心の中に一輪の花を咲かせて、その花が開ききった瞬間に、花の裏側にある暗い影に気づかせる。
*
あなたと逢っている時は、現実の風景は完全に消え去り、ただ美しいひとりのひとが僕のために佇んでいるので、孤立した時間の中で、想いは明るく優しいだけだ。
だから別れた後は、なおさらに心が暗く染まってゆく。
それは単に淋しいとか哀しいとかいうだけではなく、想いをかくしきって現実の生活を続けられる自分への怒りにも似た気持ちとか、そんな愛にあなたを包みこんでしまった罪のようなものなどからくるに違いない。
こんなふうに思うようになるのは、はじめから解かっていたはずで、いまさらどう言おうと仕方のないことなのに、はじめてのあなたの小さな肩に触れた時のふるえが、今も僕の掌にはっきりと残っているほど、いくつ季節を通り抜けても、あなたが変わらないので、僕は出逢いの日と同じようにあなたをみつめてしまう。
そして、あなたと逢っている時間は、なおさらに明るく優しい想いに包まれ、その後にくる暗さは一段とその色を濃くして、僕に襲いかかってくる。
塚原将『愛する人よ-あなたと旅ができるなら』より
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