こちらからひとり
集まってきた仲間たち
数年の歳月を背負って
ほんのわずかな緊張の後
目が握手しあって
心がいたずらっぽく微笑しあって
「やあ」と短い言葉
時を流れる河を
笹舟に乗った仲間たちが
たあいないお喋りを積みこんで遡って
遠い湖にたどりついて
釣り糸をたれると
次々に釣り上げられる
緑色の魚たち
飽くこともなく 飽くこともなく
突然笹舟は走りはじめ
緑の魚達を水に戻すと
たあいないお喋りが形を整えていって
あちらへひとり
こちらへひとり
散ってゆく仲間たち
数時間の想いを背負って
塚原将『消せない時間』より
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