綿内克幸FSP BLOG

シンガー/ソングライター綿内日記

赤いギター

2006-04-18 01:10:45 | COLUMN
 そろそろリタイアの時が来た。いや、とっくにその時期は来てたのに、ちょっと無理してもらっていた。

 北海道から九州まで、春夏秋冬、雨の日も雪の日も、日本中どこへ行くのにもこいつと一緒だった。一目惚れしてから丸12年もの間、僕に好きなように触られ、かき鳴らされてきた(正確には1968年米国生まれだから38年か。熟女ですね)。

 飛行機の荷物係にはトランクと一緒にぞんざいに扱われたろう。新幹線や混雑した駅、打ち上げの居酒屋では「邪魔なんですけど」という周囲の冷たい視線に耐えてきたろう。地方のホテルから、女性を口説くために電話越しに活躍してくれたこともあった(かも)。酔っ払ったまま、弦をゆるめてあげず眠ってしまったことも度々あった。
 最早、背骨はきしんでゆがんで、自慢の音色も出せなくなっていた。いたわりが足りなかったかもな。

 でもいいこともあったはず。CDにこいつの音はしっかり記録された。写真やブラウン管にも登場したし、眩いステージにも上がった。使命としては十二分だ。

 はて、こいつの代わりとなると、そうはいなくてこれが困った。ギターのマーヴェラス田中師匠にも相談中だ。僕は音色や握りだけでなく、このエピフォン規格外のワインレッドが相当気に入っていた。同じようなヤツを求めるのは無理だとわかっている。こんないい女そうはいないから。ベタな赤じゃダメなのだ。(僕には)黒やこげ茶じゃ映えないし、やっぱり見た目はものすごく大事だ。ちょっとセクシーでゴージャスな方がいい.....。

 男はなぜにいくつになってもギターに惹かれるか...それは曲線が女性を思わせるから。それもある。僕はマシンガンみたいだからとも思う。デスペラードだな。

 そんなセクシーでゴージャスでマシンガンみたいな新しい女、いや、ギターを物色中。見つけたら、こいつには「ご苦労さん」と言って、部屋の片隅かベッドの下でゆっくり眠ってもらうのだ。