテック10% 低価格スマホの影の主役とされる 中高価格帯ノスマホ向け市場はクアルコムが独占)。2007年に新規

2014年8月 元社員による機密漏えいの疑いで法務部による捜査が行われた。中国企業に情報が流れた疑い(2013年12月にも情報を持ち出し中国の同業に入社したとして元幹部を同社は刑事告訴)

メデイアテックはファブレスメーカーで、中国製低価格スマホ(200ドル未満)の急拡大(最終製品の値下がり)を米クアルコムと並んで支えているとされる(2012年の中国でのスマホ向けLSIシェアは33%-52% 2013年に47%-35%と逆転)。台湾での開発でこだわることで開発コストを抑え、レファレンス(推奨部品リスト)を通じて推奨部品を売り込む。競合は中国のファブレス。華為傘下の深圳市半導体、独立系の展讯通信(スプレッドトラム)など。スプレッドトラムの中国スマホ向けLSIシェアは2012年7% 2013年13%と倍増している。

2014年7-9月期をpeakにメデイアテックの業績(売上高・純利益)が低下を始めた。背景はスマホ市場の伸びの鈍化、スマホ市場内の価格競争激化である(なお日本国内の携帯生産台数peakは2007年。アップルがIPhoneを発売した年だ。)。

背景には中国スマホメーカーの値下げ要求がある。華為技術(ファーウェイ 1987年創業 通信機器メーカーとしてエリクソンに次ぎ世界2位 2013年にはスマホで世界3位)はサムソン、アップルに迫る3番手。4番手には中興通讯(ZTE)とされてきたが.北京小米科技シャオミ 2010年4月設立 ネットで3-4割を売る戦略 2013年秋液晶テレビ:小米電視 2014年タブレットにも参入:小米平板 2015年1月大画面スマホ:小米ノート発売)の追い上げが激しい。欧珀(OPPO)、レノボ、家電大手のTCL集団、宇竜計算機通信科技(クールパッド)。インドではマイクロマックス、それぞれの地場メーカーが迫る。2014年に3位についたのは小米(創業者は雷軍氏:中国のジョブズ SNSを通じた販売を主導)。そのシャオミの品質を支える形になっているのは、日本メーカーである(小米3:2013/10発売の液晶はシャープとLG電子、画像センサーはソニー 半導体はTSMCと米エヌビデイア 組み立てはホンハイなどが本土で タブレット:液晶パネルはシャープ、友達光電 大画面スマホ:液晶パネルでシャープ、ジャパンデイスプレイ 画像センサーとリチウム電池でソニー)。

可成科技(キャッチャーテクノロジー) 2014年9月にお披露目されたiPhone6で金属筐体を大口受注で注目。金属筐体で世界シェア3割。金型や表面処理技術を自社開発。筐体ではホンハイと並ぶ。筐体の分野はホンハイと2社で7-8割。12年12月期の営業利益率は33%。

大立光電(ラーガン・プレシジョン) スマホ内臓カメラの極小プラスチックレンズを生産。厚さ0.1ミリ。400を超える自社特許(低コストプラスチックレンズなどの特許をいち早く取得 射出成型技術)。


the largest EMS 鴻海G(ホンハイ)EMS世界最大手
 中核子会社が 富士康科技集団(フォックスコン)
 鴻海精密工業(EMSで世界最大手 広東省深曙V市に生産子会社 iPhoneの独占供給 iPodの製造代行で有名 HPのパソコン プリンター 任天堂のゲーム機も受託) 世界最大のEMS アップルの受託製造メーカーとして有名
 アップルを主要取引先とすることから アップルの成長鈍化により 今後の成長に懸念(2013年春)
アップルとの信頼関係は1998年のiMacの製造委託以来と古く深い(日本から継承した高い金型技術が裏付け)
 アップル生産の大半を受託生産 日本の顧客として ソニー 任天堂 シャープなど。
  2009年9月 ソニーのメキシコ工場(液晶テレビ生産)買収決定(2009年末にソニーはメキシコ拠点を売却)
  2009年12月 デルのポーランド工場(パソコン)買収を発表  
20103月 フォックスコンが液晶パネル4位 奇美電子(大型パネル中心日本の船井電機とも取引)を吸収合併合併相手は鴻海Gの群創光電(モニター用中心)。液晶パネルで世界3位を目指す
  合併後の企業売上高規模は6.8兆円規模(2008年)。ソニー(7.7兆円)、サムソン(9.4兆円)、パナソニック+三洋(9.5兆円)、HP(10.6兆円)と並ぶ企業グループの誕生。
2010年5月 中国鴻海での連続自殺事件
 2010年5月-6月 フォックスコンの工場で連続自殺者問題
 2010年8月 問題のフォックスコンの工場で規模縮小の噂広がる
  従業員規模40万人(45万とも 中国全土では90万) iPadの主力工場
  沿海部の加工貿易モデルの象徴
 2010年8月 鴻海精密工業 中国法人の従業員規模を4割増しにして残業を削減へ
  基本給を2段階で2倍超に引き上げ 内陸部への生産移転 などは発表済み
  顧客企業に受託費引き上げを打診の模様
 2010年9月 ソニーがスロバキアの液晶テレビ生産拠点をフォックスコンに売却
 液晶パネルの奇美電子、日本のシャープを支援。
2013年3月 シャープ ホンハイの提携から1年 

 電子機器OEM*では鴻海精密工業(EMSで世界最大 広東省新線曙V市に生産子会社 iPodの製造代行で有名 2011年12月期の売上高9兆6361億円 従業員96万人)、液晶パネルでは、世界第3位の友達光電(AU Optronics)、奇美電子(ホンハイが買収)、そしてパソコンでは、最大手に宏碁(エイサーAcer)、ノート型PCでは、世界最大手の広達電脳(Quantaクアンタコンピュータ)、あるいは仁宝電能(Compal)などがある。
 たとえばソニ-の注文はQunataで、富士通の注文はQuantaやCompalで受注しているとされる。なお台湾の企業が受注しているとしても、生産が中国に移ったものについては、輸出は中国から行われる。
*orginal equipment manufacturerとは相手先ブランドによる生産を受け負うメーカーを意味するが、そうした生産方式を指すこともある。受け負うもののデザインについてこのメーカー側の機能が高まると、OEMはoriginal design manufacturer: ODMに発展する。また生産者側と利用者側がデザイン段階から協力する方法をデザインインと呼んでいる。下請の技術者がデザイン段階から協力することで生産性やコストで改善しやすいことが背景にある。

 ホンハイ 鴻海精密工業 郭台銘董事长
 1974年創設 ソニー 任天堂を顧客に アップルのiPhone iPadの受託生産で急成長 90年台にEMS参入 2000年台は売上高が前年比50-70%伸びる急成長 低い利益率を売上高の伸びでカバーする事業モデル 2012-2013 アップルの成長の減速の影響受ける。 中国での人件費上昇で受託生産の収益悪化
 2012年6月  家電量販事業の強化を表明 
 201212月期 連結売上高13兆円に迫る 売上高の4-5割を占めるアップル向けが減速 
2013
1月 傘下の量販店で自社ブランド 液晶テレビ拡販(事業モデルの転換か? アップル依存のリスクを軽減)
 20131-3月 連結売上高 3年半ぶりに減少
 2013年春  中国や台湾で展開する家電量販店(自前の小売網あり)の一部閉鎖を決定
 2013年6月  株主総会でコネクター事業(世界3位規模)の分社化を表明
 2013年9月  台湾での4Gサービスの周波帯入札に参加(2014年にも事業開始)

 2013年12月期 売上高3兆9523億台湾ドル(13兆2800億円)前期比1%増 2009年以来の低い伸び 営業利益も1%増の1093億台湾ドル
 2014年4-6月期 5四半期ぶりの売上高減収(前年同期比2%減)8790億台湾ドル(2兆9900億円) アップルの受注は4-5割を占め利益率は低いが受注の伸びが命綱。iPhoneや北京小米科技(シャオミ)向けは好調だったが、iPadが伸びなかった。人件費の増加を受けて生産の自動化を進めた結果 営業利益は50%増の279億台湾ドル。売上高営業利益率は3.2%と3%台を回復。純利益は19%増の201億台湾ドル。他方2014年6月 2003年から中国で合弁で展開している家電量販事業の運営会社の株を中国の投資会社に売却して、撤退することを明らかにした。ネット販売は継続の方針。家電量販は値引き競争が激しく苦戦が続いていたとのこと。家電量販事業など流通事業は、川上から川下まで一貫して手掛ける「垂直統合戦略」とされるが(自動化による余剰人員の吸収 受託したものを自社の流通網で売る相乗効果)、ノウハウや人材不足でうまくいっていない。

   2014年秋以降 IPhone6の販売好はホンハイを潤したが、同時にアップル依存リスクをホンハイは強く意識.多角化を早くからさぐっているとされる。狙いの一つは自動車の受託生産だとされ、2005年に台湾の自動車部品メーカーを買収して以来、着々と布石をうっている。もう一つ目となりそうなのが通信事業。2014年6月に台湾の通信会社に出資、12月には高速通信サービス4Gを始めている。

 このほか台湾企業の素材産業として台湾塑膠工業集団(台塑石化、台湾塑膠工業など)、中国鋼鉄。また中国に進出して業績を伸ばしている、食品最大手の統一企業など。

聯華電子(UMC)について

ファウンドリーで2011には半導体受託製造で世界2位 なお3位は米グローバル・ファウンドリーズ 2012年にサムソン電子の躍進で4位に転落している なお2013年には世界3  2008年の景気悪化時は投資抑制
2010年2月 台湾政府 大型パネル工場の建設 300ミリウエハ―対応の工場を持つ中国企業への出資認める → UMC  中国の和艦科技(UMC)を全額出資子会社化 (2005年にすでに子会社化したものの批判があり信託に株式預けていた)
 2010年5月 シンガポールと台湾台南の工場(携帯電話などに使う大規模集積回路LSI工場)の設備増強を発表
 中国での半導体需要に対応して2014年10月 中国福建省アモイ市に直径300ミリの先端工場を新たに設けて半導体を受託生産(合弁生産)を始める(2016年第四半期稼働予定)と発表した。総事業費62億ドルでUMCは13.5億ドルを出資。UMCはすでに200ミリウェハーの旧世代工場を中国の保有(TSMCも同様)。競争激化に対応して先端工場設置に踏み切るもの。


奇美電子 液晶パネル大手 世界4位 液晶はサムソン電子 LG電子 奇美電子 友達電子の順 群創光電(旧 奇美電子 チーメイ 20126月末に社名変更)
 2010年2月 フォックスコンが液晶パネル4位 奇美電子を吸収合併 自社Gの群創光電と合併させて 液晶世界3位を形成。
 群創光電 モバイルやテレビ向け液晶が好調 2012年10-12月期 10四半期ぶりに営業黒字に転換(2013年3月)

友達光電(AUO) 液晶パネルで世界でも大手
 液晶で世界大手 世界ランクは4位
友達光電AUOはサムソン、LGフィリップスとほぼ互角の液晶パネルメーカーである。2006年10月に台湾の広輝電子を合併し世界3位世界シェア19%となった。
 2009年6月 中国の家電大手、四川長虹電器と合弁で四川省綿陽市に液晶パネル組み立て工場設立を発表 年内に生産開始予定
 2009年12月 スロバキアに液晶テレビ向けパネル組み立て工場建設を発表
2010年3月 江蘇省昆山にパネル工場建設へ投資額30億ドル 第7.5世代のお大型硝子基板を使う
 2010年6月 米3Mと次世代タッチパネルの共同開発(3Mのタッチパネル技術の導入)を発表
 2010年7月 液晶パネルをめぐるアメリカでの独占禁止法違反事件(2006年調査開始 日韓台の8社が対象)で徹底抗戦続ける
 2010年7月 台湾中部彰化県に液晶パネルと太陽電池工場を2つずつ新設する計画を発表
 2010年8月 友達光電幹部3人にカリフォルニア州連邦地裁が出国禁止命令
 2010年8月 中国広東省中山市で液晶テレビの受託生産をしている台湾の緯創資通(ウイストロン)との共同出資で液晶パネルの組み立て工場設置を発表
 2010年9月 液晶テレビEMSで世界最大手の台湾系企業、冠捷科技(TPV)と共同でブラジルにパネル後工程の組み立て工場建設を発表
 2010年11月 ソニーから継承したFED(電界放出型デイスプレー)を2011年冬にも量産する方針 なおソニーは有機EL と FED とを次世代D技術として研究開発したものの2005年に有機ELに注力する方針を決定 FED事業を分離独立させた経緯がある この技術資産を2010年1月AUOは買収した
 有機ELで試験生産入り(2012年春)

広達電脳(Quanta クアンタ)
  ノート型パソコンODM(相手先ブランドによる設計・生産)の世界最大手。台湾のEMSは世界のノート型パソコンの受託生産の9割を握る。超薄型軽量のウルトラブックの受注増加(2012年春)
  ノート型パソコンはタブレットと競合 受注競争も激しく受託生産料も低下 また人件費も上昇している 工場の中国内陸部への移転 pソコン以外の業務への展開を図っている 米グーグルのタブレットネクサス7の生産を受注(2012年7月発売開始)
  また米アマゾンのキンドルファイアの新製品も受注
  データセンター用サーバー製造にも参入(2010年)
 ホンハイがノートパソコン受託生産に参入するなかクラウド事業(ネットワーク経由でソフトを提供するなど)強化へ
 台湾域内でクラウド事業用データセンター建設中(2012年春)
 スマホ受託の上場子会社華宝通讯を吸収合併(2014年2月) スマホ製造受注体制急ぐ

広達電脳以外のノートパソコンEMS大手
 仁宝電能工業(Compal コンパル):スマホなどパソコン以外の受注を増やしている

ノートパソコン 中国での低コスト生産で伸びたが パソコンの出荷台数減少 タブレットとの競合。スマホ タブレットへの切り替え急ぐ
 緯創資通(ウイストロン):宏碁(エイサーAcer)の生産部門が独立したもの、タブレットの受注を増やしている
 和碩聯合科技(ペガトロン):米MSのタブレット、サーフェスを受注見込み(2012年内発売開始予定)
 英業達(インベンテック) 
 鴻海精密工業(EMSで世界最大手が本格参入する見通し)

宏達国際電子(HTC1997年 通信機器のOEM供給(受託生産会社として)主力に創業  台湾のスマホメーカーの老舗 2006年 自社ブランドの携帯電話発売 受託生産からの脱却として期待された
  2008年 アンドロイド搭載スマホを商品化
  2011年スマホ大手 一時米アップルと競争し期待される その後 サムソンの攻勢で2012年以降後退。自社ブランドの成功モデルとされたが2012年末には世界シェア5位から落ちる。高価格帯商品多く 新興国で伸び悩む。サムソンと比べマーケテイング力(かける費用を含めて)が弱い。
  2013年4月 社運をかけてHTC One発売
  2013年7月 HTC One mini発売 
  20137-9月 2002年の上場来初の30億台湾ドル(約100億円)赤字 苦境にある 台湾ブランドの苦境を象徴 スマホではサムソン電子などと競争激化。2014年10月 グーグルと共同開発したタブレット「ネクサス9」(1年ぶりに更新された新OSアドロイド5.0搭載)の先行予約開始。 2013年8月 設計部門幹部が機密を盗み中国企業と共同開発しようとした容疑で逮捕される
 パソコン 世界出荷台数 2013年は前年比10.1%減 台湾はノート型パソコンで世界9割のシェア。それが裏目。タブレットで中韓が台頭(タブレットでの台湾のシェアは2012年69% 2013年50% 韓国サムソン電子 中国レノボが急伸

  2015年3月 HTC One M9の発売で起死回生を狙う。

台湾の代表的PCメーカー 宏碁(エイサーAcer)のアセットライト戦略 世界出荷台数でHP、デルに続き3位(2008-2009年) 2010年には世界2位
  台湾 エイサーの躍進 2011年には世界4位 アセットライト戦略 および 単一品目化(パソコンにこだわる) の失敗例
  メーカーではなくマーケテイング会社目指す 創業者 施振栄(スタン・シー)・・・スマイルカーブ理論を提唱。自身のブランドにこだわり1990年代に自ら利益の高い両端に事業を拡大 投資の分散の結果大手との競争に失敗し工場を手放したとの評価もある・・・ホンハイやTSMCが結果として成功 現在のCEOは王振堂 アセットライト戦略(低価格品の大量販売)で有名 外部に生産を委託 販売に注力 研究開発まで外部依存強まると革新的商品を生み出せなくなること 製造は台湾のEMSメーカーに委託。
  2007年に米ゲートウエイ買収
  Acerは2007年8月27日、米国のGateway買収で合意したと発表した。買収金額は約7.1億ドル(約824億円)。Lenovoを抜いて再び世界シェア3  位となった(シェア8.1%)。なお1位はHewlet-Packard。2位がDellである。
  2008年に欧州ペッカーベルを買収 エイサーブランドは欧州では通用。米ではゲートウエイブランドを活用。
  2008夏 低価格パソコンネットブックがあたる

  2009年夏 欧州でスマートフォン発売
  2009年秋 パソコンで世界2位メーカーに浮上(世界シェア13% topはHP)
  2010年11月 営業拠点を来年初めから重慶にも開設すると発表(エイサーは生産部門をもたず生産は委託。これまでの中国での営業拠点は上海のみ このほか江蘇省昆山にグローバル製造センター設置)
  2010年11月 iPad型(タブレット端末 多機能端末)3機種を正式発表 発売は2011年2月から順次
 (エイサーのスマホ タブレットが販売不振 背景には研究開発力の低下他社に比べて研究開発投資が極端に小さい 工場分離したときに研究開発まで切り捨てる選択が裏目に出る 主力市場の欧州が欧州機器 主力の個人向けパソコンがタブレットに押される)
  2000以降 アセットライト戦略 低価格品の大量販売で伸びる タブレット スマホ事業の強化で遅れる
  20134-6月期 7四半期ぶりの営業赤字転落
  20137-9月期 131億台湾ドル(440億円)の最終赤字 パソコン販売(世界シェア4位)減少響く 
  背景 2007-2008買収のゲートウェイ パッカードベルなどののれん代減損処理
  2013年11月 王振堂CEO突然辞任 創業者の施振栄氏再登板 リストラ策発表

  2014年1-3月期 売上は前年同期比17%減の767台湾億ドル最終損益は100万台湾ドル(340万円)の黒字 黒字は4四半期ぶり

2014年5月 施振栄氏が6月退任発表 2014年10月マイクロソフトが開発中の次期基本OSウインドウズ10を公開(2015年半ば発売予定)⇒ウインドウズ搭載のエイサーの販売増に期待

 
パソコンEMS タブレットに注力 パソコンの需要低迷が重荷 自社ブランドによる生産・販売への転換図る  華碩電脳(旧アスース 現エイスース Asus
パソコン用回路基板であるマザーボード世界最大手 パソコン大手
  2007FeePCでnotebookの火付け役演じる(約250ドル)
  ミニノートの低価格化 ネットブックの発売で先鞭 高い技術力示す iPodを受託生産

  2008年 EMS会社ペガトロン(童子賢董事长)を分離独立させる (ペガトロン:和碩聯合科技は2010年発売のiPhone4を少量受注。2013年には5cを大量受注。さらに2014年9月発売のIPhone6の受注に成功 急激に業績伸ばす 2015年にはEMSの売上高でホンハイに次ぎ台湾で2位との評価。今後はアップル以外に顧客を広げる方針)
  超薄型・軽量パソコン「ウルトラブック」の販売が好調(2012年夏)
  グーグルのネクサス7をグーグルと共同開発 商品開発力には定評
  タブレットに注力している 2011年パソコン世界出荷シェアは5.7%で世界5位
  2013年4-6月期 9四半期ぶりの減益 
  エイサーに比べると経営は安定 世界5位 世界4位で同様に個人向けパソコンに強いエイサーと合併観測(2013年8月末)
パソコンの世界上位3社は法人向けに強い 個人向けパシコンが急減している。

かつての勢いがないDRAMメーカー
 DRAMはパソコン販売の好不調の影響に加え、回路幅がより微細な最先端品に生産が移行するとともに採算ラインが変わってゆく(低価格 低消費電力)。というのも供給圧力から価格が低下してゆくからで、投資競争を続ける企業だけが生き残れる。最先端の30ナノメートルの量産に日本のエルピーダと韓国のサムソンが到達している(2010年9月)。DRAMには、パソコン用のものと、スマートフォン・タブレット端末向けのもの(高い低消費電力性能が求められ回路構成も複雑)があるが、後者の需要・値動きが堅調であるのに、前者は欧米でのパソコン需要の伸び悩みから値崩れしている(2010年9月)。背景にパソコンメーカー側の適正水準を超えた在庫がある。タブレット端末が増えているが、ノートパソコンに比べてiPadに代表されるタブレット型端末はDRAM搭載量が少ないということ(需要構造の変化)も響いているとのこと。 
 こうしたなかでかつて台湾経済をけん引したDRAMメーカーは苦境にある。
 2010年11月にエルピーダメモリでは、半導体DRAM(低採算品)の生産調整(減産)、台湾の端晶電子(2007年に力晶半導体との合弁で発足。エルピーダ52%。2009年にエルピーダの出資比率引き上げ64%に)での新工場建設の延期などの検討を始めた。生産調整は約2年ぶり。エルピーダメモリでは2011年中に広島工場をスマホ・タブレ向けの専用工場にしてパソコン用は台湾からの調達に切り替える方針。生産委託先としては子会社の端晶電子のほか、日台連合として手を結ぶ力晶半導体、茂徳科技、華邦電子の3社が上がった(5社連合 日台連合あるいはエルピーダ連合といいサムソン電子 ハイニックス半導体を追う3位となる)。その後エルピーダは2012年2月末に経営破たん。
 台湾最大手の南亜科技(ナンヤテクノロジー 親会社は台湾塑膠工業)での人員削減(2012年内実施)、茂徳科技(モーテック)の上場廃止(2012年3月)と大量解雇(2012年内実施)、エルピーダの合弁相手の力晶科技の債務超過(2012年8月末 自社ブランド生産を放棄 ファウンドリーに転換を表明)などが伝わっている。
 台湾の政治 2010年6月 中国と経済協力枠組み協定ECFA 201201 総裁選馬英九再選 電気料金引き上げ 株式売却益課税など不人気政策で国民離反 政敵追い落としのため検事総長から機密情報入手 国民の信頼失う 2013年6月 中国とサービス貿易協定締結(独立派けん制の狙い 対中融和策の成果) → 立法院空転で審議進まず
 2013年7月 ニュージランドとFTA経済連携協定
 2013年11月 シンガポールとFTA経済連携協定
 2013年の台湾GDP 実質前年比2.19%増 低成長 (2012年は1%台半ば)背景:輸出の力不足 主力のIT製品輸出が伸び悩み 20143月 学生による立法院占拠

This blog was written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author. It appeared in Jan.2011. It was revised in Feburuary 4, 2015


Research on Big Data

2015-01-04 16:10:07 | Management

企業はインターネットを さまざまに利用した。
 自社ウェッブサイトの利用(メッセージの配信 会員サイトの創設)
 広告の配信
  グーグル ヤフー 検索結果連動
  ユーチューブ(グーグル) 動画広告
  電子商取引サイト 利用者の購買履歴を活用した広告配信
   アマゾンドットコム イーベイなど
 広告の自動配信
 利用者の閲覧・購買状況に応じて効果的に関連広告を自動配信するもの
 ⇔ 検索連動型広告search advatising
  SNSを利用した販促。登録者に対して新商品情報 割引クーポン。
   フェイスブック(交流サイト 最大手)

そしてこのインターネット上で生み出される膨大な情報(ビッグデータ)の活用が話題になっている。分析では経済物理学 行動心理学などの知見の応用が有効だとされている。その情報の例。

商品購買履歴 電子チラシ閲覧情報 SNS ブログ上の評判
気温など天候の変化(気温 湿度 降雨量 河川の水位など)
天候 販売動向 消費者の購買履歴 機器稼働データ
顧客の属性 販売履歴 電力の使用状況 電力データ
スマホ 電力メータ 位置情報 さまざま画像情報 会計情報 メール 映像 写真 公共データ
店舗内での消費者の行動(例 画像情報 何を何回見たか どう行動したか 店頭行動) 従来の販売時情報と組み合わせて分析
SNSの書き込み(つぶやき→ 関心を示す) 各種センサーが発するデータなど 

ここで個人情報の保護との関係が問題になる。なぜならルールがあいまいな面があるから。個人の過去情報の除外 本人の了解をとり後からでも拒否できる仕組み必要と指摘されている。個人情報かどうかあいまいな領域が存在することも知られている。一般に個人情報として氏名 住所 顔写真など があり、その目的外利用は本人の同意必要 第三者への提供は本人の同意必要とされている。しかし匿名化(例 住所都道府県 年齢誕生年まで)の加工によって利用できるという考え方もある。準個人情報には端末ID GPS位置データなどがあり、ルールははっきりしない。非個人情報については 利用提供に制限ないと考えられている。個人情報保護法(2003)

ビッグデータとは新聞の朝刊数十万年分に相当する数百テラバイト以上のデータ群を指す。(テラは1兆バイト)。様々な機器がネットに接続されて情報の爆発的な増加が生じている。2020年には2010年の40倍の40兆ギガバイトのデータ通信量になる。同時にコンピュター処理の高速度化と大容量化によって、膨大な情報の収集分析(ビッグデータ分析)が可能になった。結果として管理(例 社会インフラの管理 事故防止 改修コスト削減)や制御(車や空調の自動運転システム)が効率化されるという(IoT:internet of things, IoE:internet of everything)。ビッグデータとは何か(総務省 2014情報通信白書) ビッグデータとは何か? なぜ注目する必要があるのか(インテル)
ヤフー月間5000万人年75億語の検索ワード 顧客情報 取引履歴(日時 場所) 利用履歴 ウェッブ閲覧履歴 ソーシャルメディアへの書き込み情報
行動履歴 社員のメール履歴 営業日報 鉄道の乗車記録 車 位置情報 速度データなど 特定の単語の検索数 検索ワード コールセンターの音声情報 設備機械、業務機器のセンサー情報 

情報には構造化データ 顧客データ POSデータなど従来のデータと非構造化データ ブログの文字 映像 電子書籍の活字などがあり。後者が爆発的に増えている:背景にはさまざまな情報通信機器が整備されたことがある。

プライベートクラウド 特定の企業専用に構築したもの
パブリッククラウド 不特定多数が共同利用するもの
 ビッグデータの活用事例 2014情報通信白書

モバイルシフト:IT端末の主役がパソコンからスマホ、タブレットに移行する現象に伴うIT端末の急増も情報急増の背景
タブレットの高機能化によりPCとの差は縮小の方向
次の焦点は身に着けて利用するウエラブルコンピューターとのこと

ネットにつながることで行動の情報化のスピードが加速したとされる
   2003 パソコン 携帯
   2010 スマホ 家電
   2015 家庭 車
   2020 あらゆる機器
2012年世界の流通情報量は2.7ゼタバイト(ゼタは1兆の10億倍)
2020年には35ゼタバイト(IDCの推計)
    
2013年の国内スマホ市場 1兆5300億円
2013年の国内PC市場 1兆5800億円 2014年にはスマホがPCを抜く。
背景には文書や画像のクラウド化(ネット上のサーバーに文書や画像を置くこと)

ビッグデータのビジネスでの応用ではコンビニでビッグデータの解析は先行したとされる。もとは店頭での顧客の把握は 顧客の性別 年齢 の把握にとどまっていたが 共通ポイントカードの導入で詳細なデータがとれるようになった

例 ポイントカードの購入履歴分析事例
 ローソンでも共通ポイントカード ポンタ(2010年3月導入 会員数5100万人 来店客の45%が利用:2013年3月)の活用
 同一顧客の同じ商品購入率:リピート率 
 発売初日リピート率が高い:ヒットの波頭 → 供給量増やす 2012年10月発売の焼パスタ ラザーニャ
 来店頻度の高さとリピート率の高さ:得意客のお好み → 売り場に残す必要 2012年2月発売のエッグタルト

 電子マネー ナナコあるいは共通ポイントカード Tカードの分析(セブンイレブン)
 同時購買率
  酒と惣菜 購買率が 品揃えの強化で上昇 → ついで買いの効果が出ている
 過去の分析で確認(2011春→2012春) これを踏まえて種類の品ぞろえ強化した(2010年秋から2013年1月)

 交通系IC どの駅で乗り降りして どの商業施設で買い物したか 分析可能

消費者
 消費者の位置情報 + 消費者の購買履歴 → 消費者の現在地付近の 消費者のし好にあった商品 のクーポン 配信

生産工程
 部品ごと 生産工程ごと 作業状況(どの機械で何秒作業したか) → 最適な作り方(探究) 

販売情報 
 いつ何がどれだけ売れたか 店舗数 → 鮮度管理(現状)  → 需要予測の精度改善 仕入れ量 人員配置最適化
カーナビから得られる走行データ → 渋滞情報(現状 道路の込み具合) → 交通情報配信
M2M(machine to machine:機器と機器を通信ネットワークで結び情報をやりとりする技術)の代表的事例
NTTドコモとパイオニアが車載器を共同開発。2014年にもサービス開始。
自社車両の走行データ → 走行状況 → 安全運転・燃料費節約(現状)
個々の走行データ(電気自動車)と損害保険料との関連付け
このほか
 健康診断結果 電子カルテ データ間の規則性分析 → 病気になる確率を一定精度で予測
電子商取引サイトのお薦め商品表示
 過去に何を買ったか 年齢性別地域でどの商品が売れているか などから消費者に合った商品を選択配信
就職情報サイトの利用(リクナビ)
 過去の検索履歴 登録学生の大学 住所 志望企業 + 企業 学生 の過去データ → 推薦企業(現状)
SNSでの発言(書き込み)も商品販売に利用 ・・・・
さまざまな行動履歴(合わせ買い) 位置情報 天候(温度 湿度など) 
個人からの同意がないまま 情報が集められている 不正行為の発見 採用活動 ローン審査 にも利用される
個人プライバシー侵害の恐れ 年齢 性別 住所 住所を外せばいいの?
逆に 消費者の行動 発言から 年代 性別は 推定可能
さまざまなアプリはデータの取得と利用を利用規約に書いているものの、利用者にどこまで
意識されているかは疑問がある。
ビッグデータの活用事例 2013/12/09
事例
 商品のお勧め機能

事例
 ネット上の消費者の閲覧・購買履歴、ほかの商品への関心が推測できる消費者の検索の傾向 商品開発に役立てる
 アマゾンが自社保有のビッグデータを取引先に提供 独自性のある商品開発に役立てるというもの。
 カゴメと共同開発したのはトマト飲料プレミアムレッド。抗酸化作用が注目されるリコピンを従来製品比2倍に高めた
 とのこと(日経2013年10月10日)。
事例
 ツイッターにおける「つぶやき分析」:一人で同じ問題を繰り返し大量につぶやく人がいる。同じつぶやきが転載されて拡大することも
ある。現実の政治に結びつけるには、これらの偏りを修正する必要がある(日経2014年1月14日p.3)。
 2013年9月7日から12月8日まで 
 原発 420万件 40.3万人 100回以上つぶやいた人100人中1.8人 その人の件数に占める割合56.8%
 消費税 192万件 51.8万人 同上0.4人  28.3%
 TPP 95万件 13.2万人  同上1.0人  46.9%

投資への応用
 過去10年の蓄積データをもとに株価に影響を与える3000のキーワードを抽出 それが増殖しているかを
ラルタイムで追跡する。言葉と株価の相関関係をみる。数値は使わない。
 例「工場」「フル生産」

事例
 過去の株価と市場の注文状況をパターンとして蓄積。高速コンピューターで過去の似た例を見つけ出して株価の方向を予測する。
 高頻度取引HFT(あらかじめ定められた手続気に沿って1秒間に数千回の売買注文をだすもの ネット上のさまざまな情報を
 自動収集して注文をだすものもめずらしくないとされる)
 HFT 東証の場合 注文件数の6割。代金の4割を占める。
 これまでの金融工学 数学のモデルから外れる予想外の市場の動きには弱かった。ツイッター ブログの分析は相場全体の方向を
 ある程度予測できるようにするとも。
 従来予測がむつかしかった市場の心理。→ ネット上の言葉の分析で読み取れる可能性が指摘されている。
 従来むつかしかった売買注文のバランスの分析。経験的に
売り買いどちらかに注文が偏ると相場の動きが激しくなる。→ 経済物理学ではこのメカニズムの理論化が進み、
 これを応用すればリアルタイムで予測できるようになるともともされている。
 カブコム 予約注文の状況から株価の寄り付きを予測するツールを個人投資家に有料で提供。 

事例
 株式銘柄ごとにツイッターの言葉をネガテイブとポジテブに振り分け「評判」に見立てる。
 「マーケテイング」「投資」に応用可能。

original in Jan.20, 2014; revised in Jan.4, 2015


分類:Case Studies金融システム論
 


村田製作所

2015-01-02 16:52:10 | Management

ムラタが止まれば世界のスマホがとまる と言わしめた村田製作所。積層セラミックコンデサー(MLCC)の高い世界シェア率で有名。

積層セラミックコンデンサー(MLCCあらゆる電子機器に搭載 電機の流れを調整 スマホにはたくさん搭載  単価30銭 1台のスマホで600個)で世界首位。村田グループで35%シェアとされる。スマホ部品で世界最大手ともされる。アップル サムソン ソニー 中国メーカーなど世界の著名企業に納品 国産生産比率が75%と高いが営業利益率25%の高さでカバーしている(ファナックを思わせる)。MLCC:micro leadframe chip careeier 表面波フィルター スマホ向けに伸びる LAN用通信でモジュールが伸びる。自動車向けでエンジン回りの電子制御向けMLCC販売も伸びる。加えて現在は円高是正のよる輸出採算改善が働いている(フィリッピンでMLCC工場が稼働 中国広東省にはセラミック原料拠点を構える)。

買収戦略は意外に活発。

2006 ブルーツウース(短距離無線通信規格)部品の米サイチップ社買収

2008年8月 ロボット自転車製作発表

2011年(~2012) ルネサスからパワーアンプ(通信部品)事業買収

2012 フィンランドのVIT社(車や医療向けセンサーで最大手)買収(200億円程度) MEMS(micro electro mechanical system)技術(微細加工技術)を保有 MEMSを使ったセンサー開発 ビデオカメラやデジタルカメラのブレ補正用の圧電セラミックセンサーを従来から生産 今後ムラタはスマホ用に傾きセンサー開発)


2013年1月 フィリッピン工場(ムラタとしては内外で最大規模)稼働
2013年2月 水晶振動子大手の東京電波(東証一部上場 2009年8月資本業務提携 2011年5月包括提携)を株式交換方式で完全子会社化すると発表(手続き完了は2013年8月)

2014年3月期 売上高8450億円 前期比24%増 営業利益 1250億円 前期比2.1倍 スマホ タブレットおよび自動車向け(制御安全装置の電子化)に電子部品(MLCC 通信接続用部品 センサー)の販売が好調

2014年4月 世界発の3次元検知センサー量産(山梨工場)


2014年9月 iPhone6 発売開始(iPhone6向け積層セラミックコンデンサーの生産・販売増える MLCCとは、縦0.4mm 横0.2mm そこに100層 厚さ0.5マイクロメートルの厚さのセラミックシート
2014年9月 米 ペレグレンセミコンダクタ-の買収490億円(村田として最大の買収) 高周波RWスイッチの大手 2014年内に買収完成  周辺固めることでモジュール化に対応する戦略とみられている

2014年9月25日 チアリーダー部製作発表
分類:Case Studies


Case Study on Daikin ダイキン工業

2014-12-30 17:36:15 | Management

ダイキン工業 インバーター技術が得意 空調売上高で世界首位 
1995年中国に進出。中国に14年かけて約2900店の専売店網構築 消費者への浸透に成功。2008春 珠海格力電器(広東省)と包括提携。エアコン心臓部にインバータ搭載機種 低コスト省エネ型を共同開発。2007年に約2700億円(2400億円とも)を投じてマレーシアの空調中堅OYLグループを買収。2007年6月公募増資で1100億円調達。2009年 インドに工場立ち上げ。2010年度の家庭用エアコン生産台数は2009年度比100万台以上増加 約400万台 2年ぶりに過去最高を更新。タイでの生産が130万台程度と日本を抜いた。家庭用エアコンの世界市場規模は2009年度で6000万台超。2011年3月期の連結決算(売上高は1兆1603億円で13%増加 純利益は198億円で2%増加 営業利益は754億円 71%増加 円高は利益の目減り要因)。中国の珠海格力電器 広東美的電器などが1000万台以上を生産。ダイキンは業務用と合わせて空調世界1の地位を維持(空調の売上高で米キャリアを上回り世界首位)。
 2011 トルコのエアフェルト社を200億円で買収) 2010年度に米キャリアを抜いて、空調の売上高で世界首位に浮上(2011年度売上高は1兆400億円 中国では格力と2008年以来包括的提携関係 格力に技術供与)。しかし、中国勢(珠海格力電器:ブラジル、ベトナム、北米に進出すみ 広東美的電器:キャリアの南米3ケ国事業を2011年に買収)の急速な追い上げに直面している。
 2012年8月29日 アメリカのグッドマングローバル(売上高1600億円 1975年創業 テキサス州 米家庭用エアコンでシェア25%の首位)のほぼ全株式を3000億円(37億ドル 2900億円)で買収を発表。世界首位(空調で世界最大手)を固めることになった(両者を合わせた売上高は1兆2000億円超 アジアにかたよった売上構成を修正する狙いも 2011年度 日本37% 欧州19% 中国18% その他アジア11% 米州9% オセアニア3% 中近東アフリカ3%)。2014年3月期 過去最高益を達成。売上高の7割超は海外。連結社員数5万6200人。 連結子会社209社。2014年3月期連結決算 純利益918億円(6年ぶりに最高益更新)。売上高1兆7830億円(38%増)。営業利益1550億円(75%増)。2015年3月期の連結営業利益で1900億円達成を狙う(2014年10月末段階・・・2016年3月期の目標を1年前倒しで達成)。主要部品共通化による量産効果。品揃えの豊富さ、エネルギー効率(省エネ性能)の高さで顧客の支持、販売代理店の増加、円安による利益押し上げ効果。
 ダイキンを率いるのは井上礼之会長。スズキを率いる鈴木修氏、ファーストリテイリングの柳井正氏、日本電産Nidecの永守重信氏らとともに巧みな牽引ぶりからカリスマ経営者と呼ばれて久しい。

 北米や中南米の家庭用エアコンは空気を配管で建物全体におくるダクト方式が主流(したがって住宅設備の据え付け業者がエアコンを選ぶ)。ダクト方式に強いグッドマンの買収で米州市場の開拓を進める狙いもあるとされる。
 買収による借入で負債比率は2011年度の34%から2012年度40%台に跳ね上がる。今後3年で累計340億円の利益押し上げ効果を見込む。5-8年で投資は回収とできる計算だ。買収金額総額37億ドル うち25億ドルは三井住友銀行 三菱東京UFJ銀行 みずほコーポレート銀行の3行が融資する。その15億ドル(1200億円)は国際協力銀行が2011年夏政府が設けた緊急融資制度を活用するもの(外国為替特別会計のドル資金を利用する)。残りは手元資金.社債発行で賄い増資はしない。
 今回の買収は2010年春に交渉開始したが、東日本大震災で中断していたもの。買収によりグッドマンの営業利益率15%前後の手法を学ぶとして、新たな人材を得られる利点が語られている。なお2013年7月にはインドネシアのエアコン販売会社を買収している。
 世界の空調市場は2010年の18兆円から2015年の24兆円に拡大と予想されている。

資料
ダイキン工業 ullett
ダイキンヨーロッパのサービスイノベーション
井上直惠「ダイキン工業のグローバル戦略」
ダイキン工業の環境取組 中央環境審議会資料
分類:Case Studies


Case Study on NSSMC(新日鐡鉄住金)

2014-12-30 14:14:27 | Management

 重油の価格の値下がりのほか鉄鋼石など資源価格が値下がりしている(2011年のpeak対比では半減 ここでも原油と状況は似ておりコストの安いオーストラリアの業者は増産体制維持 これによに悩む中国の中小鉱山が赤字化し生産がとまり需給が当面引き締まるとみられる)。国内では造船用、土木工事用鋼板、建築向け鋼材需要が堅調であるため、原材料となる「鉄鉱石の価格下落で鉄鋼メーカーの採算は改善している(2015年3月期 他方円安で採算は悪化している面もある 自動車メーカーは鉄鋼メーカー側の事情に配慮して鋼板価格のさらなる値下げを求めなかったとされる:2015年2月:2014年度下期の鋼板価格について、背景には自動車メーカーは連結最高益更新。政治的配慮か?)。 海外進出した日系自動車向け高付加価値品は値崩れしにくいが(加えて円安で輸出採算改善 自動車の軽量化につながる高張力鋼板で新日鉄 JFEなど日本メーカーが高いシェア)、汎用品では競争力が落ちている。

 3億トンの設備過剰に悩む中国鉄鋼業(現在生産量8億トンは世界生産の半分を占める 生産能力は11億トン 日本の生産は1億トン・・・2014年)では国内経済の減速が鋼材や鉄鉱石の過剰供給をもたらしている。資源安は油井管向け鋼材需要(シームレス管 住金が強い このほか国内鉄道車輪も住金が100%シェア これに対して新日鉄はラインパイプ レールが得意 つまり両者の合併で品揃えで相乗効果がある)の減少につながる。国内にも減速懸念。

 中国そして韓国の鋼材が安値でアジア市場に大量に流入(各国では自国産業保護のためのセーフガード:緊急輸入制限発動、反ダンピング(不当廉売)措置としても関税上乗せの動きがある)。我が国(内需は6000万トン その1割にあたる輸入鋼材が入っている)にも中国そして韓国の鋼材が押し寄せている。韓国の鋼材は品質的にも日本物と競合するとのこと。輸出はなかなか増やせない。

 国内は自動車、復興需要、物流オフィスビルなど建設業向けに鋼材価格が堅調であるため鉄鋼メーカーには利益を確保しやすい状態。国内の建設需要は人手不足のため想定より伸びない状況が続いている。東京五輪を控えて鉄鋼メーカーは強気で安売りに転ずる気配はない。他方、ゼネコンは流通在庫を根拠に値下げを迫る構え。荷動きの悪さやアジア市況の悪化が流通価格を弱気にさせている(2014年10月)。中国では2015年に新たな高炉を完成させる動きもあり、世界的な過剰能力の解消には遠い。
 鉄鋼石価格の低下は車用鋼板の値下がりにつながり自動車メーカーにはプラス。円安は輸出競争力の回復、安価な輸入鋼材の減少にもつながったとされる限りでは鉄鋼メーカーにもプラスに働いている.新日鐡住金(Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation:NSSMC)は2012年10月の経営統合によるコスト削減効果(生産分担による輸送費削減)に鉄鋼石価格下落も重なって業績の改善が顕著。経営統合により同社はアルセロール・ミタル(2006年ミタルスチールによるアルセロール買収で成立 ルクセンブルグ)に次ぐ世界2位の鉄鋼メーカーとなった。3位には中国の河北鋼鉄集団、宝鋼集団(新日鉄と協業関係にある)が同順位、5位が韓国のポスコ(現代自動車が現代製鉄により鉄の内製化・・・ポスコは経営悪化 日系自動車メーカーへの食い込みはかる)。鉄は規模の経済性が出やすいとされる。

 当初14年3月期までは効果は購買コストの削減などソフト面。2013年末欧州アルセロールミタルと共同で独社テイッセン・クルップから米アラバマ州の自動車用鋼板工場を15億5000万ドルで買収決定(買収工場はテイッセンが2010年3600億円かけて稼働した最新鋭工場 最新の熱延鋼板ライン含む 2014年半ば実施予定だったが実際は2014年2月27日に前倒し買収完成 早ければ2014年度末にもフル操業  この買収により自動車用鋼板の生産で海外900万トン 国内800万トンに 海外と国内の比率が逆転した 高品位鋼板の現地生産による安定供給は進出している完成車メーカーの歓迎するところ 1990年稼働のミタルとの米インデイアナ州の合弁工場はミタルの設備が古く最高強度の鋼板生産むつかしい)、中国上海市でも自動車用鋼板新工場を建設(宝鋼集団との合弁会社BNAで自動車用亜鉛めっき鋼板の大型ラインを増設 15年度内稼働目指す)。

 しかし15年3月期にむけては製造ラインの統合など、ハード面の効果が期待されるとのこと、生産品種の集約。他方、設備休止(15年度末で君津の高炉1基を休止予定:中核設備の能力削減は画期的 高炉は止めると再稼働には大型投資が必要 新日鉄の航高炉休止は1993年の広畑製鉄所以来 休止するのは最も古い第三高炉 このほか和歌山製鉄所で2013年3月に予定していた新高炉の稼働を延期)やシステム統合でのコスト削減効果(シナジー効果)が大きい。いまひとつは資産圧縮である。合併後は重複保有株の処分に加えて、政策保有目的の株式を大きく処分。株高効果で資産圧縮効果(経営統合で2兆6400億円まで膨らんだ有利子負債削減)が大きくでたとされる(2014年3月末までに3000億円(総資産の4.4%)の資産圧縮 有利子負債2015年3月末で2兆3000億円台目指す)。負債資本倍率1.2から1.0に改善。減価償却と同規模の設備投資の継続。効率の向上により売上高経常利益率5%目指す(将来的には10%)。以上は中期経営計画(2016年3月期までの3ケ年 2013年3月13日発表)⇒2013年4-12月期5.5%(ポスコ4.8%)を上回る。時価総額3兆2000億円はアルセロールミタルを抜き世界首位とも。
 表面化した問題として名古屋製鉄所での事故多発(2014年1月 6月 7月)が注目される。黒煙噴出トラブル(トヨタなどの完成車にススヤタールが付着)等が出た。事故が続いた原因の一つにバブル崩壊後のリストラ総人員抑制が指摘される。30歳代40歳代がほとんどいない。若手がマニュアル外の想定外事故に対応できない。また名古屋製鉄所の設立は1958年で設備老朽化の指摘もある。同様の老朽化問題は製油所についても指摘がある。更新には巨大投資が必要であり、大規模投資の判断は極めてむつかしいとのこと。9月3日には爆発事故も起きた。大規模な更新投資をするか判断の分岐点にあることは間違いないだろう。
  ライバルは韓国のポスコ。ポスコは浦項と光陽の2ケ所に生産拠点集約(逆に合理化余地少ない)。国内で独占的地位で高い利益率誇っていた。しかし現代製鉄が高炉での鉄鋼生産に乗り出し(鋼板の内製化進める)、2010年貿易商社大宇インターを買収して事業多角化(非製鉄事業の強化)。さらに割安な中国製品の流入、円安による日本勢の攻勢で利益率低下している。この状況にポスコは生産コストの引き下げを進め、多角化を見直し本業回帰を宣言したとされる(2014年5月)。

 ブラジルの鉄鋼大手ウジミナス(高炉から圧延まで一貫生産)をめぐり、2011年に共同経営に加わった、アルゼンチン鉄鋼大手テルニウムと主導権争い(2014年9月表面化)。テルニウム出身の社長らを解任に賛成しテルニウムとの主導権争い続く。 


  ポスコは高炉建設による一貫生産体制構築(2013年12月インドネシアで高炉一貫製鉄所を稼働 ポスコはインドのオリッサでも一貫製鉄所を計画)。新日鉄は母材(中間製品)を輸出、現地に加工拠点を設け最終製品に加工する戦略(高炉建設には巨費が必要のため高炉建設は焦らない⇒現地に高炉を建設するポスコに勝てるかは未知数)。ポスコは中国で2013年4月自動車用鋼板工場を稼働。インドでも冷延工場の稼働を目指す(新日鉄は2014年5月タタとの合弁工場を稼働。9月には開所式を開いた)。インドネシア(トヨタ、ダイハツ、スズキなどが進出)では国営クラカタウスチールと合弁で造船用厚板などの高炉一貫工場を2013年12月に稼働。初期トラブルはあったが2月末に操業再開(新日鉄もやはりクラカタウと2014年8月合弁で自動車用鋼板工場の建設で合意した。高張力鋼板の最高級品ハイテンも供給の予定)このようにポスコと新日鉄の戦略はアジアで激しくぶつかっている。現地工場による納期短縮。不良品への対応の迅速化。東洋のデトロイトとされるタイで新日鉄は早くも1999年から現地企業と車用鋼板を共同生産。自動車の燃費性能向上にかかせない高張力鋼板(ハイテン)が売り。自動車用高張力鋼板では、最大市場の中国で宝鋼集団との合弁会社がシェアトップを維持。そこにポスコは重慶鋼鉄集団と提携して現地生産に乗り出す方針を決め、他方、ミタルも華菱鋼鉄との合弁生産を2014年6月に開始したとのこと。
 なおブラジルでは鉄鋼大手ウジミナスをめぐり第二位の株主アルゼンチンの鉄鋼大手テルニウムとの対立が深刻だ。2014年9月にはテルニウム出身の社長が解任された。しかしテルニウムと新日鉄住金の出資比率は互角だ。両者は経営方針を巡り対立しているとされ、新日鉄側は老朽設備の改修、自動車用鋼板の拡充による収益改善を目指しているとされる。
分類:Case Studies


高齢化: ベネッセ ワタミ ユニチャーム 大王製紙

2014-12-30 11:07:12 | Management

高齢層向けビジネス
日本では高齢化が進む中で シニア層向けのビジネス(衣料 旅行 教育など)が課題になっている。
2010年65歳以上の人口2925万人 全体の23%
2013年10月時点の人口推計で前年比110万5000人増の3189万8000人。総人口に占める割合は25%を超えた。
他方で15歳から64歳のいわゆる生産年齢人口は前年比116万5000人減少7901万人。61.1%で1981年以来初めて8000万人を割り込んだ。
2025年には3658万人に。にもかかわらず、市場が若年層向けで高齢者のニーズに全く対応していない。
この高齢者のニーズに社会システム全体を対応させる必要もある。
(例えば 定年の70歳までのさらなる延長 65歳以上の高高齢者の再雇用制度 テレビの字幕放送化 
高齢者の大学での再教育 など)
他方 中国でも高齢化が進む上に
一人っ子政策(1979年に正式に導入)のために 高齢者の介護問題が深刻化すると予想されている。
中国では2010年で1億1000万人 全体の8%
2025年に約2億人 14%
2050年に3億3000万人 25%
中国の介護市場の規模は2015年に6兆円(6兆4000億円)を超える見通し・・・これは日本の2010年度の市場規模約8兆に相当
医薬品市場 中国市場の伸びは毎年2割(22%)と驚異的。2015年に1250億ドル。その時点の日本の規模は1400億ドル(市場の伸び率は3%程度)
でやはり2015年に中国市場が日本市場を上回ることが予想されている。
人口高齢化率2010-2050国連人口推計ほか(日本経済新
聞2011年11月28日より)
日本  22.7-35.6%へ
韓国  11.1-32.8
臺灣  10.7-36.9
シンガ   9.0-31.8
タイ   8.9-25.1
中国   8.2-25.6
ベトナム  6.0-23.1
これまでの各国の経済発展のルールからすると
経済発展がある段階になると出生率が低下、生産年齢人口が拡大する「人口ボーナス」の時期に入り
社会福祉負担は低下し内需が拡大する。そのあと高齢化が進む「人口オーナス」の時期に入ると
社会福祉負担が増えて内需が縮小しやすい。

日本の介護業者の中国進出が始まっている
リエイ(千葉県浦安市)はすでに北京進出 2013年に上海でも。
ロングライフ すでに青島進出
メデイカルライフ 上海で訪問介護に参入方針 
ウイズネット 大連でデイサービスに参入方針

介護大手の経営に関心が集まる
介護大手4社 ニチイ学館(認知症専門のGHを新設)
       ベネッセHD(入居に必要な一時金を200万に下げたタイプを展開)
       メッセージ(入居金の負担がない24hサ-ビス付き賃貸住宅) 
       ワタミ(首都圏を中心に展開 2011年秋に愛知に初めて進出)
          2008年7月タクショクを買収 高齢者向け弁当宅配に参入
           居酒屋→ 介護→ 食事宅配 

介護大手4社 ニチイ学館(在宅系) 
       ツクイ(在宅系)
       セントケア(在宅系)
       メッセージ(施設系)
  利用者の増加で業務効率向上 移動費用の減少を進めている

ベネッセは、子供の通信教育という国内事業がメインの企業だが一方で高齢者向けホームを展開。
海外向け通信教育の展開も進めている。大きな問題は児童数の減少から国内で通信講座の会員数減に直面。
生き残りのためには介護事業に事業シフトを大胆に進める必要があるのではないか。というのも少子高齢化で
ベネッセはそのマイナスの影響を最初に激しく受けることが想定できる。
事業セグメント
によると2013年3月期の構成比は、国内教育が56.4% 高齢者向けホームが16.4%
その後2014年3月期。本業の通信教育の不振はますます顕著になった。介護事業と海外教育事業は伸びているとのこと。
売上が4%増の4663億円。
純利益が前期比6%減の199億円。中国での通信講座授業が黒字化したとのこと。

ワタミも、本業の居酒屋で苦戦だが、本業の居酒屋より
介護事業や宅食(弁当宅配)に勢いがある。

介護事業生みの苦しみ 2009/04/152013年3月期の構成比率は52.4% 22.3% 25.2%である。
2014年3月期。ワタミは上場来初の赤字となった。不採算店60店の閉鎖に踏み切り特別損失が26億円。さらに赤字化したことで繰延税金資産の取り崩しの22億円がさらに最終赤字を膨らませた。最終損益49億円の赤字(前期は35億円の黒字)。
しかし労務環境の改善のためには、安易な事業規模拡大を抑制することは重要。居酒屋については業態が古くなっている。開拓した宅配弁当でも、肝心の食事に特徴がない。そのため最初のお試しのあとのリピーターを捕まえきれていない。配送のパートの待遇が悪くそれがサービスの質の低下につながっている。といった指摘がある。いずれについても労働環境への批判からワタミのブランド価値が低下(労働環境の悪さが問題を連鎖させる)。それがほかのビジネスの拡大にマイナスに相互作用している。

ワタミの経営立て直しについて 2014/05/09

ワタミ 事業総崩れ 2014/12/08   

ワタミの経営再建の迷走 2014/12/26 

ワタミの反転策の迷走 2014/12/30

介護事業者には異業種からの参入が目立っている
 市進HD(市進ケアサービス デイサービス事業を2013年7月開始 順次拡大予定)
 オリックス・リビング
 セコム
 ツクイ:在宅介護が主力
 ニチイ学館:在宅介護が主力 売上の3割が訪問介護 介護最大手
 ベネッセホールディングス(ベネッセスタイルケア 2012年9月 サービス付き高齢者住宅事業に参入)
 メッセージ(介護事業専業)
 ワタミ(介護事業が営業利益の6割)
 学研ココファン
 日本介護福祉グループ
 業者団体 全国有料老人ホーム協会 高齢者住宅経営者連絡協議会
 消費者機構日本 シニアライフ情報センター

訪問介護専業の利益率は5%程度で低い
 施設経営を行わない事業の利益率は低く 経営の安定には課題がある。経営規模の拡大、施設経営の兼営が
事業の安定のためには必要。・・・小規模事業者の淘汰がすすむのではないか。
 ジャパンケアサービス
 やさしい手
 セントケアホールディングス
 ユニマットそよ風

介護職員の不足
 介護の現場では仕事の厳しさの割に報酬がひくいことが問題になっている
 しかし介護は人力に依存する側面があり雇用の場として今後も活用するべき
 外国人を含む専任職員は資格制度である程度の収入を保証する一方
  高齢者の活用(資格の不要な付添 掃除などに活用する)
  介護ロボット 介護職員の負担軽減 が考えられる

国はなお不足している老人ホームを抑制する方向
老人ホーム(稼働率7割で黒字が出るとのこと 入居金を数年かけて売上に計上できる 利益率1割強)
 2012年4月施行 改正老人福祉法 90日ルールの法制化 初期償却をめぐりなお議論あり。
 この入居金で新規施設建設をしてきたので 新規建設を抑える側面・・・在宅介護の方が国の負担が小さい
 との判断があるようだ。

国の介護保険費用は8兆円を超えており抑制が課題になっている
  2012年度で8兆9000億円 前年度比7%増加
  2012年4月 介護報酬見直し 引き下げ
  (デイサービス、訪問介護などの単価引き下げられた)
  見直しは3年に一度 利用者負担が1割 9割を自治体負担(税金+介護保険料)
  訪問介護で2割 通所で1割減額
  しかし業者側は利用時間の延長で売上確保しているとのこと
  また新規開設施設を減らすことで運営費圧縮
  介護報酬を使ったサービス 制度変更リスクがある
  介護保険外サービスの充実強化が重要に

開始されたサービス付き高齢者向け住宅は規制が緩く問題
サービス付き高齢者向け住宅 2011年1月から登録始まる
介護度に関係なく入居できる
 基準は日中の介護職員の配置 ハード面での配慮など サービス内容の格差 要介護度の重い人の入居が多いことが問題

同様の問題はグループホームについてもしばしば指摘されている。たとえば防火設備が小規模を理由に義務化されていないなど。
 ここでは大規模施設(運営を効率化できる)の中に 小規模のメリット(ケアが行き届きやすい)を生かせないかを考える。たとえば
 大規模施設の中を小規模に区割りするなどの工夫によって、両者の良いところを備えた施設が必要ではないか。

経済成長と高齢化 いずれでも伸びる ユニチャーム
紙おむつ市場 2011年 大人用と子供用 ほぼ1400億円ずつ 2012年に大人用が子供用上回る
なおユニチャームのおむつ市場での国内シェアは子供用で4割 大人用では5割。
ユニチャームは 人口の伸びが著しい アジア諸国での高いシェアで知られる。アジア諸国の
経済成長が市場の拡大につながっている。生理用品で1000ドル オムツで3000ドルが普及拡大の目安
とされる一人当たりGDP(2010年)について、インドが1371、インドネシアが2974、中国が4382、それぞれの
2011年末時点の予想成長率(2012年実質 予想値)は、7.0、6.3、8.4各%であった。BOPビジネスの議論では
年間3000ドル未満で暮らす層をBOP(bottom of pyramid; base of pyramid)と定義している。40億人、世界人口の6割とも(47億人 7割とも)。現在の市場規模は5兆ドル400兆円。2011年以降BRICSに関して減速が目立ち成長率 株価上昇率で減速(2012夏インドで大停電 中国で大洪水 重慶で都市機能マヒ)、リスク分散の動きが広がった(BRICSの株は2002から2007にかけて伸びたが、その後停滞している 背景先進国資金の流出 資金は東南アジアへ)。

特に中国。賃金上昇。中国需要の長期停滞。尖閣に代表される政治リスク。→チャイナプラスワン(進出先ヲアジア全体に分散)。中国の輸出攻勢(人件費上昇で輸出競争力低下の指摘 中進国のワナ 一人当たり5000-10000ドル程度に到達した後停滞することをいう 保護主義に陥る 排他的になる 既得権益守るなどの悪循環に陥ることが原因とされる)⇒工業立国のため日本の投資を新興国が歓迎。

一つはASEAN諸国である(1967年にインドネシア(度重なるストやデモ 2012最低賃金引き上げ 成長率6%台)、マレーシア(国家歳入の3割を国営石油会社ペトロナスからの税収・配当金が支える)、フィリピン、シンガポール、タイ(2011大洪水で被害 カンボジア人の不法就労問題 2012最低賃金の引き上げ)の5ケ国で発足 本部ジャカルタ その後ブルネイ、ベトナム(中国による南シナ海での石油掘削で中国と対立)、ラオス、ミヤンマー、カンボジア(ベトナムと国境をめぐって対立)が加わり10ケ国 1986年フィリピンでマルkス政権 1998年インドネシアでスハルト政権崩壊、ミヤンマーは2010年以降民主化政策進める ASEAN全体では6億人 これに対して中国13億人(バブル懸念から金融引き締め) インド12億人(2050年に17億人で中国を抜く見込み)に ブラジル(物価上昇と内需不振に直面 2014サッカーワールドカップ開催 2016リオデジャネイロ五輪)1.8億人 ロシア(総輸出額の3分の2を石油と天然ガスに依存 2014年ソチ冬季五輪 2018年サッカーワールドカップ開催)1.4億人 なおインドネシアの人口は2.4億人で世界4位の人口大国(失業率6%台 2050年に2.9億人) フィリピンは9500万人(失業率7%) トルコ7300万人)

GrowthMarket(ブラジル 中国 インド、ロシア メキシコ 韓国 インドネシア トルコ)という言い方もある(ジムオニール 2011)。

ネクスト11(イラン エジプト ナイジェリア パキスタン バングラデシュ フィリピン ベトナム)(ジムオニール 2006)

VIP(新たな成長国 ベトナム8784万人 インドネシア フィリピン)

後発3ケ国CLM(カンボジア1340万人 ラオス639万人 ミヤンマー6062万人)とタイ、ベトナムを加えて大メコン経済圏⇒インドネシアとならぶ人口2億4000万の経済圏 大陸ASEAN(タイ ベトナム カンボジア ラオス ミヤンマー) 海洋組(シンガポール ブルネイ マレーシア フィリピン インドネシア) 海洋組が政情安定で先行⇒開発独裁 大陸の成長余地大きい

消費の担い手は中間層とされる

もう一つは人口10億のアフリカを加えてBRICAという言い方もあるがアフリカである(ジムオニール)。アフリカの人口は2050年までに2倍の20億人(22億人)になる。過去10年そしてこれからも5%強の成長率。サハラ砂漠以南:サブサハラ(北アフリカガアラブ系に対し黒人が多くブラックアフリカとも  人口でアフリカの8割以上 資源が豊富 現在は世界のGDPの2%程度 若年人口画多い 今後の消費市場として注目 ナイジェリア1億7000万人) (エジプト 人口8000万人 東芝ブランド浸透)。

ASEANのなかでも主要国ASEAN5(インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナム)のGDP規模は2014年にNIES(韓国 台湾 シンガポール、香港)の規模を抜いたとされる。

高いシェアが、高い利益率につながっている。ユニチャームは1990年台半ばに中国トインドネシアに進出。2011年にはベトナム、2013年にはミヤンマーで同業を買収。市場シェアは中国ではP&Gが30%以上でユニチャームが20%以下。インドネシアでは8割以上、ミヤンマーで5割超など、アジアを中心に浸透。2013年3月期には海外売上高がほぼ半分を占めるまでになったが、その比率を早期に8割程度にまで高める野心的目標を掲げている(2014年4-6月期で海外売上高は7割を超えた その多くはアジア)。インドネシアとタイで6割、ベトナムで4割 臺灣で3割。インドや中国でも1割以上のシェアがありシェア拡大中である(インドや中国では現地法人に商品開発やマーケテイング機能を移管するとのこと2014年)。競合は米P&Gや米キンバリーとのこと。中国では1位はP&G 2位がユチャーム 3位にキンバリー。都市部を中心にキンバリーが高級品で拡大中。内陸部は低価格帯が中心。インドでは2014年に入ってから1位のキンバリー(ブランドハギーズ)抜いたとされる。ところでユニチャームは、株主への配分が厚い企業として知られていたが(2001年頃より純利益の2割を配当 3割を自社株買い)、こうしたアジア市場の成長を前に自社株買いの部分を設備投資に優先して振り向けるように判断を変えたとされる(2014年3月期から)。2014年3月期まで8期連続の過去最高益更新。

かさばるため輸送費の高いオムツは各地に生産工場を設けて早期に供給体制を構築することが不可欠
やや機械的な判断で厚すぎたともいえる株主配分を成長投資に向ける転換を経営判断として歓迎したい。
このように人口の年齢構成の違ういずれの地域でも成功した商品(生理用品 オムツさらにペット用品)をもつユニチャームという企業は、強いといえよう。国内の大人用紙おむつ市場は2012年で1400億円近いがそこでユニチャームのシェアは5割をこえている(主力ブランドライフリー)とのこと(2012年11月)。ベビー用(主力ブランドムーニー、マミーポコなど ムーニーは高価格帯とのこと。標準品から高機能品に移ることで利益率も高まる。高価格へのシフトは利益率の改善にも有利に働く。なお競合の花王のブランドは「メリーズ」)に比べてシェア率が高い。大人用は尿モレパッドなど軽失禁向け商品が好調とのこと。
これまでの各国の経済発展のルールからすると
経済発展がある段階になると出生率が低下、生産年齢人口が拡大する「人口ボーナス」の時期に入り
社会福祉負担は低下し内需が拡大する。そのあと高齢化が進む「人口オーナス」の時期に入ると
社会福祉負担が増えて内需が縮小しやすい(高齢化したペットのためのおむつが次の注目事業とのこと)。

ユニチャームは、いずれの時期にも適応した商品をもっている。別の言い方でまとめると新興国で期待される経済成長、先進国で不可避な高齢化。
ユニチャームはいずれの要因でも、成長が期待される。2013年1月18日現在の時価総額は1兆26億円で花王との差を3000億円弱まで
詰めている。PERは31倍で、ファナック(26倍)やファーストリテイリング(29倍)といった高収益企業と肩を並べている(東証1部全体は18倍)。(日本経済新聞2013年1月19日による)

ユニチャームのほかにもう一社 大人用おむつの重要性に気付いていたのは大王製紙である。大王は2007年にP&Gから日本国内の大人用おむつ事業を買収した。大人用おむつは乳幼児用に比べて価格が約2.5倍で利益率も高いとのこと。大人用おむつはすでに売上高で乳幼児用を上回っているほか(2012年度推定は1200-1300億円)、今後も年6-10%の高成長が見込まれている。

中国への進出の成功例としてピジョンがある。中国の景気減速の中でも育児用品が堅調であることに支えられた。中国の哺乳瓶市場でシェア5割。

高齢化とボーモル効果そしてオーナス効果

original in May 6, 2013

 


経営学講義 心理学から経営学へ 上編

2014-12-27 09:12:58 | Management
経営学講義 心理学から経営学へ

福光 寛©2008


1)はじめに 乗り越えるべきフロイト
 この講義を性の話から始めるのは唐突に見えるだろう。しかし実は心理学が、人間の科学として成立することと、経営学が科学として成立することとには意外に密接な関係がある。人間の行動を性という断面で分析して見せたのが、フロイト(1856-1939)でその分析は社会に大きな衝撃を与えた。フロイトの分析には正しい面があるが、すべてを性の断面から切り取る分析に僕らは辟易する。フロイトの解釈はやがて通俗的信念に昇華して僕らを支配している。しかし僕らはフロイトと異なる解釈を探そうとする。
 同じように初期の経営学が直面したのは利益や物欲で人間や企業の行動が決まるという通俗的信念だった。それも正しい面がある。しかしそれだけではない。そこで僕らは通俗的信念とは異なるものを探そうとする。
 問題はどこにあるのか。僕ら人間の行動や認識を、性という断面で分析するフロイトを僕らが嫌っているのではないか。利益や物欲で人間や企業が支配されているという仮説を退けたいと考えているのではないか。
 この2つの問題。フロイトの議論からの解放と、通俗的な物欲に支配された人間観との解放という2つの問題がいかにかさなっているかを以下に述べ、それをこの経営学講義の導入としよう。
 フロイトの議論としてどのようなものがしられているだろうか。たとえば自我を強める息子が父親を殺して母親を独占しようとする心の葛藤を指す「エディプス・コンプレックス」。あるいは女性が男性から犯されたいと同時にその相手を憎み殺したいと感ずる「ユディット・コンプレックス」。よく知られているようにカマキリのメスは交尾後、オスを食べてしまうこと(正確には食べてしまうことがあること)と、このコンプレックスは奇妙に対応する。しかしこれらの解釈もあるかなという思いはあるが、何か見てはいけない論理のようにも思える。
フロイトのエディプス・コンプレックスは女子大生が母親から離れない男の子を「マザコン」と呼ぶのに転用された。でもどうも中身が違うように思える。男の子は母親思いなだけで母親とsexなんて考えてないと思うのだけど。しかしそれを抑圧された意識として議論するとまさにフロイト流解釈になる。この解釈のおかげで日本中に嫁姑問題が広がったのではないだろうか。フロイト流のすべてをsexの潜在願望で説明する心理解釈は、性的欲求のみを本来的な願望ととらえる点で「有害」な解釈なのではないだろうか。私はフロイトを学んだ上で、そこから卒業する必要があると考える。
古い記憶だがMark Lester(1958-)を使ったChild at the Night(1972)という作品では思春期の少年のもっている見てはいけない悪魔性が描写されていた。しかしそうした描写は私たちを陰鬱にさせた。こうしたフロイト流の精神分析、とくに性を前面にした分析は、私たちを混乱させ、様々な醜悪な性文化の容認にもつながった。つまりこういうことではないか。フロイトの指摘は正しいかもしれないが私たちが望んでいる解釈ではない。つまりそこには私たちが進む方向は示されていない。結局フロイトは私たちを混乱させただけではないか。フロイトを学ぶ必要はあるがフロイトにとどまってはいけないのである。
 フロイトの分析の有害さは上野千鶴子(1948-)が自閉症児の原因をマザコンによるものとの言説を1980年代に日本で行ったとき、誰の目にも明らかになった。上野が反発を受けたのは、一つはそれが学問的な検証を欠いた主張に過ぎないものだったからだ。ただもうひとつは学者としての学問の権威で上から下に押しつけたからだ。そしてその解釈を人々はそもそも聞きたくなかった。嫌いだったからである。上野自身の学者としての非科学性(彼女はその後東大教授になる)や子供の自閉症に悩む家族への共感のなさは、驚くべきことである。このような上野を頂点に抱く日本の女性学が、社会の信頼を一挙に失ったのは当然の結果といわなければならない。
 フロイトと似ているけれど、性から離れる点で異なるのはユングである。フロイトは精神科医でその患者の観察からその精神分析学を体系化した。同じように精神科医として患者を診断する中で人間の深層心理の分析を発展させたのがユング(1865-1961)である。
 ユングは人類に共通する集合的無意識が存在すると指摘している。沢山の民族がもつ夢などに共通の要素があるが、ユングはそこに注目した。
フロイトやユングは一時はもてはやされたが、フロイトやユングが人間の心の内面を問題にしたことに対して、批判がでてくる。心の問題というのは、実証科学としては成立しにくいからである。
 このような批判を受けて、人間をとりまく環境への注目が高まった。一つは環境が人間に与える影響という方向であり、今一つはそれと関係するが、環境の変化が人間の行動にどのような影響を与えるかという方向である。
 性の問題について性認識(ジェンダー・アイデンティティ)の環境規定説が出てくるのはこの第一の方向においてである。
 行動における性差というのは環境が作るという考え方である。このような環境規定説は、一時流行した。これは逆にいえば両性を平等に扱えば性差の問題を乗り越えられるという議論になる。
 女性にかかわる様々な問題を性差別という環境に一元化して捉えることにもなる。しかしこれでは現実に存在する性差を否定することにもなりかねない。こうして上野に続いて大沢真理(1953-)のジェンダー・フリー論が批判を浴びた。もともとアメリカでは、性差別の解消という観点からは、性差を認めた上で差別に敏感であること=ジェンダー・センシティブが主張されていたのに、大沢はこれをジェンダーからの解放という意味でのジェンダー・フリー論に置き換えて政府審議会の議論に持ち込んだと批判された。
 実際に二人の主張がそうだったかは別にして、たとえば女性を女性らしく教育したり、女性を教育や仕事の上で区別することは、すべて性差別につながるとジェンダーフリー論は主張したとされた。この主張に対して、たとえば肉体的な性差は現実に存在するのだから、正しい道は、どれが差別でありどれが性差によるものかを冷静に振り分け、差別となるものを解消する地道な努力にあるとの反論が対置されている。性同一性障害の人は性転換を望むという発想をジェンダーフリー論ではどう考えるかと併せて、性差を否定することが個人の幸せとどうつながるかは、なお綿密な検討が必要なのではないか。

2)物質的動機と勤労意欲:心理学から経営学へ
 また第二の方向として、実験を通じて人間を取り巻く環境を変えながら人間の行動がその結果、どう変化するかを調べる実験心理学・行動心理学の台頭がもたらされた。
その主な論者に、工場労働者の作業能率の変化を調べるホーソン実験(Hawthone Investigation 1924-32)を行ったEメイヨー(Elton Mayo1880-1949)とレスリー・バーガー。メイヨーは、労働者は必ずしも個人的に存在して自身の物質的欲求の最大化を目指す存在ではなく職場の非公式集団に大きく影響される存在であること、具体的には、職場の非公式集団の中で良い位置にいたい、あるいは継続的にその集団の中で仕事をしたいという欲求が労働者の作業態度に大きく影響すること、つまり仕事の成果や作業態度に大きな影響を与えていることを見出した。
 これは人間関係を重視した人事管理への出発点となる業績だった。たとえば管理職者が、部下とのコミュニケーションを図ることは部下の勤労意欲を高めるということだ。Mayoはハーバード大学に在籍し、最後はその経営大学院(ビジネススクール)で工業調査担当教授となっている。
 またフレデリック・W・テイラー(Frederick W.Taylor1856-1915)の科学的管理scientific managementが、労働者の怠業や職場の無秩序の一掃のために第1級労働者の作業の有り方を追及したことの対極にある分析であった。テイラーの分析には作業の標準化という合理的な発想はあるが、それは詰めていえば人間としての感情を無視して時間あたりの効率を極限まで高めることを目指している点で、批判を受けて当然といえる側面があった。
 1939年から1943年に行った調査から心理学者のAbraham Maslowは欲求の5段階説を唱えた。それは心理への欲求(飢え、渇き、セックスなど)、安全への欲求、社会性への欲求(愛情、友情)、尊敬への欲求(自己の尊厳、自律、達成感)、自己実現の5段階で、一つの段階が満たされると次の欲求が主たるものになるというもの。この考え方は人は、金銭的利益を超えてなぜ一生懸命働くのかということに、合理的な一つの解釈を与えた点で注目される。
 またDouglas McGregor(1906-1964)はThe Human Side of Enterprise(1960)において、労働者を基本的に怠惰で無秩序を好む(Theory X)ものとしてではなく、適切な環境と動機付けを与えられれば労働者はむしろ仕事を好み、自律的かつ創造的に仕事に取り組む存在(Theory Y)として描き出した。この学説を出したMcGregorは、社会心理学者であるが、1954年から死に至るまではマサチューセッツ工科大学MITの経営学教授を勤め、経営学と社会心理学との間にまさに位置することになった。
このTheory Yが示唆するのは、非管理職者の潜在的な勤労意欲をいかに引き出すかということに、管理職者の役割があると私は考えるのだが、間違っているだろうか。
ここからさらに労働者は、集団で作業することを好み、集団での意思決定に従うという見方もでている(Theory Z)。そして現在では欧米の組織においても、Theory Zがあてはまることがしばしば見出されている。
  *ここで述べられていることは労働者の動機付け(motivation)には実は賞賛や報奨を与えるなどの外在的もの(entrinsic motivation)のほかに内在的なもの 
  (intrinsic motivation)があるというようにも整理できる。前者は金銭的なものではかならずしもなくて、賞賛とか認証もある。他方、後者の観点からは作業の仕方などに労働  者の自律性、自己管理を認めることで、作業効率を改善できるといった視点が生まれる。外在説からは、金銭的報奨という視点もあり、また罰則も有効となる。


McGregorと同様に心理学の研究から経営学に転進した学者にFredrick Herzberg(1923-2000)がいる。彼は心理学者として研究者の道を歩き、最後はユタ大学の経営学の教授を勤めている。Herzbergはニュヨーク市立大学に学んだあと、従軍してナチスのDachau Campを目撃し、そこから後年の研究のアイディアを得たとしている。
 Herzbergの業績は衛生理論hygene theoryと呼ばれる。彼によると、仕事についての不満足は、彼が職場の衛生hygeneと呼ぶ、作業環境、人間関係、給与、会社の政策などに左右されるが、仕事についての満足は、仕事を通じて達成感、責任感が得られたり、評価され、仕事を通じて成長し学習できることに左右される。つまり彼は、心理面での成長の機会が確保されているかに、仕事についての満足が、関わっていることを明らかにしたとされるのである

 言い換えるなら、仕事についての満足感を高め、労働者あるいは勤労者の意欲を高めるには、たとえば賃金といった衛生要因ではなく、仕事を通じて評価されるとか、心理的に成長できるといった側面こそが影響することを、Herzbergは見出したのである。もちろん衛生要因を軽視してよいわけではない。しかし衛生要因の多少と、仕事の満足感とは別物であることを指摘したのである。
 このようなタイプの議論は意欲(motivation)に係る議論といえよう。そこではMaslowの議論がやや修正されて、取り込まれている。すなわち労働者には3つの基本的な欲求があると整理されている。それは、存在への欲求、関係性の欲求、そして成長への欲求の3つである(ERG theory existence relatedness growth)。
 現代にいる私たちは、数量的な生産主義よりは、品質管理quality controlを重視したW・エドワーズ・デミング(1900-1993)の考え方が、品質改善がもたらす費用削減効果という点だけでなく、労働者の内発的な意思を尊重する点からも、企業にとって望ましいことを知っている。デミングは品質の改善により企業は市場で生き残れるとし、品質の改善には労働者と企業とが長期的な雇用関係にあることによる忠誠心が重要であることなどを指摘している(cf.W.Edwards Deming Out of the Crisis 1982)。つまりデミングの考え方は、メイヨーたち心理学者たちの発見や主張につながっている。
 その後の実験心理学の代表的人物には残虐な行為を監督者の指示で行う側の心理を調べるアイヒマン実験(1961)を行ったスタンレー・ミルグラム(1933-1984)。投資者が成功の確率を高く評価し勝ちであることで投資行動が歪むことを明らかにしたプロスペクト理論などを唱えたダニエル・カーネマン(1934-)などがいる(参照 市場原理主義批判について 注目される行動ファイナンス)。
 性差についての環境規定説は近年行き過ぎが反省されている。性差を否定する極端な議論は影を潜め、性差の基礎に生物学的差異が存在することは認められるようになった。もちろん環境も重要だし、個体差もある。性の問題は、生物学的基礎により多く支配される。もちろん環境や個体差は否定できないけれど。このような認識の変化によって、私たちは性の問題について、冷静に議論できるようになった。
参照 人間関係学派の展開については以下を参照Human Relations Approach(Accell)
 経営学講義 下編  
Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.Appeared in Dec.27, 2008. This is the enlared font edition uploaded in Dec.27, 2014. No part of the original is changed.
経営学 英語教材


経営学講義 心理学から経営学へ 下編

2014-12-27 09:11:53 | Management
3.利潤動機が乗り越えるべき解釈:経済学から経営学への転換がなぜ必要か
フロイトによる性的欲望を前面に押し出した心理分析は、一面の正しさを持ちつつ有害で排除されるべき解釈であると述べたが、経済学における企業の行動を「利潤動機」で説明する解釈も似たところがある。一面では正しいが有害な解釈なのではないだろうか。つまり利潤動機も企業の一面を明らかにしているが、そこからは企業のあるべき姿や目指すべき方向はでてこない。経済学はそこで間違った指針を提示して企業社会の失笑を浴びているのではないか。
 これに対して、では短期ではなく長期の利潤最大化ではどうかとか、あるいは企業価値最大化という命題ではどうかといった反論も考えられよう。私は、これらの反論は利潤最大化命題の本質的な修正でない点が問題だと考える。企業や経営者の立脚点はどこにあるべきかという倫理的なまた道徳的な規範を含んでいない点で、さまざまな言い換えは、本質的な反省を回避している点で有害だと考える。企業そして経営者は何を目的に存続するのか。またどうあるべきなのか。経営学はこの点で答えを出す義務がある。
ドラッカー(1909-2005)はこのような利潤動機の存在を疑わしいと喝破し利益最大化を経営者の動機とするのは有害だとしている(cf.「経営の本質The Practice of Management」(1953))。事業にとどまるにはリスクをカバーする利益、そして外部資本を引き付ける利益は必要だが、利益最大化を経営者の動機とみなすことはできないとして、その理由として利益に対する社会の深い敵意を挙げている。そしてビジネスの目的は顧客を発見することにあり、顧客こそがビジネスの基礎でありビジネスの存在を維持するのだと指摘する。この勝負はどうもドラッカーの方に歩があるのではないか。
 もちろん、この議論がMcGregorら心理学者の議論のあとに出てきたことや、社会主義と資本主義との対立といった時代背景も大事である。
なおドラッカーの経営についての考察はその後、事業経営にとどまらず、近代の組織に共通する管理の問題に進む。近代の組織において知識労働者knowledge workersが定型労働者manual workersに比べ比重を高めることが、近代の組織が効率的にまた有効に運営されるための管理managementの重要性を高めたとしている。投資をはじめ様々な経営上の判断が持つ重要性、しかしそれが必ずしも計量的な数値だけで終わるものでないことを含めドラッカーの考察は大変興味深い(cf.「適切な経営とは何か(The Effective Management)」(1967))。
経営学の一つの特徴は、経営管理を科学的に考察しようとした点にあると考えられる。その出発点の著作とされるバーナード(1886-1961)の「経営者の機能」(1938)は、組織というものは共通の目標を目指す人々の協力によって生き残れるとし、経営者は、行動や決定を通じてそうした目標を定式化し、組織編制や人員配置を通じて組織内のコミュケーションシステムを構築しコミュニケーションを促進する役割を負っているとしている。Chester I. Barnard The Functions of the Executive 13th anniversary edition Harvard University Press 1938 and 1968 pp.72-73 216-234.極めて一般的な定式化ではあるが、金銭的報酬動機が生存線を越えた人々に有効でないことを強調している(pp.142-144)ことからも、ドラッカー同様に金銭的動機を中心とする会社観を批判するものと見てよいであろう。
このようなバーナードやドラッカーが示した歴史意識は、その後の経営学者では希薄になるのは残念である。たとえばポーター(1947-)による経営戦略論の古典『競争的戦略論』(1980)。若きポーターは観察者に徹していて自らの価値観は語らない。売上高の成長に高い価値を置くか、投資の利益率の維持を最重要視するか、それらは企業の選択の問題であり、どのような目的をその企業がもっているかを発見し、結果としてどのようにその企業が行動するかを分析することに焦点を合わせている。財務的な目標financial goals以外に、市場での支配力、技術的優位性、社会的成果などの質的な目標が含まれることがあることを含め、長期ー短期、明示ー黙示、リスクへの反応、価値や信念、報酬体系、組織・役員会の構造、規制など、目標と戦略行動との間の要因も網羅的に指摘されている。正直に言っておもしろくはないが、考慮すべきことを網羅的に述べている。そして競争には参入の脅威、既存の競争相手との競合、代替品の脅威、供給者の交渉力、買い手の交渉力という5つの推進力があり、本質的な経営戦略はoverall cost leadershipと、 differentiationと、 focusの3つに大別できるとしている(Michael E.Porter Competitive Strategy 1st ed. in 1980 2004 edition)。価値観を語らないことでポーターの書物は古典になった。

4.むすび:1980年代に企業認識が大きく変わった
 ただここで一つ、企業の存続という問題が登場したことが注目される。企業の存続を考えると長期的な利益(企業の経営目標から短期的な利益最大化を除くこと)が大事だという視点が発見されている。そして1980年代がこの視点=認識転換に決定的だった時期として多くの論者が指摘している。
 ハマー&チャンピーは、1980年頃から売り手と顧客の関係で顧客が主導権を握るようになったとする。彼らはよればその結果、企業は官僚的に肥大化した組織から顧客志向のフラットな組織に再編することを迫られたと説く。この再編はあるべき企業の姿を目指した根本的なプロセスのリエンジニアリングであり、近年の情報技術がこのプロセスの変革を支えているとしてた。(cf.Michael Hammer and James Champy Reengineering the Corporation 1993.)
 もちろん1980年代になり顧客が急に主導権をとったというよりは、その傾向が明瞭になったのが1980年代なのだろう。
 消費と生産の立場で消費が強くなるのは過剰生産が明らかになったときである。歴史的に有名な過剰生産の時期は1870年代からの時期あるいは1930年代以降の時期である。それぞれ大不況とか大恐慌と呼ばれる時期である。
 Ansoffはアメリカを念頭に1930年代を大量生産時代からポスト工業化時代への画期として、その動きはその後ますます加速していったとしている。生産の過剰が明らかになり、マーケティングによって工業が主導される時代になり、利益をむさぼるような企業のあり方が反省されるようになったとしている(Igor Ansoff Corporate Strategy(1965) rev.ed. in 1988 Chapter 1)。つまりアンゾフによれば1930年代が画期として重要である。またアンゾフは、企業経営の目的は企業を取り巻く様々の利害関係者stakeholderの主張の調整から導かれるとするstakeholder theoryの起源を1954年のFrank Abramsの論文に求めている(同前 Chapter 3)。
 1870年代以降を重視するのはChandlerである。この時期に過剰生産から価格が低下したことが企業間に水平的な提携や統合horizontal combination or consolidationの動きをもたらしたとする。生産の標準化standardizationを通して規模の経済economies of scale を実現しようとする動きが強まり、企業組織は集中化centralizationの動きを高めたとする。
今一つの動きは、販売や原料生産への企業組織の伸張である。これを垂直的統合vertical integrationという。しかし逆の面があり、それは業務の地理的な拡大や生産するものの多様化である。とくに20世紀に入ると、電気機器、化学、自動車などの新産業では新しい商品が生まれ、その生産部門が急拡大を遂げてゆく。生産するものの多様化が強まるのである。
 このようになると企業は、専門化された部門制を取らざるを得なくなり、その部門中での管理の問題、つまり組織経営への関心が高まったとする。機能別の部門制や、部門において日常的な管理をする事務長general managerと中期的経営に専念する部長vice presidentとの職能とが分離したとする。
 このようにChandlerでは画期は1870年代からゆるやかに始まるのである。See Alfred D.Chandler Strategy and Structure The MIT Press 1962.
 1980年代に顕著になる消費が優位の傾向の前兆や指摘は、かなり前からあったといえそうである。しかし他方で、岩井克人氏も1980年代になって資本主義社会がポスト産業資本主義に入ったことが明瞭になったとしている。アイデアを出す人間が利益の源泉になる時代になったとも指摘する。
しかしなぜ1980年代なのだろうか。複数の答えが考えられるのだが、一つの答えは、株主価値shareholder valueを重視した経営が他方では高揚していたことに対して、「健全な批判」が働いたのがこの1980年代ということである。この批判と重ねてよいかは十分な自信はないが、1960年代から1970年代初頭に向けての企業買収ブーム-異部門への進出は、1970年代から1980年代にかけてての企業再編-非戦略事業部門の売却へと変貌を遂げている(Chandler前掲書の1989年版の序文が参考になる)
 1980年代のアメリカを悩ませたのはアメリカ企業の国際競争力の低下であった。とくに日本企業の台頭は、注目された。この危機に対応してでてきた動きの一つが前項でみた1980年代のデミングによる品質管理問題についての指摘だった。1980年代が冷戦で社会主義体制に勝利した反面、資本主義社会の中でアメリカ資本主義がやや自信を喪失した反省の時期だったことは確かだ。
 またよりさらに大きな問題として、企業を運営する経営理念について株主価値に単純化された手法の欠陥が指摘されるようになったのである。長年にわたる生産現場(職場)における人間関係を重視する心理学者の指摘が、ようやく経営学との結びつきを得たのも1980年代だったことである。1982年に出版されたThomas J.PetersとRobert H.Waterman Jr.によるIn Search of Excellenceは、まさにそのことを示す記念碑的な著作である。この二人は大学の教員ではなく、コンサルタント会社McKinseyの幹部社員(パートナー)だった。
 この著作では、財務上の数字だけを根拠にするような経営や、その背景をなす金銭的合理性一点張りの企業や人間の捉え方が同時に批判される。人間とはそうした合理的存在でないことが、人間関係学派の成果を引用しながら語られている

 また長い間、すぐれた業績を上げ続けている会社は、集団や理念のもとにある、複雑な存在としての人間でもある顧客・従業員に注意を払っている会社だとする。すぐれた会社を特徴付けるのは以下の要素だとされる。高い企業理念を掲げてそれが守られているかに注意を払い(hands-on value driven)、顧客の声を聞き(close to the customer)、従業員を尊重しその自発性や創造性を高め(autonomy enterpreneurship productiviy through people)、知悉している事業にこだわる(stick to the knitting)一方、挑戦心にあふれ(a bias for action)、管理組織は簡素に徹している(simple form lean staff)。
 企業がその人的資本に依存する存在であることを明確に指摘したことも、この本の注目すべき点である。このPetersとWatermanの共著(1982)は、批判する相手を明確にしている点で、やはり同様の問題意識を示す1990年代の一連の経営書の先駆であり、明らかに認識の分水嶺としての意義を持っている。
では1990年代の議論はどう違ってくるのか。それはより整理された形で提案される。ただ私はバーナードやドラッカーに常に帰り反省する必要があると考える。1990年代の議論は、対立をオブラートにつつみ包容力があるが、バーナードやドラッカーが唱えた企業認識の転換、利潤動機や物質的動機からの企業経営の解放という視点を曖昧にした欠陥があると考えるのである。
 たとえばBSC(Balanced Scorecard)を経営指標としようとする提案を、1990年代の議論の代表としてとりあげよう。それは、財務指標と対立したり無視するのではなくそれを取り込んだ総合的指標の提案となっている(Robert S.Kapalan and David P.Norton 1992-1993)。これは4つの視点から企業をとらえようとするもの。それは財務・顧客・内部管理(業務プロセス)・革新性(人材と変革)という4つ。財務だけでは、企業が目標として掲げる顧客満足の追求という課題が見えなくなることや、今後の成長のために企業が行う人材や変革のための投資がマイナスに評価されるという矛盾に答えた形となっている。また各視点は、戦略重要目標、主要成功要因、業績評価指標、ターゲット、アクションプランに分けて分析される。
 つまり財務指標だけで経営管理できないことは経営者の側からはむしろ常識といえた。ただ4つの視点の具体的な内容は企業により、様々となる。またこれだけ多数の項目について、資料を整え分析することは企業組織に多大な負担となる。そこを自己点検の作業としてプラスとみるがこともできるが、このような作業の多さは問題だともいえる。これを外部に委託すれば、しかるべき経営コンサルタント料ともなるだろう。
 またBSCは経営の指標として優れているが、投資家が求める企業間の比較、とくに異なる産業間の比較には適していない。その中身は、財務はキャッシュフロー、売上高成長率、市場占有率、株主資本利益率など。しかし顧客から以下の視点は、産業により違いがある。たとえば顧客からの面は、質や価格など顧客によるニーズの違いに応じて対応しているか、配送は正確か、品質・価格・サービスなどで顧客は満足しているかなど。内部管理の面では、従業員の熟練、生産性、安全性の高さ、損失の低さなど。革新性と学習能力は、新製品・新サービスの比率、効率や収益力を改善し続ける能力など。業種が違えば同じ尺度はあてはめにくい。
 さらに4つの視点はとりあえずいい。ただそれらの側面と尺度との因果関係、尺度間の関係には、曖昧さがある。考え方は正しい。ただスコアカードの考え方はいい。しかしこれが決定版とは言い得ない。このほかにも作れるだろうし作られるだろう。側面は5つになるかもしれないし、3つに減るかもしれない。となるとこの議論はどう評価すればいいのだろうか。BSCが企業評価の決定版のようにいう人がいるが、そうではないのでないか。
 たとえばドノバン、タリー、ワートマンの価値創造企業The Value Enterprise(1998)は、株主価値、顧客価値、従業員価値の3つの側面での企業価値最大化を主張したが、明らかにこれはBSCの変形である。ドノバンたちはこの3つの側面のつながりを指摘している。顧客価値は製品の、品質・価格・欠陥の有無などで決まる相対的な満足度に左右される。その商品の適性に応じた、満足が提供されることは結果として企業の収益性に影響する。同様に従業員価値は、報酬や仕事の質などで決まる相対的な満足度に左右される。しかしそれは労働者の生産性や商品サービスの品質に影響し、企業の収益性に影響するのである。
 あるいはジョン・エルキントンは、経済的成果、社会的成果、環境的成果の3つの側面で企業成果を測定することを主張している。おそらくこのような考え方の変種は無数にあるだろう。
 本質的な問題はBSCが財務的指標だけで企業の通信簿をつけることに、さまざまな矛盾があることを示唆したことでそのことが正しいということであって、カプラン=ノートンのBSCが絶対的な完成品だということではないと私は考える。BSCにさまざまな修正は可能でこれで完成ではない。また大変複雑で企業間比較には適したものではない。
 財務的指標は、対顧客面で企業の掲げている課題をその企業がどこまで満たしているかとか、競争力の面で革新性を維持する能力をどのように形成保有しているかといったことを分析するには、適切ではない。投資家も複数の側面からの分析指標を必要としているのではないかというのがこの議論の結論の一つである。
 経営コンサルタントのアラン・ケネディが、株主価値経営が、長期的に見た企業価値を損なう側面があること(従業員=人的資源の削減 研究開発投資=新製品開発能力の削減 自社株買戻し=短期的株価対策)を批判し、多様な利害関係者との関係の修復と経営者報酬を長期間かけて支払う方式に変更することなどを対策として提案した(Allan A.Kennedy The End of Shareholder Value 2000)のも同様の議論といえる。
 なおマーケティング論が教えるところによれば、マーケティングの考え方は20世紀初頭から時間をかけてつぎのようなに方向に変化した。当初の考え方はすでに既製の商品がありそれをいかに販売するかということであった。これをプロダクト中心主義とかセリング中心主義という。こうした考え方から、顧客のニーズを発見し、顧客が必要とするもの(ウオンツ)をいかに供給するか、という方向へと考え方の大きな転換があったとされる。この後者の議論は、顧客中心主義と呼ばれている。
 つまりマーケティングはその企業がターゲットとする顧客のニーズの調査に始まり製品販売後のアフターサービスに至る顧客満足を追求する一連のプロセスであるということ。このようなマーケティング論の体系が確立するのが、ほぼこの時期だったのではないかというのが、私の今一つの仮説である。
ハマー&チャンピーに対して、長いレンジで時代を超えて輝いているビジョナリー・カンパニーに共通する原理を探求したコリンズ=ポラスは、このような優良企業が、利益の最大化を主たる目的としていないことを見出した。基本的価値Core Valueに何を選ぶかは、企業により様々だったが、それは利益の追求とは区別され、利益の追求により妨げられてはならないものであり、また基本的価値の明確化は、企業の活力を生み出していた。コリンズ=ポラスはどのような基本的価値が望ましいかを語らない点で私にはもどかしい。しかし示唆には富んでいる(See Jim Collins & Jerry I.Porras Built to Last: Successful Habits of Visionary Companies originally published in 1994 2004 edition)。
ハマー&チャンピーそしてコリンズ&ポラスに対して、極めて挑戦的なのはハメル&プラハラードである。当面の戦略を描けるのは自分たちだという。だとすればハメル&プラハラードの射程は、前2者より短いことになる。私の考えでは、歴史的な意識という点ではハマー&チャンピーの問題関心が一番明確である。自分たちの議論にどのような意味があるかはもっともよく主張できている。コリンズ&ポラスは、収集した資料の多さが圧倒的で、資料的価値が大きい。ハメル&プラハラードは、こうした前2者を踏まえて読まれる位置にあり、時論的な性格が強いと思える。
 ハメルたちは、たとえばリエンジニアリングよりは、未来の市場を作り出すこと、そして新しく生まれる市場で主導権をとることの方が企業の経営戦略としては重要だとしている。ハメルたちの主張は、明確で分かりやすいが、なぜそれが今問題なのかというもっとも肝心な点に触れていない。
 ハメルたちの主張はこうだ。先入観にとらわれず、好奇心をもって、顧客がまだ意識していないニーズを発見しその実現に向けて努力する企業が、市場を作ってゆく。そこで経営者は、大きな目標を掲げて全社員の意識を鼓舞し、その目標実現への設計図を描き、段階的に新しい挑戦課題を示して課題を達成させる。また、限られた経営資源を戦略的に効率的に活用して課題を達成させる。コア・コンピタンス(顧客に対して他社がまねできないような価値を提供する、企業の中核的な力)の議論は、このような未来を切り開く戦略の中に位置付けられる。企業の競争力の源になっているコア・コンピタンスを発見し(獲得し)、強化すること(現在及び今後においてコンピタンスと市場シェアを高めるために投資を行うこと)の重要性が説明される(Gary Hamel and C.K.Prahalad Competing for the Future 1994)
Slatter & LovettのCorporate Turnaroundも象徴的な著作である。傾きかけた企業をいかに再建するかを扱ったこの著述は、債権者や株主の利害関係まで記述している点で実務家にも十分参考になるだろう(Stuart Slatter & David Lovett Corporate Turnaround Penguin Books 1999)。この書物が国際的な金融上の混乱が続いた20世紀末にでてきたことも興味深い。経済的な困難は、学問の実用性を試しそれを鍛えることを示唆しているように思える。
Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.Appeared in Dec.27, 2008. This is the enlared font edition uploaded in Dec.27, 2014. No part of the original is changed.
経営学 英語教材



Case Study on JT

2014-12-03 16:47:07 | Management

国内たばこ事業縮小(主力はメビウス 国内シェア3割で首位) しかし海外たばこ事業で伸びる 
 1999年 米RJRナビスコの米たばこ事業買収9400億円 ブランドウインストンを入手
 2006年12月 英ガラハー買収で基本合意 買収総額2兆2000億円(これまでの日本企業買収の最高額はソフトバンクによるボーダフォン日本法人買収の1兆9000億円)
 2007年4月買収完了 英ガラハー(世界5位 主力ブランド)をJT(3位)が買収 日本企業で過去最大94億ポンド2兆2500億円の買収(世界3位を不動に)
      7.5%→10.8% 今後は製造拠点統合して効率化
 2007年7月 4位の英インペリアルタバコが4位びアルタデイス(スペイン)を買収 上位4位で47%の寡占体制になる
 2007年11月 JTと日清 加ト吉を共同買収
 2008年1月末 JTフーズの冷凍ギョーザで中毒事件
 2009年 ブラジルで葉タバコ会社買収
 2011年7月 スーダンのたばこ会社2社を350億円で買収
 2012年 水産事業から撤退
 2012年 海外でウインストン伸びる(欧州では不景気から中価格帯ノウインストンへ ロシアでは現地の低価格ブランドからより高いウインストンへ) 8つの主力ブランドごとに ターゲット顧客と価格を明確化することで販売を伸ばしている。
 2013年 ロシア イギリスで値上げ実施 85年民営化当時は50ケ所 国内現9ケ所から4工場閉鎖(15年3月末3ケ所 16年3月末で1ケ所)  1600人削減 好業績下でのリストラが注目された。
 2013年3月財務省がJT株売却 50%から33%(JT法の下限) 海外投資家保有比率37% 株主還元の圧力高い(JT法 たばこ事業法:葉タバコ原料の買い入れ義務 たばこ小売価格の財務相認可制 海外産より3倍割高だがたばこ生産の独占 法定定価制による保護)
 2014年の消費税値上げによる市場縮小見込む 1996年度2706億本 2012年度1162億本 たばこ販売本数の減少続く 日本市場は年3%ずつ市場が縮小 経営陣の危機感は深い 国内の販売本数は半減 海外は倍増したが
  2013年末 ロシアの物流会社メガポリスに多額(850億円)出資

 JT 非たばこ事業への分散 から たばこ事業=本業への復帰で業績拡大 しかしタバコに将来はあるの?

JT 本業外ビジネスでブランド価値損失
2008年1月下旬に発覚した中国製ギョーザによる食中毒事件は、JTの子会社JTフーズだけでなく、その親会社JTの業務多角化計画をゆるがす事態をもたらした。
 JTの食品事業は、1988年に飲料部門を開始。その後、1996年から買収を繰り返して業務を拡大した。冷食については1999年に旭化成から冷食事業買収でスタートしている。食品メーカーとして後発。食品の安全性についての基本的な価値観の形成より、食品事業を単に事業多角化の手段として考えてきた節がある。今回の事件では食品メーカーとして食の安全への感度の低さ、責任感のなさが露呈したと批判されている。
 今回の問題では、消費者から2007年の段階で繰り返しあがった異臭やべとつきなどの苦情を放置。消費者の命に関わる悪化を招いたとされ幹部社員の責任は重大。しかしそもそも買収を繰り返して急速にこれまでとは異なる事業規模を拡大する経営手法には落とし穴(リスク管理の甘さが生まれやすい)が潜んでいる。JTの冷食は委託工場からの調達が中心で、社内に生産技術や品質管理の十分な蓄積がない(素人集団)と指摘されている。外部資源依存型企業の弱点が示されている。
 買収による急速な成長戦略や、外部依存型の調達にも多くのメリットがあるが、しかるべき人的資源の獲得や教育投資が並行してなされなければ、企業にとってはいずれもリスクをただ増やしていることを意味するのではないか。日本タバコは実は本業は好調。その利益をくいつぶす副業がついには、本業のブランド価値まで損なうという最悪の展開がギョーザ問題であった。
 もちろん自社工場で作っている企業が、食中毒事件を起こさないとはいえない。原因が中国の工場内にあるとすれば、JTを責めるのは酷だろう。しかし少なくとも消費者からの重なる通報への対応を怠り放置してきた対応は結果として、JTブランドへの信頼を傷つけ、食品事業(07年3月期の売上高は約2900億円)の拡大を目指すJTの戦略に汚点を残したことは間違いない。

JT 本業復帰で業績を伸ばす
 この事件を契機としてというべきか。こうした非たばこ事業への風当たりは社内でも強まったようだ。もともと利益貢献度はゼロ。本業で稼いだ利益を食いつぶす存在。本業の利益率は30%。たばこ価格の引き上げ(単価の引き上げ 2010年10月のたばこ増税時の価格引き上げ)に加えて生産効率も引き上げられ、国内では販売本数減少にもかかわらず営業利益は2009年3月期を底に2012年3月期まで回復基調(過去ピークは2007年3月期 12年3月期 純利益見通しは1604億円 前年同期比34%の伸び 2012年3月期でEBITDAベースでは、総計5771億円 国内たばこ事業45% 海外たばこ事業55% 非たばこ事業という路線はほぼ消滅している。むしろ非たばこ事業は利益を食いつぶしている無駄な事業にも見える。)
 2013年3月期 連結売上高は前期比2.1%増の2兆1201億円。営業利益は前期比15.9%増の5323億円。純利益は7.1%増の3436億円。過去最高を記録した。
 たばこ批判にもかかわらず 企業としてJTは優良企業。高い利益、CFを設備開発投資・広告費に投じている。2012年3月期でFCCの4割を投じているとのこと。そして海外のタバコ事業を購入している(世界第二位の市場ロシアでシェアトップになったとされる 1999年RJRナビスコ約9400億円買収 2007年の英ガラハー買収約2兆2000億円など たばこ販売は国内は次第に減少、しかし海外での販売が堅調。買収がこの転換を助けた形。)。同じ買収でも本業のたばこでは、自社のノウハウが生きるはず。


 世界シェア14・5%世界3位(トップがフィリップモリスインターナショナルPMI マールボロなど 2位はブリテッシュアメリカンタバコBAT ケントなど) 量的拡大はかげり 中国と米国を別にすると日本のたばこ市場の規模はロシア インドネシアにつぐ3位とされる
   自律的organic成長か外部extearnal成長か
  インドネシアにおけるタバコ問題 2012/07/17
    たばこ一本足打法への不安 2012/09/03
    ロシアにおけるタバコ規制 2013/06/18
分類:Case Studies

世界シェアの高い日本企業一覧

2014-11-17 14:58:11 | Management

The Power of Japanese Firms 世界シェアトップあるいはNo.1の日本企業(2014) → 優良株の相場動向(2021年8月18日)
ブリヂストン(タイヤ) 世界全体では15%程度  日本触媒(高吸収性樹脂SAP) ホンダ(二輪車) ASEANや南米で強い 世界全体では25%程度 YAMAHA(楽器の売上の8割は海外 ピアノで世界の3分の1 電子キーボードでは5割など比率は圧倒的とされる) オリンパス(内視鏡 なお世界シェアはオリンパス70% HOYAと富士フィルムが15%ずつとのこと) ダイキン工業(空調機器) コマツ(東南アジア市場での建設機械ではシェアトップ)
最近話題として ハイブリッド車(トヨタ自動車) リチウム電池でパナソニックが首位脱落(2011→2012)の反面、車載用電池では首位を保っているとの指摘あり。

2013-2014年 世界市場で日本が首位だった12品目(日経2013年7月1日と2014年6月29日を比較 2013年⇒2014年)

ビデオカメラ ソニー44.0%⇒49.5% パナソニック15%⇒18.5%

デジタルカメラ キヤノン22.6%⇒25.6%ニコン20.9%⇒22.7%

レンズ交換式カメラキヤノン42.9%⇒43.2%ニコン34.6%⇒34.6%

ゲーム機器ソニーコンピュータエンタテインメント41.1%⇒40.1% 任天堂41.4%⇒36.9%

自動車トヨタ自動車11.7%⇒11.6%GM(米国)11.2%⇒11.2%

白色LED日亜化学工業33.1%⇒30.9%サムソン電子(韓国)10.8%⇒11.9%

CMOSイメージセンサーソニー32.1%⇒33.0%オムニビジョンテクノロジーズ(米国)14.4%⇒16.7%

中小型液晶パネル ジャパンデイスプレイ16.8%⇒16.2%シャープ14.9%⇒15.1%

産業用ロボットファナック18.3⇒16.4%ABB(スイス)15.7%⇒14.5%

マイコン ルネサステクノロジーズ25.6%⇒22.8%フリースケールセミコンダクタ(米国)9.4%⇒10.1%

炭素繊維 東レ(炭素繊維)18.7%⇒19.6%米ゾルテック(2014/03東レが買収)12.9⇒12.1%

ビデオカメラでソニー、パナソニック、JVCケンウッド。デジタルカメラでキャノン、ニコン、ソニーはいずれも内外で高いシェア。キャノン、リコーについては複写機複合機などでの争いも興味深い。自動車はメーカーが専業化しているため、高級車(メルセデスベンツやBMW)、軽自動車(ダイハツ工業、スズキなど)や普通トラック(日野、いすずなど)のランクを分けてみる必要がある(トヨタGというとダイハツ工業や日野も含まれる)。燃費性能などが評価される日本車は同販売規模の海外メーカーに比べて利益率が高いという言い方がある(VWやGMに比較してトヨタ。その中ではSUVに特化した富士重工業の利益率が高いとされる)。また利益率の高い高級車戦略も重要になっている。背景には自動車のコモデティ化(普通商品化)があると考えられる(市場規模が1億台を2017年にも超える見通し 生産方式:汎用部品使用し、モジュールを組み合わせるレゴ式、どこでもだれでも同じクルマを作れる 価格の安い軽自動車 小型車が普及して支持されている)。また従来の日本の自動車部品メーカーは完成車メーカーごとに分かれていたが、系列に縛られない独立メーカーや、メガサプライヤーにむけての動きが注目されている。

以下は2009年12月9日に発表した記事の再録。
2009年現在世界シェアトップ(No.1)だった日本企業一覧(冒頭の時価総額は2009年8月24日終値 末尾 売上高 %は前年度比)

時価総額1兆円以上
AGC 旭硝子 東1 5201 10016億円 時価総額は2009年8月24日終値 photomask substrate supplier 板ガラスで世界首位;液晶用ガラスで2位(首位米コーニング);1981年にベルギーのグラバーベル買収 1992年に米AFGインダストリーズ買収 中国で(2009年10月、ブラウン管生産会社を中国企業に譲渡して撤退する一方)2011年秋にも液晶DP用ガラス基板加工工場を稼働。2009年前半は建築向けガラスの不振から溶解炉がとまり一時ガラス基盤不足 中国の家電下郷(農村部で家電製品の普及促進)政策、都市部の以旧換新(新製品への買替)などが要因。国内出荷も09年5月のエコポイント導入もあり需給締まる 09年12月期連結営業利益は予想の720億円を上回る800億円前後 液晶TV向けに利益率の高いガラス基盤の出荷が堅調(板ガラスの低採算性改善のための構造改革進める)→HOYAもガラス基盤の増産に追われているがそれはPC記憶装置につかうガラス製HD基盤 ガラス基盤は従来のアルミ基板に比べ振動や衝撃に強い。メーカーとしては日本電気硝子も知られる。なお液晶TVは消費電力の小さいLEDバックライト付きTVが主流となる可能性ある。またサムソン、LGなど韓国メーカーが世界シェア高める 液晶TVの成長力は今後低下し、有機ELTV、電子書籍、広告DPが成長分野になる見込;金額は売上高 %は前年度比 16812億円(0712連) 14443億円(0812連 86%)
FANUCファナック 東1 6954 18514億円 時価総額は2009年8月24日終値 CNC(computer numerical control) 工業機械用NC装置 多関節ロボット サーボモータ もっとも落ち込んだのは2009年7-9月期 2010年1-3月期の単体受注高790億円(金融危機前の水準上回る) 2010年4-6月期 純利益247億円(前年同期の5倍)売上高997億円(前年同期比2.1倍)営業利益410億円(同6.5倍) アジア向けFA装置 CNCシステムの販売 電子部品加工用工作機械も復調 金額は売上高 %は前年度比 4684億円(0803連) 3883億円(0903連 83%)
FujiFilm富士フィルムHD 東1 4901 14461億円 時価総額は2009年8月24日終値TAC film(液晶偏光板保護フィルム)でシェア8割 2000を境にデジカメの普及で写真フィルム需要急減 自らもデジカメ、さらに液晶・環境・医療(医療用機器、医薬品)などにシフト進める 傘下に富士ゼロックス10年3月期は赤字幅縮小。中国中心に液晶テレビ需要拡大 TAC filmの出荷が高水準で推移 10年4-6月期 最終損益177億円の黒字(前年付き6億円の赤字) 売上は前年同期9%増の5477億円 人件費圧縮効果 稼働率改善による原価減少 デジカメは新興国で販売堅調 偏光板フィルム売上18%増の631億円 2011年3月期売上予想2兆3000億円金額は売上高 %は前年度比 28468億円(0803連) 24343(0903連 86%)Kyocera京セラ東1 6971 14731億円 時価総額は2009年8月24日終値leads in several integrated circuit components 電子部品大手(携帯・デジタル家電向け半導体 セラミックパッケージ)2011年度 主力の半導体部品事業はタイ洪水の影響もあり幅広い分野で苦戦。太陽電池も欧州の需要低迷、中国メーカーとの競争激化、円高による採算悪化。などから減益。太陽光発電事業とスマホ向け精密部品、自動車運転制御向け車載部品などで業績好調(2013年秋段階)。2013年9月末株式分割(2分割)。配当性向目標を20-25%から30%以上に引き上げ。個人株主比率の引き上げ(16%→20%くらい)が課題。2014年3月期(米国会計基準見通し20140129)連結純利益845億円前期比25%増 売上高1兆4300億円前期比12%増。太陽光発電好調。スマホ受注 コンデンサー 水晶部品伸び悩み12904億円(0803連) 11286億円(0903連 87%)

Murata村田製作所 大1 6981 10227億円 時価総額は2009年8月24日終値has 40% of global market in capacitors, they store electricity in a circuit and are a basic building-block of many electronic devices セラミックコンデンサー(携帯 液晶TV、PC向け)09年10-12月期 最終損益92億円の黒字(前年同期13億円の赤字)営業損益113億円黒字(30億円赤字)電子部品販売回復受け10年3月期営業損益265億円程度黒字見込み(09年3月期は162億円赤字)11年3月期営業損益570億円前後に黒字拡大を予想 2011年度 円高、タイの洪水被害。主力の積層セラミックコンデンサーMLCC幅広い分野で苦戦。その後アップル向け好調業績下支えiPhone向けMLCC 13年3月期で連結売上高の2割がアップル向け アップルの成長率鈍化で一定に影響受けるが、海外生産比率上げるなどコスト低減化や顧客の拡大など対策も進めている金額は売上高 %は前年度比 6317億円(0803連) 5239億円(0903連 83%)

Shin-Etsu信越化学工業東1 4063 22686億円 時価総額は2009年8月24日終値 has 50% of the market for the photomask substrate, used to place patterns on semiconductors;enjoys the top spot for certain silicon wafers for semiconductors半導体基盤用シリコンウエハーで世界トップ(2位にSUMCO)2010年入りとともに半導体シリコンウエハー需要一段と回復 10年1-3月期連結経常利益360億円前後(前年同期比43%増) 売上高は2480億円前後(33%増) 10年4-6月期決算 純利益357億円(前年同期比2.4倍 移転価格税制合意による還付金119億円含む)売上高2597億円(37%増) 営業利益361億円(75%増)11年3月期売上高見通し1兆400億円(13%増)(10年7月22日) 金額は売上高 %は前年度比 13763億円(0803連) 12008億円(0903連 87%)

時価総額5000億円以上1兆円未満

Nidec日本電産 大1 6594 9938億円around 75% of motors for hard disk drivers in computers 精密小型モーター HDDに搭載する精密小型モーターで世界シェア8割(2009年10-12月期および10年1-3月期の出荷は過去最高水準) カードリーダ 10年4―6月期 売上高1708億円(前年同期比38%増)営業利益270億円(2.6倍 3四半期連続で最高益更新)7421億円(0803連) 6145億円(0903連 83%)
Aisin アイシン精機 東1 7259 7234億円AT(自動変速機)27004億円(0803連) 22145億円(0903連 82%)
Mitsubishi Chemical三菱ケミカルHD東1 4188 6628億円commands a near monopoly in red phosphorescent materials used to make LED light bulbs液晶TV向けLED(発光ダイオード)の主要材料 蛍光体で赤色はシェア100%。緑色は40%。液晶DPに使う保護フィルム カラーレジスト 電解液などリチウム電池向け材料 2009年11月20日三菱レイヨン買収を正式発表29298億円(0803連) 29090億円(0903連 99%)
TEL東京エレクトロン 東1 8035 9500億円 makes 80% of the etchers used in making an LCD panel;coating machine;thermal systen equipment半導体製造装置大手(世界2位 首位は米アプライドマテリアルズ) 塗布・現像装置で世界シェア8割。半導体製造装置のうちエッチング(食刻)、コーティング、熱処理膜などでトップ エッチング、洗浄装置などでシェア拡大目指す(洗浄で大日本スクリーンと競合)。新事業の太陽電池製造装置に取り組む 2009年1-3月期もっとも落ち込む。09年10-12月期連結受注高は前年同期比2.9倍の1100億円。日本、台湾、韓国で大手半導体メーカーが設備投資再開。半導体製造装置の受注は急速に回復 10年3月期の連結経常損益は92億円の黒字予想(10年1月27日現在 前年同期は83億円の赤字) 稼働率改善による原価率低下 外注人員人件費販売管理費増やさないなど固定費圧縮も寄与 11年3月期売上を前期比58%増の6600億円と見込む(10年6月12日) 11年3月期は09年3月期以来の黒字630億円前後と予想(10年7月30日)。10年4-9月期の受注見通しは3100億円(前年同期比2.2倍)製造装置は受注から納期までが長い(数か月)。基本は円建てで輸出。2013年3月期(2013-04-18段階見通し)売上高4972億円 営業利益125億円 純利益80億円 13年度後半の携帯端末向け製造装置受注回復を期待。2014年後半 米アプライドマテリアルズに経営統合9060億円(0803連) 5081億円(0903 56%)
Toppan Printing 凸版印刷 東1 7912 9442億円mask/retice液晶関連部材(カラーフィルターは顧客企業の内製化率が高いため単価下落) 印刷各社は印刷部門が縮小が進行、印刷事業で稼いだ資金を液晶部材など成長分野に投入(高付加価値品をもつメーカーが強い)凸版は成長力の高いアジアをターゲットに印刷事業の海外シフトを進める(同じくカラーフィルターてがける大日本印刷は丸善、図書館流通センターを子会社化。書店連合を形成して出版流通の改善を目指す国内収益強化路線だが、印刷部門の収益は低下。世界シェア7割とされる液晶用反射防止フィルムを抱える生活・産業部門が、同社の収益を支えている)2009年10-12月期連結営業利益、前年同期比1.7倍の130億円前後 回路原版のフォトマスクの採算が好転 大型カラ-フィルタ-は各社ともフル生産 10年3月期営業利益前期比18%増の345億円見込む16161億円(0803連) 15848(0903連 98%)
TDK 東1 6762 7192億円 capacitors supplier コンデンサー HDD用磁気ヘッド 2008年にドイツのエコプスを買収 磁気ヘッド国内最大手 09年10-12月期連結営業損益米国会計基準は110億円超の黒字。前年同期51億円の赤字 主力のHDD用磁気ヘッドが低価格パソコンやそと付けHDDなど計画以上に堅調 10年3月期50-60億円程度の黒字 2011年秋従業員の13%1万1000人削減などリストラ策発表 秋田県周辺で18工場中7工場閉鎖10年3月期の売上高8000億円強 8663億円(0803連) 7274億円(0903連 84%)

時価総額5000億円未満

Advantest アドバンテスト 東1 6857 4820億円2009年10-12月期連結 56億円の最終赤字 前年同期77億円の赤字より縮小 DRAM向け検査装置でシェア8割 台湾、韓国、中国などで検査装置への投資意欲改善。半導体検査装置(メモリテスタ)次世代DRAMであるDDR3用検査装置が伸びる 後工程のため設備投資の回復遅れたものの10年1-3月期には受注回復 人件費抑制も奏功。ほとんどを国内生産 円建て中心で販売のため円高の影響は限定的(海外生産検討中) 台湾・韓国からの受注急増 今後赤字額急減見込む 10年1-3月期 連結損益で13億円黒字 黒字は9四半期ぶり 工場はフル稼働(10年6月)10年4-9月期受注見通しは620億円(前年同期比2.2倍)売上予想530億円(2.8倍)31億円の黒字見通し(黒字は3年ぶり) 11年3月期連結営業黒字100億円超を予想(2010年9月初旬) 2011年7月米ベリジー買収 非メモリー分野品揃え強化1828億円(0803連) 767億円(0903連 42%)
Disco 株式会社ディスコ 東1 6146 1921億円 dicing machine LEDチップ切断装置大手 研削装置で世界シェア7割 半導体チップ加工装置のほかブレードなど消耗品 09年10-12月期単独売上高(2010年1月5日速報値)前年同期比91%増 10年3月期受注663億円(前期比4割増) アジアの半導体メーカーの設備投資上向き 消耗品受注動向は半導体関連設備投資の先行指標 10年4―6月期受注は約220億円(前年同期比2.7倍 過去最高)10年4-9月期受注見通しは550億円(前年同期比2.2倍)11年3月期連結純利益126億円予想(10年8月上旬)(最高益更新)スマホ タブレット向け需要持ち直し 13年3月期(13年4月上旬見通し)売上高940億円前後 連結営業利益120億円前後916億円(0803連) 531億円(0903連 58%)
Horiba 堀場製作所 東1 6856 908億円排ガス測定器など 半導体向け計測装置好調で10年12月期の売上は前期比84%増の230億円 1443億円(0712連) 1342億円(0812連 93%)
Japan Steel Works 日本製鋼所 東1 5631 4524億円has the technology to forge the critical $150m part from a single-tonne ingot原子力発電所部材2209億円(0803連) 2271億円(0903連 103%)
JSR 東1 4185 4330億円photoresist 半導体基板のシリコンウエハーに塗る半導体用フォトレジスト(感光性樹脂)で世界首位(推定シェア3割弱 2位に東京応化工業 3位に信越化学工業 電子材料は商品サイクル短く競争激しい) 出荷先はサムソン電子、東芝など。液晶テレビ用保護フィルム 09年10-12月連結純利益前年同期比2.3倍の65億円 薄型DP・光ファイバー向け電子材料が好調 10年4-6月期 最終損益56億円黒字(前年同期は46億円の赤字) 自動車メーカーの増産受けタイヤ用合成ゴム生産回復 薄型DP向け電子材料も好調 売上高862億円 前年同期比27%増 11年3月期連結純利益予想250億円4070億円(0803連) 3525億円(0903連 87%)
JUKI 東1 6440 158億円工業用ミシン SMTsystm(チップマウンタsurface mount technology)で世界11304億円(0803連) 778億円(0903連 60%)
kuraray クラレ 東1 3405 3936億円水に溶ける合成樹脂ポバール(PVA) 光学用ポバールフィルム(偏光フィルム) 安全ガラスのための中間膜PVAフィルム ガスバリア性の高い合成樹脂エバール ビニロン4176億円(0803連) 3768億円(0903連 90%)
Mabuchi マブチモーター 東1 6592 2163億円90% of the micro motors used to adjust the real view mirror in every car1076億円(0712連) 926億円(0812連 86%)
Minebea ミネベア 東1 6479 1760億円 小型ボールベアリングで世界シェア1位 ロッドエンドベアリング(世界シェア6割) 自動車・飛行機の生産拡大うけて2013年主力のベアリング好調 スマホ向け発光ダイオード LEDバックライトでオムロンと世界市場を二分3344億円(0803連) 2561億円(0903連 77%)
Nitto Denko 日東電工 東1 6988 4969億円claims to have more than 20 market-leading products, mostly for making LCD displays液晶パネル用光学フィルム(偏光フィルム)で世界トップ(光学フィルムは顧客企業の内製化率低く在庫調整後回復傾向)偏光板 2009年10-12月期連結営業利益は前年同期比約7倍の170億円程度 主力の液晶材料が中国液晶テレビ向け伸びる HDD用回路材料の販売も好調 固定費削減・生産性向上でも成果 10年3月期売上高6050億円程度 連結営業利益550億円程度の黒字見込む(09年3月期は144億円赤字) 鮮明な回復 10年4-6月 売上高1600億円強 連結営業利益170億円程度(前年同期比2倍) 11年3月期見込 連結売上高6300億円 営業利益630億円 スマホやタブレット向けタッチパネルシート好調 競合激化 半面端末需要の変化で採算左右される面も 生産能力拡大によるコストダウン 自動車用部材の拡大に期待7452億円(0803連) 5779億円(0903連 78%) スマホの普及で一時業績拡大 競合激化 2014年3月期(2014-01-11見通し) 連結売上高7280億円 連結純利益410億円
NSG日本板硝子 Nippon Sheet Glass  東1 5202 2377億円photomask substrate supplier 2006年6月英ピルキントン社を完全子会社化 板ガラスで世界2位(3位とされることも。2位争いの相手は仏サンゴバン)薄膜型向けガラス基板(太陽電池)で世界シェアの約7割8656億円(0803連) 7394億円(0903連 85%)
NuFlare Technology ニューフレアテクノロジー JQ 6256 70億円electronic lithography system電子ビームマスク描画装置200億円(0803単) 114億円(0903単 57%)
Shimano シマノ 大1 7309 3975億円supplying 60-70% of the world's bicycle gears and brakes2117億円(0712連) 2351億円(0812連 111%)
SUMCO 東1 3436 4833億円 旧三菱住友シリコンウエハー(半導体用、太陽電池用)大手 信越など内外のメーカー間で価格競争続く(設備過剰で価格競争は厳しい) 2010年に入り売上回復による数量効果、稼働率上がり原価率下がる 2010年2-7月期 売上671億円 前年同期比60%増 営業赤字 25億円 2010年5-7月期 売上751億円 営業損益13億円黒字 7四半期ぶり黒字浮上4750億円(0801連) 3919億円(0901連 83%)
Sumitomo Bakelite 住友ベークライト東1 4203 1288億円encapsulants 半導体用封止材 LOCテープ フェノール樹脂2253億円(0803連) 2124億円(0903連 94%)
Taiyo Yuden 太陽誘電 東1 6976 1443億円capacitors supplier 積層セラミックコンデンサー2383億円(0803) 1854億円(0903 78%)
Tokuyama トクヤマ 東1 4043 2023億円多結晶シリコンの生産で世界2位(国内トップ)3075億円(0803連) 3010億円(0903連 98%)
Tosoh 東ソー 東1 4042 1569億円photomask substrate supplier8374億円(0803連) 7335億円(0903連 88%)
シリコンウエハーの洗浄装置で世界シェア8割を握る大日本スクリーン製造。2010年3月下期連結営業損益は10億円程度の黒字転換(上期は157億円の赤字)半導体製造装置の受注がアジアを中心に回復 下期の売上高は940億円(上期比39%増) 部品共通化 人員削減 生産期間短縮などで損益分岐点引き下げ 10年4-9月期受注見通しは1150億円で前年同期比2.2倍
非上場会社

YKKmakes around half the world's zip fasteners6726億円(0803連) 6134億円(0903連 91%)

Source:"Japan's technology champions;invisible but indispensable", Economist, Nov.7, 2009, 60-62.ほか独自取材

世界シェアトップの上場銘柄名一覧(日本証券新聞) 2009年02月 時価総額1000億円以上と未満で切り分け
世界シェアで過半を占める日本企業一覧(日本証券新聞)2008年07月24日

東アジア ビジネスモデル 経営戦略   株式投資入門前編


Research on Nintendo and Game Makers

2014-11-07 08:44:16 | Management

少し前には予想もしなかったことだが任天堂の凋落が顕著だ。ソフトの不振 新型ゲームの販売の伸び悩み。円高の影響。結局 任天堂の業績は2009年3月期がピーク。(絶頂期の任天堂の評価(2009年6月))。そこからまっさかさまに下落。任天堂への依存が大きいホシデン、ミツミ電機なども影響を受けている。
  国内のゲーム機販売統計を見るとピークは2007年。その後減少している。2008年は景気の悪化もあるが、その後はスマホの普及が響いている。結果として家庭用ゲーム機の時代は終わったのは衆目が一致するところ。(2013年のスマホの世界販売は10億台規模 ゲーム機は6000万台前後 勝負がすでについている。2013年の国内家庭用ゲーム市場4000億円余りに対してスマホゲーム市場は2013年前年比78%増の5468億円2014年には7000億円超え2016年には8200億円と予想される。2014年の市場予測 前年比20%増の6584億円)両社の力の逆転は2012年中に今後も加速が見込まれる。
  しかし任天堂に大きな姿勢の変化はみられない。スマホヘのゲーム提供はしないとのこと。現在の社長の岩田さんが創業家の山内家に請われて社長に就任したのは2002年。以来任天堂をけん引してきた功績は否定できない。ただここまでビニネスモデルの変換を遅らせる必要はあるのだろうか。
  2012年度(平成24年度) 売上は微減したものの 営業赤字は縮小 当期純利益も計上した。
  2009年3月期売上1兆8386億円 5552億円の営業黒字 2790億円の当期純利益
  2010年3月期売上1兆4343億円 3565億円の営業黒字 2286億円の当期純利益
  2011年3月期売上1兆143億円 1710億円の営業黒字  776億円の当期純利益
  2012年3月期売上6476億円 373億円の営業赤字   432億円の当期赤字
  2013年3月期売上6354億円 364億円の営業赤字   70億円強黒字の当期純利益。最終損益こそ黒字に転じたものの売上は前期比減少。営業損益は2期連続の赤字となった。 しかし営業損失はわずかに縮小。最終損益も久しぶりに黒字化した。
  20143月期 3期連続で営業損益350億円赤字見通し(発表20140117) 
  Wii-U(201211月発売)などゲーム機の販売不振 ソフトも振るわず
ネット対応でソニーに遅れる。ゲームソフト会社はスマホやオンライン向けゲームに資源を分散。手元資金8000億円で財務体質盤石が明るい材料。
  201449月は営業損益2億円の赤字と前年同期の232億円の赤字から改善。ただこれは前期に在庫評価損を出して採算が改善した効果と円安による営業利益押し上げ効果。(46月は連結で99億円野最終赤字 前年同期の86億円の黒字から悪化 売上高は746億円で前年同期比8%減)
  20153月期予想(2014730日)は営業損益で400億円の黒字(前期は464億円の赤字)で4期ぶりの黒字とのこと。
  20149月ニンテンドー3DSの改良版(201410月発売)がアピールされた(3DSは販売台数が激減していたのでそのテコ入れだろうか)。
  2014年年末商戦にむけてWiiU向けに人気ソフトを投入する(コーテクテクモが20148月に出した「ゼルダ無双」の国内販売も好調。9月下旬から海外販売が始まる)。2014年の商戦ではソニーのプレイステーション4(201311月)とマイクロソフトのXboxOne(201311月)の対決が話題で、任天堂は完全に競争から脱落している。ソニー、マイクロソフトともしかしゲーム専用機が不要になった先をにらんで、まずはゲーム機で顧客を囲い込む戦略(両社ともスマホとゲーム機の接続を可能にするなど両者の融合に力を注いでいる)。


任天堂 前年同期比%

 

H24/4-6

24/4-9

24/4-12

24/4-25/3

売上高

-9.7%

-6.8%

-2.4%

-1.9%

純資産

-4.2

-5.3

1.5

3.0


2009年3月期と比較すると2013年3月期(H24年度)の売上は、この間に新製品を出しているにも関わらず3分の1だ。新製品を出しても売上は結局 前年度比マイナス。このような任天堂の没落は少し前には全く予想できなかったところだ。期待されたニンテンドー3DS(2011年春)やWii U(2012年11月)の販売が想定を下回り Wiiなど既存のゲーム機も苦戦。またゲームソフトの販売も想定を下回っている。

2011年7月28日 国内では2月26日海外では3月末に発売開始したニンテンドー3DSの希望販売価格を1万円引き下げるとした(東日本大震災の影響に加え人気ソフトの不足から販売が低迷した)。(2011年8月17日にはSCEも対抗措置としてPS3(160ギガ)の希望小売価格5000円引き下げ(24,080円)を発表した。)

 

期待されているのはゲーム機事業の切り離し(ハードでのイノベーションを期待する意見もあるが)とゲームソフトメーカーへの転身
ネットでのゲーム配信では増収余地。まずゲームを楽しむ場所の多様化によって、ゲーム専用機というコンセプトそのものが古くなっている。
 スマホとスマホ向けゲームの増加で、高額のゲーム機やゲーム機専用ソフトを買い求める必要がなくなっている。専用ゲーム機、店頭での高額のソフト販売という任天堂のビジネスモデルは明らかに終焉を迎えている。
 ハード、ソフト一体型の任天堂の経営モデルには疑問が高まる一方で、スマホ向けゲームの供給者として、期待される面もある。そのためにはハード部門を切り捨てるなど事業モデル自体の思い切った変更が必要だが、任天堂の経営者自身は新たに進むべき方向をつかみえていないようだ。
 なおこのほか大手ゲームソフトメーカーとしては、スクエニ(スクウエア・エニックスス)、コナミ、バンダイナムコHDなどがよく上がる(これら大手のスマホ向けソフトの比率は2割を切る水準 今後はスマホ向けに注力か)。
 任天堂は2012年11月にWii(2006年に発売開始 体感型ゲーム機として人気を集め累計で1億台近くを販売)の後継機としてWii Uを発売している。任天堂はこれを原価以下の販売価格で赤字販売。 販売価格はベーシックセットで299ドル99セント(日本円は2万6250円)。これは原価割れの価格だった。そしてWii Uのソフトでもうけを出すことをねらったが、思ったほどの販売を出せなかった。

ブラウザー型GREEの失速
一時勢いがあった従来型携帯のゲーム事業のGREE はまず2012年に未成年者への高額課金問題で社会的に批判を受け失速。そのあともスマホ経由のアプリ型ゲームが増える中、失速を続けている。アプリ型では、課金収入の3割をOS開発側に支払う必要がある。ブラウザー型はその必要がないため、収益性が高いはずだったが、しかしそれが失速しているのはゲーム機のビジネスモデルから抜け出せない任天堂の二の舞を感じさせ興味深い。同業のDeNAも2013年(H25年)に入り失速を始めた。背景にはブラウザーゲームの縮小がある。GREEの変化は急減で急速な悪化といえる。

携帯でゲームというと廉価でゲームが楽しめる状況(2012年段階では モバゲータウンを運営するデイーエヌエDeNA、GREEを運営するグリーなど携帯ゲーム会社の好調が思い浮かぶが 厳密にいうとDeNAGREEは従来型携帯でかつSNS経由のブラウザー型ゲーム しかし2013年から2014年にかけてスマホの急激な普及を背景に、スマホ向けゲーム主力のコロプラ(201212月上場 スマホ向けソフトが3割):魔法使いと黒猫のウイズがヒット、クルーズ、ガンホー(ゲームソフト会社の中でもスマホ向けソフト比率が6割と高い):パズル&ドラゴンズ(パズドラ)がヒットなどに市場の人気は移っている
 従来型携帯電話向け交流ゲーム(ブラウザー型)での課金が減少し、かつスマホ向けゲーム(アプリ型)にヒット作のなかったGREEは2013年に入り急速に業績を悪化させ、ついにリストラに追い込まれた(GREEの売上高peakは2012年10-12月期 その後は毎期業績悪化へ 13年4-6月期は上場来初の最終赤字 GREEと同じ業態であったDeNAはスマホへの対応、有力ゲームの改良で営業利益減少食い止める)。GREEはスマホ対応(アプリ型)ゲームの開発を急いだが、ヒット作には結びつかなかった。

 グリーの縮小はその後も続いている。2014年6月期の連結決算は純利益173億円(前期比23%減) 2期連続の減益 売上高は1255億円(前期比17%減)
 こうしたゲーム業界の動きはヒット商品が継続することのむつかしさを示していて、ゲーム関連株が安定していないことを印象付ける。業績のぶれの大きなゲーム業界は上場に不適当で非上場化も選択肢との意見さえある。

GREE 前年同期比%  H23:2011  H24:2012

 

H23/7-24/6

24/7-9

24/7-12

24/7-25/3

売上高

146.6%

24.7%

7.5%

-2.5%

営業利益

165.8

-5.4

-23.4

-35.9

当期損益

163.0

-4.0

-18.3

-36.0

 

DeNA 前年同期比%  H24:2012  H25:2013

 

H24/4-6

24/4-9

24/4-12

24/4-25/3

売上高

37.4%

41.2%

44.9%

38.2%

営業利益

22.4

30.3

37.4

27.5

当期損益

21.8

43.1

53.8

47.8

スマホ(アプリ型)ゲームメーカーの時代
ゲーム機で家族が遊ぶという世界が消滅している。同じことを繰り返してもかつてのブームは再現しないのではないか。
まず日本では少子高齢化で子供の数が減っている。他方でスマホとタブレットの普及。SNSを通じたゲーム利用の一般化で、
ゲーム機は不要化している。結果としてソフトメーカーが、SNSに傾注(任天堂を始め、ゲーム機新製品に合わせて対応ソフトを
開発する余裕がない)。新たなヒット作は生まれにくい状況。
ゲームの大手開発メーカー(セガ バンナムHD コナミDE スクエニHD カプコン コーエーテクモH ガンホー など)は
ネット向け(交流サイトSNS向けやスマートフォン向け あるいは自身でゲームサイト運営など。このうちスマホ向けが伸びている)に
資源を集中して業績を回復している。これに比べて、スマホに対応できない任天堂の凋落は目立つ。

ガンホーはスマホゲーム(パズル&ドラゴンズ 略称パズドラ)の国内ダウンロード数が3000万件に達したとされる(2013年10月に1500万突破)。2014年1-6月期の営業利益は500億円前後(6月末までのダウンロード件数は2800万)。ただパズドラによる躍進はこのあたりがPeakだった模様。ゲームの上級者が増えると有料アイテムを購入する人の比率がさがることと、普及の拡大余地が減ったことによる。
代わって注目されているのが「モンスター&ストライク」をてがけるミクシィ、多数の人気ゲームを抱えるコロプラ
 スマホ向けゲーム開発のコロプラ(2014年4月にマザーズから東証一部に市場変更)。コロプラの主力はクイズゲーム「魔法使いと黒猫のウィズ」2013年3月配信開始 ダウンロード数2800万。2014年7月配信開始の「シロ猫プロジェクト」。(ゲーム関連株ハヒット作で業績が急拡大後、利益が落ち込む傾向があるが、大手に関しては安定成長への期待がある)このほか「軍勢RPG 蒼の三国志」など多くの人気ゲームを抱えて安定感がある。社長の馬場功淳さんの発言は思慮深くおもしろかった。それによると、彼は投資家が意識する利益率でも売上高営業利益率で3割という高い目標を示している。経営者は成長投資を好んで利益率を低く設定しがちだが、低すぎると投資家から成長資金を集めるうえでは障害となることを意識しているようだ。他方株主への利益還元は株価上昇が大きい間は、配当で返す必要は必ずしもないと考えている。大型M&A,人の取りすぎ、広告宣伝費の使い過ぎなど、過剰投資を戒め、少数の有能なクリエーターを中心とした組織を考えている。(日経2013年12月5日をまとめた)

  スマホのゲームメーカーは国内6000万のスマホに向けて開発している。ヒット1本出せば大きな利益が得られるが、持続的にヒット作を生み出せるかが重要だ(日本は世界最大のスマホゲーム市場)
Hiroshi FUKUMITSU©2014  original in Aug.2011
revised in November 7, 2014
Area Studies Business Models Business Strategies

 


Research on Yamada Denki, volume sellers, LIXIL

2014-10-15 20:00:08 | Management

ヤマダによる2012年ベスト電器買収は2007年以来5年越し

家電量販最大手のヤマダ電機(2002 コジマに代わり業界top)の業績が20期連続増収を続けたあと2010年をピークに売上高 2011年3月期をpeakに最終損益が下降を始めた。そこででてきたのが2012年7月ベスト電器買収(台湾に31店 インドネシアに14店舗 シンガポールに10店舗 マレーシアに7店など先行展開している 現地企業経由 連結子会社など)の発表。ヤマダ電機のベスト電器に対する2007年以来5年越しのラブコールが実現した形。ベストは1990年代までは業界首位 小型店舗が多く 品揃え価格競争力弱い 物流コスト割高 大型化や効率化で後れをとっていた。

 

家電量販店volume sellers

  激しい安売り競争 コスト削減で伸びてきた。規模拡大による仕入れ力(交渉力)の強化が続いてきた。規模の大きいところが生き残る傾向が出ている。規模の経済がでやすい業態とされる。

 メーカーとの力関係は1990年代後半になって変化。価格や品ぞろえで量販業界の方が注文をつけ、リベートを収益源とするようになった。しかしメーカー側も主導権の回復を狙っている。トップのヤマダ電機は国内家電販売シェア23%強(05年度)でガリバー的存在。このヤマダの都心部への進攻戦略が開始されたことで、業界の再編が進むと見られる。2007年の売上高でトップはヤマダ電機1兆4437億円。2位がエディオンで7034億円。3位がヨドバシデンキ6462億円。連結ではヤマダが17678億円。エデイオン8512億円 ヨドバシ7121億円 ビックカメラ6048億円・・・

 

2007年に一度失敗したベスト電器買収

 これに対してヤマダ(業界で唯一 全都道府県に店舗 売り上げ1兆4436億円07/03)は都市近郊で郊外幹線道路沿いに3000㎡超の大型店で急成長してきた。そして2007年には都心部への進攻を始めた。

    2007/07 池袋にLABI3号店開店(ビックカメラ本店の隣)。

    2007/12秋葉原駅前にLABIの店舗開設(旧サトームセン1号店)

 都心侵攻と重ねてヤマダ電機はベストに資本提携を迫った。

  ヤマダは業界7位のベスト電器(3689億円07/03)株を5.24%取得07/08/14

                                             6.47%まで買い増し07/09/14

                                             7.71%まで買い増し07/09/25。

こうして提携を迫った。

  ベスト(九州でシェア20% 海外にも展開 アジアに30超える直営店舗 08年7月には中東への進出を発表した。08年7月現在の41店舗を2010年までに59店舗にするとした)は2006年12月に「さくらや」を子会社化したものの業績で苦戦。ヤマダへの対抗策として ベスト側は業界5位ビックカメラとの資本業務提携を発表07/09/20 10月には第三者増資でビックを筆頭株主とした(9.33%).ベスト側はヤマダの支配を嫌って、ビックと結んだ。しかしビックが都心型であるのに、ベストは郊外型。ビックは郊外型のノウハウを持たないので、ベストに対する経営支援能力には疑問がでた。またベスト電器はエデイオンの誘いを振り切ってビックカメラと提携。さらにビックカメラはエデイオンとの関係の清算に動いた。

その後、2011年以降の落ち込みで存続の危機に陥ったベストの支援にイオンが登場したこともあるがイオンは退場。5年後の2012年7月、ベストは結局、ヤマダ電機のもとに下った(2012年7月 ベストがヤマダに対して110億円の第三者割当増資へ)。

 

3割のシェアとPB戦略

 ヤマダが規模とシェアにこだわる一つの理由はPB戦略だ。シェアについて山田昇社長は「ヤマダ独自の家電をメーカーに造ってもらうには・・3割のシェアが必要だ。・・そのためにはM&Aが必要だ・・この業界で成長できるのは3グループまでだと思う」(日経2014年1月20日)と発言している。この発言はPB(プライベートブランド)商品販売を指している。2013年7月にはその第一弾としてタブレットを発売開始(提携先はレノボジャパン)。その後小物家電に乗り出した。PBでは仕入コストが16%程度さがるとのこと。PBを家電商品の売上の1-2割にまで引き上げる方針。・・・スーパーやコンビニのPBを巡る議論と重なる。

 

参考 アイリスオーヤマの家電参入

なお家電メーカーでないものが家電の製造販売に進んだ例として、もともとは収納家具やペット用品が主力のアイリスオーヤマがある。同社は2009年に白物家電に参入。LED照明事業ももっている。背景には生産委託の手法で異業種でも参入が容易になっていることがある。ユニークなアイデアと製品化のスピードがカギになっている(2012年の家電の売上は165億円 LED照明の売上は350億円と膨らんでいる)。アイリスの場合は家電については中國遼寧省の自社工場での生産で価格も抑えている。アイリスではその後2013年2月に研究開発拠点を大阪に設け、業績悪化の電機大手から中途採用者を迎え製品開発力を高めている。

 

5社体制

ヤマダによるベストの買収により家電量販は大手5社に売上規模で6000億円を超える大手5社に集約された(2012年7月)。なおそれに先立ってビックがコジマを完全子会社化している(2012年5月)

1.ヤマダ(+ベスト電器)

2.ビックカメラ(+コジマ)

3.エデイオン

4.ケーズHD

5.ヨドバシ

 

背景にある問題は家電エコポイント(11年3月)と地上デジタル放送移行(11年7月)に伴う特需(2010年度 家電販売市場は9兆円超の拡大 2011年8兆5000億円 2012年には8兆円割れ 薄型テレビが6割減 スマホ タブレットは増加)が終わったあとの市場の急激な縮小(テレビ販売の急減)である。ヤマダ自身もかつては大差があった在庫回転日数が低下・・販売力を落としている(2011年3月期に大手4社平均で47日のときに34日 ところが2013年3月期には79日に対して74日)

2015年3月期見通し

2014年10月27日、ヤマダ電機は2015年3月期の業績見通しを発表、連結純利益で5%減の177億円。地方都市中心に消費税増税後の販売不振が響いている。売上高は11%減の1兆6920億円。営業利益は7%減の320億円。コスト削減を進めたが、売上高の減少の影響を補いきれなかった。

家電商品の高機能化による単価の上昇。とくに2013年後半から家電メーカーによる生産量最適化の取り組み強化により在庫が抑制され値崩れがおきにくくなったこと(従来は在庫がネットに流れ値崩れ)。しかし3月に販売したものが4月以降の受け渡しのため4-6月期の売上を膨らましている側面がある(これは配送のずれ込みのため。消費税の課税は商品の受け渡しのあった日を課税ノタイミングとするため4月以降の配送については消費税の負担が家電量販店にはかかった。業界大手4社で1000億円 30億円の負担が発生した勘定だ)ので、12015年3月期の実態は今少し悪いとみるべきかもしれない。

メーカーの業績が悪化し、シェアのために多額の販売促進費出を出す営業をしなくなったこと、消費者が欲しいと思う商品が出てきたこと:価値組商品・・油を使わないフライ機、フトンのダニとりクリーナーなどが売り場に出てきた効果を指摘する声もある。

ネット戦略

 ネット通販との競合も大きな問題(ネット通販の半分以上は家電量販との指摘がある)。(ヤマダは2013年1月からネット通販価格と対抗する戦略にでた。論理的に考えれば、確かに大量仕入れでコストが下げられるとしても、販売コストが安いネット専業とは商売にならないはず。この安値作戦は採算を悪化させた。2013年9月から価格対抗の対象からネット専業の一部を除外 4-9月赤字転落 2014年3月期業績悪化。

 ヤマダは2014年4月からは米ペイパルと組んで顔パス決済を始めるとした。これは事前登録などがやや面倒に見える)。ショールーミング:店頭で品定めをして購入はネットで済ませる傾向が知られている。店頭のある業者はどう対応するべきか。米国では家電量販第二位(1位はベストバイ)のラジオジャック(全米で4200店強)の経営不振が伝えられたが、背景にはアマゾンなどネットとの競合があるとされる。なおネットとの競合については実店舗とオンラインサービスとの融合(=オムニチャンネル)が有力な戦略とされる。たとえば中国家電大手の国美電器は、ネットサイト国美在線との融合で効果を出しているという。家電量販のヨドバシはネットで家電製品以外 園芸用品 ペットボトル コメ等に加えて2014年4月から衣料品やスポーツ用品も扱い2014年内に取扱い品目を500万にしてアマゾンなど大手と対抗する戦略。配達料金無料で当日配送サービスを2014年4月9日から静岡を除く全国で展開とのこと。

買収により住宅事業に参入

なおヤマダは次の収益源として住宅を手掛けている(2011年10月 中堅住宅メーカー エスバイエルを63億円で買収 2012年には住宅設備機器のハウステックHDを100億円程度で買収 2012年3月太陽光発電システム発売 12年度スマートハウス販売に参入))、住宅を第二の事業の柱とするとして大小の宅地開発に取り組みさらに住宅リフォーム事業の強化も打ち出した。また2014年から北関東で低価格住宅(1000万円半ばの価格 大手の半分の3.3平方あたり20万円台 家庭用エネルギー管理システムHEMSを標準装備させたスマートハウス)の販売に乗り出している。正直にいえば、ヤマダのやっていることは、思いつきをすぐ事業化しているようにみえる。

参照 LIXIL(リクシル)グループ

もっとも住宅設備のLIXILグループは家電量販大手のエデイオンに8%の出資(第三者割当増資50億円引き受け)を表明した(2013年8月26日)。つまりヤマダが始めた家電量販と住宅との結びつきは、案外正解なのかもしれない。しかし、市場はLIXILの決断に冷たく反応した。LIXILの投資を無駄な投資とみて株価がさがったのだ。実はLIXILは先行投資が多い。2010年に販路拡大だといってレオパレス21に出資。2013年8月には350億円を投資して米アメリカンスタンダード社(ASB 米衛生陶器最大手)を買収。そして今回はエデイオンに50億である。エデイオンでは住宅リフォーム事業(太陽光発電システム含む)を強化するということだ。

消費税前の駆け込み需要もあり住宅建材設備機器大手のLIXILグループ(名称にまだなじみがないが2011年にトステムやINAXなど住宅設備大手5社統合して発足 2011年8月川島織物セルコンを完全子会社化)の業績は良い。2014年3月期の連結経常利益は38%増の730億円程度(14年4月)。営業利益は691億円。売上げは11%増の1兆6287億円。このような好調な業績がエデイオンへの投資の背景。この会社は海外事業も活発。傘下にイタリアビル建材大手のペルマスティリーザ。2013年8月530億円で買収が米衛生陶器最大手アメリカンスタンダード(完全子会社化 2014年から温水洗浄便座を本格展開)。2014年1月に持分法適用はドイツの高級水栓金具大手グローエ(日本政策投資銀行とともに買収)。一連の買収に5000億円を投資。2020年3月期までに海外売上高1兆円を目標にしている(13年3月現在では米国でのサッシで2000億円規模)。3年内に売上高営業利益率8%に達しない事業からは撤退とも。社長は11年8月就任のGE出身の藤森義明氏でLIXILのグローバル企業への転身に熱心だ。海外進出の背景は国内新築住宅市場の先細りにある。この点で先行していたのはTOTO(北米市場で3位 衛生陶器の生産量で4位 LIXILは8位)

 Panasonicが住宅とクルマの設備に向かうという話もこれとつながるのかも。

 

中国事業の縮小

ヤマダについては2013年の中国店の閉鎖も注目される。同社は2010年12月に瀋陽に進出して中国市場に参入した(2万4000平方メートルの大型店舗)が。2011年6月には天津店を開店(1万5000平方メートル)。2012年3月に南京店を開いたころから日本製品不買運動の影響を受け、結局2013年5月末に南京店を閉鎖。2013年6月末には天津店を閉鎖した。中国で残るは瀋陽店とインターネット事業だとされる。2014年3月期決算には、この両店舗閉鎖による損失も影響している。

立地は駅前か郊外か

ところで家電量販では、ただここにきて店舗の立地が経営に与える影響が大きくなっている。ヤマダやエデイオンは郊外の大型店で伸びてきたが、異なる戦略をとる家電量販にヨドバシやビックカメラがある。両社とも駅前立地:営業効率を追及している。ヨドバシの藤沢昭和社長は「ネット社会になってもターミナル駅周辺店はやっていける。ネットで注文した商品を学校や職場からの帰宅時に立ち寄って持ち帰る利用者は多い」(日経2014年1月20日)としている。 ビッグカメラは2012年5月 コジマの子会社化を発表 その後コジマ傘下の郊外の不採算店の閉鎖を進めてきたとされる。

 ヨドバシは商業施設運営にも乗り出している。量を追わない経営で出店用地は自前で取得が多く。償却賃料負担軽くし財務は健全で自己資本比率高いとされる。またビッグとヨドバシは税込価格に対して還元率10%というポイント制の集客でも特徴がある。比較するとエデイオンは税別価格でわずかに1%。ポイント制の負担は販売一般管理費の押し上げにつながる。顧客のリピート化を重視した戦略は理解しやすい。

外国人観光客への免税対応

また外国人観光客向け免税対応がある。都心の駅前に店舗を構えるビッグが全店で対応済だというのは評価できる(2014年10月からは来店外国人客で無料で公衆無線LANを利用できるサービスを開始したとのこと 来店客に2週間利用できるIDを交付するもの)。ビッグは高額家電(大型テレビ 高機能白物家電 4Kやハイレゾなど)の販売でも先行する。ビック傘下のコジマも全国150店のうち2割程度の店舗で消費税分8%を差し引く対応を急いでいる。郊外店の比率の高いヤマダは池袋の旗艦店に免税コーナーを開設したとのことでビックやヨドハシとの温度差が大きい。(なお家電量販ではないがイオンは2015年末まで総合スーパーの半分にあたる300店で免税を受け付ける。イトーヨーカ堂では全店の8割にあたる153店で免税受付を開始するとのこと:2014年10月)秋葉原のヨドバシはすでに来店客の1割が外国人客とされるが、ヨドバシでは2020年をめどに新宿西口に4万平方メートル(再開発2棟 現在は西口に10ケ所以上で2万平方メートル 年間売上は1000億円弱)の国内最大級の家電量販店を開業する構想を打ち出した(2014年8月)。総事業費500億円。ここでも狙いは外国人富裕層の大口購入にありそうだ。新宿西口の家電の2500億円とされ日本全体の5%を占める。

 なおビッグはコジマとのシステム統合2012年6月による経費削減・共同仕入れによる価格交渉力改善 都市部の外国人観光客増 高価格商品の販売のよる採算の改善 過度の値引きをしないことでの利益率改善(背景にはメーカーが在庫を抱えないように生産量調整) などの要因で業績を改善 不採算店の閉鎖の除却損を十分補えることから2014年8月期営業率は前期比5割増の200億円前後とした(2014年8月)。この数値は消費税引き上げによる駆け込みも含んではいるが、増税後の販売回復設けたもので、同社の戦略の成功を示している。

 ケーズHは新規出店を加速させて2019年3月期までに直営で600店規模を目指すことを2014年11月に発表している。現状と比べて(2014年11月比)240店の増加。売上高1兆円(14年3月期比43%増)を目指すとのこと。しかし出店の場所とりも激しいので実現を危ぶむ意見もある(家電量販店舗数201312 ヤマダ電機-ベスト電器989;エデイオン-サンキュー433;ケーズーデンコードーーデンドー409;ビックカメラーコジマ、ソフマップ239;上新電機 217) 。

 

Written by Hiroshi FUKUMITSU©2014 

Original Edition was issued in Nov.11, 2008. Revised Edition in October 15, 2014


Case Study on Shiseido 資生堂

2014-08-20 18:27:26 | Management

資生堂の業績が悪化している。この急変をだれが予想したろうか。直接には2012年秋以降の中国事業の販売落ち込みが原因とされるが。(これまで2ケタの伸びをしていたものが2ケタの減収へ)国内販売低迷へ対策も遅れているとされる。国内の高コスト体質(過大な人件費など販売管理費)も業績の改善を阻んでいる。

国内では百貨店での美容部員により対面販売により単価で5000円以上の商品を売るコスト高の手法から抜け出ていない。2014年11月からドラッグストア大手のココカラファインと組んでドラックストアで美容部員と対話形式で相談できる体制を整えるとのこと。資生堂は中國では通販専用モデルも立ち上げているとのこと。もともと百貨店での高価格帯とドラッグストアの低価格帯は大きく違うが、資生堂はこの低価格帯での商品の充実にも力を割かざるを得なくなっている。今後は価格帯の重点をどうするのだろうか。

こうした状況のもとで2014年4月に元日本コカコーラ会長の魚谷雅彦氏が資生堂の社長に就任した。前任の前田新造氏は会長専任となり株主総会後に相談役に退いた。役員経験のない外部出身者が社長に就任したが、魚谷氏は2013年4月にマーケテイング統括顧問に迎えられたばかりであったが、前田氏が役員指名諮問委員会に推薦。同委員会全会一致で社長指名がきまったとされる。その決め手は、資生堂再生にはマーケテイングが決め手との魚谷氏の意見が委員会で共感をえたためとされる。

魚谷氏は同志社の英文学科卒業後、ライオン歯磨に入社。米コロンビア大学でMBA取得してのちマーケテイングの専門家として活躍を続けてきた。94年に日本コカコーラ入社後、缶コーヒージョージアの立て直しで実績を上げた。爽健美茶、紅茶花伝などのヒットも魚谷氏によるものとのこと。その後、日本コカコーラの社長・会長を務めるとともに2007年からは並行してブランド戦略を立案するブランドヴィジョンを設立、多くの企業のブランド戦略を指導してきたとされる。
 2013年度国内売上高3733億円 2013年度の市場シェアは20.9%.2006年のpeakから減少気味。他方、海外売上高比率を4割から5割に高めるとしているが、そこで期待は中國ではなく東南アジアであるようだ。資生堂は中国の反日デモ、日本商品に対する不買運動の直撃を受けたとされ、本来は成長が期待された中国市場で、2013年の売上高は横ばいにとどまったとされる。2014年10月末には中国で過剰在庫の圧縮のため100億円強必要で、それが2015年3月末の経常利益を圧迫する見込みであると報道された。   

資生堂の中国への進出は1981年と古い。1991年には北京に合弁会社を設立。中国専用ブランドオプレを発売。1998年には上海に合弁会社を設立。オプレより安い価格帯のジーユーを売り出し、2006年には専門店向けにブランド、ウララを立ち上げている。中国を成長の牽引役とする2012年3月期まではうまく行っているように見えた。国内はマイナス成長だが、中国市場は2ケタ成長で売上高6824億円の中で海外売上高は3024億円44.3%を占めるまでになった。

資生堂は反日デモに見られる日本商品に対する不買運動の影響をまともに受けた。加えて国内では、化粧品の売り上げは落ち込みを続けた。国内の主要生産拠点である鎌倉工場を閉鎖(2014年末生産停止 2015年3月までに閉鎖)をにらんでベトナム工場への生産移管を目指すとのこと(閉鎖は2013年1月31日発表)。横浜市内の研究施設も閉鎖したほか、早期退職などのリストラも行った。同社として大規模なリストラは、舞鶴工場、板橋工場を閉鎖した2005-2006年以来であった。こうみると問題は中国であるかに見えるが実はそうではないようだ。

実際の背景は2010年に米化粧品大手のベアエッセンシャル買収(買収価格約1700億円)により有利子負債が一時2000億円近くまで拡大した影響である。2014年3月期はこの有利子負債縮小に取り組まざるを得なかった。こちらの買収劇のつけが、魚谷氏を制約するとすれば、中国の問題以上に、ベアエッセンシャル買収について過去の経営者の判断を検証する必要があるのかもしれない。2013年3月期の最終赤字の主因は、中国ではなくて2010年に1800億円で買収したベアエッセンシャルののれんの償却によるものである。また2010年のベアエッセンシャルの買収価格(約19億ドル 約1800億円)が高すぎた上に買収資金の殆どを社債と借入金に頼るというミスを犯し有利子負債比率は09年3月期の15%から13年3月期38%に跳ね上がり)経営にダメージを与えた。

資生堂は海外販売では日本の化粧品メーカーの中では成果を上げていると思われていたが(2012年3月期の売上高海外比率は44%)歯車が狂いだしたようだ。歯車を戻して2013年3月。末川社長の退任と前田会長の社長兼任に関する記者会見では退任理由は体調すなわち健康上の理由とされ、前田会長の経営責任については、歯切れの悪い会見に終始した。その後米エッセンシャルの業績不振が伝わると(2013年4月)、ようやく反省の発言がでてきて、全方位型の戦略で資源が分散したことに誤りがあり、今後は日本米国中国に集中するという(2013年2月 フランスロレアルとの間で子会社2社を2億3000万ドルで譲渡が合意された。時期的に見て2013年3月決算にプラスの影響があったのではないか。)。資生堂は先進企業と考えられ、これまでは同社は学ぶ対象とこれまでは考えられていた。2014年度の売上金額で同業他社と比較すると、資生堂7800億円、花王5880億円、ポーラ1980億円、コーセー1930億円。このような規模格差からくる慢心が、エッセンシャルでの失敗につながっているのではないか。

 2013年7月に表面化した カネボウ美白化粧品による白斑問題は化粧品に対する不信感や忌避につながる可能性がある。もちろん2006年にカネボウを買収して化粧品事業の育成をしてきた花王にとりこの事件は想定外の痛手であるはず。

資生堂 ブランド刷新の重責を担う新社長の発表(2013年12月)
 資生堂(中国に対しては1981年輸出開始 1991年に合弁で現地生産開始という長い歴史がある)は、対面販売のカウンセリング化粧品を軸に中国で価格帯別(販路別)のブランド戦略を展開(百貨店ではSHISEIDO 1994年以来の中国専用ブランド(百貨店向け)のオプレAupres 専門店向けに2006投入の中国専用ブランド、ウララ 2001投入の中国専用ブランド、ピュア&マイルドチャイナ)、このほか薬局向けブランドに2010年3月にDQを開始(新規販路開拓)。中国に対して専用ブランドを戦略をとったことは興味深い。
 2009年12月付け DQについての資生堂広報資料
2010年に入り、低価格帯、専科(2010年9月)、高価格帯、デイシラ(2010年11月)は、日本とアジアの共通ブランドとして投入。ブランドの内外共通化が明確になってきている。2013年夏には中国市場で、主にスーパーで低価格品(セルフ化粧品)の販売を開始。中国市場の立て直しをはかっている。
 景気の影響もあり国内化粧品市場は2009年に2008年に比べて大きく縮小した(国内出荷額は近年の1.5兆円前後が1.39兆円程度に縮小 前年比8%減 2008年以降得意とする高級品化粧品が失速。低価格帯では花王やロート製薬に客をとられた 花王に対して販売力で劣後した)。顧客は低価格で機能性の高い商品に流れた(例 1000円前後の化粧品・乳液であるロート製薬の肌研ハダラボが好調 資生堂でも2010年9月から新たに専科ブランドを日本とアジアで投入した)。化粧品各社ではブランド数の縮小による効率化、ブランド戦略の見直しが共通の課題になっている。
 主力ブランド刷新の重責を担うのは2014年4月に社長就任予定の魚谷雅彦氏。その発表は2013年12月だった。この人は日本コカコーラで副社長(1994-2001)、社長(2001-2006)、会長2006-2011を務めた人物。
 また2014年4月からの卸価格の見直しも発表された。これまで2007年に卸価格を65%から70%に引き上げるなどしていた販売戦略を見直し(70%→63%など)、店の取り分を増やして、販売促進にあてるなど、地域の専門店を強化するというもの。合わせて社内の売り上げ基準を、小売店出荷段階から小売店店頭での売却段階に変更。押し込み販売を減らす方針。
 しかし国内1万人という美容部員を抱える高コスト体質をみると、経費の思い切った削減など、資生堂はふつうの企業が行っていることをまず実行する必要があると思えるがどうだろうか。

 内外ブランドの共通化
 アジアでは中間層向け低価格品が有効とみてベトナム工場(2010年4月に稼動 2011年から本格稼働)で低価格品を生産。これを東南アジアなどに販売するとしている(2010年9月)。海外ではこれまでの富裕層向けに絞った販売戦略を見直している(ブランド「専科」)。資生堂については、国内の落ち込みを海外がカバーして減収を食い止めた(2010年前期)。人事制度も日本の企業としては国際化が進んでいるとされる。
 国内でもSHISEDOから高級ブランド化粧品をcle de peau beauteとして新設分離して展開(販路別ブランド管理)。高価格帯を強化しようとしている(2010年3月期 国内では高価格品が堅調である一方 中価格品は不振が背景)。国内富裕層向けブランド「ディシラ」をそのまま中国の有力店舗向けに輸出する形で行っている(2010年11月より)。など中国についても、ブランドの共通化が始まっているようにみえる。また、富裕層向けの高価格帯商品と、低価格帯の商品で顧客層の広がりを図る戦略は、かなり明確。
 日本の化粧品業界はトップが資生堂(マキアージュ TSUBAKI 2007投入の大型ブランド)、2位が花王(ソフィーナ ボーテ アジエンス ブローネ プリティ リーゼ ジョンフリーダ)に買収されたカネボウ化粧品(ケイト、コフレドール)、3位がコーセー(ジルスチュアート 雪肌精 シュープレム インフィニティ コスメデコルテ)、4位がポーラ・オルビス(B.A)。商品仕様の内外一体化を目指す会社が多い。その中で高価格帯に強みをもつ資生堂は、その強みをいかしている。それだけにその低価格帯での戦略がとくに注目される。

 なおSKⅡというのは米プロテクターアンドギャンブル(P&G)の主力商品。アジアを全体としてみると中価格帯に豊富なブランドをかかえるP&Gが強い。P&Gの年間売上高7.3兆円(SKⅡなど化粧品以外も入っているかも スキンケアのオレイ ヘアケアのヴィダルサスーン、パンテーン、菓子のプリングルズ、 紙おむつパンパース 洗剤アリエール 柔軟剤ダウニー 生理用品ウイスパー 歯磨きオーラルB、カミソリのジレット*など)、フランスロレアルが約2兆円に対し、資生堂の年間売上高は7000億円規模(2009年)。こうした国際企業と競争する上で、資生堂は高価格帯にこだわった従来の戦略の柔軟化をもとめられているのかもしれない。
 *2005年にP&Gはジレットを570億ドルという巨額を投じて買収した。ジレットには、いわゆるブレードのほか、電気カミソリのブラウン、電動ハブラスのブラウンオーラルb、電池のデュラセル、などのブランドがあり、買収当時、P&Gの売上高は約500億ドルに対して、ジレットの売上高は約100億ドルであった。

 2010年1月 資生堂は米自然派化粧品メーカーのベアエッセンシャル(カリフォルニア州)を19億ドル(1800億円)で買収すると発表した。資生堂の海外展開では、買収はブランドと販路の獲得で有効だと思われる。しかし国内化粧品企業による海外化粧品メーカー買収は事例が少ない。この巨額買収により資生堂の有利子負債は拡大(2013年9月末で1778億円)。かつ競争激化によるベアの業績不振は資生堂のお荷物になった。
 2001年の資生堂による米ヘアケア用品のジョイコ・ラボラトリーズ)。2005年の花王による英高級化粧品メーカーのボルトン・ブラウンを買収した事例がある。
 ベアエッセンシャル買収について(資生堂HPより)
 2013年10月 資生堂はフランスの化粧品子会社を同業大手ロレアルに売却を決めた。1986年に9億円で買収したカリタ社。2000年に数十億円で買収したデクレオール社。この2社を日本円で約300億円で売却するとのこと。
 新社長の登場により資生堂の経営がにわかに安定するとは思えないがどうだろうか。 

  Written by Hiroshi FUKUMITSU©2014 Original edition appeared in Aug.20, 2013.  Revised in Aug.20, 2014