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過剰反応気味のニューヨーク日本総領事館(Mar 28, 2011)

2011-03-28 20:03:09 | 捕鯨騒動
今月11日に発生した震災では、東北地方の太平洋沿岸にある多くの港町が壊滅的な被害を受けた。
その中には、捕鯨が産業の中心となってる所もある。
そんな港町の中の1つである宮城県石巻市鮎川浜地区における状況を、2011年3月25日付で NY Times が記事にしていた。
これに対して、ニューヨークの日本総領事館(New York Consulate-General of Japan)が NY Times に抗議をしていた模様。
・津波は日本の捕鯨産業の柱を倒した…NYタイムズ「冷酷」日本総領事館抗議(2011年3月29日 MSN産経ニュース)
・Japan Protests U.S. Paper's Whaling Story(2011年3月27日 JIJI.com)

この所、何かと忙しい日本総領事館。
今月の24日には、2011年3月18日付ブルームバーク・ビジネスウィーク(Bloomberg Business Week)の表紙に抗議をしていた。
・米誌表紙、日の丸に亀裂=日本総領事館が抗議(2011年3月25日 時事ドットコム)

別に抗議をするほどじゃないと思うのだが・・・。


話を戻す。
NY Times の記事では、今回の震災について「~欧米の環境保護団体の抗議や妨害が失敗してきたことを成し遂げたようだ」としてしていた模様。
以下、2011年3月25日分 MSN産経ニュース『津波は日本の捕鯨産業の柱を倒した~』から前半部分を(略

---- 以下引用 ----
 【ニューヨーク=松尾理也】
在ニューヨーク日本総領事館は25日、同日付の米紙ニューヨーク・タイムズが宮城県石巻市鮎川浜の捕鯨産業を取り上げ、「日本の町は捕鯨のない将来を考える」との見出しで、日本の捕鯨産業は東日本大震災によってとどめを刺されたとの内容の記事を掲載したことに対し、「あまりに冷酷であり、不適切な報道だ」と同紙外信部長に対し抗議を申し入れた。


 ニューヨーク・タイムズの記事「捕鯨のない将来」は、同紙の東京支局長、マーティン・ファクラー氏が日本有数の伝統捕鯨の地、鮎川浜で、東日本大震災の被害を受けた港の惨状をリポートした。

 記事では「捕鯨のない鮎川浜はありえない」という船員の声を紹介をしつつも、大打撃を受けた町の実態を伝え、「津波は、日本の捕鯨産業の支柱を倒すことによって、欧米の環境保護団体の抗議や妨害が失敗してきたことを成し遂げたようだ」と指摘した。
(以下略)
---- 引用以上 ----

どれだけ石巻市鮎川浜が被害を受けたのか知らんのだが・・・(失礼)
とりあえず、元ネタの NY Times の記事を引用しながら話を進める。
・Japanese Town Mulls Future Without Whaling Industry(2011年3月25日 NY Times)

以下、2011年3月25日分 NY Times『Japanese Town Mulls~』から、MSN産経ニュースで紹介されてた部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
“There is no Ayukawa without whaling,” said Hiroyuki Akimoto, 27, a fisherman and an occasional crewman on the whaling boats, referring to the town by its popular shorthand.

Japan’s tsunami seems to have succeeded — where years of boycotts, protests and high-seas chases by Western environmentalists had failed — in knocking out a pillar of the nation’s whaling industry.
Ayukawahama was one of only four communities in Japan that defiantly carried on whaling and eating whales as a part of the local culture, even as the rest of the nation lost interest in whale meat.

So central is whaling to the local identity that many here see the fate of the town and the industry as inextricably linked.

“This could be the final blow to whaling here,” said Makoto Takeda, a 70-year-old retired whaler.
“So goes whaling, so goes the town.”
(以下略)
---- 引用以上 ----

問題の部分は、むしろ反捕鯨団体に対する皮肉という意味合いが強いと思うが。
日本では、(太地町で)イルカ漁の網を切った人達がいたくらいなモンだし・・・。
正直、日本総領事館が過剰反応してる感が否めない。


というか、日本総領事館がこのような抗議を行ったのは、Businessweek の時と別の意味を持ってるのかもしれない。
実の所、鮎川浜で捕鯨が続けられてきたのは非常に複雑な背景があるからで・・・。
・捕鯨の町の未来のために ~捕鯨産業に蹂躙された町、鮎川~(2004年1月5日 『捕鯨の町の未来のために』保存ページ)

上の記事は、商業捕鯨が禁止されてから10年経過した後(1996年)における旧牡鹿町(現石巻市)鮎川浜や女川町などの状況について紹介していた。
非常に長い記事だが、当時に限らず現在に通じる問題を指摘してるので読んでみるべし。

で、この記事の終盤では、鮎川浜(というか日本の捕鯨産業)が抱えている問題点を指摘していた。
以下、2004年1月5日分『捕鯨の町の未来のために』保存ページ『捕鯨の町の未来のために』から、その一部を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
もうひとつ思ったことは、この地域捕鯨の問題には、都市の身勝手さや資本の論理というものも、非常に深刻な影を落としているということである。
 史上最大の迷惑施設のひとつである原子力発電所が、過去に捕鯨基地であり、現在過疎化に苦しんでいるところを狙い撃ちするように計画・建設されていることからも、それは伺われる。
牡鹿町の隣の女川町には東北電力女川原子力発電所が稼動しており、牡鹿町にもリアルタイムで放射能モニタリングの結果を町民に知らせる設備がある。同様に、過去に捕鯨基地であった和歌山県太地にも原子力発電所の計画があり、太地の人々は勇敢にその計画に抵抗し続けている(このレポートを読むかもしれない太地の方々へ。わたしは、こと捕鯨問題に関してはみなさんとは異なる意見を持っていますが、あなたがたの原発に反対する闘いを高く評価しており、心強く思っています。太地のみなさんの原子力発電所建設計画への闘いが、願わくば、勝利に終わりますように)。

 ある地方の文化を尊重し、維持したいと本気で思っている人々がその地方に原子力発電所を建設しようとしたりするだろうか。
日本という国は、あるいは日本の捕鯨を継続したいと主張する人々は、本気で鮎川などの地方を尊重し、その地方の文化や生活を守りたいと、ほんとうに思っているのだろうか?
 鮎川の捕鯨産業の歴史を眺めていると、「都市に基盤を置く外来資本が、鮎川をいいように使い、儲けるだけ儲けてから見捨てた」とまとめることができるように思う。
そして、残された人々が茫然と立ち尽くしているというのが、現在の鮎川の姿を正確に描写する表現であるように、わたしには感じられる。

 そして、現在もその状況は続いている。
女川原子力発電所の存在も、そのひとつの象徴であろう。
いみじくもある町民が言った「『鮎川の捕鯨を守れ』という主張は、(大資本が)遠洋漁業を続けるための防波堤であり、捨て石なんですよ」という自嘲を交えた分析も、同じことを述べているのではないのだろうか。
(以下略)
---- 引用以上 ----

果たして、『捕鯨の町の未来のために』での指摘を日本総領事館はどこまで頭に入れていたのだろうか?


それはそうと。
最初に引用した MSN産経ニュースの記事の最後には、佐々木 正明氏の名前も掲載されてるのだが・・・。
佐々木氏がどのような役割を果たしたのかについての言及がないので、松尾氏か佐々木氏のどちらが記事を書いたのかよくわからないぞ(謎)


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