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急伸する格安スマホ:スマホ版LCC

2014-05-06 11:02:03 | Management

MVNO:mobile virtual network operator仮想移動体通信事業者 大手携帯から回線容量を借りて 月額900円程度の通信料で
2001開始。現在は大手4社 NTTコム インターネットイニシアテイブ NECビッグローブ 日本通信
携帯市場の競争促進策(ドコモがKDDIの半額程度) ネット利用に特化した2台目に適する
  2008年頃から参入 全国で300社あまり 契約件数500万件(2013年末)
  2010 SIMカードの登場
  2013 NTTコムの参入+スマホブームでブーム化
  2013/09 ドコモが米アップルのiPhoneの発売を決めたことから競争激化へ
  2014/01 総務省が回線使用料引き下げ方針
  2014/04 最低料金を下げデータ量引き上げ
  問題の背景:乗り換える人へのキャッシュバックの源資を長期ユーザーが負担(通信料高止まり)
        → 2014/04 キャッシュバック自粛へ  
        少ししか使わない人の使用量が割高

MVNOのSIMカード+SIMフリーの端末 3Gが主流

MVNOの市場規模 2013年度4710億円 2016年度7680億円見込み

携帯のLCC

IIJ 2014年3月 もっとも安いプランは月1900円 LTE使える。
イオンが参入 2014年4月ネクサス4(グーグル―韓国LG電子)+日本通信(MVNO)
       低速のため動画の閲覧には不適
       24ケ月 2980円 その後は1560円の通信料だけ 携帯電話のLCC

       2014年7月通信速度遅いが端末+通信サービス料金で1980円。 

       2014年12月発売の端末なら月2880円(富士通の高品質モノ) 

       2014年12月 タブレット月税別3580円

ビッグカメラ 端末とデータ通信で月2530円  
ヨドバシカメラ  端末とデータ通信で月979円(税込 低速のみ)

ワイモバイル(旧イーアクセス) 月2980円 LTEも使える イーモバイルとウイルコムをワイモバイルに切り替える(2014年8月)

NTTれぞなんとLTE対応の高速スマホを月1980円で(2014年8月)。

ヤマダ電機格安スマホに参入 月3000円前後(2014年8月)。LTE使える。

楽天 データ通信で1250円 2014年10月参入発表。楽天モバイル。標準的モデルは2200円と大手の3分の1.端末は台湾のエイエース製

ヨドバシカメラ LTEが使えて1980円(2014年10月)

KDDIが格安スマホの販売を始めると発表した(2014年12月)。


格安スマホ
これからのスマホは100ドル程度になると見られている。中国 インド インドネシアなど新興国市場が爆発適に拡大するためだ。

MVNO契約数が急伸 2014年9月末大手6社で約93万件(中小合わせて100万台突破)

25ドルスマホ 米モジラ財団が2014年2月に構想を公表 130万画素のカメラ ソフトはモジラ財団のファイヤーフォックスOS 中核半導体は中国の展讯通信(スプレッドトラム) 2014年2月のMWCで構想示される。

ノキアによる220の構想 29ユーロ(4100円)

サムソン(グーグル アンドロイド) アップル(iOS)に対して 華為技術(ファーウエイ) 中興通讯(ZTE)が追う構造のスマホ市場
主流OSに対して非主流OS(ファイアフォックス タイゼン ウインドウズ)が競争を仕掛けている側面

中国ではネットに特化した販売で 北京小米科技(シャオミ)のスマホが売れている
サムソン レノボ 華為 クールパッド シャオミ アップル
シャオミ小米の製品で安いものは699元(1万5000円ほど)

台湾のエイエース(華碩電脳)は99ドルスマホを掲げる(2014年5月発売予定Zenfone4)

インドでの売れ筋は50ドル前後の中国からの輸入品
2013年の首位は韓国サムソン 2位のマイクロマックスは60-80ドル程度で付加価値の高い製品を目指している3位ニカルボン。

メデイアテック(聯発科技)
こうした低価格スマホ向けの格安半導体の供給で注目されるのが台湾のメデイアテック(聯発科技)だ。同社はファブレス。米クアルコムより3-5割安が売り。なおメデアテックは2014年2月には
メデイテックの生産委託先は台湾積体電路製造(TSMC)と聯華電子(UMC)

メデイアテックは中国のスマホやインドのスマホ のそれぞれの現地メーカーに低価格半導体を提供。
またスマホメーカーにレファレンス(推奨部品をのせた設計図)ヲスマホメーカーに提供。
スマホメーカーを支援する役割もはたしている。
さきほど述べたシャオミのスマホ紅米。これはチャイワンとよばれる中台企業連携の象徴
LSIを聯発科技が設計 TSMCが生産。液晶パネルは友達光電AUO
そのほか部品供給の台湾メーカーは34社 組立は海精密工業Gなど台湾2社の中国工場

華為技術(ファーウエイ) 通信会社向け情報システム事業(首位は米シスコシステムズ)
             通信会社向け設備保守事業(首位はスエーデンのエリクソン。携帯端末事業を売却して再起ねらうノキアと次点競う)
             背景 製品販売などハードは低価格化が進行
             すでに売上の7割を海外で稼ぐ国際企業 米国との摩擦の中 米国以外への進出急ぐ

             2014年6月 日本frSIMフリー端末を発売。
小米 2010年4月設立 雷群CEO

中国通信機器メーカー
 最大手は華為技術。専業メーカーでは世界首位。1987年創設。トップ(CEO)は任正非氏。
 任氏の経歴に軍歴があることから米国がファーウェイを警戒している
 当初は農村で低価格機販売
 1997年から海外展開 最初はロシア ブラジル 
 1998年からアフリカ各地
 2005年からrボーダフォン ブリティッシュテレコム テレフォニカなどから大型発注受ける
 日本ではソフトバンク NTTドコモなどに納品 
 2014年の世界出荷台数を2013年比1.5倍の8000万台として世界第三位を目指す。
レノボは7000万台(13年5000万台)目指す。
 ソニーの目標は6000万台前後(同4200万台)

 店舗に比べコストを3割程度削減できるネット通販で伸びる
 中低価格ブランドに「栄輝」
 価格帯はiPhoneの3分の1から5分の1

 チャイワン サムソンを追撃始める スマホの世界シェア 
   2014年4-6月(1-3月) 台湾トレンドフォース調べ

サムソン電子31.4(34.9)
アップル  11.9(13.6)
  レノボ        8.1(7.5)
LG電子        5.7(4.4) 
  ファーウェイ 5.3(5.2)
  小米 北京小米科技  4.5(4.0)

システムLSIの大手 聯発科技 メデイアテック
  半導体受託生産最大手 台湾積身体電路製造TSMC 

2014年ノスマホの平均価格259ドルの見通し 前年比14%矢う 

アンドロイド(グーグル)かiOS(アップル)か
格安スマホの普及で基本ソフト、アンドロイド(グーグル)のシェアが高まっている。グーグルはOSは無償で供給。アプリヤコンテンツの販売ヤネット広告を収入源としている。2013年に世界では78.6%(9.6%増)。他方でiOSは15.2%減少の15.2%(米IDC調べ)。iOSは米国や日本でなお40%程度のシェア。2社に対抗できるのは、MSが後ろにいるウインドウズフォン。ソレニブラックベリが展開するブラックベリOS. 
 タブレットの世界でもiOSで減少傾向にある。代わって普及したのがアンドロイド。日本ではiOSは4割程度。残りはアンドロイドだ。2013年末現在)。グーグル自身がネクサスを開発。アップルのアイパッドと争っている。
 グーグルはこれまでアップルとOSの普及で争ってきた。また特許訴訟でも熱心だ。米国では訴訟専門とする特許専門会社が、パテントトロールと呼ばれる訴訟合戦の主役になっている(2014年5月16日 両者は特許訴訟での和解がついたと報道される)。グーグルは米モトローラ買収やIBMから大量の特許を獲得している。それはアップル対策そのものだが特許訴訟回避の方法でもある。特許訴訟はコストの高騰。
 パソコンのOSでは、ウインドウズかクローム(グーグル)か。クロームはグーグルによるインターネット上のサービス(文書の保存 文章や画像の編集)をフル活用した。
 グーグルはOSに集中するとして、いったん2012年5月に125億ドルで買収したモトローラの売却をきめている。モトローラ買収は特許の取得が目的だったという。他方、モトローラを29億ドルあまりで買収するのはレノボである(2014年1月)。レノボは2005年に米IBMのパソコン事業を買収。ただパソコンハスマホに押されている。モトローラ買収と合わせてIBMから23億ドルでサーバー事業買収を決めている。レノボはパソコンとスマホの両面でシェア拡大を急ぐ方針。

 2013年7~9月期世界シェア
 サムソン電子31.4%
アップル13.1%
華為技術4.8%
レノボ4.7% 低価格品で成長 パソコンで世界首位
LG電子4.6%
酷派4.1%
ソニー3.5%
 ノキア3.4%
 中興通訊3.2%
その他27.2%

 2013年7-9月 中国市場販売台数シェア
 サムソン18.4%
レノボ12.5%
 クールパッド10.0%
華為9.4%
・・・・
 アップル2.5%
 ・・・・
 小米 2.5% 中国のアップルとよばれる 13年1870万台 前年比2.6倍
       2014年には最低でも4000万台 「紅米」

中国の携帯電話
 最大手が中国移動通信集団


Case Study: Kirin キリンビール

2014-02-15 11:01:51 | Management
キリンビールのM&A戦略
 キリンを始めとして、ビール各社は国内ビール市場の縮小傾向(2010年も前年比減 6年連続で前年割れ続く 国内ビール市場は前年比2-3%減少続く また一つの背景は需要・嗜好の多様化)を踏まえ、今後の成長のために、国内・海外での買収提携戦略を加速させている。
 キリンは国内では2007年に協和発酵を買収。2008年10月には協和発酵がキリンファーマを完全子会社化して、協和発酵キリンとするとともに協和発酵を子会社化するなど、すでに進出していた医薬品事業を強化。しかし2008年にはとくに対オーストラリアの企業買収戦略の加速に目立つものがあった。その後2009年から2010年にかけては、サントリーとの経営統合に取り組むものの2010年2月に破談。そしてこの破談後は再び内外で買収提携戦略を活発に展開している。
 国内酒類の減収傾向を医薬品の販売や海外(豪州やブラジルなど)の増収で補う戦略である。

国内では医薬品事業、清涼飲料事業に軸足
 キリンはもともと医薬品事業を抱えていたが2007年7月の持ち株会社(キリンHL)移行時にこの事業をキリンファーマとして独立させた。その後、キリンHLは、2007年10月、友好的TOBで協和発酵株28.49%を取得。2008年4月、協和発酵がキリンファーマを完全子会社化、同時に協和発酵へのキリンHLの持ち分は50.77%となった(連結子会社化)。2008年10月、協和発酵を存続会社として協和発酵キリンが発足した。
このようにキリンは、国内では、医薬品事業に力を入れ始めているほか、キリンビバレッジを通じたノンアルコール(清涼飲料)事業の育成を進めている(飲酒運転の厳罰化 健康志向などからビール系市場は縮小。他方、ノンアルコール飲料「キリンフリー」「午後の紅茶」などの販売ではヒットが生まれている。)。

生き残りのカギとなる海外、対中国では華潤集団と提携へ
 しかし国内市場の縮小傾向を踏まえれば生き残りのカギは海外にあり、とくに中国戦略を欠かすことはできない。2011年1月24日、キリンと中国の華潤集団とは、それぞれ提携を明らかにした。華潤集団は傘下に、1994年に南アフリカのSABの資本を受け入れて以来、急速な成長を続けて、2008年にはブランド別の販売量で世界1になった中国ビール最大手の華潤雪花を抱える。(日経2009年8月23日によると、2008年の中国のビールのシェアは華潤雪花17.8% 青島13.2% 燕京10.3% 金星4.5% 重慶4.3%。このうち燕京は北京で圧倒的シェア。華潤雪花は2006年に青島と中国ビール首位を交代した最大手)
 なお、キリンに比べ国際化で遅れをとったとされるアサヒは2010年10月に末に中国食品最大手の頂新集団(本部は台湾台北)に伊藤忠商事とともに出資。2009年の青島ビールへの出資に続き、現地の有力企業と出資・提携することで、販路を拡大し・生産を効率化する戦略では中国市場で先行している。
 2011年1月24日、キリンと中国の華潤集団とは、それぞれ提携を明らかにした。華潤集団は傘下に、1994年に南アフリカのSABの資本を受け入れて以来、急速な成長を続け、2008年にはブランド別の販売量で世界1になった中国ビール最大手の華潤雪花を抱える(華潤は買収を通じて拡大したメーカーで上海でサントリーとシェアを争う)。提携によりキリンは華潤の営業網(約3000店のスーパーを展開)を使って販売を伸ばし、華潤はキリンの工場で華潤ビールの増産を図るとのこと。また提携には清涼飲料についての提携も含むとのこと。
 背景には中国市場で自前主義にこだわったことで、ペプシコとの提携で中国全土で事業展開するサントリーに遅れをとった反省があるとも。

内外で提携買収を競うキリンとアサヒ
アサヒは中国事業では1994年に杭州ビールに出資。しかし中国事業は長く赤字で、かつキリンあるいはサントリーに比べても国際化に遅れたとされる。2000年代に入りその姿勢を転換。とくに2009年4月に中国2位の青島ビールに20%出資。これにより工場と販路の活用が実現。赤字だった、中国でのビール事業をようやく軌道に乗せたとされる。キリンの華潤との提携はこのアサヒの経験から、中国市場攻略には、中国の有力企業と提携することが重要であることを学んだことの結果との指摘がある。
 アサヒは中国食品最大手の頂新グループ(集団)(本部は台湾台北 2009年に伊藤忠が20%出資)と2004年に合弁事業「康師傳(カンシーフ)食品」を設立、清涼飲料事業を進めていたが、2010年10月末に中国食品最大手の頂新グループと全面的な事業提携に踏み切っている(出資額5億2000万ドル438億円 6.54%取得)。これは頂新、伊藤忠、アサヒ3社提携といえ、中国事業で先手を打った形。キリンによる華潤との提携は、まさにこのアサヒに対する、キリンの答えといえる。
 韓国では清涼飲料事業で首位のロッテ(シェア50%近い ロッテとは2004年にビール販売の合弁設立 2005年より販売開始)と提携(子会社の韓国3位ヘテ飲料を売却の方針 ヘテには2000年20%出資 2004年連結子会社化)。キリンが強いオーストラリアでも、2008年4月に飲料2位のシュウエップス・オーストラリアを買収したことに続き、2010年11月に飲料3位のP&Nを買収(なお結果としてP&Nの一部事業を翌年買収)。オーストラリアの清涼飲料業界で、かつてキリンが買収しようとした首位のコカコーラ・アマテイル(CCA)に迫る2位グループを形成しようとしている。
 キリンとアサヒが、中国そしてオーストラリアで、それぞれ事業を拡大して互いに競っていることは興味深い。アサヒによる近年の活発な買収提携戦略は、海外売上高比率が低く(2010年前期6月期 アサヒ5% キリン25%)国際化に遅れをとった危機感と、攻勢に出れる財務内容の良さ(自己資本比率 アサヒ42% キリン36%)とが背景になっている。

キリンの投資の中心としてのオーストラリア
 キリンの投資額では海外投資額が国内投資額より巨額。なかでも近年、投資額が大きいのはオーストラリア向けである。
 2007年11月にキリンは、豪州乳業最大手ナショナルフーズNational Foods(乳製品 果汁飲料など)を傘下に収めた(買収金額2940億円)。
 2008年8月下旬にオーストラリア乳業2位のデアリーファーマーズ買収で合意した。買収額は8.84億オーストラリアドル(買収金額840億円)。独占禁止法に抵触しないようにデアリー社の事業の一部を売却する見通しだが、オーストラリアでの乳製品のシェアでキリンはトップに立った。
 このほかキリンはオーストラリアではすでにビール大手(2位)のライオンネイサンに1998年に出資済み(46%)。Lion Nathanはオーストラリアで2位のシェアをもつTooheys Newを作っているところで、もともとはニュージーランドの醸造・食品業者(したがってニュージーランドでの同社のシェアは高い)。その後2009年4月にはライオンネイサンに2200億円を投資して完全子会社化で合意している。
 なお参考までに。オ-スラリアのビール第1位はVBの愛称で知られている。この醸造元の現在の名称はFosters Groupだが、同社はかつてCarlton & United Breweries or Beveragesなどと呼ばれた会社と同一である。

ただ買収当時は意識されなかったが、その後 豪州で高価格帯ビールが販売が好調となる半面、酒類に比べて利益率の低い乳製品事業の立て直しが経営課題として浮上する(買収した工場は分散して立地。設備も老朽化していたことが足かせとなった。2013年に老朽工場の閉鎖。存続工場への集中投資を表明している)。2011年に買収で進出したブラジルも増収(2013年に生産能力の増強投資を急ぐ方針を明らかにしている)。
 キリンの2012年12月期の海外売上高は5793億円。うち豪州の比率が約7割で現状は豪州に売上が偏っている。

キリンによるCCA買収は実現せず 2008年冬-2009年
 さらに2008年11月には、キリンがオーストラリアの清涼飲料最大手コカコーラ・アマティル(CCA)に買収提案を行い経営陣との合意を目指していることが明らかになった。提案は80億オーストラリアドル(約4880億円 このほか76億豪ドルという数字もみた)。CCA側、それに筆頭株主の米コカコーラは、買収金額に不満を表明。11月中の決着にはならなかった。これは実現すれば国内食品会社による海外企業買収として最大規模のものになるものだった。しかし2009年2月9日 価格面でおりあえなかったとして豪州キリンが断念を表明して終わっている。
このときキリンとしては、円高の進行で円での買収金額が小さくなるという計算があったようだ。デアリーの買収では8月から11月への間に円建て金額は840から570億円と3割も安くなった。デアリー買収の目的はオーストラリアでの乳製品市場での優位性の確保。オーストラリア乳製品市場でのキリン系のシェアは3割前後から6割前後に高まる。その上で成長著しい東南アジア市場への乳製品輸出拡大を目指している。
 加えてコカコーラ・アマティ(CCA)買収は実現すれば、さらにオーストラリアでの食品産業全体で、大きなシェアを占めるとともに、キリンGの売上高における食品事業の位置を3割以上に押し上げる効果もあった。つまりグループの業務内容を多角化・国際化に向け、急展開させる可能性を秘めていた。企業財務的にはこのような巨額買収の連続は、負債比率の急上昇を伴う。CCA買収は、金額的には、社内で予定していた今後5年ほどの買収資金枠を使いきっての決定だった。しかもデアリー買収の段階で2006年期に0.2台にあったDEレシオが2008年中に0.7近くまでの上昇が見込まれていたことを考えると、CCA買収にまで踏み込むとすれば財務的にもかなり大胆であった(一時的ではあるが妥当ラインとされる0.5を突破する)。キリンは成長のための負債拡大戦略という、かなり大胆な財務戦略に入ろうとしていた。
 しかし既述のように米コカコーラ側の拒否でこの巨大買収は実現しなかった。

 その後、キリンは2009年5月末までにはフィリピンの最大手サンミゲルビールに1300億円を投資して48.3%の株式を取得(持ち分法適用会社) 2009/2/20に基本合意発表 サンミゲルは電力などインフラ事業にシフトする)。2012年に入ってこのサンミゲルの販売網を使った市場開拓計画を東南アジア各地(香港 タイ 今後はベトナムやインドネシアでも)で進める姿勢を明確にしている(2013年10月からサンミゲルのタイ工場を使って「一番搾り」を生産するとのこと)。
 米国ではビール最大手アンハイムブッシュ(AB)インベブに生産・販売とも委託。今後はキリンの現地法人の
営業とマーケッテイング支援強化の方針

 国内ビール事業の伸び悩み傾向への強い危機感に2007年の純粋持ち株会社移行が重なり、このような企業買収戦略が進んでいる。しかしLion Nathanに対しては捕鯨問題と絡めた不買運動の存在が知られる。このような現地社会の反発を考慮すると、キリンのオーストラリア進出拡大については、現地で歓迎されるような細やかな心配りが不可欠だろう。キリンは2015年までに海外比率を18%(2004)から30%まで高める方針。
 

同業他社の買収戦略を誘発
 なおキリンの動きは同業他社の動きを刺激した。2008年10月にはサントリーがニュージランドの栄養飲料メーカー、フルコア社をフランスのダノンから700億円強での買収を決めた。(フルコア)についてはキリンやアサヒも競ったとされる)。さらに2008年12月にはアサヒビール(中国での合弁事業が拡大している 杭州ビール55% 北京ビール47%20%などに加え 中国2位の青島ビールに09年4月末までに20%出資:2009/1決定 なお青島ビールとはすでにアサヒビール中国子会社の事業を合弁化するなど関係が深い で5拠点)が英キャドバリーの豪州飲料事業(シュウエップスなど)を09年4月末までに買収すると発表した。
 国内市場が少子高齢化が市場が縮小しているのに対して、オセアニア地域は人口の伸びが続き市場の拡大が見込める。飲料市場の寡占化が進み利益率が高いことも魅力である。さらに東南アジア進出の橋頭堡となる。

サントリーとの経営統合問題で提携・買収戦略は一時中断 2009年ー20010年春
 そして、2009年7月に表面化したサントリーHDとの経営統合問題にキリンHDは一時かかりきりになる。この大型再編が2010年2月に破談。キリンは再びM&A戦略に戻ろうとしている。

2010年夏以降 内外で提携・買収戦略を再開したキリン  
 2010年7月つぎの一手が内外が出された。国内では江崎グリコと清涼飲料事業で提携すること。キリンビバレッジが扱うチルド飲料の販売流通を江崎グリコの子会社グリコ乳業に移管するというもの(従来はキリンビバの子会社小岩井乳業に委託。しかし小岩井に西日本が手薄など弱点があったとのこと この移管により小岩井は乳製品の販売に特化)。

F&N(シンガポール)株の取得(2010年7月)
 海外ではシンガポール(人口500万人)の飲料大手フレイザーアンドニ―ブ(F&N マレーシア シンガポールで清涼飲料トップ 傘下にAPB:Asia Pacific Breweries)に846億円超を投じて第二位株主(14.7%)になるとした(2010年7月26日)。

F&N(シンガポール)をめぐるTOB合戦 F&Nからの撤退(2013年2月)
2012年7月タイビバレッジ(タイでチャーンビールを展開 チャーン:象)がF&Nの20%強の株式をシンガポールの金融機関OCBCから取得、持ち分を30%強としたうえでF&NにTOBを仕掛けることが明らかになった。この動きはF&Nが40%取得するAPB:Asia Pacific Breweries(Tiger Beer)取得に本当の狙いがあるとされ、すでにAPBに42%出資しているハイネケン(ベルギー)がTOBをする動きとなった。大変興味深いことに、タイビバレッジはこのあと、ハイネケンによるTOB(51億シンガポールドル 約3200億円)を歓迎する声明をだし、APBの株主総会もこのTOB案を了承した。
 結果としてAPBを失ったF&Nについての買収が残された状況で、今度はインドネシアの不動産会社OUE:Overseas Union EnterpriseがTOBに参戦。キリンはOUEと共同でF&NをTOB買収(TOBに応じて1250億円で持ち株処分)。その後、飲料事業を1750億円で買収することでOUEとは話し合いがついたとされている(2012年11月)。
 しかし2013年1月にタイビバがTOB価格を引き上げたことから、OUEは買収を断念。キリンはF&N株売却に追い込まれた。売却額は約1500億円(株価上昇による特別利益約470億円)。これは再投資に使えるものの、キリンの東南アジア戦略は見直しを迫られることになった。

特定保健用食品の炭酸飲料メッツコーラ(脂肪の吸収を抑える)2012年4月発売がヒット
 類似したものに伊藤園のスタイリースパークリング(2012年7月発売)、ペプシスペシャル(2012年11月発売)など。
 先行商品に花王のヘルシアズパークリング(2006年)。トクホ炭酸飲料とよばれキリンのメッツコーラで
 人気に火が付いた。
 2011年ブラジルの大手ビールスキンカリオールを3000億円で買収(完全子会社化ブラジルキリンに社名変更 シェア15% ブラジルのtopはアンハイザー・ブッシュ・インベブ傘下のアンベブの60%)。ブラジルはビールの市場規模が日本の2.4倍(2012年の生産量)で世界第3位の巨大市場。3%程度の安定成長が見込めるため、非アジア開拓のカギとして重視。今後は生産増強に努める方針。
 なお2012年の世界最大のビール市場は中国 2位はアメリカ 3位がブラジル 4位がロシア 5位がドイツ 6位がメキシコ 7位が日本
 消費量は各 4420, 2418, 1280, 1056, 863, 689, 554万klで世界全体では1%増。東南アジアや中南米の需要拡大が見込まれている。
 日本の市場規模は中国の8分の1。アメリカの5分の1に過ぎない。

疑問がある多額買収の成果
 なおIFRSを導入していないビール会社の場合 企業買収はのれん代(買収金額の上乗せ分)の償却という形で
収益の押し下げ要因になる。IFRSではのれん代は償却せず、収益悪化などで大きく減価した時に減損損失を
計上する。キリンは多年度にわたる買収資金調達で財務が悪化した。今後は有利子負債削減を急ぐ早期に負債資本比率を1倍以内に戻す方針。
 また海外事業が売上の3割 海外事業の比重が高まった結果 海外事業の巧拙が事業に与える影響も高くなっている
 その中心はビールで4割のシェアを握る豪州と3000億円買収のブラジル・スキンカリオール
 2012年12月期 連結営業利益は前期比5%増の1500億円程度の見通し(2012年12月)

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originally appeared in Nov.22, 2008
corrected and reposted in February 15, 2014

Case Study: Asahi Breweries アサヒビール
ビジネスモデル 企業戦略論
財務管理論講義 財務管理論リンク

 
 

meritocracy or nepotism

2014-01-01 16:30:06 | Management

meritocracy or nepotism

Hiroshi Fukumitsu


Everyone says that meritocracy is better than nepotism. Problem is who can judge the ability and achievement of other people and how do it objectively.
You may feel your boss is not suitable. If so there are optins such as peer review, self review and outsider review.
In a factory though the performance-based pay is seemed reasonable still the problem of quality is left. There is a possibility that the work was done incorrectly. Though the perfomance-based pay is seemed more reasonable than the time based pay, you also feel the time you have spent at office should be compensated as how long you have worked at the office.
One possible answer to this question is there are two kinds of workers in a society, workers in factories to be valued by the quantity they have produced, and workers in offices to be valued by the quality. But I think it is not so simple in fact.
In the case the product is food or daily good you as a consumer may especially feel that the good must be safe. And you also need the product be legal and environment conscious. And if you are the buyer you may feel the speed, the due date of the supply is crucial. So it is clear the problem is not limited to quantity even in the case of a factory.
In a restaurant you would far value the atmosphere and the service than the meal itself.
Today the satisifaction that cusumers seek comes from not only the product itself but also the variety of attachments or the fringe service after the product purchased.
It is evident that the contribution of the each worker to the satisfaction of consumers is fractional. And the contribution coudn't be valued only by the quantity that each worker served. One successful service, or one good procedure on a complaint may decisive to all concerned.
And social scientists insisit that the pay level must meet the nessecity cost of reproduction of the workforce.
So the superioity of merit system is limited when the perfomance valued only by the quantity. Though it is undoutedly better than nepotism.

 能力主義(実力主義)meritocracy or merit systemか縁故主義nepotismを対比されるとおそらく誰もが能力主義(実力主義)が望ましいというだろう。問題はその能力を誰がどのように測るのかということにある。
 営業の仕事などでともかく結果(売り上げとか契約とか)がすべてで賃金や昇進が決まるというのは、ある意味で実力主義だ。この場合の成果主義賃金は、performance-based pay or merit-based payとかresult-based payなどという。なおresult-basedはresults-basedと表記されることがある。
 これに対して工場やお店などで作業量に応じて賃金を払うのは、出来高給とか出来高払いであり、piece rate systemとかpayment by the pieceという。
出来高給に対して出来高に関係なく時間当たりの賃金を払うのは、時給制time-based payになる。
 では成果主義賃金や出来高給が常に望ましいだろうか。本人が努力すれば、売り上げ(出来高)が常に増えるのであれば、望ましいといえるかもしれない。しかし努力しても置かれた環境(営業エリア 経済環境)が成果や出来高に違いを生むかもしれない。また基準とされる売り上げ(出来高)が、恣意的に高く設定されることもあるだろう。
 実績を測定しにくい職種もあるだろう。成果主義賃金や出来高給は、一見公平に見えるが、多くの問題を孕んでいる。その職種の最低賃金にあたる部分を時給で保証した上で上乗せの部分を出来高給で支払うなど、両者を組み合わせてバランスを取ることが必要である。

 しかし評価の内容が、そうした外面に現れないようなもの。たとえば、その人の能力の向上といった面になるとき、それを誰がどのように評価するかということがでてくる。
 評価については、評価を受ける側の自己評価も重要である。これはつぎのように表現する。
 self review; self evaluation; self assesment
 これに対抗するのは、管理者とか監督者側の評価だろう。しかし上司など管理者が、能力評価に本当に適当な人かという疑問は残る。そこで自己評価や後述する同僚による評価peer reviewを組み合わせる必要がある。
 自己評価をさらに補うのは、その分野の専門家による評価である。ケースによってはそれは同じ部門の同僚による評価という形をとる。この評価は、いわゆる第三者評価the third party reviewとしてみるとこともできる。
 これをつぎのように表現する。
 peer review; peer evaluation; peer assesment
 なお語感としては、評価する行為全体を意味するのがreviewやevaluationであり、そのなかで評価の結果(グレードをつけたり、採否をきめたり)を導く行為がassesmentである。
 なお能力主義(実力主義)と縁故主義の中間にある方法としては、学歴主義degreeocracyや、年功序列(先任者優先)主義senority rule or systemがある。近年では、学歴主義や年功序列は能力主義に反するとして批判されるが、学歴主義や年功序列主義の要素は、程度の差はあるが、すべての組織に共通して存在している。それはこれらにも一定の合理性があるからだ。
 たとえば学歴で人の能力のすべてが判別できるわけではないし、どのような選別を経たかも問題はあるが、しかし学歴はかなり時間をかけた選別のプロセスを意味しており、1回だけの試験よりは公平性に優れているという言い方はできる。実際多くの組織は、学歴を採否条件に取り入れているのである。年功序列主義も、年功のあるものがより経験をつんでいるとか、経験的知識の深いものを組織に定着させる効果があるといった意味で合理性をもっている。
吉本佳生氏はこれは<仕事上の能力が高そうだ>という情報を、学歴シグナルで発信(=シグナリング)していると表現している。
 同著『出社が楽しい経済学』2009, 80.

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経済学と経営学の違い

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
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Case Study: サムソンとアップルの特許技術戦略 

2013-12-13 23:19:37 | Management
サムソンをめぐる特許侵害裁判
2012年8月24日 米連邦地裁(カリフォルニア北部地区米連邦地裁)の陪審員評決は韓国サムソン電子による
アップルに対する(スマホについての)一部特許侵害を認定。サムソンに対しアップルの
損害額10億5000万ドルをアップルに支払うことを命じた。
連邦地裁では
今後判事により仮に販売差し止めを含めた最終的な命令が出されるとのこと。
ただし差し止め命令がでても製品サイクルが早いのに命令の対象は旧型モデル。
したがって実害はないだろうという言い方がある。
巨額の賠償金にしてもサムソンはすでに巨額の利益を得ており、それで
十分支払えるとも。
しかし今回の評決は不正の認定であり、サムソンのブランドイメージには打撃になる。
とくにサムソンの利益がスマホに依存している以上、
2011年にソニー、ホンダを上回ったとされるブランド価値は、今回の騒動で毀損したとみるべきだ。
そしてブランド価値毀損の販売への影響は利益の減少に直結する可能性もある。
サムソンは液晶それから半導体の価格低下が進行する中、携帯への利益依存を深めていた。逆に
いえばスマホがサムソンの業績を支えた。全営業利益に占める通信部門
の比率は2011年7-9月に6割。2012年1-3月には7割に達した。
8月の評決はそのスマホでのサムソンの不正を認定したもの。

連邦地裁の陪審員評決を受けて2012年8月27日韓国株式市場でサムソン電子の株価が大幅に下落した。これは販売差し止めによる
影響を懸念したもの。同日、アップルは連邦地裁に対し8機種の販売禁止仮処分を求める申請を行った。
サムソンは評決の取り消しを要求。取り消しが認められない場合は上訴。差し止め命令が出れば、判決確定
までの執行保留を求めるなど、法廷での抵抗を続けるとみられる。

なお2012年8月31日に出された東京地裁判決では逆にアップルによる損害賠償請求が
棄却されている。

2つの裁判で争われている内容には違いがあり、連邦地裁では7件の特許について
東京地裁では1件の特許のついて特許権侵害が審理されていた。

しかしその後2012年10月11日。連邦高裁がこの地裁による行政処分を破棄して、裁判を地裁に
差し戻す判断を示す。状況は一転してサムソンに有利、アップルに不利に変わっている(後述)。

サムソンとアップル
 サムソンは2011年後半にはスマホ(ギャラクシーシリーズ)の販売でついに
アップル(アイフォン)を抜いたとされている(パネルの大型化 有機パネルの内製化
5.3型有機ELパネル搭載で差別化)。
 サムソンのスマホの出発は連邦地裁判決のわずか2年前の2010年6月のギャラクシーノートS(4型の有機ELパネル搭載 2010年末までに
1000万台発売)。その後4.3型有機EL搭載のギャラクシーSⅡを2011年4月に発売。これもあって2011年7-9月期にスマホ販売台数でアップルを抜く。つまり本格参入から主力事業への転換はわずか2年足らず。
 一貫して有機EL搭載が看板だ。消費電力が少ない、画質が鮮明、応答速度が速いなどの特性をもつ(また単価も高い)有機ELの量産、
商品化(事業化)でサムソンが世界で先行していることも示している。
 アップルが典型的なファブレス企業の一つであるのに対して、サムソンの経営モデルは、パネルや半導体をも自社生産する垂直型モデル
:量産効果でコストを下げシェア拡大も実現するもの。かつて日本の家電メーカーがとっていた同じ経営モデルで
なお成功し続けて勝因は、あくなき拡大路線だけでなく、いち早くスマホの生産に経営資源を投入する
スピード経営にもある(LG電子は携帯電話からスマホへの切り替えが遅れて2011年11月期に赤字化した)。
 その後も新シリーズ投入(2012年5月末ギャラクシーSⅢ投入)でスマホの国際的な販売で優位に立ち
首位争いで優位にたっている(そうした中で携帯電話としてかつて人気を博したノキアや
ブラックベリー(RIM)の凋落が目立っている)。そしてアップルやサムソンのよる攻勢により
かつての王者ノキアは2011年に入り壊滅的な販売台数減に追い込まれた。
 そしてサムソンの急追によって、2011年後半から今度はアップルさえもが販売台数を減らし始める。2011年7-9月期
サムソンはスマホの販売で、アップルを抑えて世界首位になる。

 いまやサムソン電子の利益の半分をスマホが稼ぐようになり(2011年後半に半導体との関係が逆転 2012年に入ると利益の
7割を通信部門が稼ぐように変化)、サムソンは半導体だけで稼ぐ一歩足打法(DRAMとNAND型フラッシュメモリーで世界首位)からの克服に成功したともされる。
 ところで2010年から2011年にかけて先進国の景気低迷から薄型テレビやパソコンの市場が伸び悩み
パソコンに使うDRAM, 薄型テレビやパソコンに使う液晶パネルなど、デバイスの価格が下落した。
世界のほかのエレクトロニクスメーカーが業績の落ち込みに悩むなか、サムソン電子はスマホの販売によって
収益を下支え、一人営業利益を伸ばすことになった(2011年1-3月期を底に営業利益は2012年に入っても
好調を維持した)。
 なおその後2012年9月,アップルのiPhone 5の投入に対抗して、同月、サムソンは
ギャラクシーノートⅡの投入を発表した。大画面やペン入力でアップルとは差別化を図っている。

連邦地裁での訴訟は2011年4月に米国でアップルがサムソンを提訴。サムソンも逆提訴していたもの。
サムソンはその後日本(4月) ドイツ(4月) 米国(4月) 韓国(6月)イタリア・英国(6月)で提訴。
各地に拡大している(付随して販売禁止の仮処分申請の問題もある)。泥沼化ともされる。

それぞれの結果はドイツでは2011年8月にドイツの裁判所がサムソンのタブレットの一部の販売一時差し止めを命令。2012年1月に
アップルが勝訴。しかし英国では2012年7月にアップルによるデザイン盗用の訴えが退けられた。
なお2012年7月 アップルが、中国での商標権をめぐる訴訟で、唯冠科技深�祁に対して6000万ドルを
支払う和解に応じたことが公表されている)。
また韓国では偶然というには大変奇妙だが同じ8月24日(米国時間では23日の米国での陪審員評決に先立つ時間)に、アップルについて2件
サムソンについて1件それぞれ侵害を認定する判決がだされて両社に損害賠償を命じられている。
意外なのはアップルが必ずしも勝っていないことだ。その中で連邦地裁の評決は、米国という大市場でのもので
あるだけに貴重な一勝といえた。

米連邦地裁の陪審員評決での認定が世界各国で進んでいる裁判に
与える影響も少なくないと見られた。サムソンに不利な認定や判決が世界各国で続いて
copy cat Samsung(モノマネサムソン)との評価がつくことは、サムソンにとって好ましいことではない。
今後、このような法律リスクを回避するために、開発のあり方が制約を受けることが、サムソンにとり
重荷になる可能性もある。
この米国での訴訟については2012年4月から5月には和解交渉も伝えられたが、結局7月30日より審理が開始され
8月24日の陪審員評決に至った(なおタブレットについては侵害が認められなかった)。

(なおサムソンはアップルにとっては液晶パネルや半導体の調達先。逆にサムソンにとっては有力顧客。
アップルがサムソンと訴訟しつつサムソンからの調達を続けているのは奇妙に見える。アップルがサムソンに
発注を繰り返すことが、サムソンの利益をささえている。なぜアップルがサムソンに頼るのだろうか。
たとえばこの訴訟合戦の渦中で2012年3月にアップルが発売した「新型iPad」用パネルの初期投入分を
受注したのはサムソンだという。

訴訟相手が事業のパートナーというこの両社の関係は私たちには大変奇妙に思える。アップルの訴訟する相手に
注文するやり方は理解を超えている。しかしファブレス型企業の一つである
サムソンは供給能力で群を抜いた存在で外せないのかもしれない。ということはこの物語には
一般に勝ち組のはずのファブレス企業の弱点の所在が示されているのかもしれない。

ファイアウオールの配慮(2011年夏)
なおサムソンでは2011年7月にデバイス部門の責任者を置いて、完成品部門から独立させる組織改革を実施。
さらに2011年12月には部品部門と完成品部門とをそれぞれ独立運営とする組織再編をさらに実施。
両部門間で製品情報の
やりとりを遮断して(=ファイアイウオールの構築)、アイフォン側の懸念に対応している。金融機関の場合
顧客との利益相反の恐れから、ファイアウオールの構築はよく話題になる。しかしメーカーでも部品と完成品を
ともに生産するメーカーは、顧客の完成品メーカーの懸念(情報流出)に対応してこのような措置をとることが
必要であることを示すもので大変興味深い。
(なお2011年10月 韓国サムソン電子のイ・ジェヨン李在鎔社長とアップルのクックCEOが会談して2014年までの部品供給に
ついて話し合ったとされる。両社が訴訟を続けるなかで、経営トップが話し合いを行い、部品供給について
またそのための体制について、約束あるいは条件を交わしたのではないかと思われる。)

サムソンの特徴:垂直統合、自前主義
サムソンの経営は生産から販売からまで自社で手掛ける「垂直統合」
部品を自社生産するこの方式は自前主義とも呼ばれる。基幹部品の大量生産で生産コストをさげ(そのためには巨額の設備投資)、その成果を
独り占めするもの(高い利益水準の確保)。自社生産した半導体やパネルでテレビやスマホを量産する体制を整えた。
ちなみに世界シェア2割の薄型テレビの2012年の販売台数は5000万台(2012年4月時点予測)。
この方式の前提は、投資(生産)水準の拡大(あるいは高い設備投資水準)に見合った販売(シェア)の拡大。
それがなければ稼働率低下で財務状況が悪化する。

followerを恥じない
技術開発の面では自社開発にこだわらず海外からの技術吸収 ヘッドハンティングを柔軟に進める。
fast followerと自ら位置付けているとのこと。

サムソンの知財戦略:まず技術の共通、標準化
サムソンは、標準技術の部品やソフトを世界で安く調達し、組合せ、そこそこの製品を圧倒的に安いコストで作る。
相手から模倣を責められたら、クロスライセンス契約に持ち込む。そうすれば利用料は最大で製品出荷額の5%程度。
製品を作り続けてコストや製品力で相手を負かしてしまう。コスト削減でカバーできる(小川紘一さんの指摘)。

アップルのオープン&クローズ戦略
標準技術を使ってコストを下げるオープン領域。
特許や秘密を徹底的に囲い込むクローズ領域(組み込みソフトのブラックボックス化)。この両者を明確に区別。
⇒ トヨタが燃料電池車の普及でオープン&クローズド戦略

日本のメーカーはこのため自前主義から、委託生産や外部調達に依存する経営に転換しつつある。
これに対してサムソンは垂直統合でなお利益を上げ続けている。

このほか創業家支配を続けていること。結果主義の信賞必罰の人事で求心力を維持していることなどが
よく指摘される。また韓国国内の人口が5000万弱と、市場として小さいことから量産規模を確保するため
海外市場の獲得に熱心で、巨額のマーケッテイング(知名度を上げることなど
ブランド力の向上)費用を投じているともされる。(2011年のインターブランド社の
ブランド価値ランキングではなおアップル、トヨタに及ばないものの、ソニー、ホンダを圧倒している)

米連邦高裁が地裁による行政処分を破棄して形勢は逆転
2012年8月 米連邦地裁がサムソンに不利な評決
その後 2012年10月11日 米国での訴訟について新展開があった。ワシントンの連邦高裁が問題の地裁による
サムソン電子のスマホ「ギャラクシーネクサス」の販売差し止め仮処分」を破棄し、カリフォルニア連邦地裁に差し戻した
のである。アップル側がサムソンの特許侵害を十分に立証できなかったとも伝えられた。
アップルにとって連邦地裁判決は貴重な一勝だったはず。それが覆った影響は大きいのではないか。

その後はサムソンの反転攻勢を伝えるニュースだけが伝わる。
サムソンはスマホ市場の拡大を見越して2010年頃からDRAMの製造装置をスマホ用に入れ替え、2010年6月発売の
ギャラクシーS以降、自社製品にモバイル用DRAMを大量搭載して初期投資をいち早く回収。パソコン価格の下落
に伴うパソコン用DRAM価格下落を乗り切った。これ(モバイル用DRAM)とクラウドコンピューテイングの拡大に伴う
サーバー用DRAMとがサムソンの収益を支えた。同様に有機ELパネルでもギャラクシーSへの搭載で初期投資を回収
する戦略を実行した(有機ELパネル市場でのシェアは9割。すでに圧倒的に先行)。
2009 iPhone3GS発売
 2010年6月 ギャラクシーS発売
 2011年4月 SⅡ発売
2011年7-9月期 スマホ市場でサムソン電子がアップルを抜いて首位になる
 2011年10月14日 iPhone4S発売
 2011年10月19日 ギャラクシーネクシス発表(OSはグーグル開発のアンドロイド4.0)
 2011年11月 ギャラクシーノート発売
 2012年5月 SⅢ発売
 2012年5月 和解交渉するもまとまらず
 2012年8月 米国での陪審評決で完敗(タッチ画面操作など)約830億円の損害賠償
 2012年8月 東京地裁がサムソン勝利の判決 サムソンの特許権侵害認めず
 2012年9月 ノートⅡ発売
 2012年9月 アップルiPhone 5発売(サムソンはCPUの受注価格を引き上げる。アップルはサムソンを主要調達先から排除) 
2012年11月にはサムソンがアイフォン5向けCPUの受託生産価格を引き上げた。
2012年12月にはサムソンがアップルからNAMD型フラッシュメモリーを大口で受注したとも。やはり
アップルはサプライヤーとしてのサムソンを外せないようだが、
このサムソンとの取引の維持をアップルが望んでいるとはとても思えないのだが。
2011年サムソンはアップルに10兆ウオン以上(7300億円)の半導体や液晶パネルを販売 対決しつつ最大顧客
2012年12月期の営業利益見通しは29兆100億ウオン(約2兆4000億円)となっている。
 2013年2月 東京地裁でサムソンの特許権乱用を認めた判決 アップルが勝訴
 2014年1月 裁判所の呼び掛けにより和解交渉

サムソンの弱点 同族経営
スマホでアップルに優位に立ったサムソン(アップルを超えるスマホメーカーに成長した 2011年―2012年と連続で世界首位)だが、
アップルは音楽やアプリを配信して収益を上げるシステムを構築している点では、サムソンに大きく先行している。訴訟の行方もなお予断をゆるさない。OSをグーグルに依存していること、今後の新興国での販売競争での台湾や中国の企業(台湾の宏達国際電子HTCや中国の中興通訊ZTEなど)との低価格機の
開発競争なども、世襲人事(イ・ゴンヒ李健熙会長から長男イ・ジェヨン李在鎔への継承 2012年12月副会長に就任)とともにサムソンの懸念材料とされる。
同じような同族経営はLG電子でもみられる(グ・ブンム具本茂会長から弟グ・ボンジュンへの継承 
2010年10月副会長への就任 それとともにLG電子はサムソンに対してしばらく続いた協調路線から
対決路線に切り替わったともされる)

スマホの成熟市場化 単価下落へ
 2010年6月 ギャラクシーS発売
2011年 世界でのスマホ販売 通年で僅差でサムソンが首位に 19.1%と19.0% パソコンの出荷台数(3億5239万台)をスマホ(4億9140万台)が上回る ネット接続機器の主役がスマホに代わる(2010年10-12月期にスマホがパソコン上回る)
 2012年5月 ギャラクシーS3発売
 2012年10-12月 過去最高の営業利益達成 サムソンのスマホ世界出荷台数シェア29%で首位
 2013年1-3月 連結営業利益前年同期比53%増の8兆7000億ウオン(7400億円) ただし前期比では2%減
 2013年4月4日 米国で家電量販大手のノベストバイと提携
 2013年4月14日 ギャラクシーS3の発売発表(5型の有機ELパネル採用 目の動きや音声による操作機能)
 2013年4-6月期 最高益 反面 スマホ部門が1-3月期に比べて減益 先進国での飽和 新興国では中低価格品が売れ筋 サムソンはそれでも半導体やDPなど中核部品を内製しているため利益をだしやすい 営業利益は9兆5000億ウオン(8300億円)前年同期比47%増
 2013年5月23日 ギャラクシーS4 日本でNTTドコモだけに販売(アップルと組んだKDDIを外す 日本国内デサムソンはシェアが伸びない
8%台で足踏み)誤算 ソニーノエクスペリアに顧客が集中 値下げに踏み込む NTTドコモのツートップ戦略 ソニー サムソン以外はNTTドコモに対して不信感強める結果になる
 2013年6月6日 JPモルガンのレポートがギャラクシー4Sの失速を予測
 2013年7-9月期 連結売上高前年同期比13%増の59兆800億ウオン。売上高営業利益率17.2%。営業利益26%増の10兆1600億ウオン(9200億円) スマホ向け需要好調 半導体 メモリー スマホ。不調(減益)はDP部門と家電部門。

2年ぶりの前年同期比減
 2013年10-12月期 連結営業利益8兆3000億ウオン(8100億円)前年同期比6%減 前年同期比減は2011年7-9月期以来ほぼ2年ぶり スマホの販売単価下落 テレビ用パネル単価下落 ウオン高など落ち込み要素 スマホ サーバー向け メモリー半導体の伸びはあったが落ち込みを補えなかった

Area Studies Business Models Business Strategies 

Research: LCC(格安航空会社)

2013-05-24 11:13:23 | Management

英語でlow cost carrier:LCC
機種の統一 サービスの簡素化などで低コストを実現 安い運賃で旅客サービスを提供する航空会社のこと アメリカのサウスウエスト航空がビジネスモデルの先鞭 アジアではマレーシアのエアアジアが本命とされる 資金力のよわさ 機体の古さが問題点として指摘されることもある。世界各国で欧米で3割、アジアでも2割のシェアを占めるまで成長
 LCCの利用率は欧州では4割とも(欧州ではライアン航空:ライアンエアー(アイルランド) イージージェットなど)。

国内LCC3社(2012年から本格就航 運賃を大手の半額)
ピーチアビエーション 全日本航空系(38.7% なお産業革新機構が28%) 関空(2012年10月LCC専用ターミナル開業 24時間離発着可能 利用料抑えた)を拠点に順調 2012年3月に就航(関空―札幌 関空―福岡) 5月には関空ー仁川(韓国) 好調を維持 2013年3月発表の過去1年の平均搭乗率8割弱(76%)と満席便多い 価格とサービスのバランスを主張 2012年10月には関空―台北線
           サービスの質が好調の理由
           2013年4月 関空ー仙台
           2013年6月 関空―新石垣線就航
           2014年4月 機長不足から5月から10月の2000便を減便
           2014年6月 13年度決算 国内LCCとして初めて黒字化
           2014年7月 那覇福岡線就航 那覇を第2拠点化
           2014年10月 機長を確保して復便 冬季は増便へ
ジェットスター 日本航空系(出資比率33.3% ジェットスターが33.3%) 成田拠点のため発着の時間制限(午後11時午前6時)で苦戦 2012年7月夏就航(成田ー札幌、福岡、関西。関西ー札幌、福岡) 2012年3月末から中部国際空港も拠点に LCCの中で最安というイメージを徹底 最低価格保証制度 機体はリース契約 2013年にも国際線に参入(2012年7月時点 中國の各地 香港台北 韓国仁川などが候補地)
           3月末 中部―福岡
              中部ー新千歳   
           2013年2月 日本航空との間で共同運航(コードシェア)便実施で提携(この構想は早くから示されている 機内サービスの平準化が必要とされる)
           2015年2月 関空ー香港線就航へ
エアアジアジャパン 全日本航空系(67% なおエアアジアが33% 他の出資者に三菱商事など) 成田拠点のため発着の時間制限で苦戦(最終便が欠航になることが多発) 2012年8月頭から就航(成田ー札幌、福岡、那覇) 2012年3月末から中部国際空港も拠点に ジェットスターに対しサービスの充実で特徴を出す
      1万2013年月3月末  中部―福岡
 → 成田空港が制約要因 時間制限(地元自治体が緩和に反対) 滑走路の少なさ(2本) 遅延 欠航の原因になっている

曖昧な航空会社(中堅航空 かつては新規航空会社と呼ばれたが)
スカイマーク 航空会社をすべてリースで調達(ドル建てで資産計上:円安になると利益出る)
       燃料代は円安では収益圧迫 いずれも収益を不安定化させるが
       企業規模に比べてコストがかかるとしてヘッジ取引をしない → 常識はずれの(合理的?)経営
       LCCの登場で価格面の魅力低下 競合路線で利用率低下 
このほかスターフライヤー

大手2社
日本航空(アメリカン航空主導のワンワールド) 全日本空輸(国際線で日中路線の比重高い ユナイテッド USエアラインズとともにスターアライアンス)
 2013年2月 アメリカンとUSエアの取締役会がそれぞれ合併を決議 ユナイテッドに変わって輸送実績で世界首位の航空会社新生アメリカンが誕生することになった。なお世界の航空会社第3位は米デルタ航空で、デルタが率いるグループがスカイチーム。
 2012年12月には デルタが英ヴァージンアトランテック航空に出資で合意:ユナテッドを抜き世界最大手と流れたばかり。


サウスウエスト(アメリカ 大手に成長) 1970年代に台頭 草分け
 機種をしぼり 機内サービスを省略あるいは有料化 空港での滞留時間を短縮して折り返し運行を繰り返すなど
運用機種の統一(機体の稼働率高い 補修部品限定 整備費用も小さい) 自由席定員制などで低価格実現
 国内線に特化 実績伸ばす
 2010年9月27日 同業のエアトランHD(米東海岸 近距離中南米路線に強い)買収合意で国際線進出へ
 買収総額14億ドル(現金+株式交換)
 2011年4月3日にサウスウエストが保有のボーイングが飛行中に穴が開く事故を起こす。
 2011年4月3日 機体に穴
 しらべたところ同型機3機に亀裂があったとのこと。安全を軽視して運行している恐れがある。  

マレーシア航空(アジア最大 マレーシア拠点)

エアアジア 2001 創業者のフェルナンデス氏が弱小航空会社を買収して開業
 FSCと対抗スルビジネスモデル 着陸から離着まで25分
 1日あたり運航時間12時間超という効率化を実現 運賃を競合他社の20%安から半額
 LCCの本命 航空券は原則ネットで直販
 その中距離専門子会社がエアアジアX 欧州エアバス機を使用(ボーイングを使う予定はない)
 2010年12月9日 エアアジアXが羽田クアラルンプール便を2万8000円
 (2010年10月末までの予約という期間限定で片道5000円も)
 ベースにはクアラルンプール国際空港(2009年の利用者 -2968万人) LCC専用ターミナルが建設中(2010年10月現在)
 2011年8月 マレーシア航空(MAS)と資本提携
 2012年5月 同提携解消(MAS労組の反発)
 2013年4月現在 クアラルンプール―羽田のほか クアラルンプール―関西国際 が運航中
 クラルンプールと名古屋 福岡 札幌の路線開設を検討中(2013年4月)
 デリー ムンバイの発着枠手放す(高い空港使用料 競争による格安料金設定で採算合わず)
 
 
セブパシフィック(フィリッピン最大手に成長 株主はフィリッピンの財閥 2001に国際線に進出 フィリッピン航空を抜く フィリッピン航空は人員削減など経営悪化が伝えられる)

タイガー航空(シンガポール航空傘下) 供給過剰による競争激化 収益悪化傾向 2013年10-12月期最終赤字転落
 フィリッピンでセブパシフィック航空 インドネシアでマンダラ航空と提携
 インドのスパイスジェットとも提携
 2013年12月末 台湾の中華航空とタイガーエア台湾を設立
 他社との提携で運行路線拡大
 資産を抱え込まないアセットライト戦略
ジェットスターアジア航空Jet Star Asia Airways(シンガポール)
 チャンギ国際空港(2009年の利用者 3609-3720万人)2008に第3ターミナル完成 さらに拡張方針 国際線旅客で世界7位)

済州航空(韓国 韓国化粧品メーカー等が株主 韓国初のLCC)
エアプサン(韓国 アシアナ航空 釜山市 地元企業が株主)
 仁川(インチョン)国際空港(2009年の利用者-2867万人 貨物で世界4位)

春秋航空(中国 民営航空会社 親会社は上海春秋国際旅行社 2004年に設立 中国国内線が主力)
 茨城空港への就航(チャーター便 2010年7月28日開始 団体旅行客が主力 空席があれば個人客にも販売 順調にゆけば定期便に変更予定であったがその後の日中問題もありどうなるか不透明に)で話題に。
 2014年5月 成田から国内線に参入予定

ジェットスター航空Jet Star Airways(オーストラリア カンタス航空傘下)
 2007年3月に 関西国際空港に始めて就航
 シンガポールの投資会社と組んで傘下にジェットスターシンガポール航空

ライオン航空 インドネシア最大手 マレーシアにグループ会社マリンド航空
 マリンド航空 2013年3月 インド市場に参入 2014年に中国への路線開拓か 

ノックエア(タイ)
タイ国際航空との競争を避けて国内線にすみわけ インドネシアのライオン航空 マレーシアのエアアジアが優勢
 2013年10月 ヤンゴン(ミヤンマー)ーメーソート(タイ北西部)路線就航
キングフッシャー(インド)

ライアンエアー(アイルランド)

全日本空輸は香港の投資会社(ファーストイースタンインベストメントG first eastern investment group ビクターチュー氏)とくんで
2010年12月末にLCC設立 関西国際空港を拠点(ピーチ) 2011年度にもサービス開始 ピーチアビエーション(関空拠点)
 発券はネットに特化。
全日空は2012年8月 マレーシアのエアアジア(トニーフェルナンデス氏)と組んでエアアジアジャパンを就航させたが失敗する(予約システムに英語 旅行会社を使わない販売手法など格安モデルか日本流LCCか)。2013年6月25日合弁事業解消を発表 エアアジアジャパン 業績不振で2013年10月下旬 国内LCCから撤退
運営方針で対立(背景:50%台と利用率の低迷 必要な80%→観光需要が見込める路線に限定 成田の制約も背景) 
 同じ成田拠点のジェトスターと比べて利用率は一貫して低迷
 2013年6月末 合弁を解消 完全子会社化へ
 ピーチアビエーション(関空拠点)と似ているけれど成田拠点。
 成田から札幌 沖縄便を飛ばす。
→バニラエアに衣替え(国内4社目LCC 成田拠点 13年12月成田ー沖縄 成田ー台北 14年1月成田ー札幌 14年3月成田ー仁川・・・)

航空会社の経費カット 航空券のネット直販化と旅行代理店
 このようなLCCとの競争もあり旅行代理店と航空会社との関係は変化しつつあり、旅行代理店のビジネスモデルが成り立たなくなっている。
 発券手数料を旅行代理店に払えない。旅行代理店は統合へ。
 すでに国際線の発券手数料5%は2009年に廃止
 2010年4月 国内線も手数料半分に。 
 世界的にも旅行代理店は整理統合へ 

空港経営問題がLCCの問題と絡んでいる
LCCとの関係ではLCC専用ターミナルの整備など ハブ空港としての整備などが注目される。
 また赤字の地方空港問題。

関西国際空港 199409開業 国内初の本格的24時間空港
 2001/08 発着回数で成田上回る
 多額の債務をかかえる
 2012/03 LCCのピーチの誘致が転機 
 関西国際空港は2012年7月伊丹空港と経営統合へ
 経営改革進む 関空と大阪国際空港の事業運営権の売却へ(2014年11月)
 2兆2000億円以上・・・高すぎないか
 今後開業する神戸空港とのすみわけも課題 

羽田国際空港化(2010年10月末) 国際線ビルが開業
   1978 開業
   京急電鉄が羽田空港乗り入れ 1998
   東京モノレール JR東日本傘下に 002
   航空会社はアジア向けの羽田便を高く設定
   2010年10月末 羽田パリ便就航(日本航空 エールフランス共同運航便)
   2010年10月末 キャセイパシフィック 羽田香港便(1日2便)
   2010年10月31日 エバー航空が羽田台湾便(1日2便)
   11月1日 タイ国際航空がバンコク便(1日1便) 
   2011年2月20日にはBAが羽田ヒースロー便就航 週5往復
   201403 国際線発着枠増枠年間6万から9万回へ
   国際線物流量が急拡大 物流拠点としてのハブ化進む
   201408 羽田の発着枠年45万を2020年までに4万程度増やす方針の検討始まる 
   

成田国際空港(2009年の利用者 3089-3213万人 国際線旅客で世界8位 貨物で世界10位)
   2010夏 成田スカイアクセス開通
201503 LCCターミナル稼働 旅客から受け取るサービス料を約4割引き下げ 航空会社の負担も現状の半額以下へ

タイ スワンナプーム国際空港(2009年の利用者 2968-4050万人 国際線旅客で世界10位) 2006開業
中国 香港空港(2009年の利用者 4498-4556万人 国際線旅客で世界3位 貨物で世界2位)
   北京首都国際空港(1958年開業 北京中心部から25km 1978年の年間利用者 103万人2009年の利用者 6532万人 2012年には8180万人 世界2位)


国際線旅客ランキング(2009)
 ヒースロー       6065万人 1986年に民間委託
 シャルルドゴール 5303   1998年に民間委託
 香港国際 4498
 フランクフルト 4452   2001年に民間委託
 スキポール(オランダ) 4352
ドバイ国際       4010  

貨物取扱ランキング(2009)  
メンフィス空港(米)
 香港空港
 上海浦東空港  
 仁川空港
 シャルルドゴール空港
 アンカレッジ空港(米)

海外便 円安による燃料費 空港使用料 機体リース代
 大型機は燃費がわるいので中型機に移行したい(中型機の運航停止は痛い
 バッテリー問題で787型機が2013年5月末まで運行停止が痛い)
 LCCとの競合による客減章
 対外緊張による中国韓国方面の不振

国内便 地方空港
 空港着陸料 用地買収費 管制塔などの維持管理費 航空機の重量 騒音レベル
 国管理の空港が28空港 運営権の民間への売却(コンセッション)
 自治体と航空会社が路線の利用促進策をつくる ⇔ 着陸料の引き下げを検討
 路線の縮小に歯止め 
            

original in Oct.2010
revised in May 2013

Area Studies Business Models Business Strategies


Research: ボーイング787問題 

2013-05-02 19:56:15 | Management
ボーイング787の納入遅延問題に続くバッテリー問題

787にバッテリー異常問題の浮上 全世界で運航停止へ(2013年1月16日から17日)
 ボーイング787について、バッテリーの異常が多発した。2013年1月7日 ボストンの空港で日本航空機機体後方電気室の補助動力用バッテリーから出火。2013年1月16日 山口宇部空港発羽田空港便が、機体前方操縦室下部の電気室で煙発生により高松空港に緊急着陸(メーンバッテリーが黒く炭化していたことがのちに判明)。日本の国土交通省はこれを「重大インシジデント」と認定。いずれの事故でも電池が高熱になり出火発煙した。
 米連邦航空局などが運航停止を命令(米連邦航空局FAAが16日 日本の国土交通省、欧州連合とインドが17日など FAAの運航停止命令は34年ぶりでいかに深刻な重大な事態かが分かる)。ボーイング社でも航空会社への新規引き渡しを停止した(受注残は800機)。
 問題の電池はGSユアサ製。電源システムは仏タレス社などがサプライヤー。

737について新たな問題浮上(2013年4月15日) ボーイングに対する信頼性の低下
 米連邦航空局は機体が制御不能になる可能性のある欠陥が発見されたとして、ボーイング社に対して主力小型機737について機体の検査と部品の改修を命じた。今回は検査と改修で安全性は確保されるとして、運航停止命令は出されなかった。787に続き737の欠陥も明らかになったことで、ボーイングの安全性への信頼は低下したといえる。

787について日米で運航再開許可(2013年4月26日)と残る疑問
 2013年4月26日 米連邦航空局FAAが運航再開に必要な命令を出したことが公表された(再開の方針発表は4月19日)。この運航再開については、発煙事故の原因が解明されていない、との指摘が残っている。ボーイング側は考えられる原因に対する対策を網羅的にまとめた改修案を作成したとする。たとえば発熱防止(改良した充電器に交換)、発熱した場合のほかの電池への影響を防ぐ対策(電池をステンレス製容器に格納)、改修後の試験飛行による確認など。これがFAAにより承認された形。日本でも国土交通省が、改修後の機体で確認飛行を航空会社に義務付けるなど、独自の安全策を加えて、同日、運航再開を許可した。
 この問題をめぐっては、米国内でも米運輸安全委員会NTSBは、原因が明らかでないとして運航再開に慎重な立場であった。つまり米国内でも運航再開慎重論があった。
 これに対してボーイング社は考えられる原因を網羅的に検討して、そのすべてに対策を進めたと主張。この主張にNTSBは押し切られた形。しかし万一にも、事故が再発すれば、その責任は誰がどう取れるのだろうか。・・・といって運航停止が長引けば、ボーイングや多くの日本企業を含む関連企業に大きな影響が出ることも事実だが。
 そのそも事故後にボーイングが行った対策については、リスク確率を下げたという説明があるはずだが、この低いリスク確率の数値は、ボーイングの主張(データ)に過ぎない。もともとボーイングは電気系統発煙の可能性を極めて低いとのデータを提出して、787の認証をFAAから受けていた。つまり再びボーイングの主張(データ)を信じるのかという問題がそこにある(また検証のためのデータをFAAがボーイング提出のものに依存しているという構造的な問題がある)。ボーイング社のデータでは確率的に起こる可能性がきわめて低いはずの「発煙事故」が多発した。こうしたボーイング社の過去のデータのいい加減さを考えると、事故原因は不明のままで、ボーイング社のデータによれば事故発生確率は極めて低くなったとして787の運航の再開を認めるという決定については、疑問が残る。
その後 5月14日 ボーイング社は運航再開の条件を満たすための改善作業を実施。そして5月14日 787の納入を再開した。
5月20日には米ユナテッド航空が営業運航を再開 そして6月1日には全日空と日本航空が営業運航を再開する方針。

787を使う航空会社の重大な責任
運航再開で日本の航空会社もほっとしているといえるだろうか。しかしすでに述べたようにボーイング787に対する不信感は高まっている。米FAAが政治的理由で運航を許可するとしても、日本の国土交通省は自国民の安全性を守る立ち場から、運航許可しない判断もあり得たとの批判が今後出る可能性はある。日本の航空会社は、すでに発煙事故を起こしているボーイング787を今後も使用する場合、運航停止という合理的判断を避けたという意味で極めて重大な責任を背負い込んだといえる。日本の航空会社にとっては、787を使用して重大事故が起こったときの責任を回避することができないという意味で、運航再開の方が経営リスクが高いのではないか。
 ボーイング787をいち早く導入してコスト削減(燃費が旧型の767日比で2割改善できるとのこと また大型機なみの長い航続距離などすぐれた特性をもつ)の切り札としていた全日空や日本航空は、欠航で大きな影響を受けた(全日空は17日は国内便35便を欠航。国際便は6便機体変更。18日は国内便24便 国際便6便。19日から21日まで3日間で国内便58便。国際便10便の68便を運休。日本航空は17日は国際便で4便を欠航。4便を別の機体とした。)減益の大きさは1年間使えなかった場合で、全日空で50億円、日本航空で40億円という数字がある(現在の保有機は全日空で17機 日本航空で7機。世界全体では8社が49機を保有。全日空は2021年度までに787を66機まで増やして、787で先行するはずだったがこれが命取りになりかねない事態だ。全日空は66機を発注。残りは44機。日本航空は45機発注済み。残りは38機。)。
 現時点で就航している787は世界全体で50機、そのうちの24機を日本の航空会社が、また17機を全日空が保有している。全日空は結果として、世界で最もこの問題の影響を受ける航空会社になった(運航計画の変更を迫られた各社では損害賠償を請求する構え)。
 2011年11月の全日空による商用運行開始。初号の引き渡し(2011年9月)は予定より3年以上遅れた。商用運航開始から1年以上経って事故が続くことに不安が広がっている。また機体システムの部品の耐久性・耐熱性が、軽量・コンパクト化の犠牲にされた疑いが浮上している。
 使われていたのはリチウムイオン電池。2006年にはソニー製電池の発火問題が起きたが、しかしその経験を踏まえて安全性が高められたはずだった。電池本体ではなく、システム全体で不具合があったという考え方や、電池の性能のばらつきを指摘する声があるが、今のところ原因はと特定されていない。逆に原因が特定され、設計変更などの措置が取られれば、認可の再取得などで時日を要する可能性が高い。
 ボーイング787がこれで生産が停止するとその影響は広範囲に及ぶ(納入停止で1ケ月12億ドル前後の減収 平均価格 1機2億ドル強。現在は5機ベースの生産。2013年内に月10機ペースに移行する予定だった。現在は出荷停止中)。しかし今一つボーイング追及の声が上がりにくいのは、機体製造の数多くの日本企業がかかわっているためだ。機体構造物の35%を担当する三菱重工、川崎重工業、富士重工業。あるいは機体の翼、胴体などに採用された炭素繊維、樹脂などを供給する東レなど。しかし伝えられていた787の増産体制(月3.5機から月10機への引き上げ)あるいはさらには次世代大型機737MAXが2017年就航を目指して開発中という話ではあったが、納入遅延問題に続く、今回のバッテリー問題の浮上に(問題の続出に)いささか鼻白む思いがする。
 ボーイングは米国で進められている国防費削減の影響を大きく受けている企業の一つ。民間航空機での失態はそれだけに、経営を揺るがしかねない(2012年末で135億ドルの手元資金があり問題に対処できるとみられていたが、影響は拡大中)。

 なお777までの生産は、組み立てられる飛行機少しずつ動くもの。ライン生産に近い。これに対して787は、モジュール生産。8け国での国際分業体制である。しかしその結果、生産の現場はものの見事に世界に散ってしまった(国際分業)。各国各企業に分かれて調査してもそのあとのする合わせは困難とされる。最新の電子制御もかえって、問題の特定をむつかしくしているとのこと。

2008-2011年に騒がれた納入遅延問題(2009年7月稿 2013年1月追記)
 ボーイング社の次世代中型航空機787(ドリームライナー)の納入が遅れている。納入時期は当初2008年の5月とされていたが、2008年4月の3度目の延期発表の段階では納入は2009年9月以降になるとされている。2008年9月6日には最大労組が主力のエバレット工場(ワシントン州)などでストライキに突入してこの問題をさらに拡大。後述するように2008年12月の4度目の延期で納入開始は2010年1月以降に遅延している(上述のように結局 初号の引き渡しは2011年9月と7度の延期があり、結果として3年以上遅れた。・・・2013年1月追記)。
 B787機(座席数210-250 1機1.5-2億ドル)はエアバス社が開発しているA350機とともに、炭素繊維を機体の素材に使うことで軽量化されており、航空会社各社では燃費改善の切り札として同機の早期導入に期待していた。約2割燃費が改善するといわれている。また東南アジアやハワイが限界の767に比べて北米ヤヨーロッパまでと航続距離が伸びるので、機材の柔軟な運用管理に資することも期待されている。
 納入はまず07年11月に08年5月から12月に延期。さらに2008年1月の2度目の延期(08/12→09初め)。納入を期待していた世界の航空会社の中からは補償を求める声がたかまった。全日空と日本航空でも2008年3月までに補償を求める姿勢を明確にした。3度目の遅延発表を受けて日本航空はA350の納入も検討せざるを得ないとボーイングに圧力をかける姿勢を示した。全日空は2008年7月までに超大型機A380(座席数525-853 1機3億ドル台)購入の最終調整入りを発表した。
 ボーイング社では9月6日から国際機械工労組IAMによるストライキが始まり主要拠点で操業停止に陥った。そのストの最中の2008年9月17日には日本航空とまた9月25日には全日本空輸との間で、787機の購入条件見直しで合意が発表された。導入時期の遅れのほか、遅れに伴う賠償問題でも合意があったと考えられるが詳細は明らかにされなかった。
 その後2008年12月11日には労働組合による長期ストライキ(2008年9月 工場労働者への大幅な賃上げで妥結)や部品の不具合を理由に4度目の延期(09年7-9月期から10年1-3月期へ)を発表した。度重なる延期は、世界の航空会社の設備投資計画に大きな影響を与えている。
 この4度目の延期で787機(定員約250人)の日程は2009年夏に初飛行(2009年12月に初飛行成功)。納入開始は2010年以降となった(2010年10-12月期に前日本空輸に初号機を納入予定)。
 対抗社として欧州エアバスがある。両社ともLCCや新興国からの大量受注が支え。燃費のよい中小型機が人気があある。
 2009年1月8日 ボーイング社は2008年の民間航空機納入実績が前年比15%減の375機だったとした。欧州エアバス社が400機以上とされるのでエアバス社の首位維持が確定。また2008年の受注実績は662機で前年比53%減とされる。
 2009年1月9日 ボーイング社は民間航空機部門の事務職を中心に4500人 同部門約7%に相当する人員削減を発表した。航空会社の経営不振などから航空機受注が激減、787開発コストが膨らんでいるうえに、工場労働者への大幅な賃上げが重なり、コスト抑制を迫られたと見られる。

 ボーイング787について日本のメーカーもさまざまな協力を行っている。問題の炭素繊維複合材を東レが供給しているほか、三菱重工業(主翼)、川崎重工業(前部胴体、主脚格納部)、富士重工業(中央翼)、ブリジストン(タイヤ)、IHI(GEに対して新型エンジンの開発費用15%を負担)などが製作に加わっている。日本の航空技術が結集されているという言い方もオーバーではない。

MRJ問題(2009年7月稿 2013年1月一部書き換え)
なお三菱重工業は小型ジェット機MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット 座席数70-96 78)の2013年初就航を目指している。1973年に生産停止したYS11以来40年ぶり。開発費が1500億円(経済産業省が3分の1程度を拠出)。機体価格が30-40億円で採算分岐点は350機とされている。(小型機の分野はカナダのボンバルデイア、ブラジルのエンブラエルの2社寡占だがロシアや中国の進出が見込まれている)。
 こちらは2011年初飛行。納入は2013年からの見込み。
 その後引き渡し開始は2015年夏ごろとされている(2013年1月時点追記 この時点での累計受注は330機。採算ラインは400機から500機とのこと。燃費性能が評価されているとこと)
 
 三菱は米ボーイングとも協力関係にあり、米ボーイングもMR-J事業に技術・ノウハウ・営業などの面で協力するとされている。米P&Wの新型エンジン開発に参加、開発費の一部を負担するとともに燃焼器を供給。(なお三菱重工業はこのほか、次期支援戦闘機FSX=F2の開発に従事したほか、国産大型ロケットH2Aの打ち上げに2007年から参加してさらに海外からの受注を目指している、三菱電機は商用衛星JSTAT、NECは小型衛星、IHIエアロスペースは衛星の姿勢制御推進装置の売り込みを進めている。)
 Kaguya fly over the moon 日本の衛星が月の周囲を回っている Oct.31, 2007
Japanese Sattelite launch
Mitsubish Regional Jet


 MR-J事業にはナブテスコ(飛行制御装置)、住友精密工業(車輪格納装置)、ジャムコ(動翼)、のほか富士重工業(中央翼)、も参加とのこと。このように限られたメーカーの間の密接な協力関係のもとに事業が進む点に、航空機業界の特殊性がよく表れている。
 ボーイング社については2007年8月にボーイング737機が、沖縄那覇空港で炎上事故を起こしたことで、ボルトを取り付けてなかったというずさんな製造管理も問題になっている。
 ボーイング社については、日本の自衛隊への空中空輸機KC767の納入についても2006年12月の納入予定が繰り返し遅れたことが国会で問題になったこともある。結局、は2008年2月末と3月に各1機が納入されているが、このような納入遅延がなぜ繰り返されるのか、同社は十分説明するべきだろう。このようなトラブルの多さは、同社への信頼を損ねるものである。
 なおボーイング社は、世界の航空機業界で、とくに大型機では独占的な地位にあるために、このような問題を多発させる体質があるともみられている。大型機での対抗馬は欧州のエアバス社(エアバス社は組み立て拠点を米アラバマに設ける計画を進めている。これは小型機の最大の顧客が米国であること、エアバス社の調達の4割以上が米国からの調達であることなどが背景。ともかくこの進出により両社の対立は深刻度を増している)のみだが、ボーイングが現在のような失態を続けてると、顧客の航空会社はボーイングから離れるのではないか。なお中国は大型旅客機を開発生産する「中国商用飛機」を2008年5月に設立。この市場への参入を目指している。
 ボーイング787の機体の値段は1億5000万ドルから2億ドルとされる。為替相場にもよるが1機200億円程度ということであろう。
 他方、空輸機KC787は1機275億円と高価。アメリカでもこの高額さは議会で大問題になった。
 航空機の発注をめぐる問題は、アメリカでも日本でも、その動くお金の大きさからも関心を集めている。

 三菱重工にはこのほか発電プラント(発電タービン)を抱える原動機部門のほか(2012年3月期は営業利益の8割を原動機に依存する状況)、汎用機・特殊車両部門、機械・鉄構部門や、ロケットや衛星といったビジネスまである(2010年8月に日立製作所、三菱電機との間で
水力発電機器事業を統合)。

参考
ボーイング・ジャパン
必要な産業技術への関心

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original in Sept.2008 
revised in May 2013

Area Studies Business Models Business Strategies 

新日鉄住金の発足(2012年10月1日)

2013-01-04 11:23:35 | Management
欧州アルセロールミタルに次ぐ世界2位の鉄鋼メーカーが日本に誕生した。
2012年10月1日に発足した新日鉄住金がそれ。これで高炉は国内4社に集約。
 新日鉄 1970年に誕生 規模で4割の住金に対して役員比率は2対1 15人 10対5
 現在の役員数は11-10
 統合比率1対0.735(財務アドバイザー平均値は0.69)
10月1日付けで住金株を新日株32億株(新株が27億株+自社株5億株)に交換の上同日 新日鉄が住金を吸収合併する
新会社の発行済株数は約100億株
 CEOに正岡正二氏(新日鉄社長)
 COOに友野宏氏(住金社長) 
 新日鉄が住金に配慮し譲歩したとされる
統合後の規模は2012年3月期の粗鋼生産量は4516万トン(ミタルは9720万トン)
連結従業員は8万3500人(ミタルの3割)
連結売上高5兆5643億円(国内上場企業16位)
 統合後の課題は合併効果出せるかにある。
 すでに売り手としての価格競争力強化は、見えている。競合のJFEや神戸製鋼所もここでは
利害は一致している。
 他方では合併直前に巨額の減損処理している。
 これは重複する生産ラインの整理再編 集中生産による効率化に備えてのもの。
 両者は技術力は高いとされるが維持して製品開発につなげられるか期待されている。
 まずは生産の再編を進める 顧客への輸送距離や生産効率を優先
 物流効率化や原料融通など
 重複する資産の売却 など資産圧縮による財務体質改善
 物流子会社は来春合併により効率的な配送体制につながるとしている

深刻な需給ギャップ
世界需要15億トンに対し5億トンの能力過剰があるといわれている。背景:1970年代から30年で累計で1億トンしか
世界の鉄鋼消費量は増えなかった。それが2002年から2007年にかかて5億トン近く増加。世界の鉄鋼メーカーの能力
増強投資が深刻な需給ギャップをもたらした。
2012年末で中国の鉄鋼生産能力は9億トンに達する。
900社近くある中小鉄鋼会社の乱立が止まらないことにも問題(2012年9月 最大手の宝鋼集団は一部の最新鋭製鉄炉の停止を決断した
:還元製鉄炉は一般的な高炉に比べ小型で生産コストが高い特徴。CO2排出量は少ない。停止は本格的減産よりは不採算炉の休止という性格が
強い。
 背景には鋼材価格の低迷 2012年前半)。大手にはこのほか武漢鋼鉄 馬鞍山鋼鉄 鞍鋼 など。
生産実績を落とすと廃棄対象となり他社に吸収される。
地方政府にとり収入源。雇用も確保できるため地方政府は減産を促さない(促せない 中央政府による設備廃棄指示が
行き渡らない)
中国鋼鉄工業協会によれば2012年の中国粗鋼生産量見通しは6億7868万トン 前年比マイナス0.7%

両社の合併は2011年2月合併検討が発表されたが、その後 大震災 タイ洪水 円高で苦しんだ。
また鉄鉱石 原料炭価格は2011年4月に高騰した。その後次第に価格は下がっている。さらに 
欧州債務危機で 2012年5月 鉄スクラップ 鉄鉱石軟調となり原材料の価格の面では息をついた状態。
しかし反面では欧州・中国の減速で鉄鋼価格も低下している。その状況での統合実現になった。
(両者で検討開始の公表(2011年2月3日)公正取引委員会による合併承認(2011年12月14日))
新日鉄住金の発足により、国内2位はJFEスチール(2002年に川崎製鉄とNKKが経営統合)2924万トン
国内3位は神戸製鋼所と変化した。

鉄鋼業界の苦境を象徴する中山製鋼所の私的整理再建(2012年11月末)
中山鉄鋼所(東証1部)は1919年創業 官営八幡製鉄所 日本鋼管 に次ぎ高炉を建設した老舗。2002年に高炉を閉鎖。
電炉業界:電気料金の比率がコストの3割 電気料金の引き上げで苦境に 国内に約40社。
鉄スクラップを溶かして 建設向けに
建設向けには輸入鋼材が流入
海外も競争激しい 円高も一因
2012年3月期まで3期連続最終赤字
2012年4-9月 連結最終赤字は46億円(前年同期は22億円の赤字) 9月末の総資産1950億円 有利子負債は1016億円 連結ベース累積損失187億円
三菱東京UFJ銀行など取引金融機関が600億円規模の債権放棄に応じ、残りの融資を継続する方針
(なお12月17日の取引金融機関との話し合いで中山側は12月末を返済期限とする融資について2013年3月末までの
返済猶予を要請 貸出債権の一律7割、放棄規模600億円を求めた。これに対して一部銀行は、株主責任が不十分として
難色を示したとのこと。筆頭株主である新日鉄住金は、一層の支援を求められた形となった。)
企業再生支援機構にも下位取引行の債権買取要請
10%弱で筆頭会社の新日鉄住金には増資引き受け、材料調達などで連携強化の要請
官民で再建を支持する狙い:国内の雇用維持 技術の海外流出防ぐ
中山側は生産設備・人員の合理化(7月に採算悪化した厚板の生産設備休止 10月までに本体の従業員の3割にあたる約240人を削減) 非主力事業(子会社の化学メーカー)の売却 遊休不動産(社宅 運営している病院および介護施設など)の売却進める

なお2002年に両社のステンレス事業統合がすでに先行して統合している。
 新日鉄住金ステンレス である

なおアルミ業界でも1位の古河アルミと2位の住友軽金属工業が2013年10月に経営統合予定である。
現在の国内アルミの3位は神戸製鋼所である。

originally appeared in Oct.29, 2012
corrected and reposted in Jan.4, 2013

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Windows 8とサーフェスの発売開始(2012年10月26日)

2012-11-03 11:16:04 | Management
2012年10月26日 マイクロソフトのOS windows 8の発売が開始された。(2009年秋にwindows 7発売)
また日本市場にウインドウズ搭載商品登場(先陣はパナソニック。ソニーなどが後を追う。)
 なお国外ではマイクロソフトは同日からwindows 8を搭載した自社製タブレット サーフェスの発売を米国などで始めた。
 しかしマイクロソフトは自社製タブレット発売にメーカーから反発のあった日本では、年内発売を見送った。

 Windows8は
 デザインの刷新 アイコンからタイルへ
 タッチパネル(タッチ操作)メトロスカイプと呼ばれる技術の導入
 クラウドサービス スカイドライブとの連携
 立ち上げ時間の短縮
 消費電力の抑制 
 ネット経由 アプリや次世代オフィス(業務用ソフト)の提供 などの特徴があるとされる。
 同日 ウインドウズストア 本格運用開始
 
 なおサーフェスは米国 英国など8ケ国で発売開始
 32ギガバイト 本体価格499ドル iPadより100ドル安い価格設定   

マイクロソフトはクラウド化の大きな潮流への対応を図っているがなお成功していない。
 2007 ネット広告会社アクアンティブ買収
 2007 フェイスブックに出資
 2008 ヤフー買収提案するが失敗
 2011 スカイプを買収
 2012 企業内SNS ヤマー買収

しかしマイクロソフトはグーグル(6月27日からネクサスセブン発売)とともにタブレットへの進出を決断した。先行するのは
アップルのアイパッド。各社はネットを通じたクラウドサービス、コンテンツの提供にも磨きをかけている。

これらの海外メーカーに対して日本のメーカーはハード(機器)の機能だけで戦っているため競争力に
限界があるとの指摘がある。⇒すなわちハードだけで収益を考えるため端末の販売価格を割高にせざるをえない。

参考
津山恵子「ハード志向のマイクロソフト 自社製タブレットで大方針転換」『エコノミスト』2012年11月13日, 76-77.fu

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役員報酬の個別開示の開始(2010年6月)

2010-07-03 13:34:34 | Management
金融庁は上場企業に対し2010年3月期から、有価証券報告書に主な連結子会社の役員分も含め報酬額が年1億円以上の役員名と金額の記載を義務付けた(毎月の基本報酬、賞与、退職慰労金、ストップオプション、退職慰労金などに分けて開示する)。この義務化でこれまでベールに包まれていた企業役員に対する高額報酬の実態が明らかになろうとしている。
 この義務化に対しては、これまでも役員全員の総額については開示義務があり、株主総会の承認が必要だった(新たな情報は乏しく開示を進める必要性は低い)。個別開示により高額報酬を受けることが委縮する(弊害が多い)という意見が出た。他方で上場会社が公器とすれば役員全員の個別開示が望ましく、そこに進むべきとの意見がある。
 個別金額が明らかになることで、その人の職務(仕事ぶり)との関係で現在の報酬が適正かについては賛否の議論が起こる可能性はあるが、私としては役員報酬の議論をする上で個別報酬の開示は不可欠と考えていた。部分的にせよ開示が始まったことを歓迎したい。企業経営の透明度をあげるためには、各役員の報酬金額とともに役員報酬の決定方法について、各企業は詳細な開示をするべきだろう。
 今回の開示については、有価証券報告書で開始しても、株主総会では開示を完全に行わない企業も多かった(「特集 役員報酬のさじ加減」『エコノミスト』2010年7月20日号, pp.18-23.東京商工リサーチによるランキング表とその加工表がpp.27-31にある)。そもそも株主のために開示するという意識が希薄だったようだ。
 東京商工リサーチの調査によれば(『エコノミスト』2010年7月20日号,p.31)、東証一部で開示した113社のうち、連結営業利益が赤字であるのに1億円を超える役員報酬を支払っていた企業が5社(新生銀行、日本板硝子、富士フィルム、双葉電子工業、住友金属工業)あり、連結営業利益を役員報酬が上回った企業も1社(ワイエイシイ)あった。営業赤字であるのになぜ高額報酬を支払えるのか、なぜ役員報酬が営業利益を上回れるのか、いずれも説明しにくいことではないだろうか。

2010年3月期上場会社役員高額報酬一覧(単位 万円)
 
(商社)伊藤忠商事会長12,100 相談役11,500
(商社)住友商事社長18,600* 会長18,300* 副社長12,800*
(商社)丸紅社長13,500
(商社)三井物産社長13,500(基本10,900 賞与2,600)
会長13,200(基本10,600 賞与2,600)
前会長19,000(基本2,600 退職16,400)
(商社)三菱商事社長24,900(基本+賞与13,900 退職2,400 ス8,600)
(自動車・運輸機器)トヨタ自動車会長13,200 副会長11,400 副会長18,000 取締役12,400
(自動車・運輸機器)日産自動車カルロス・ゴーン社長89,100(基本報酬) カルロス・タバレス副社長19,800(基本報酬) 副社長17,600 COO13,400
(自動車・運輸機器)ホンダ社長11,500
(自動車・運輸機器)コマツ社長12,900*(うちス2800) 会長12,000*(うちス2800)
(金融)野村HD社長29,900* 副社長*25,200 会長19,400*
(金融)オリックス社長18,300
(金融)みずほ頭取11,400* 前会長11,000*
(金融)みずほCB頭取12,200* 前会長12,300*
(金融)三菱UFJG社長11,100 会長11,000 前会長10,500
(金融)スルガ銀行社長14,100* 副社長11,000*
(鉄鋼)新日鉄会長17,060 社長17,060
(鉄鋼)JFEHD社長13,394 前社長13,394 取締役11,595
(自動車用および建築用ガラスなど)日本板硝子社長10,400 CFO15,800 BP事業部門長12,500 前社長14,100
(高機能素材メーカー)信越化学工業会長53,500*(s2700) 社長19,700 副社長19,700 14,300 12,400
(記録デバイス・電子デバイスなど)TDK会長12,800 社長12,800
(情報通信機器、電子デバイスなど)京セラ取締役11,400
(コンシューマあるいはネットワークのプロダクツ・デバイスなど)SONYハワード・ストリンガー会長兼社長81,650*(基本31,000 業績連動10,000 ス40,650)
副社長21,500* 16,400* 13,565 12,739 
EUP 20,739 15,065
(総合光学機器メーカー)HOYACEO15,300 COO11,500 CFO10,100
(イメージング・ソルーションなど)富士フィルムHD会長36,100 事務執行役13,800 取締役12,600
(総合エレクトロニクスメーカー)パナソニック会長12,200 社長10,500
(電機機械器具製造など)東芝社長10,700
(総合重機重電首位)日立会長13,400
(総合重機トップ)三菱重工社長11,900*(うちス2,600) 会長11,900*(うちス2,600)
(薬品)アステラス製薬会長15,200 社長18,000
(薬品)
小林製薬
会長19,100 社長11,300
(薬品)
第一三共
前会長17,400 前社長17,400
(薬品)
武田薬品工業
社長22,300 前取締役55,100* 専務10,500
(化粧品)資生堂社長12,100 専務14,100 考え方(固定40% 業績連動60%)
(ベビーケア、フェミニンケア関連製品など)ユニチャーム会長15,200
(印刷)凸版印刷会長17,200
(ネット広告・電子商取引など)ヤフー社長15,900*
(通信・情報)ソフトバンク社長10,800 取締役10,800 10,800 10,200 15,900*
(音楽映像など総合エンタテイメント)エイベックス社長24,900 CSO 18,300 元専務13,300
(総合映像プロダクション)東北新社最高顧問67,500
(エンタテイメント)セガサミーHD会長兼社長43,500 副社長15,500 取締役10,800
(家庭用レジャー機器の製造販売)任天堂社長18,700 専務12,600 11,400 11,000 11,000 11,000
(教育・介護)ベネッセ社長10,800*
(ギフト商品販売など)サンリオ社長10,500*
(家電量販店)ヤマダ電機会長24,800 社長16,100
(調剤薬局)日本調剤社長47,726(うち基本報酬36,030)
(外食)コロワイド会長兼社長13,400
(外食)ゼンショー会長兼社長12,400

凡例:*スはいずれもストックオプションを含むことを示す。各種報道をまとめたものであり有価証券報告書での検証を行ったものではない。 

originally appeared in June 28, 2010
corrected and reposted in July 3, 2010

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デルとインテル Dell and Intel

2009-09-21 06:06:15 | Management
企業研究 Dell and Intel
Hiroshi Fukumitsu

 PC企業として一世を風靡したはずのデルはなぜ業績が低下したのか。また同じように業績不振に陥ったインテルはなぜ急速に立ち直ることができたのか。

 あのDELLが2006年以降業績不振に苦しんでいる。2007年1月末には創業者のマイケル・デル氏がCEOに戻り経営改革を進めている。しかし2007-2008年の景気の悪化による企業のIT投資抑制、ノートブックパソコンの価格低下によるPC全体の価格の低下もあり、デルの業績は低迷を続けている。
 DELLといえば直販モデルDell's Direct Model(デルモデル)と呼ばれる販売方式(直接販売+無在庫経営)を1990年代のアメリカで確立し、2005年には世界PC市場のトップに君臨したはず。そのデルの経営に不振が目立ち始めている。大きな背景はとくにデルが得意としてきたデスクトップ型PC価格の急落による利益率の低下である。しかしそれだけではない。法人から個人へ、デスクトップからノートへの構造変化への不十分な対応、直販モデルの過信による対顧客サービスの軽視(デザインの軽視+個人向けサポートの水準の低さ)などが重なっている。 
 日本ではデルは2006年後半にカラープリンター直販に乗り出すなど増勢を維持しているようにも見えるが、2006年に入ってデルの増収率は鈍化している。純利益も前年を下回るようになった。
 そして国際的にはPC市場での首位を、2006年後半から、デザインを重視したノート型PCの品揃えを強化し、ネットと実店舗を組み合わせた販売戦略をとるHPに明け渡すことになった。 HPはマーク・ハードCEOのもとすでに2005年に人員の1割にあたる1万5000人の人員削減を実施。このリストラ効果の中での2006年の市場拡大で利益率の改善・増収を実現した。他方でデルはシェア維持を狙った値下げで利益率を悪化させた。 デルは2005年から2006年にかけてゲーム機能やAV機能を強化した高級ノート型PC投入で単価アップを狙った。また高性能サーバーの基幹部門のMPUにインテル製を使ってきたことを改めAMD製を初めて採用した。さらにデスクトップ型にもAMD製MPUの採用を決めるなどの対応を行った。しかしまさにこのタイミングで2006年8月、デルのノート型PCに搭載しているソニー製リチウム電池の発火問題が表面化し、デルは410万台という大規模な無償回収・交換の方針を明らかにした。この事件はデルの製品イメージを大きく傷つけた。
加えてその原因をめぐって、両社は製造過程での金属片の混入では一致したものの、デルが電池だけの問題としたのに、ソニー側はデルPCの高速充電など電池の使用環境も問題としたことで両者は対立した。その後、アップル、レノボ、東芝、富士通、日立、シャープ、ゲートウェイ、ソニーにまで回収メーカーは広がった。
 ただしこの事件にもかかわらず、ソニー製電池の調達を継続するとした。デルはソニーを重要なパートナーとして信頼しており、次世代DVDの規格問題でもソニーのブルーレイを支持している。
 市場の中心は、企業向けデスクトップ型から個人向けのノート型に変化。実際に店頭で商品に触れたい一般個人客にはネットや電話でのデルの直接販売方式に限界があった。事実、個人客は直営店方式のアップル、店頭販売を併用するHPなどに流れている。しかし問題は販売面だけではない。効率追求のあまり顧客サービス(顧客との対話)が犠牲になった、部品メーカーとの対話も不足との指摘もある。顧客サービスの面でデルの評価の低下は、顧客離れの原因とされる。売り放しの対応をやめて、顧客対応の改善などにデルは取り組む必要があるが効率優先のビジネスモデルの中で丁寧な対応は可能だろうか。
 PCの顧客満足度調査としては、消費者向けではConsumer Research(CR)誌上の評価が、また法人顧客向けではTBRの数値が参照される。2004年2月23日のCNet Japanはこの2つの数字の低下を指摘している。CRの数値は74(Dec.2001)、65(Sept.2002)、64(June 2002)、62(Mar.2004)と明らかに低下している。デルから顧客に対する技術サポートが低下したという指摘が行われている。なお最後の62というのも低い数値ではない。ただかつては優位性をもっていた顧客満足度が急速に低下したのである(cf.CNet Japan, 04/02/23)。
 現在のネット上にもデルの顧客対応へのさまざまな不満があふれている。これらの日付けは古いものではなく、2007年夏のものも少なくない。たとえば購入したPCが故障続きだったのにデル側が返品返金に応じなかったとか、注文したノート型PCの入荷に時間がかかりすぎるといった不満がみられる(詳しくはネットを実際に検索されたい)。顧客との対話の場として設けたdirect2dell.comに顧客の不満が溢れる有様である。
 2007年1月末にマイケル・デルがCEOに復帰してから半年。2007年6月ようやくデルは動き始めた。しかしデルの劇的ともいえる独り負け現象が進行しており、世界のPC市場が拡大する中でデルの出荷台数の低下、市場シェアの低下に歯止めがかからない危機的状況にある(cf.CNet Japan, 07/04/19, 07/07/19, 07/08/02)。デルは米国での低価格PCの店頭販売をウオルマートストアーズで始めた。日本でも2007年7月からビッグカメラ店頭での店頭販売を始めた。また全従業員の10%にあたる8800人の人員削減を打ち出した。同社の従業員削減はPC業界が需要減退に直面した2001年に5000人を削減して以来。
 デルのビジネスモデルは、法人から個人へ顧客シフトが進むなかで、従来の優位性を失ってしまい輝きを失ってしまった。2007年5月ー7月期、そして8-10月期とデルは増収増益に復した。しかし依然シェアは回復しておらず、HPやアップルなど他社に比べて伸びは見劣りする。
 その後もデルは人員削減や拠点統合など合理化による収益力の強化を目指すが、実態はリストラ費用が収益を圧迫する一方、シェア維持のための値下げで利益率が低下する悪循環に陥っている。2008年3月末にはテキサス州の組み立て工場閉鎖を発表したが、今後、組み立て工場を売却して外注に依存するなどの思い切った事業モデルの変更を検討しているとの観測もでている。このほか、拠点の統廃合・人員削減、部品調達や生産体制の合理化を進めている。
 デルは個人向け部門重視に転換、2008年11月-09年1月期には店頭販売店舗数を2万4000にまで拡大している。ノート型PCの販売台数(4割)を伸ばしたが、単価下落、デスクトップ型の販売不振(3割減収)の影響を払拭できなかった。売上の約6割をパソコンに依存する構造からの脱却が課題で、今後はソフト部門で買収を進めるとみられる(以上は09年2-4月期の状況)。

 デルの不振は個人向けPCに強いHPの好調と対比され、また不振への対応という点では半導体最大手インテルと対比された。ともに常勝の成功体験が市場の変化への機敏の対応を遅らせたとされるが、インテルがいち早いリストラ策で、立ち直ったことに比べ、デルは状況の深刻さの認識があまりに遅かったとされている。
 インテルは2005年に入り減収減益傾向がなった。インテルは主力のMPU(超小型演算処理装置)でAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイス)にシェアを奪われ、携帯・デジタル家電向け半導体ではテキサス・インスツルメンツに先行を許した(2006年6月末に携帯向け半導体事業の売却を発表)。フラッシュメモリーではサムソン電子や東芝との競合で営業赤字が拡大した(2007年5月フラッシュメモリー事業の分離を発表)。
 インテルの不振の背景には主力のMPUでのAMDとの激しい価格競争があった。AMDはインテルの互換品を低価格で売る戦略から低消費電力型MPU、デュアルコア(中枢回路)型MPUで先行し、これに応じてシェアを広げた。エネルギー消費の抑制は顧客から支持された。このAMDとの戦い(2005年4月AMDがサーバー向けにデュアルコアMPU発売 2006年7月インテルの対抗商品アイテニアム2。2006年8月には2007年にクワッドMPUの発売を宣言 2006年11月出荷)でインテルは減収減益に追い込まれた(2006年1-3/4-6月期)。
 マルチコアMPUの開発では、IBM、ソニー、東芝の共同開発が先行しており9つのコアをもつセルの試作品を早くも2005年2月に公表している。その後ソニーのプレステ3に搭載されたセルはコアを8つ搭載。プレステはその意味ではすごい商品ではある。
 なおインテルも2007年2月コアを80個もつMPUの試作品を完成公表している。指先大でスパコン並みの演算能力。現行MPU並みの消費電力とされた。
 しかし価格引下げ競争はAMDにも負担となり、2006年に入り両社とも粗利益率を低下させた(6割から5割へ)。そもそもインテルは2004年には世界のMPU市場で9割という圧倒的シェアを誇っていたAMDの攻勢をうけて苦戦し、2006年には8割程度となった(2003年以来シェア低下)。AMDは2006年7月、カナダの画像処理チップ大手のATIテクノロジーズを54億ドルで買収すると発表。またMPUの供給能力を高めるため米欧で57億ドルを投じて工場を新増設するとした。また2007年後半からはクワッドMPUの発売を始めた。
 2006年にデルがAMD製MPUを採用、続いて東芝も2007年5月に低価格機では価格の安いAMD製に切り替えるとした。
 この危機に際してインテルは、いち早く高機能MPU発売でAMDを追うとともに徹底したコスト削減策で、2007年1-3月期には増益に戻した。以降も増益基調を続け復調した。背景には2005-2006年の徹底したリストラ効果がある(人員削減、管理職削減、不採算事業売却、販売促進費、原材料費節減、設備投資削減)。他方、AMDは2007年に入り一転業績の悪化が続いた。両社の攻防は、インテルの勝利に終わった。
 インテルとAMDの攻防を見ていると、技術開発やコストカット(リストラ)で油断すると、巨大企業でも業績不振となりかねない企業間競争の厳しさが見えてくるがそれと同時にインテルという企業の経営力の高さもみえる。
 インテルはもともとマイクロソフトと組みその連合はウインテルと呼ばれたがその後アップルと接近。2005年からはアップルはマックでインテルMPUの採用を決めた(発売開始2006年)。また将来をにらんでグーグルなどネット陣営との連携も深めるなど中長期戦略を柔軟に進めており、その経営(CEOはポール・オッテリーニ)への評価は高い。
 インテルは次世代MPUの量産を2007年後半にまず米オレゴン州で開始。その後、世界の4工場でも次世代MPUの量産に入る予定。2008年7月にインテルは次世代MPUの新世代品「セントリーノ2」の発売を発表した。これは2003年に発売されたセントリーノの新世代版で、演算性能の向上、画像処理用回路の内蔵、半導体の微細化による消費電力の低下など優れた特徴をもっており、世界のPCメーカーは競ってセントリーノ2の搭載を始めた。消費者向けPCそしてネットブック小型高性能のノートパソコン ミニノートとも 携帯端末)への市場シフトに対してはネットブックMPU「アトム」を供給して(2008年)、好調を維持した。もう一つの市場の焦点はスマートフォン(高機能携帯電話)をめぐる争い。ここでインテルは「アトム」(2008年3月に発表 小型・低消費電力MPU)とともに自社OSの「モブリン」の普及・育成を進めているが、事業戦略は自社ソフトにこだわらず柔軟である。
そのインテルも2008年第四四半期に売上・利益とも大きく落とした。2009年第一四半期にかけてほぼ全製品の販売が全世界で減少する事態となった。
 2009年6月に発表されたインテル(半導体最大手)とノキア(携帯端末最大手)の次世代提携端末開発をめぐる提携は、極めて注目される。ここではOSは無償のリナックスを使い、従来のスマートフォンやネットブックを上回るネットに常時接続できる高機能小型情報端末が想定されている。注目されるのは英アーム社(Arm)との関係。英アーム社のMPU(Cortex)は、ノキアの携帯端末やアップルのiPhoneなどに広く採用されている。ノキアとの提携は、アームの独占的市場にインテルが切り込むことを意味している。
 インテルは2009年7月14日に発表した09年4-6月決算で売上高の改善の達成し、消費者向け需要による小型PC用MPUアトムの販売が好調であるとした。欧州連合から独占禁止法違反で命じられた制裁金のため、最終損益は赤字となったものの、市場の変化をいち早く読み取る経営は、成功しているといってよいだろう。

 質問 デルとインテルはなぜ業績不振に陥ったされているのか整理して述べなさい。
 質問 デルとインテルについてあなた自身の知見を述べなさい。

Written by Hiroshi Fukumitsu. You may not copy, reproduce or post without obtaining the prior consent of the author.
Originally appeared in Sept.10, 2008.
Corrected and reposted in Sept.21, 2009.

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