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綿内克幸FSP BLOG

シンガー/ソングライター綿内日記

宴のあと -vertigo-unplugged-

2006-12-09 13:05:16 | COLUMN
 心が18歳に戻ったU2来日公演と、翌日のUNPLUGGEDクライマックス。観客として、演奏者としての今年の宴が終わってしまい、ちょっとだけ脱力状態である。

 1983年の初来日時と同じようにボノは旗を振って登場して来た。言動を揶揄する声があるのを承知で25年だ。変えようとしない姿が微笑ましく、頼もしく、ファンで良かったなと思った。スタイリッシュなロンドンのバンド、いや、英国のバンドではあり得ないアイリッシュらしい無骨な姿だろう。少々野暮ったいところ、いつも遥か遠くを見ているような姿勢が好きだ。

 不器用だけれど、賢く、意志の強い、ボノ曰く‘閃きのある’バンドだと思う。メッセージばかりが取りざたされるけれど、なんてったって「曲」がいい。ボノの歌詞には、夜空の星をもぎ取ろうとするようなロマンがある。

・・・・・などと20数年の想いに耽る余裕など僕には無く、入場と同時に走って、いい年こいてステージ前から3列目に陣取ったはいいけれど、ボノが登場したとたん、アリーナAブロック後方3000人が押し寄せてえらいことになってしまった。「このままでは死ぬかも」とすら思った。しかし「ここで死んだらロックファンとしてはある意味本望かもしれないが、それでは明日のライヴでメンバーやお客さんに合わす顔が無いどころか二度と顔も合わせられないではないか・・・」というわけで、1曲目で後ろへ避難したのだった。

 しかしそれでも近かった。おまけに馬蹄状に伸びた花道(写真)のおかげで目の前でボノやエッジを見ることができた。「こんな近くていいのかオイ!?」と一緒に行った友人達の顔にも書いてあった。もうこんなこと二度とないかもしれないな・・・と思いながら、宴に酔った。観客全員の幸福感でいっぱいの会場だった。僕は興奮状態にあると記憶が飛ぶので、今はろくに思い出せやしないけれど。

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 翌日は、今度は自分が歌う側に回ったわけである。U2のせいで体中が痛かった。フルライヴ一本+客席にダイヴ100回やったくらいの消耗度だった。しかし、同時に心は満タンだった。満タンのエキスを、集まってくれたお客さんに放出するのが僕のミッションであった。そのミッション遂行に乗っかってくれたのが久し振りに集まった全メンバー。彼らと紡ぐ音の中で歌える喜びを改めて感じる事が出来た。それはお客さんにも伝わったかな、と思っている。